「生涯武道」の実践者である松原氏による、自身が師範代をつとめる空道や、現在も町道場で稽古を続ける柔道を中心とした武道論。
著者は、「信頼」が崩壊しつつある現代社会において、魅力的な社交空間を提供し得る「社会資本」としての武道を高く評価する。
講道館が、如何にして大日本武徳会や高専柔道などの対抗勢力との対立を経て近代柔道の確立に至ったのか(第1章)、現代化・国際化に伴う課題(第2章)など、柔道経験者としては興味深い。
一対多の路上の現実を想定し、試合においても常に「真剣勝負」を意識する必要があるとして、嘉納治五郎が重視していた柔道の武術性や実戦性が、大日本武徳会や高専柔道などの対抗勢力が消滅する中で忘れ去られていった、という指摘はとても興味深い。
柔道(講道館?)関係者には耳が痛い部分もあるだろうが、「講道館の家元意識」の問題、「勝利至上主義」の弊害や老若男女が楽しめるための環境整備の必要性などは重要な指摘だろう。
第3章では、地域に根ざしたスポーツクラブとは何か、企業とスポーツとの関わりなど、スポーツビジネス論を踏まえて、町道場の経営の難しさなど生涯武道の普及における課題が論じられており、興味深い。
第5章は著者の武道体験談、第6章は稽古仲間等の武道との関わり方が紹介され、気軽に楽しめる。
全体として、著者の「生涯武道」への情熱が感じられる好著。自分も武道の稽古を再開したくなった。
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武道を生きる 日本の〈現代〉 17 単行本 – 2006/3/28
松原 隆一郎
(著)
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社NTT出版
- 発売日2006/3/28
- ISBN-104757141084
- ISBN-13978-4757141087
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登録情報
- 出版社 : NTT出版 (2006/3/28)
- 発売日 : 2006/3/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4757141084
- ISBN-13 : 978-4757141087
- Amazon 売れ筋ランキング: - 975,369位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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