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フクシマの真実と内部被曝 単行本(ソフトカバー) – 2012/11/21
小野 俊一
(著)
はじめに-から抜粋
「南相馬で七・五メートル以上の津波が発生しました。」と、テレビで第一報を聞いたのは、一週間おきに往診している患者さんを訪問した金曜日のこと。これは、とんでもないことになる・・・原発が危ない。対応不可能だろう。日本はこれからどうなるのだろうと震えが全身に来ました。その時に震える手で書いたのが医師専用のSNSでした。
■二〇一一年三月一一日一五時三五分 宮城で震度七
大地震が起きました。
私は、福島の原子力発電所に勤めていたのですが、その時の評価で、七〇センチメートル以上の津波にはどうにも仕方がないという結論でした。
地震で原子力発電所は、自動的に停止はしますが、崩壊熱が数パーセント残ります。しかも、長期間。
一一〇〇MW× 三× 数パーセント
でも、たいがいの熱量で、海の水で熱交換をしないと炉心の冷却が維持できません。
今回の津波では、五メートル近くになりそうなので、こういった海側のポンプのある建物が、水没してしまったような感じを受けます。
運転停止だけではなく、その後数週間の監視が必要です。
大丈夫でしょうか。心配です。
■二〇一一年三月一一日二〇時二〇分
非常事態宣言が出されましたね。
私がいるときにはなかった法律です。
あとは、RCICという緊急炉心冷却装置で冷やすしかないと思うのですが、これは数日(あんまり記憶なし)くらいしかもちません。(炉心の蒸気で回すので、電力が必要ありません)
それまでに、どうやって非常用発電機を復旧させるかでしょう。
まだ、働いていたら、死んでいたでしょうね。。。
(後略)
以上が、津波が起きてからすぐに書いた文章です。
事故当初にこのような知識を持っている私は、一体何者でしょうか。それを明らかにしつつ、フクシマで何が起きたのか、その放射能被害はどの程度の規模に及ぶのか、そして現在どのような影響が起きているのかをまとめてみました。
ブログの読者に「健全なる絶望」を得られると感想をもらったことがあります。事実を知ってどう対応するのか、それこそ人間の叡智ではないかと思います。この本が、何らかの道しるべになれば幸いです。
「南相馬で七・五メートル以上の津波が発生しました。」と、テレビで第一報を聞いたのは、一週間おきに往診している患者さんを訪問した金曜日のこと。これは、とんでもないことになる・・・原発が危ない。対応不可能だろう。日本はこれからどうなるのだろうと震えが全身に来ました。その時に震える手で書いたのが医師専用のSNSでした。
■二〇一一年三月一一日一五時三五分 宮城で震度七
大地震が起きました。
私は、福島の原子力発電所に勤めていたのですが、その時の評価で、七〇センチメートル以上の津波にはどうにも仕方がないという結論でした。
地震で原子力発電所は、自動的に停止はしますが、崩壊熱が数パーセント残ります。しかも、長期間。
一一〇〇MW× 三× 数パーセント
でも、たいがいの熱量で、海の水で熱交換をしないと炉心の冷却が維持できません。
今回の津波では、五メートル近くになりそうなので、こういった海側のポンプのある建物が、水没してしまったような感じを受けます。
運転停止だけではなく、その後数週間の監視が必要です。
大丈夫でしょうか。心配です。
■二〇一一年三月一一日二〇時二〇分
非常事態宣言が出されましたね。
私がいるときにはなかった法律です。
あとは、RCICという緊急炉心冷却装置で冷やすしかないと思うのですが、これは数日(あんまり記憶なし)くらいしかもちません。(炉心の蒸気で回すので、電力が必要ありません)
それまでに、どうやって非常用発電機を復旧させるかでしょう。
まだ、働いていたら、死んでいたでしょうね。。。
(後略)
以上が、津波が起きてからすぐに書いた文章です。
事故当初にこのような知識を持っている私は、一体何者でしょうか。それを明らかにしつつ、フクシマで何が起きたのか、その放射能被害はどの程度の規模に及ぶのか、そして現在どのような影響が起きているのかをまとめてみました。
ブログの読者に「健全なる絶望」を得られると感想をもらったことがあります。事実を知ってどう対応するのか、それこそ人間の叡智ではないかと思います。この本が、何らかの道しるべになれば幸いです。
- 本の長さ190ページ
- 言語日本語
- 出版社七桃舎
- 発売日2012/11/21
- ISBN-104990677005
- ISBN-13978-4990677008
商品の説明
レビュー
読者レビューをご覧ください --出版社から
著者について
小野俊一(おの しゅんいち)
内科医・元東電社員
1964年 広島で生まれる
1988年 東京大学工学部 精密機械工学科卒業
同 年 東京電力入社 福島第二原子力発電所勤務
1993年 同 本店 原子力技術課に配属
1995年 同 退社
2002年 熊本大学医学部卒業
現在、小野・出来田内科医院 院長
内科医・元東電社員
1964年 広島で生まれる
1988年 東京大学工学部 精密機械工学科卒業
同 年 東京電力入社 福島第二原子力発電所勤務
1993年 同 本店 原子力技術課に配属
1995年 同 退社
2002年 熊本大学医学部卒業
現在、小野・出来田内科医院 院長
登録情報
- 出版社 : 七桃舎; 初版 (2012/11/21)
- 発売日 : 2012/11/21
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 190ページ
- ISBN-10 : 4990677005
- ISBN-13 : 978-4990677008
- Amazon 売れ筋ランキング: - 752,248位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
福島原発事故についての概要を知るための入門書としてもってこいです。専門的知識のまったくない人が読んでも理解できるように書きたい、という著者の思いが伝わります。分量も少なく、すぐ読めます。新しい本ではないですが、原発事故も被ばくも終わってないということがよくわかるので、事故から10年経った今こそ読まれるべき本だと思います。
2015年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
配管の破断と津波による冷却ポンプの水没と破壊が
原子力発電所にとって致命的だったと書いています。
もしその見立てが有力なのだとすると、
日本中の全ての原子力発電所にとっては
根本的な安全性はないということになると思います。
除染について、
放射線は容易に計測できますが
物質としてのセシウムは体積は生活空間の体積と比較して非常に小さいということが
よくわかるように解説してあります。
除染に関して費用、労力、技術的な困難は著者の書いている通りだと思います。
肥田舜太郎さんと著者は内部被曝はとても危険であるとおっしゃています。
僕個人はこれに対してはまだはっきりと確信はありません。
ただ、「はだしのげん」は僕も読みましたが、
そこで書かれていることは確かに不思議です。
低線量被曝や内部被曝の危険性について批判する人は、
単に批判するだけではなく、
「はだしのげん」のようなことがうまく説明出来なくてはいけないと感じます。
それが放射線の影響でない何かだとすれば、それはそれで一つの解釈だといえます。
もしそのような説明ができなければ、将来健康被害を訴える人が出てきた時に、
単に「だまれ」と沈黙を強いるだけになると思います。
内部被曝というのは、うまく被曝量が計算しずらいというだけかもしれないし、
(ようするに実際にはかなり被曝している)、
放射線の被害ではないものを放射線による被害だと勘違いしている例もあるかもしれません。
おそらく実際の事故に対する危険性というものに対するリアリティーのある解釈を持っているのは
現場の発電所の運営を経験したことのある人だと思います。
その意味からいうと著者の記述はそれなりに信頼性があると思います。
原子力発電に好意的な学者の言論の多くは、
かいつまんで言えばあやふやな部分や証拠がないものは全て安全側に解釈するということになってしまっています。
核爆発、地震による破断、冷却ポンプの水没が致命傷であったことなどは、
未だにまだ安全側に解釈できるかどうか怪しいのではないでしょうか。
僕は遺伝障害というのは国際放射線防護委員会2007勧告どおり
存在していたとしても発がんより一桁以上少ない発生確率だろうと思います。
だから著者の言うように妊娠での奇形の発生とか、奇形植物の発生とかがありうるのかよくわかりません。
ただ、広島の原爆による放射線被害に関して初期の被曝が過小評価されているというのは否定出来ない事実だと思います。
原子力発電所にとって致命的だったと書いています。
もしその見立てが有力なのだとすると、
日本中の全ての原子力発電所にとっては
根本的な安全性はないということになると思います。
除染について、
放射線は容易に計測できますが
物質としてのセシウムは体積は生活空間の体積と比較して非常に小さいということが
よくわかるように解説してあります。
除染に関して費用、労力、技術的な困難は著者の書いている通りだと思います。
肥田舜太郎さんと著者は内部被曝はとても危険であるとおっしゃています。
僕個人はこれに対してはまだはっきりと確信はありません。
ただ、「はだしのげん」は僕も読みましたが、
そこで書かれていることは確かに不思議です。
低線量被曝や内部被曝の危険性について批判する人は、
単に批判するだけではなく、
「はだしのげん」のようなことがうまく説明出来なくてはいけないと感じます。
それが放射線の影響でない何かだとすれば、それはそれで一つの解釈だといえます。
もしそのような説明ができなければ、将来健康被害を訴える人が出てきた時に、
単に「だまれ」と沈黙を強いるだけになると思います。
内部被曝というのは、うまく被曝量が計算しずらいというだけかもしれないし、
(ようするに実際にはかなり被曝している)、
放射線の被害ではないものを放射線による被害だと勘違いしている例もあるかもしれません。
おそらく実際の事故に対する危険性というものに対するリアリティーのある解釈を持っているのは
現場の発電所の運営を経験したことのある人だと思います。
その意味からいうと著者の記述はそれなりに信頼性があると思います。
原子力発電に好意的な学者の言論の多くは、
かいつまんで言えばあやふやな部分や証拠がないものは全て安全側に解釈するということになってしまっています。
核爆発、地震による破断、冷却ポンプの水没が致命傷であったことなどは、
未だにまだ安全側に解釈できるかどうか怪しいのではないでしょうか。
僕は遺伝障害というのは国際放射線防護委員会2007勧告どおり
存在していたとしても発がんより一桁以上少ない発生確率だろうと思います。
だから著者の言うように妊娠での奇形の発生とか、奇形植物の発生とかがありうるのかよくわかりません。
ただ、広島の原爆による放射線被害に関して初期の被曝が過小評価されているというのは否定出来ない事実だと思います。
2017年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もっともっと、たくさんの人に読まれてほしい本です。原発問題を話すと嫌がる人が多い今日この頃。しかたないので、この本を読んで一人で深く頷きながら憂いています。
2013年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半はユーモラスな東電という会社のエピソード集です。のんきで大らかで、一般顧客の負担の下でいかに能天気な経営がされているか末端での逸話が満載です。
後半は内部被ばくの話ですが、こういうことにすごく関心がない限りは、ちょっと読み進むことはできませんでした。というわけで私は70ページで読むのをやめてしまいました。
ゆえに1点減点の4点としましたが、前半のみで1冊の本にすれば、東電が嫌いな人々に広く読まれると思います。
後半は内部被ばくの話ですが、こういうことにすごく関心がない限りは、ちょっと読み進むことはできませんでした。というわけで私は70ページで読むのをやめてしまいました。
ゆえに1点減点の4点としましたが、前半のみで1冊の本にすれば、東電が嫌いな人々に広く読まれると思います。
2014年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東電に7年間勤めて、現在は医者という経歴の方が書かれた本であり、素直な姿勢で書かれている。
原発の安全課という部署の職務は、客観的な技術検討をするのではなくて、「世間に安全だ」という説明書を作ることだという話は納得。
内部被曝の危険について、様々な過去の原爆被害者の研究経過を引用して、説得力ある説明に納得。
また、除染という作業が、物理的にはごく少量の放射性物質を除去することであって、物理的に不可能だという説明も納得。
設置許可申請書に、電力会社自身が電力単価を計算しているのに、政府が怪しげな計算を公表しているという説も納得。
願わくは、増補改訂して、福島事故の技術編を一冊、内部被曝編を一冊出版して欲しい。
技術的には、津波以前にスチームの漏出があった点(配管破断)、3号機は核爆発の可能性があるという点、4号機の建屋の壁が大きく崩落している点など、著者の見解をもっと詳しく述べて欲しい。
内部被曝については、ABCC、放医研、チェルノブィリの研究など(今後ピークとなるであろう後遺症)を詳述して欲しい。
原発の安全課という部署の職務は、客観的な技術検討をするのではなくて、「世間に安全だ」という説明書を作ることだという話は納得。
内部被曝の危険について、様々な過去の原爆被害者の研究経過を引用して、説得力ある説明に納得。
また、除染という作業が、物理的にはごく少量の放射性物質を除去することであって、物理的に不可能だという説明も納得。
設置許可申請書に、電力会社自身が電力単価を計算しているのに、政府が怪しげな計算を公表しているという説も納得。
願わくは、増補改訂して、福島事故の技術編を一冊、内部被曝編を一冊出版して欲しい。
技術的には、津波以前にスチームの漏出があった点(配管破断)、3号機は核爆発の可能性があるという点、4号機の建屋の壁が大きく崩落している点など、著者の見解をもっと詳しく述べて欲しい。
内部被曝については、ABCC、放医研、チェルノブィリの研究など(今後ピークとなるであろう後遺症)を詳述して欲しい。
2012年12月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
福島第一原発の事故の後、原発事故関連の本は数多く出版されたが、
その多くは著者の専門とする1つの分野を越えて語られることは非常に少なく、
語られたとしても、概説されるだけであった。
それは、どうしても原発事故や放射能に関する問題が、工学、物理、化学、環境、医療と
分野を越えてしまうため、一人の専門家が自身の専門外の問題に言及することが難しいからであろう。
それらの本の著者に対して、この本の著者である小野俊一氏は東京電力の原発技術者として福島第2原発の現場と、
東京電力本店・原子力技術課安全グループでの勤務の経験をし、その後東京電力を退社後に医師となり、
医学の知識と経験を積んで来ているため、原発の工学的問題から、放射能の医学的問題までを、横断的に
カバーした内容の本を仕上げることが出来たのであろう。
また、どこかの大学の先生が書いた本と違って、医療、工学のまったくの素人でも判り易い、語り口調の
文章で書かれている。おそらく著者が大学の研究室ではなく、普段から一般の患者と接しているからこそ、
このような判り易い文章で表現する事が可能だったのだ。
この本を読んでおく事によって、これからフクシマやチェルノブイリ原発事故関連の本を読む時の理解が深まる事に
なるだろう。また、家族や知人に原発事故の深刻さを未だ理解していない人がいたならば、この本を勧めるのも
良いのではないだろうか。大切な人への一冊にしたい本である。
その多くは著者の専門とする1つの分野を越えて語られることは非常に少なく、
語られたとしても、概説されるだけであった。
それは、どうしても原発事故や放射能に関する問題が、工学、物理、化学、環境、医療と
分野を越えてしまうため、一人の専門家が自身の専門外の問題に言及することが難しいからであろう。
それらの本の著者に対して、この本の著者である小野俊一氏は東京電力の原発技術者として福島第2原発の現場と、
東京電力本店・原子力技術課安全グループでの勤務の経験をし、その後東京電力を退社後に医師となり、
医学の知識と経験を積んで来ているため、原発の工学的問題から、放射能の医学的問題までを、横断的に
カバーした内容の本を仕上げることが出来たのであろう。
また、どこかの大学の先生が書いた本と違って、医療、工学のまったくの素人でも判り易い、語り口調の
文章で書かれている。おそらく著者が大学の研究室ではなく、普段から一般の患者と接しているからこそ、
このような判り易い文章で表現する事が可能だったのだ。
この本を読んでおく事によって、これからフクシマやチェルノブイリ原発事故関連の本を読む時の理解が深まる事に
なるだろう。また、家族や知人に原発事故の深刻さを未だ理解していない人がいたならば、この本を勧めるのも
良いのではないだろうか。大切な人への一冊にしたい本である。
2013年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
海外在住。
3.11以降の世界は残念ながら、大きく変わりました。
帰国するたびに日本人が 3.11と全く変わらない生活をしているのに驚愕です。
何が真実か、今を生きる日本人(特に東北、関東地方)は目を見開いてしっかり真実を見つめなくてはなりません。
数年後、何が起こるのか、しっかり、見つめなくては、日本、日本人は確実に沈没します。
現在のマスコミでいわれていること、政府の発表(大本営発表)を100%信じ込んでいる人こそ、この本に書かれていることを熟読して、何が正しい真実なのか、見つめなおし、早く目を覚まして欲しいです。
3.11以降の世界は残念ながら、大きく変わりました。
帰国するたびに日本人が 3.11と全く変わらない生活をしているのに驚愕です。
何が真実か、今を生きる日本人(特に東北、関東地方)は目を見開いてしっかり真実を見つめなくてはなりません。
数年後、何が起こるのか、しっかり、見つめなくては、日本、日本人は確実に沈没します。
現在のマスコミでいわれていること、政府の発表(大本営発表)を100%信じ込んでいる人こそ、この本に書かれていることを熟読して、何が正しい真実なのか、見つめなおし、早く目を覚まして欲しいです。
2012年12月28日に日本でレビュー済み
のっけから恐縮だが、皆様に問いかけをしてみたい。「生まれながらに視覚を持たない方に、北極のオーロラについて説明しなさい」という課題が出たとする。さあ、どうなさいますか?
著者の小野氏(以下「先生」)に資料をお送りしたことがきっかけでメールをやり取りしたことがある。頂いたメールをそこここに引用することで、先生のお人柄を探ってみたい。そして、そのことで本書の魅力がお伝えできたらと思う。
さて冒頭の課題だが、私も含めて多くの方々は、天を仰いで絶句だろう。オーロラという触れず、聞けず、嗅げず、味わえずという光の響宴を、目が見えない方にどう説明すればわかってもらえるのだ?
題材が異なるとはいえ、先生は、似たような課題に取り組んでおられるのだと思う。福島の事故で放射能がバラまかれてしまった。我々は、放射能の存在を感知できない。感知できないものが恐ろしいと言われるのだから、始末に負えない。311のことは忘れ、なにも気にせず生活するほうがラクってもんだ。でも先生は、元原発技術者で現役医師という立場から、フクシマや放射能の影響について平易に書いて下さった。よっぽど面倒見が良くて責任感の強い方なのだろう。
「人に理解してもらうのは大変なことです。わかった気にさせるのも大変です。視覚を使ったり、たとえ話をするしかありません。」
「宗教者が苦労したように、自分の頭で置き換えを考えなければならないんです。そういった工夫がなければ、百科事典を読むのとまったく同じで、みんな投げ出します。このあたりは、もう人生の生き方そのものにかかってくると思います。できるだけ理解してもらおうと考えていたら、今までの苦労からいろいろ考えます。」
お恥ずかしい話だが、私は本当に無知だった。原発なんて知らなかった。福島に原発があることも知らなかった。なんで東京電力が東北に発電所を持っているのだろう、と不思議に思っていた。呆れるほど無知だった私でさえ、先生が頭を絞って下さったおかげで、原発や放射能について知ることができた。
本書はどこから読んでもいいと思う。すべてを読み終えるころには、311とその後の社会が見えてくる。また、どこからどう突つこうと矛盾点がない。嘘が一切ないからだ。
「振り返ってみると、もともと阪大の医学部に行くつもりで挫折して、東大理一進学。医学部に行けば良かったと思いながら、そのまま卒業して東電に勤めていた。自分の中では納得していたつもりが、納得していなかった。」
ご自分を誤摩化せない方のようだ。ご自分に嘘がつけない。だから他人にも嘘がつけないし、つかないのだろう。
「こんな理不尽なことで給料をもらってはいけない。と考え始めて、そういえば医者になりたかったんだと思いだした。」
原発を「理不尽」として退職。31歳のときだ。ふつう、一流企業を辞めてまで進路変更する年齢ではないだろう。それなのに辞めた。
辞めてしまうほど真直ぐで潔癖な方だから、嘘をつかないだけではない。他者の嘘にも厳しい。かくして、本書のあちこちで嘘の見破り方をも伝授して下さる。政府や東電がどんな嘘をついてきたか。御用学者がどのように庶民を騙しにかかるか。マスコミがいかに報道するか。一つ一つ例を挙げて解説下さるのだ。
おかげで愚かな私でさえ、情報を鵜呑みにしなくなった。いくつかの情報をつき合わせ、何が本当で何が嘘かを考えるようにまでなった。自分でもびっくりの進歩である。
話は変わるが、いくつかのアメリカの報道を見聞きして、内部被爆はタブーなのかと思ったことがある。歯切れよく話していた脱原発の専門家でさえ、内部被爆について話しそうになった瞬間言い澱み、さりげなく曖昧な言い方に変えたのだ。
先生によると内部被爆を認めることは、核兵器を否定することだそうだ。だから各国政府は、内部被爆を無視する。しかし書名に内部被爆と堂々と謳ったように、先生は、タブーに真っ正面から取り組んでおられる。医師としてこの問題を無視できないのだ。だからこそ、庶民のためにわかりやすく説明して下さる。
被爆の影響の一つとして、奇形児が取り上げられている。「奇形問題は、私自身が一番詳しくならねば..と思っています」とのメールを頂いたときには絶句した。「いついかなる時も群れなかったのが、私の特徴」とのことだが、誰も行きたがらない闇の中を一人で進んで行かれる覚悟なのだ。「掘り起こせば起こすほど、恐ろしい話が出てきます。正直将来が、怖いです」とメールには記されていた。
先生は、真実を知る者として、他者に説明する役割を買って出て下さった。政府や識者やマスコミがこぞって国民を騙しにかかっているような社会にあって、先生は貴重な存在だ。そして、真実と生き抜く知恵と先生の生きざまが詰まったこの本は、さながら砂漠で見つけたダイヤモンドのようだ。
この本は、一人でも多くの方に読んで頂きたい。特にお子さんをお持ちの方々や若い方々には、すぐにでも読んで頂きたい。なるべく早く何らかの対策を講じる糧にしてほしいのだ。またこの本は、一家に一冊お持ちになり、代々読み継いで行くべきものだと思う。真実は永遠に変わらないし、恐ろしい放射能の影響は千年単位で続くからである。
著者の小野氏(以下「先生」)に資料をお送りしたことがきっかけでメールをやり取りしたことがある。頂いたメールをそこここに引用することで、先生のお人柄を探ってみたい。そして、そのことで本書の魅力がお伝えできたらと思う。
さて冒頭の課題だが、私も含めて多くの方々は、天を仰いで絶句だろう。オーロラという触れず、聞けず、嗅げず、味わえずという光の響宴を、目が見えない方にどう説明すればわかってもらえるのだ?
題材が異なるとはいえ、先生は、似たような課題に取り組んでおられるのだと思う。福島の事故で放射能がバラまかれてしまった。我々は、放射能の存在を感知できない。感知できないものが恐ろしいと言われるのだから、始末に負えない。311のことは忘れ、なにも気にせず生活するほうがラクってもんだ。でも先生は、元原発技術者で現役医師という立場から、フクシマや放射能の影響について平易に書いて下さった。よっぽど面倒見が良くて責任感の強い方なのだろう。
「人に理解してもらうのは大変なことです。わかった気にさせるのも大変です。視覚を使ったり、たとえ話をするしかありません。」
「宗教者が苦労したように、自分の頭で置き換えを考えなければならないんです。そういった工夫がなければ、百科事典を読むのとまったく同じで、みんな投げ出します。このあたりは、もう人生の生き方そのものにかかってくると思います。できるだけ理解してもらおうと考えていたら、今までの苦労からいろいろ考えます。」
お恥ずかしい話だが、私は本当に無知だった。原発なんて知らなかった。福島に原発があることも知らなかった。なんで東京電力が東北に発電所を持っているのだろう、と不思議に思っていた。呆れるほど無知だった私でさえ、先生が頭を絞って下さったおかげで、原発や放射能について知ることができた。
本書はどこから読んでもいいと思う。すべてを読み終えるころには、311とその後の社会が見えてくる。また、どこからどう突つこうと矛盾点がない。嘘が一切ないからだ。
「振り返ってみると、もともと阪大の医学部に行くつもりで挫折して、東大理一進学。医学部に行けば良かったと思いながら、そのまま卒業して東電に勤めていた。自分の中では納得していたつもりが、納得していなかった。」
ご自分を誤摩化せない方のようだ。ご自分に嘘がつけない。だから他人にも嘘がつけないし、つかないのだろう。
「こんな理不尽なことで給料をもらってはいけない。と考え始めて、そういえば医者になりたかったんだと思いだした。」
原発を「理不尽」として退職。31歳のときだ。ふつう、一流企業を辞めてまで進路変更する年齢ではないだろう。それなのに辞めた。
辞めてしまうほど真直ぐで潔癖な方だから、嘘をつかないだけではない。他者の嘘にも厳しい。かくして、本書のあちこちで嘘の見破り方をも伝授して下さる。政府や東電がどんな嘘をついてきたか。御用学者がどのように庶民を騙しにかかるか。マスコミがいかに報道するか。一つ一つ例を挙げて解説下さるのだ。
おかげで愚かな私でさえ、情報を鵜呑みにしなくなった。いくつかの情報をつき合わせ、何が本当で何が嘘かを考えるようにまでなった。自分でもびっくりの進歩である。
話は変わるが、いくつかのアメリカの報道を見聞きして、内部被爆はタブーなのかと思ったことがある。歯切れよく話していた脱原発の専門家でさえ、内部被爆について話しそうになった瞬間言い澱み、さりげなく曖昧な言い方に変えたのだ。
先生によると内部被爆を認めることは、核兵器を否定することだそうだ。だから各国政府は、内部被爆を無視する。しかし書名に内部被爆と堂々と謳ったように、先生は、タブーに真っ正面から取り組んでおられる。医師としてこの問題を無視できないのだ。だからこそ、庶民のためにわかりやすく説明して下さる。
被爆の影響の一つとして、奇形児が取り上げられている。「奇形問題は、私自身が一番詳しくならねば..と思っています」とのメールを頂いたときには絶句した。「いついかなる時も群れなかったのが、私の特徴」とのことだが、誰も行きたがらない闇の中を一人で進んで行かれる覚悟なのだ。「掘り起こせば起こすほど、恐ろしい話が出てきます。正直将来が、怖いです」とメールには記されていた。
先生は、真実を知る者として、他者に説明する役割を買って出て下さった。政府や識者やマスコミがこぞって国民を騙しにかかっているような社会にあって、先生は貴重な存在だ。そして、真実と生き抜く知恵と先生の生きざまが詰まったこの本は、さながら砂漠で見つけたダイヤモンドのようだ。
この本は、一人でも多くの方に読んで頂きたい。特にお子さんをお持ちの方々や若い方々には、すぐにでも読んで頂きたい。なるべく早く何らかの対策を講じる糧にしてほしいのだ。またこの本は、一家に一冊お持ちになり、代々読み継いで行くべきものだと思う。真実は永遠に変わらないし、恐ろしい放射能の影響は千年単位で続くからである。