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永遠の都〈2〉岐路 (新潮文庫) 文庫 – 1997/4/25
加賀 乙彦
(著)
永遠の都=東京が静かに変貌する。昭和11年2月、陸軍中尉の脇敬助は夏江の従姉と結婚、2・26事件で青年将校の鎮圧に動いた。その夜は還暦で医学博士になった利平の祝賀会でもあったが、数日後、菊江が52歳の人生を閉じた。夏江も副院長と結婚、利平は30年下の妾のいとを正妻にした。世界一周旅行から夫が帰国した晩秋、初江は女児を出産、小学一年生の長男悠太は母をじっと見ていた。
- 本の長さ389ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1997/4/25
- ISBN-104101067082
- ISBN-13978-4101067087
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1997/4/25)
- 発売日 : 1997/4/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 389ページ
- ISBN-10 : 4101067082
- ISBN-13 : 978-4101067087
- Amazon 売れ筋ランキング: - 630,652位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年9月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は
加賀乙彦氏(1929-)による
自伝的長編小説『永遠の都』
新潮文庫版全7巻の第2巻です。
『永遠の都』は全体で8章から成ります。
第一章 夏の海辺(16)
第二章 岐路(15)
第三章 小暗い森(12)
第四章 涙の谷(25)
第五章 迷宮(21)
第六章 炎都(19)
第七章 異郷(9)
第八章 雨の冥府(11)
章題のあとのカッコ内の数字は
各章の節数です。
各章の長さを測る
おおまかな目安になると思います。
『永遠の都』は年代で申しますと
1935(昭和10)年から
1947(昭和22)年までを
描いています。
歴史的な出来事で申しますと
1936年の「2.26事件」から
1947年の「新憲法施行」までを
おおむねカバーしています。
本巻は第二章がまるまる収められていて
その章題(岐路)からも連想できますように
「2.26事件」の発生とその後を
中心に描いています。
作者は1929年の生まれですが
「2.26事件」を覚えているそうです。
一般に
ある時代を象徴する
歴史的出来事を体感したか否かで
特殊な共感を生むかどうかが
大きく異なってくるように思います。
例えばわずか2歳の年齢差であっても
「体験したか否か」「記憶があるか否か」
で決定的に時代の共感性が
異なることがあります。それは
『永遠の都』の続編『雲の都』で
さらっと描かれている箇所があります。
ご自分でご確認いただけると幸いです。
『永遠の都』においては
ナラティブ narrative という手法が
積極的にとられています。
ナラティブとは
「一人称による語り」
のことです。
小説上の形としては
実際の語りもあれば
回想もあれば手紙や手記もあります。
それは表面上の違いに過ぎず
ある登場人物が
「自分の物語を語る」という点では同じです。
『永遠の都』を読みながら
この段落・この節・この章は
誰々のナラティブであるということを
意識しながら読むのも
楽しみのひとつです。
「一人称による語り」には
感情移入しやすい傾向があります。
結果として
ナラティブを意識することなく
引き込まれてしまうかもしれません。
最後に
『永遠の都』の形式上の主人公は
小暮悠太(作者の分身的存在)ですが
実質的な主人公は
時田利平(小暮悠太の母方の祖父)です。
そしてあえて言うならば
実質的なヒロイン(女性の主人公)は
小暮初江(時田利平の長女。小暮悠太の母)
です。準ヒロインが
初江の妹・夏江(時田利平の次女)
ということになりましょう。
作者は
「初江と夏江」という姉妹
「脇家の敬助と晋助」という兄弟
のように2人をセットで
対比させて描くことが多いです。
その手法は
「源氏物語のまね」
とご本人が後日明かしています。
日本文学に興味がある方
「2.26事件」に興味がある方
フランス文学に興味がある方
そして小説な好きな方に
本書をお勧めいたします。
加賀乙彦氏(1929-)による
自伝的長編小説『永遠の都』
新潮文庫版全7巻の第2巻です。
『永遠の都』は全体で8章から成ります。
第一章 夏の海辺(16)
第二章 岐路(15)
第三章 小暗い森(12)
第四章 涙の谷(25)
第五章 迷宮(21)
第六章 炎都(19)
第七章 異郷(9)
第八章 雨の冥府(11)
章題のあとのカッコ内の数字は
各章の節数です。
各章の長さを測る
おおまかな目安になると思います。
『永遠の都』は年代で申しますと
1935(昭和10)年から
1947(昭和22)年までを
描いています。
歴史的な出来事で申しますと
1936年の「2.26事件」から
1947年の「新憲法施行」までを
おおむねカバーしています。
本巻は第二章がまるまる収められていて
その章題(岐路)からも連想できますように
「2.26事件」の発生とその後を
中心に描いています。
作者は1929年の生まれですが
「2.26事件」を覚えているそうです。
一般に
ある時代を象徴する
歴史的出来事を体感したか否かで
特殊な共感を生むかどうかが
大きく異なってくるように思います。
例えばわずか2歳の年齢差であっても
「体験したか否か」「記憶があるか否か」
で決定的に時代の共感性が
異なることがあります。それは
『永遠の都』の続編『雲の都』で
さらっと描かれている箇所があります。
ご自分でご確認いただけると幸いです。
『永遠の都』においては
ナラティブ narrative という手法が
積極的にとられています。
ナラティブとは
「一人称による語り」
のことです。
小説上の形としては
実際の語りもあれば
回想もあれば手紙や手記もあります。
それは表面上の違いに過ぎず
ある登場人物が
「自分の物語を語る」という点では同じです。
『永遠の都』を読みながら
この段落・この節・この章は
誰々のナラティブであるということを
意識しながら読むのも
楽しみのひとつです。
「一人称による語り」には
感情移入しやすい傾向があります。
結果として
ナラティブを意識することなく
引き込まれてしまうかもしれません。
最後に
『永遠の都』の形式上の主人公は
小暮悠太(作者の分身的存在)ですが
実質的な主人公は
時田利平(小暮悠太の母方の祖父)です。
そしてあえて言うならば
実質的なヒロイン(女性の主人公)は
小暮初江(時田利平の長女。小暮悠太の母)
です。準ヒロインが
初江の妹・夏江(時田利平の次女)
ということになりましょう。
作者は
「初江と夏江」という姉妹
「脇家の敬助と晋助」という兄弟
のように2人をセットで
対比させて描くことが多いです。
その手法は
「源氏物語のまね」
とご本人が後日明かしています。
日本文学に興味がある方
「2.26事件」に興味がある方
フランス文学に興味がある方
そして小説な好きな方に
本書をお勧めいたします。
2020年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
気にいった事はちゃんとした本が予定日に届いたこと。
気に入らなかった事は、読んでるそばから読んだページがバラバラに剝がれてきたことが、ショックでした。
気に入らなかった事は、読んでるそばから読んだページがバラバラに剝がれてきたことが、ショックでした。
2020年1月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どうすれば、現場にいたように細緻に状況を描けるのか。才能というほかはない。続きを読みたいが絶版らしい。残念だ。
2012年2月3日に日本でレビュー済み
第二次大戦前夜、二二六事件のことが克明な調査にフィクションを加え、臨場感ある筆致で書かれている。
そして、時田病院を中心とする時田利平の家族、人間模様を描き、戦前のアッパーミドルの幸せな家庭が徐々にほころんでゆく様を、人称を変えて巧みに表現している。歴史の空洞を生め、また、戦後思想の遠因となったものがすべて書いてある秀逸な作品である
そして、時田病院を中心とする時田利平の家族、人間模様を描き、戦前のアッパーミドルの幸せな家庭が徐々にほころんでゆく様を、人称を変えて巧みに表現している。歴史の空洞を生め、また、戦後思想の遠因となったものがすべて書いてある秀逸な作品である