金融・経済政策は専門性が高く、現在の政策が正しいかどうか市中の者には、主流派経済学者のロジックを崩すことはできない。経済学者のロジックを裏付けに新自由主義資本経済政策は世界中の人々の生活を破壊し、国や国民の資産を効率よく特定の資本家に移動することしかできなかった。新自由主義資本主義経済学は機関投資家資本主義を正当化させることを主な成果としている。具体的にはバブルにより需要を創出し、1%のスーパーリッチに富と所得を集中させることであった。
この結果に対する責任を経済学者や政治家に取らせるどことか、むしろ選挙で生活を破壊された当事者が彼らを選挙で承認してしまう不合理が今まさに目の前で起こっている。そのため、日本ではさらに間違った政策が継続、促進されていくことが懸念される。本書ではその根拠を多くの実例を挙げて解説しているが、その中でアメリカのリーマンショックの原因となった住宅バブルの崩壊は行き過ぎた金融緩和が住宅バブルを引き起こしたことを本書出版の時点では、バーナンキは認めていない。という点や日本における小泉政権時の輸出増加によるいざなみ景気が構造改革政策と関連があるかもしれないと考えられる要因は、賃金低下のみだったにもかかわらず、経済成長は自らの手柄であると主張しながら、輸出拡大をもたらした賃金引き下げという副作用は構造改革とは無関係だと主張している。(p170)という点は身近でわかり易い。彼らは常に誰かのために行う政策をそうとは認めず成果として巧妙にすり替えるのだ。
その原因はメディアによるところも大きいが、それに気が付かない我々の知性の劣化によるところも否定できない。自己責任というマジックワードに惑わされ、自らの貧困が自分だけのせいではないことを理解していれば、選挙に行く位の事はできると思うのだが。

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新自由主義の帰結――なぜ世界経済は停滞するのか (岩波新書) 新書 – 絵本, 2013/5/22
服部 茂幸
(著)
2008年のリーマンショック以後、世界経済はいまだ立ち直っていない。新自由主義経済学に基づく制度と政策は、どのように金融危機を拡大させ、深刻化させたのか。そして今日の財政危機とどう関係しているのか。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2013/5/22
- ISBN-104004314259
- ISBN-13978-4004314257
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2013/5/22)
- 発売日 : 2013/5/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4004314259
- ISBN-13 : 978-4004314257
- Amazon 売れ筋ランキング: - 337,692位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,645位岩波新書
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2016年8月17日に日本でレビュー済み
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2021年9月4日に日本でレビュー済み
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本書は、新自由主義を支える理論や制度・政策について体系的に批判したものである。21世紀の政治経済の課題は、主として少子高齢化などによる社会保障費負担の拡大が引き起こす財政危機とグローバルインバランスに見られる経常収支赤字国の債務拡大抑制を如何にその国民に理解させ協力を得るかということである。
新自由主義は、この問題解決を企業および高所得者層への減税と規制緩和をして、一部の超富裕層を更に富ませ、彼らとグローバル企業にやる気にさせ富を創出すれば恵まれない人にも、その富が行きわたるという理論で作り上げた。事実は、実質賃金と実質家計所得を見ても中位の水準は過去40年以上長きに渡り停滞しているし、所得格差が拡大してきている。
又、金融工学の発達は、サブプライム金融危機の際に露呈したように周辺的な市場の小さなショックが世界的な金融危機に拡大することを手助けした。近年の米国住宅市場は四層構造になっており、即ち、伝統的な住宅市場と住宅金融市場に加え、証券化市場とCDSなる保険市場が加わり、負債のピラミッドが損失を拡大させる構造へ変質していたのである。
紙面の都合と書かれた時期が2013年以前と言うこともあり、大事な視点が見落とされているように思える。即ち、米国にとって経常収支の慢性的な赤字は国家の倒産を意味する。然しながら、慢性的赤字状態が解決できない場合は、企業のPL上の赤字があっても贅沢なCash Flowがあれば倒産を免れる訳で、この原理を米国が利用すれば良いのである。米ドルが基軸通貨であることに加え、各国より証券投資を行わせ贅沢なCash Flowを確保する為に開発されたのが金融工学であるということも言える。
更に大事な視点は、経常収支が慢性的な赤字国に英国とフランスがある。彼らが採用している通貨は米ドルではない。彼らも上記で述べた贅沢なCash Flowがある為に国家の倒産は免れている。英国のBREXITは、経常収支面でのEUとの貿易収支改善と世界的規模での所得収支の改善を目的とした「賭け」である。経常収支の赤字幅の縮小を目指した闘い以外の何物でもない。フランスも通貨をフランからユーロに切り替え、証券投資でCash Flowを確保できているので倒産を免れている。
このような視点で、GAFAの台頭(成長株への投資が特定のグローバル企業に集中し、彼らの資産が日本のGDPより大きい)、米中の対立(安全保障を切り口とした市場の再分割)、およびアフガニスタンからの米国の撤退(第二次所得の赤字を年間35兆円減らす)等々を見ていくことも必要である。
新自由主義は、この問題解決を企業および高所得者層への減税と規制緩和をして、一部の超富裕層を更に富ませ、彼らとグローバル企業にやる気にさせ富を創出すれば恵まれない人にも、その富が行きわたるという理論で作り上げた。事実は、実質賃金と実質家計所得を見ても中位の水準は過去40年以上長きに渡り停滞しているし、所得格差が拡大してきている。
又、金融工学の発達は、サブプライム金融危機の際に露呈したように周辺的な市場の小さなショックが世界的な金融危機に拡大することを手助けした。近年の米国住宅市場は四層構造になっており、即ち、伝統的な住宅市場と住宅金融市場に加え、証券化市場とCDSなる保険市場が加わり、負債のピラミッドが損失を拡大させる構造へ変質していたのである。
紙面の都合と書かれた時期が2013年以前と言うこともあり、大事な視点が見落とされているように思える。即ち、米国にとって経常収支の慢性的な赤字は国家の倒産を意味する。然しながら、慢性的赤字状態が解決できない場合は、企業のPL上の赤字があっても贅沢なCash Flowがあれば倒産を免れる訳で、この原理を米国が利用すれば良いのである。米ドルが基軸通貨であることに加え、各国より証券投資を行わせ贅沢なCash Flowを確保する為に開発されたのが金融工学であるということも言える。
更に大事な視点は、経常収支が慢性的な赤字国に英国とフランスがある。彼らが採用している通貨は米ドルではない。彼らも上記で述べた贅沢なCash Flowがある為に国家の倒産は免れている。英国のBREXITは、経常収支面でのEUとの貿易収支改善と世界的規模での所得収支の改善を目的とした「賭け」である。経常収支の赤字幅の縮小を目指した闘い以外の何物でもない。フランスも通貨をフランからユーロに切り替え、証券投資でCash Flowを確保できているので倒産を免れている。
このような視点で、GAFAの台頭(成長株への投資が特定のグローバル企業に集中し、彼らの資産が日本のGDPより大きい)、米中の対立(安全保障を切り口とした市場の再分割)、およびアフガニスタンからの米国の撤退(第二次所得の赤字を年間35兆円減らす)等々を見ていくことも必要である。
2021年3月11日に日本でレビュー済み
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最近、新自由主義経済について興味を持ったので、何気なく購入して読んだ本。たまにある、著者の思い込みや想像で書かれたものと違い、読みごたえがあった。
2017年9月10日に日本でレビュー済み
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変わった角度から経済を見るのに参考になる。世界経済はどういう方向に進むのかを。
2013年6月9日に日本でレビュー済み
新自由主義とは何よりも、強力な私的所有権、自由市場、自由貿易を特徴とする制度的枠組みの範囲内で個々人の企業活動の自由とその能力とが無制約に発揮されることによって人類の富と福利が最も増大する、と主張する政治経済的実践の理論である―この一節はデヴィッド・ハーヴェイ氏(ニューヨーク市立大学教授)が『 新自由主義―その歴史的展開と現在 』(渡辺治監訳,作品社,2007年)の中で述べた定義である。その顕著な例が金融市場であり、私たちはウォール街等に巣くう者共の「富と福利が最も増大する」光景を目の当たりにしてきた。だが、2008年9月におけるアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻などを端緒に、新自由主義、市場原理主義、カジノ資本主義といったものの虚妄性、非論理性、非倫理性が白日の下に晒された。
この「2008年の世界経済の危機は、1930年代と同じく、純粋な市場経済、純粋な資本主義は生き残れないこと」を見事に実証した。このあたりの論脈は、著者である服部茂幸・福井県立大学教授の出身大学の教授である 根井雅弘 さんとも通ずるし、私も全く異論はない。さらに大事なポイントは「21世紀最初の経済危機は新自由主義経済学をも破綻させた」ことで、これも衆目の一致するところだろう。当書で、服部教授は、具体的に「新自由主義経済学に基づく制度と政策が危機を拡大させるのに大きな役割を演じてきたこと」をアメリカを中心に論析し、新自由主義経済学の瓦解を証示する。そして何より、私たちが真剣に受け止めねばならないのは、「新自由主義がアメリカに何をもたらしたかを学ぶことは、明日の日本を考えることでもある」という警句だ。
服部教授は、学問的なスタンスから見ればポスト・ケインズ派に親和的であり、ケインズに否定的なミルトン・フリードマンを鼻祖とする現代シカゴ学派が主流を形成する経済学界においては異端に属するかもしれない。しかし、 ロバート・スキデルスキー 氏(ウォリック大学名誉教授)の言説に従えば、「ケインズは苦闘する自由主義の哲学者であって、勝ち誇る自由主義の哲学者ではなかった」ことは勿論だが、何と言っても「ケインズは現在の深刻な不況を説明する極めて有益な方法を提示し、不況から脱出するための政策を示し、経済が落ち込み続けるのを可能な限り防ぐ方法を示し、人びとの状態を理解する方法を示している」ことは火を見るよりも明らかだ。この著述は、アメリカのFRB等の数々の失敗も踏まえた新自由主義経済学“幕引きの書”とも言えよう。
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新自由主義とは何よりも、強力な私的所有権、自由市場、自由貿易を特徴とする制度的枠組みの範囲内で個々人の企業活動の自由とその能力とが無制約に発揮されることによって人類の富と福利が最も増大する、と主張する政治経済的実践の理論である―この一節はデヴィッド・ハーヴェイ氏(ニューヨーク市立大学教授)が『 新自由主義―その歴史的展開と現在 』(渡辺治監訳,作品社,2007年)の中で述べた定義である。その顕著な例が金融市場であり、私たちはウォール街等に巣くう者共の「富と福利が最も増大する」光景を目の当たりにしてきた。だが、2008年9月におけるアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻などを端緒に、新自由主義、市場原理主義、カジノ資本主義といったものの虚妄性、非論理性、非倫理性が白日の下に晒された。
この「2008年の世界経済の危機は、1930年代と同じく、純粋な市場経済、純粋な資本主義は生き残れないこと」を見事に実証した。このあたりの論脈は、著者である服部茂幸・福井県立大学教授の出身大学の教授である 根井雅弘 さんとも通ずるし、私も全く異論はない。さらに大事なポイントは「21世紀最初の経済危機は新自由主義経済学をも破綻させた」ことで、これも衆目の一致するところだろう。当書で、服部教授は、具体的に「新自由主義経済学に基づく制度と政策が危機を拡大させるのに大きな役割を演じてきたこと」をアメリカを中心に論析し、新自由主義経済学の瓦解を証示する。そして何より、私たちが真剣に受け止めねばならないのは、「新自由主義がアメリカに何をもたらしたかを学ぶことは、明日の日本を考えることでもある」という警句だ。
服部教授は、学問的なスタンスから見ればポスト・ケインズ派に親和的であり、ケインズに否定的なミルトン・フリードマンを鼻祖とする現代シカゴ学派が主流を形成する経済学界においては異端に属するかもしれない。しかし、 ロバート・スキデルスキー 氏(ウォリック大学名誉教授)の言説に従えば、「ケインズは苦闘する自由主義の哲学者であって、勝ち誇る自由主義の哲学者ではなかった」ことは勿論だが、何と言っても「ケインズは現在の深刻な不況を説明する極めて有益な方法を提示し、不況から脱出するための政策を示し、経済が落ち込み続けるのを可能な限り防ぐ方法を示し、人びとの状態を理解する方法を示している」ことは火を見るよりも明らかだ。この著述は、アメリカのFRB等の数々の失敗も踏まえた新自由主義経済学“幕引きの書”とも言えよう。
2013年6月7日に日本でレビュー済み
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ここ20年ほど日本経済が奮わない。著者はその原因の1つと思われるアメリカのレーガノミックスのあたりからの経済政策を振り返り、金融危機は防げたはずだったであったことを証明している。
グリーンスパン元FRB議長は「100年に1度の危機である」と述べたし、麻生元総理も国会でこの言葉を引用したのは有名だ。この言葉は経済危機とは周期的に起こるものであり、起きて当然のことだと思わせる。本書の証券、不動産市場の記述を読めば決してそうではなかったことが分かる。どの時代でもどの国でも一度説明されれば簡単に分かるようなことを、主流派は無視し壊滅に至らしめてしまっているようである。
第2章 図2-1のレーガン政権時代前後の金回りの要因を比較した図は非常に分かりやすい。レーガン政権時代以降はグローバリゼーションや機関投資家の圧力が、アメリカ経済の低迷を招いたというが日本にも当てはまる。
外国との交易は簡単には切り離せなくなったにせよ、国際標準といわれる四半期決算の制度ならば改められるのではないか。短期的な利益しか目になく、長期的な戦略を阻害する投資家が最近(2013年5月)の株価上昇で再び動き出している。アベノミクスに限らず、政府が具体的に「成長産業の育成」をしても、このような足かせを着けたままでは根本的な解決にはならないと思う。
新自由主義や小泉改革の失敗については自民党の西田昌司・参議院議員も配信動画でよく説明しているので、この本と合わせて参考にしてほしい。
グリーンスパン元FRB議長は「100年に1度の危機である」と述べたし、麻生元総理も国会でこの言葉を引用したのは有名だ。この言葉は経済危機とは周期的に起こるものであり、起きて当然のことだと思わせる。本書の証券、不動産市場の記述を読めば決してそうではなかったことが分かる。どの時代でもどの国でも一度説明されれば簡単に分かるようなことを、主流派は無視し壊滅に至らしめてしまっているようである。
第2章 図2-1のレーガン政権時代前後の金回りの要因を比較した図は非常に分かりやすい。レーガン政権時代以降はグローバリゼーションや機関投資家の圧力が、アメリカ経済の低迷を招いたというが日本にも当てはまる。
外国との交易は簡単には切り離せなくなったにせよ、国際標準といわれる四半期決算の制度ならば改められるのではないか。短期的な利益しか目になく、長期的な戦略を阻害する投資家が最近(2013年5月)の株価上昇で再び動き出している。アベノミクスに限らず、政府が具体的に「成長産業の育成」をしても、このような足かせを着けたままでは根本的な解決にはならないと思う。
新自由主義や小泉改革の失敗については自民党の西田昌司・参議院議員も配信動画でよく説明しているので、この本と合わせて参考にしてほしい。
2013年7月10日に日本でレビュー済み
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人間は間違える。しかもつい短期視点&まずは自己の利益の最大化を図り行動する。誤りを素直に認めると自己滅亡につながるからやらない。これを経済領域でやっちゃったのが「新自由主義」のような気がします。
服部氏は事実データで「新自由主義の誤りと思われること」を説いています。あとどうするかは各人に任されてますけどね。
そして、最も重要なのは、服部氏最初のこの新書が 岩 波 書 店 から出てる事、ですよ奥さん。
ついでに、ネタバレですが参考文献の筆頭があの「1984年」ってのも・・・
服部氏は事実データで「新自由主義の誤りと思われること」を説いています。あとどうするかは各人に任されてますけどね。
そして、最も重要なのは、服部氏最初のこの新書が 岩 波 書 店 から出てる事、ですよ奥さん。
ついでに、ネタバレですが参考文献の筆頭があの「1984年」ってのも・・・
2013年6月8日に日本でレビュー済み
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ケインジアン的な経済の理解からしての、いわゆる新自由主義的な経済政策の失敗を詳述。かなり攻撃的な筆致であるが、竹中氏をはじめLibertarianからの反論を,事実に基づいて、期待したい。