鉄の手を、意識で動かす。そして、自分の思うように動くように、なった手が、潜在意識のもと、勝手に、動いてしまう。
当方、精神科医につき、実感。
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鉄の旋律 (秋田文庫 1-16) 文庫 – 1994/3/1
手塚 治虫
(著)
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本の内容です! ●鉄の旋律 ●悪魔の開幕 ●イエロー・ダスト ●解説 全3話 掲載!
- 本の長さ196ページ
- 言語日本語
- 出版社秋田書店
- 発売日1994/3/1
- ISBN-104253169961
- ISBN-13978-4253169967
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著者について
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1928年、大阪府豊中市生まれ。本名・治。大阪大学付属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。翌年、ス トーリー漫画の単行本『新宝島』がベストセラーになり、注目される。以後、幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、子どもたちに夢を与えつづけてきた。『ネ オ・ファウスト』など3作連載中の89年2月9日に胃ガンのため死去。無類の昆虫好きとして知られ、「オオムラサキを守る会」の理事や「日本昆虫倶楽部」 の初代会長を務めた(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 手塚治虫の昆虫博覧会 (ISBN-13: 978-4900963474)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2006年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
友人の裏切りにより両腕を失った主人公は
己の意のままに操ることができる義手を手に入れて、
復讐の狂気へとのめり込んでいく。
その狂気はやがて義手に乗り移り、
主人公の意思に関わらず、彼の復讐心、
狂気そのものとなっていく。
その矛先はやがて、
悲劇的な結末から己を憎む主人公自身にも向かう
人が誰しも持つ憎しみという負の感情
それが自分自身をも破滅に導くことを
端的に表した作品です。
だから善人になりましょうというのではなく、
人は自己破滅的な部分をどこかに内在している存在
なのだということを表現していると考えます。
そういう意味でブッタとは対照的な作品でした。
己の意のままに操ることができる義手を手に入れて、
復讐の狂気へとのめり込んでいく。
その狂気はやがて義手に乗り移り、
主人公の意思に関わらず、彼の復讐心、
狂気そのものとなっていく。
その矛先はやがて、
悲劇的な結末から己を憎む主人公自身にも向かう
人が誰しも持つ憎しみという負の感情
それが自分自身をも破滅に導くことを
端的に表した作品です。
だから善人になりましょうというのではなく、
人は自己破滅的な部分をどこかに内在している存在
なのだということを表現していると考えます。
そういう意味でブッタとは対照的な作品でした。
2011年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
憎しみや狂気が描かれています。
誰もが認める作品はもちろん素晴らしいですが、こっち方面の作品も好きです。
誰もが認める作品はもちろん素晴らしいですが、こっち方面の作品も好きです。
2021年1月15日に日本でレビュー済み
主人公を助けたベトナム帰還兵の黒人青年、鉄の腕を与えたホロコースト生存者のユダヤ人科学者、そして仇役のマフィアのイタリア系移民たちもまた、差別され、虐げられた弱者でした。
それぞれが皆激しい恨みや憎しみをもっていましたが、あるものは力をつけのし上がり、あるものは諦観し、又あるものは憎しみや復讐の虚しさを悟ります。
「ゴッドファーザー」の影響が強く見られるリアルな舞台設定の中で、念力で動く義手というのはいかにもSF的で浮いているように感じられますが、憎しみという感情、押さえきれない負のエネルギーの具現化であると考えるならば、実に象徴的な小道具だったと思います。
これは手塚治虫のハードボイルドです。
それぞれが皆激しい恨みや憎しみをもっていましたが、あるものは力をつけのし上がり、あるものは諦観し、又あるものは憎しみや復讐の虚しさを悟ります。
「ゴッドファーザー」の影響が強く見られるリアルな舞台設定の中で、念力で動く義手というのはいかにもSF的で浮いているように感じられますが、憎しみという感情、押さえきれない負のエネルギーの具現化であると考えるならば、実に象徴的な小道具だったと思います。
これは手塚治虫のハードボイルドです。
2010年12月1日に日本でレビュー済み
ブッタやブラックジャックもいいけれど、
手塚治虫だったら俺はこのへんの短編マイナー系が好き。
ネタばれするので、
内容は書かないですが、
70年ぐらいのSF好きにはいいんじゃないかな?
勧善懲悪とかじゃ全然無く、
また氏のするどい人間描写に惚れ惚れとします。
読後の考えさせられる感じ、
良書で出会えるこの感じが手塚作品にはある。
手塚治虫が漫画の神様である所以だと思う。
これとは別に
『安達が原』もおすすめ。
文庫で出てるのかなぁ?
昔読んだ『ライオンブックス』ってのに出てます。
手塚治虫だったら俺はこのへんの短編マイナー系が好き。
ネタばれするので、
内容は書かないですが、
70年ぐらいのSF好きにはいいんじゃないかな?
勧善懲悪とかじゃ全然無く、
また氏のするどい人間描写に惚れ惚れとします。
読後の考えさせられる感じ、
良書で出会えるこの感じが手塚作品にはある。
手塚治虫が漫画の神様である所以だと思う。
これとは別に
『安達が原』もおすすめ。
文庫で出てるのかなぁ?
昔読んだ『ライオンブックス』ってのに出てます。
2023年8月24日に日本でレビュー済み
人間のどろっとした感情を描いた三作品。
「鉄の旋律」は、マフィアの制裁で両手を切断された男の復讐譚。念力と連動し動作する義手を使い、次々にターゲットを葬り去る。マフィアの跡取りが妹の夫(つまり義理の弟)という設定。徐々に後悔に苛まれる主人公だったが、義手は本人の意思とは別に復讐を続けるのだった…。読み進めながら主人公に肩入れしてしまった。それだけに結末は怒り沸騰!
「悪魔の開幕」は、民主を弾圧し続ける総理の暗殺を依頼された男の悲劇。自身が罠に嵌り政争の具となっていたことに気づいた時…。最後のページが鮮烈。
「イエロー・ダスト」は、沖縄を部隊に米軍の子供たちを拐って立てこる男の末路を描いた作品。引率の女教師に暴行を続ける悪辣な男は、子供たちの思わぬ反抗を受ける。しかし、子供たちは…という展開。オチが効いているが読後感悪し。
「鉄の旋律」は、マフィアの制裁で両手を切断された男の復讐譚。念力と連動し動作する義手を使い、次々にターゲットを葬り去る。マフィアの跡取りが妹の夫(つまり義理の弟)という設定。徐々に後悔に苛まれる主人公だったが、義手は本人の意思とは別に復讐を続けるのだった…。読み進めながら主人公に肩入れしてしまった。それだけに結末は怒り沸騰!
「悪魔の開幕」は、民主を弾圧し続ける総理の暗殺を依頼された男の悲劇。自身が罠に嵌り政争の具となっていたことに気づいた時…。最後のページが鮮烈。
「イエロー・ダスト」は、沖縄を部隊に米軍の子供たちを拐って立てこる男の末路を描いた作品。引率の女教師に暴行を続ける悪辣な男は、子供たちの思わぬ反抗を受ける。しかし、子供たちは…という展開。オチが効いているが読後感悪し。
2012年2月6日に日本でレビュー済み
考えさせられました。
誰しも人と関わりを持つ以上、誰かを恨み妬み
復讐の気持ちを抱いてしまうことは否定出来ないことです。
まして、それが許し難い行為であるならば尚の事です。
気持ち(頭で捉える理屈上の)では赦し受け入れたとしても
筆者の言う「深層心理」は実はそうではないのだと。
復讐、恨みを晴らす、それは一見正義と勘違いする人も
いるかもしれませんが、最終的には自己嫌悪・破滅を導くものなだと
手塚氏は諭してくれています。
恨みや怒りとどう向き合うか、その難しさを教えてくれます。
誰しも人と関わりを持つ以上、誰かを恨み妬み
復讐の気持ちを抱いてしまうことは否定出来ないことです。
まして、それが許し難い行為であるならば尚の事です。
気持ち(頭で捉える理屈上の)では赦し受け入れたとしても
筆者の言う「深層心理」は実はそうではないのだと。
復讐、恨みを晴らす、それは一見正義と勘違いする人も
いるかもしれませんが、最終的には自己嫌悪・破滅を導くものなだと
手塚氏は諭してくれています。
恨みや怒りとどう向き合うか、その難しさを教えてくれます。
2014年2月10日に日本でレビュー済み
旋律という言葉と表紙の絵の何ともいえないロマンっぽさに釣られて読んだのですが、とんでもない、とても殺伐とした話です。
強い者が弱い者を利用し、いたぶる様子がありありと描かれています。
復讐に走るしかない弱者が決して報われず、どんなハッピーエンドもありえないと思わされます。
読んでいるとひたすら重苦しい気分になってきます。
しかし話の筋に説得力があるから、嫌な話だと思っていても引き込まれてしまうのです。
泣き寝入りをして哀れにいたぶられて死んでいくくらいなら、この主人公らのように行動を起こせるのはせめてもの意地です。
復讐に走る者もまた他の弱者を利用しいたぶる強者ということで、ろくな末路は迎えられませんが。
「ザ・クレーター」「時計仕掛けのりんご」などの作品に似ていますが、
それらの作品に比べると「鉄の旋律」は理屈を抜きにした問答無用の暗い作品集です。押しつぶされそうです。
誰も彼も冷たい銃弾によって倒れていく様子が、漫画でありながらアニメのように動きが感じられます。
もしセリフがなくても絵だけでストーリーがなんとなく分かりそうな作品です。
強い者が弱い者を利用し、いたぶる様子がありありと描かれています。
復讐に走るしかない弱者が決して報われず、どんなハッピーエンドもありえないと思わされます。
読んでいるとひたすら重苦しい気分になってきます。
しかし話の筋に説得力があるから、嫌な話だと思っていても引き込まれてしまうのです。
泣き寝入りをして哀れにいたぶられて死んでいくくらいなら、この主人公らのように行動を起こせるのはせめてもの意地です。
復讐に走る者もまた他の弱者を利用しいたぶる強者ということで、ろくな末路は迎えられませんが。
「ザ・クレーター」「時計仕掛けのりんご」などの作品に似ていますが、
それらの作品に比べると「鉄の旋律」は理屈を抜きにした問答無用の暗い作品集です。押しつぶされそうです。
誰も彼も冷たい銃弾によって倒れていく様子が、漫画でありながらアニメのように動きが感じられます。
もしセリフがなくても絵だけでストーリーがなんとなく分かりそうな作品です。