名取洋之助と日本工房に関しては、日本の様々なメディアに対して非常に大きな影響を与えたにもかかわらず、戦前から戦中の国策宣伝に携わったことや、中心者であった名取自身の強烈な個性が一部の人々を遠ざけたことなどから、なかなか正当に評価される機会がなかったように思う。
本書は、日本的グラフィックデザインを確立した戦前および戦中の国策宣伝から、良くも悪くも現代の写真週刊誌へとつながる「日本的グラフジャーナリズム」の礎を築いた「サンニュース」の準備段階へ至る時期を、関係者の証言などを交えて解説している。
名取洋之助と日本工房に関しては、現状で望みえる最高の資料だろう。
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