●石川友助「灼熱のタンガロア」(小説)
全てのものに名前の付いていなかった遥か昔の頃における、大いなるものへの畏敬、肉親や同胞に捧ぐ愛のかたちを描いた寓話。読み進める中で、波に揺蕩うわたしに同化するかのようなやわらかい文字の流れも魅力。
●市川すなお「シンゴのフリーズ」(小説)
空を見上げて固まるシンゴを解くのは誰の手だろうか。自閉症の兄をもつ妹ナミの視点で描かれる、ささやかな日常のちょっと特別な時間。子供たちにもいつか、ボランティア活動に参加したワケアリ風のお姉さんのことを、理解できる日がくるのをひそかに願う。
●オカザキトモノリ「マリンライン」(グラフィック)
海を描いたグラフィック作品。複数モチーフをちりばめた色鮮やかなコラージュ手法は、オカザキ氏の得意とするところ。引きつけられるような青の色に、工場の町の匂い発ち込め、なんともいえないノスタルジックな雰囲気を漂わせる。
●葛城美保子「002-1」「002-2」(クロッキー)
前号掲載作品同様、ダンサーを描いたクロッキー作品。数字で記載されたタイトルは、意味深。鍛錬された肉体は、個を離れやがて記号化していくのだろうか。流れるような筆の運びに踊り手ののびやかな肢体、ダイナミックな動きを感じてほしい。
●カフェラテ「ひらめきまんじゅう」(小説)
朗らかなのに、どこか黒い。軽やかなのに、どこか重い。両足を肩幅に開き、すっくと立ち上がる妻の姿が、やけに眩しい昔々の、物語。「ひらめきまんじゅう」表題のタイトルはもちろん、卓越した言葉のセンスにも注目。出デヨ ヒラメキ!
●鈴木清涜「燔祭」(小説) 「原初風景、ヘルツォークの視線」(コラム)
好奇心に駆られてページを捲れば、のっけから打ちのめされること必至。逃れられない血の定めは、穢れか、誇りか……おぞましささえ覚えるほどのひとつの愛の物語。作品のモデルとなったヘルツォークについて語られたコラムと合わせ、作品世界を堪能して欲しい。
●津川智宏/つがわちひろ「オブクロイ山のヌシ」(漫画)
得体のしれぬ怪物に立ち向かっていくちいさなちひろの勇気に、思わず声援を送りたくなる。やさしさとかなしさの棲む山の空気は圧巻。丁寧に描き込まれた全6ページは、あわやコールタールで描かれたものなのではないかとさえ。津川ファン必見の、読切漫画。
●天坂寝覚「夢につづく」(自由律俳句) 初登場!
自由律俳句での参加、ということでどのようなかたちで登場されるのかとたのしみにしていた。全十二句。研ぎ澄まされた言葉の連なりに、行間に、何を感じるだろうか。ほの暗い部屋で一人静かに向き合いたくなるような良作。「棕櫚shuro」初登場。
●中川マルカ「ザムザ兄さん」(小説)
石川友助原案。カフカ「変身」へのオマージュ作品。姿を変えても、することは同じ。流され、そよぎ、自身のふがいなさを何度も悔いながら、それでも向かっていく先は。つながりを求めがちな現代社会のひとコマにスポットを当てて描いた。
●なかぎりせいじ「相与田郷ノート(1)『林田 富夫』」(小説)
田舎道でばったり出会った「林田」と。淡々と交わされるやりとりはユーモラスで魅力的。本当にあった話…かもしれない、狐につままれるようなフィールドワークシリーズ、開始。語り口の軽妙さと間合いは、さすがの一言に尽きる。早速、続編が読みたい。
●なかの真実「桜の樹・秋」(イラスト)
桜といえば、春、満開のそれを想うところだが、今作は「秋」。春を待ちわびる冬に備え、夏のエネルギーを放出しきったかのような、絶妙な佇まいが美しい。枯葉に儚さを、幹に力強さを存分に描いた、なかの氏らしい一枚。
●もりせいちる「リコレクション/Gatto Bianco」(小説) 初登場!
海風そよぐ気の利いたレストランでささやかに繰り広げられる、大人の恋。すぱっと切り取れば、まさかのトータルリコール的世界。「リコレクション・シリーズ」として記憶を刺激し続けてくれるのだろうか。
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「棕櫚shuro」第二号 Kindle版
マルカフェ文藝部季刊誌「棕櫚shuro」第二号。
グラフィックデザイナーオカザキトモノリ、同人紙「800」編集長津川智宏、作家もりせいちる、若手俳人天坂寝覚らをゲストに迎えた2013年秋冬コレクション。
12名の作家による、全14作品を収めた総合文芸誌です。
【小説】
石川友助 「灼熱のタンガロア」
市川すなお 「シンゴのフリーズ」
カフェラテ 「ひらめきまんじゅう」
鈴木清涜 「燔祭」
中川マルカ 「ザムザ兄さん」
なかぎりせいじ 「相与田郷ノート(1)『林田 富夫』」
もりせいちる 「リコレクション/Gatto Bianco」
【自由律俳句】
天坂寝覚 「夢につづく」
【コラム】
鈴木清涜 「ヘルツォークの視線」
中川マルカ 「失恋ケイク」
【漫画】
津川智宏/つがわちひろ 「オブクロイ山のヌシ」
【アート、イラスト】
オカザキトモノリ 「マリンライン」
葛城美保子 「002-1」「002‐2」
なかの真実 「桜の樹・秋」
【装画】 なかの真実
【企画・出版】 マルカフェ文藝部
グラフィックデザイナーオカザキトモノリ、同人紙「800」編集長津川智宏、作家もりせいちる、若手俳人天坂寝覚らをゲストに迎えた2013年秋冬コレクション。
12名の作家による、全14作品を収めた総合文芸誌です。
【小説】
石川友助 「灼熱のタンガロア」
市川すなお 「シンゴのフリーズ」
カフェラテ 「ひらめきまんじゅう」
鈴木清涜 「燔祭」
中川マルカ 「ザムザ兄さん」
なかぎりせいじ 「相与田郷ノート(1)『林田 富夫』」
もりせいちる 「リコレクション/Gatto Bianco」
【自由律俳句】
天坂寝覚 「夢につづく」
【コラム】
鈴木清涜 「ヘルツォークの視線」
中川マルカ 「失恋ケイク」
【漫画】
津川智宏/つがわちひろ 「オブクロイ山のヌシ」
【アート、イラスト】
オカザキトモノリ 「マリンライン」
葛城美保子 「002-1」「002‐2」
なかの真実 「桜の樹・秋」
【装画】 なかの真実
【企画・出版】 マルカフェ文藝部
- 言語日本語
- 発売日2013/10/22
- ファイルサイズ3699 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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