2011年リリース。戸川純&ヤプーズの初期の大傑作ライヴ。前作「玉姫様」で、とりあえず衝撃のデビューを飾った(!?)彼らの活き活きとした演奏が、極めてリアルに捉えられている。'84年の発売当時なんとカセットテープでしかリリースされなかったという、いわくつきのアルバムでもある。私はそのカセットを30年近くも細々と聴きつないできたワケであるが、最近外観と音質の劣化がどんどん進行して、困っていたところにこの再発はまさに渡に舟であった。CD化は今回で二度目のはずであるが、今回はなんと紙ジャケであるのも嬉しい。
もちろん内容も最高。「玉姫様」からのTrack1、4、8、9そして10の、ライヴならではの曲の崩しかたは、戸川がこの時点ですでに一流のパンクロッカーであることを十分に証明している。特に爆発的な過激さと、その中に潜む痛々しい繊細さという、相矛盾する二つの要素を混在させたラストの10は、奇跡の名唱と呼んでもよいだろう。音質もそれなりに良好で、歌詞カードには曲ごとに、白黒ではあるが当時の彼女のライヴ写真が載っている。