荷風随筆集(上)が失われつつあるなつかしい場所や空間を追慕するもので
あったのに較べて、この荷風随筆集(下)は荷風の生きざま、生い立ち、芸術論
などに関するエッセーを含んでいる。とくに巻頭の『妾宅』は荷風の精神や
考え方を簡潔にまとめたもので、いわば「永井壮吉氏の生活と意見」である。
・・成功主義の物欲しい世の中には、そういう処へ出しゃばって
歯の浮くような事をいいたがる連中が、あり余って困るほどある事を
思返すと、先生はむしろ薄寒い妾宅の置炬燵にかじりついているのが、
涙の出るほど嬉しく淋しく悲しく同時にまた何ともいえぬほど皮肉な
得意を感ずるのだった。・・(『妾宅』より)
荷風は西洋とりわけフランスのパリに郷愁を感じていたが、その西洋を猿真似
した日本のだらしなさには生涯批判の目を向け、そのかわりに、いまはなき江戸
文化を思慕した。しかし一時は荷風が侮蔑してやまなかった明治大正の皮相な
西洋模倣文化すら、太平洋戦争で微塵に破壊され弊履のごとく捨てられるので
ある。
この本の随筆のいろんなところに学生時代からの友人井上唖唖が顔を出す。
真の友はひとりいればいいのである。
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荷風随筆集 下 (岩波文庫 緑 41-8) 文庫 – 1986/11/17
野口 冨士男
(編集)
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妾宅 他十八篇
- 本の長さ300ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1986/11/17
- 寸法10.5 x 1.8 x 14.8 cm
- ISBN-104003104188
- ISBN-13978-4003104187
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1986/11/17)
- 発売日 : 1986/11/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 300ページ
- ISBN-10 : 4003104188
- ISBN-13 : 978-4003104187
- 寸法 : 10.5 x 1.8 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 162,757位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,147位岩波文庫
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- - 27,164位文学・評論 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年6月8日に日本でレビュー済み
逍遥に重きを置く上巻に続き、冬の寒さ、北風の夜、消えゆく炬燵の火など物寂しい中に、戻らぬ日々への追憶が記されます。妾家、雪の日など特に傑作と思います。
2005年1月19日に日本でレビュー済み
荷風は日本人を、日本の近代化を鋭く見通していた。
当時、荷風には思想がないと言った人間がいたそうだが、
荷風の書くものは「思想」の塊である。
私は荷風で一番好きなのが、随筆と日記である。
三島曰く「弾劾演説」の文体で、軽薄な近代化、
美を蔑ろにする人間に怒髪天を突く勢いで、
激憤しておられます。
美しいものが好きな人、現代に納得していない人などは、
荷風を読んでみると良い。
きっと溜飲を下げてくれるでしょう。
ちなみに、荷風の解説で一番好きなのが、福田恒存氏の書いたもので、
福田恒存全集の一巻に載っているので、そちらもお勧め。
当時、荷風には思想がないと言った人間がいたそうだが、
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三島曰く「弾劾演説」の文体で、軽薄な近代化、
美を蔑ろにする人間に怒髪天を突く勢いで、
激憤しておられます。
美しいものが好きな人、現代に納得していない人などは、
荷風を読んでみると良い。
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ちなみに、荷風の解説で一番好きなのが、福田恒存氏の書いたもので、
福田恒存全集の一巻に載っているので、そちらもお勧め。