1 ローマ帝国の衰亡については、かの有名なイギリスのエドワード・ギボン「ローマ帝国衰亡史」はじめ数多くの研究者が論考しています。本書「序章」で著者は、1970年代以降の歴史学会の動向ーローマ帝国の「衰亡」や西ローマ帝国の「滅亡」を重視しない…。「変化」よりも「継続」が、政治よりも社会や宗教が重視され「ローマ帝国の衰亡」よりも「ローマ世界の変容」が問題とされるようになったとのことーの解説から筆を起こしています。
確かに、歴史学会の先達 弓削 達氏の「ローマはなぜ滅んだか」(1989年 講談社現代新書)でもローマ帝国の衰退について、主に文化面から「中心と周辺の逆転」と捉えています。
2 本書では、こうした歴史学会の傾向とは異なり、ローマ帝国という「政治的な枠組み」を重視する立場から著者独自の「衰亡史」を語っています。具体的には、「地中海帝国」と見なされてきたローマ帝国をアルプス以北の広大な帝国領(ブリテン島、ライン川、ドナウ川周辺=辺境地域)が最盛期から終焉期にかけてローマ帝国の帰趨を決める鍵を握る地域になった事実を丁寧に興味深く論じています。
3 本書では、(時代的には)四世紀初頭のコンスタンティヌス大帝から五世紀初頭までの100年間の歴史を取り上げています。この時期の辺境(フロンティア)の出来事を取り上げることにより、ローマ帝国の衰亡とは果たして何だったのか?と読者に問いかけてくれます!
4 ローマ帝国には「国境」という概念は無く、ローマ軍が駐屯する人工の防壁(ハドリアヌス帝の長城やリメス)も大河も外の世界に開かれており、自由に人や物が行き来していたという。ローマ帝国は「国境線なき帝国」として「ゾーン」としてのフロンティアを管理して、商人が自由に行き来して軍隊への物資補給や軍隊への徴募を行ったとのことです。
5 三世紀末からは、ローマ帝国内に土地を与えられた自治権を持つ「同盟部族」と呼ばれる部族のリーダーの指揮下で戦う軍隊が次第に重要になってきたとのこと。さらに、四世紀の後半には軍事の要職に「第三の新しいローマ人=フランク族、ゴート族、ヴァンダル族等」出身の者たちが多数就くようになりました。ローマ人は「民族」という考え方を現代人のような特殊な意味で理解していなかったとのこと。
6 「第三のローマ人」の特に軍隊への進出と共に、外部部族出身者への嫌悪感がローマ社会に広がり、「排他的ローマ主義」とも言われる偏狭な保守的思潮が出てきました。本来、「ゲルマン人」などというアイデンティティ!は存在せず、ローマ市民は「森と大河の世界の住民」であっても、ひとたび「ローマ人」としてラテン語を学び、自分たちの生活様式に親しめば喜んで彼らを受け入れたとのこと…。それが、378年アドリアノープルの戦いで皇帝ウァレンスがゴート族軍に大敗、戦死してからは従来の見方を変え、外部世界の人間を「ゲルマン人」と一括りにして敵視する風潮に変わってきた…。
7 結論として①ブリテン島とライン・フロンティア地域からの軍隊召喚、②諸民族の侵入によるローマ人としての生活様式の消滅、③(支配を共にする)現地有力者が住民を直接支配するようになったこと等によりローマ帝国の西半での「帝国」としての意義が失われたとのこと。もはや尊敬される国家ではなくなったローマ帝国は、こうしてアドリアノープルの戦いからわずか30年で(ローマ帝国の西半は)実質的に滅亡した…。
ローマ帝国は外敵によって倒されたのではなく、自壊した!現代に生きる私たちも近隣諸国の友人たちに寛容な気持ちで臨んでいるのでしょうか?今こそ歴史から学ぶ必要があると思います!
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥990¥990 税込
ポイント: 60pt
(6%)
無料お届け日:
4月4日 木曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥990¥990 税込
ポイント: 60pt
(6%)
無料お届け日:
4月4日 木曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥24
中古品:
¥24

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書) 新書 – 2013/5/22
南川 高志
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥990","priceAmount":990.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"990","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"8vl9AH8pp02%2Bj9kn%2BeYHWWbJZuAgnxC3jPqHU6jkomNUQoL%2BVSxeuMsQIr%2FnCQhqvo%2Bwz4BX1LpqjOKpedEWpkFWNW7Y4B9J0gafZFY2wqhvDiTfXMBa2OPCNQo2AwemeH%2FZkVbHvYo%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥24","priceAmount":24.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"24","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"8vl9AH8pp02%2Bj9kn%2BeYHWWbJZuAgnxC3M%2B5nWR%2Ba3Wco98Oc3V8UnNIrMikU4A%2B9uOI9vYLVWw1t5h6WYewUHcIwa%2BV4hXpq%2F3ntNwCbrqwRrFs6v4luzNTUIRxHZRlHVXI0knr0r1a6ZfobLd6CSJ8TekFCwnqmkbS2wveYUxwuUEUmuVtz9A%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
「地中海の帝国」と語られることの多いローマ帝国は、実は「大河と森の帝国」だった? 帝国衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は、存在しなかった?──「ローマ帝国衰亡」という古代史上最大のテーマを、歴史学の最新の知見から語り直し、「栄えた国が衰えるとはどういうことか」を考えさせる、刺激的な一書。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2013/5/22
- 寸法11.5 x 1 x 17.5 cm
- ISBN-104004314267
- ISBN-13978-4004314264
よく一緒に購入されている商品

対象商品: 新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)
¥990¥990
最短で4月4日 木曜日のお届け予定です
残り8点(入荷予定あり)
¥968¥968
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り9点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2013/5/22)
- 発売日 : 2013/5/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4004314267
- ISBN-13 : 978-4004314264
- 寸法 : 11.5 x 1 x 17.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 240,887位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 109位古代ローマ史
- - 613位ヨーロッパ史一般の本
- - 1,199位岩波新書
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年8月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年10月14日に日本でレビュー済み
15年ほど前とある社会学者が、歴史的事実は歴史家によって作られるみたいなことを言って、総スカンを食ったことがありました。今や、時代が変わったのか、社会学者が正しかったのか、歴史家自ら、確信犯的に「歴史の見方、描き方、解釈が語られる時代の産物である」と書き出しで宣言することとなりました。まあトーゼンといえばトーゼンなのだけれど。
筆者によれば、ローマ帝国をローマ帝国たらしめていたものは、「ローマ人である」というアイデンティティであったといいます。それは排他的な意味ではなく「広大な地域の住む多様な人々を『ローマ人である』という単一のアイデンティティの下にまとめ上げた」ものであるとのことです。
もちろんそこは、実証的に、当時のローマ帝国の国境がゾーンとしての国境で、出入り自由で、曖昧なものであったことを示したり、ローマ対ゲルマン諸部族という図式は、帝国主義的、植民地主義的思想下の歴史学の産物であり、当時はそのような意識はローマ人自身は持っていなかったとするところなどは、ぬかりありません。
では、なぜローマ帝国が滅びたかというと、「四世紀の後半、諸部族の移動や、攻勢の前にローマ人のアイデンティティは危機に瀕し、ついに変質した。そして新たに登場したローマを高く掲げる思潮は、外国人嫌いをともなう排斥の思想だった。」これにより、ローマは世界を見渡す力を失い「国家は魅力と威信を失い、『尊敬されない国』へと転落していく」とするのです。
いや御説ごもっとも。著者はどこの国とは言いませんが、どう見てもヘイトスピーチの噴出する日本のことですよね!ヘイトの人々に人気の「美しい国」といった当人が、垂れ流しの放射能を完全にコントロールできているとか言って、無責任な「美しくない国」へ転落させつつあるのですから。
歴史屋さんとして、歴史解釈にかこつけて、一言言っておきたいその気落ちはわかります。しかし! 小一時間程聞いて見たいのですけれどもね、この本をどう読んでも、そもそもローマが滅亡のきっかけになったのは、御説では、コンスタンティヌスの時代に、機動軍総司令官職に「第三のローマ人」が就くことが急に増えたことに代表される、地方有力者の独立ではなかったのですか。純正ローマ市民がその権威を失ったわけでしょう。
ローマもまた、落ちぶれたから、排他的な外国人嫌いが蔓延したのではないですか?外国人嫌いの排他性は結果であり、第一番目の落ちぶれる原因ではないでしょう。
一般には、経済的に、政治的に、そして軍事的に拡大路線にあるときには、建前に過ぎないのではありますが、民族アイデンティティは拡散してしまうことが歴史の常でしょう。日本も満州国では五族協和などといっておりました。ヨーロッパの貧乏人集団が狂信的キリスト教を旗印に、第4次十字軍として、何を血迷ったか、コンスタンチノーブルに攻め込んだ時は、栄華を極めたコンスタンチノーブルの住人は、キリスト教徒のベネチア人も、ジェノバ人も、イスラム教徒も団結して戦ったではありませんか。
貧すれば鈍するというのが、身も蓋もありませんが、シンプルな歴史の教訓ではないでしょうか。貧しても鈍しないようにするか、貧しないようにするか、の二つに一つしかありません。さてここから先は歴史学の仕事になりうるのか、読後感はいまいち良くないので星4つ。
筆者によれば、ローマ帝国をローマ帝国たらしめていたものは、「ローマ人である」というアイデンティティであったといいます。それは排他的な意味ではなく「広大な地域の住む多様な人々を『ローマ人である』という単一のアイデンティティの下にまとめ上げた」ものであるとのことです。
もちろんそこは、実証的に、当時のローマ帝国の国境がゾーンとしての国境で、出入り自由で、曖昧なものであったことを示したり、ローマ対ゲルマン諸部族という図式は、帝国主義的、植民地主義的思想下の歴史学の産物であり、当時はそのような意識はローマ人自身は持っていなかったとするところなどは、ぬかりありません。
では、なぜローマ帝国が滅びたかというと、「四世紀の後半、諸部族の移動や、攻勢の前にローマ人のアイデンティティは危機に瀕し、ついに変質した。そして新たに登場したローマを高く掲げる思潮は、外国人嫌いをともなう排斥の思想だった。」これにより、ローマは世界を見渡す力を失い「国家は魅力と威信を失い、『尊敬されない国』へと転落していく」とするのです。
いや御説ごもっとも。著者はどこの国とは言いませんが、どう見てもヘイトスピーチの噴出する日本のことですよね!ヘイトの人々に人気の「美しい国」といった当人が、垂れ流しの放射能を完全にコントロールできているとか言って、無責任な「美しくない国」へ転落させつつあるのですから。
歴史屋さんとして、歴史解釈にかこつけて、一言言っておきたいその気落ちはわかります。しかし! 小一時間程聞いて見たいのですけれどもね、この本をどう読んでも、そもそもローマが滅亡のきっかけになったのは、御説では、コンスタンティヌスの時代に、機動軍総司令官職に「第三のローマ人」が就くことが急に増えたことに代表される、地方有力者の独立ではなかったのですか。純正ローマ市民がその権威を失ったわけでしょう。
ローマもまた、落ちぶれたから、排他的な外国人嫌いが蔓延したのではないですか?外国人嫌いの排他性は結果であり、第一番目の落ちぶれる原因ではないでしょう。
一般には、経済的に、政治的に、そして軍事的に拡大路線にあるときには、建前に過ぎないのではありますが、民族アイデンティティは拡散してしまうことが歴史の常でしょう。日本も満州国では五族協和などといっておりました。ヨーロッパの貧乏人集団が狂信的キリスト教を旗印に、第4次十字軍として、何を血迷ったか、コンスタンチノーブルに攻め込んだ時は、栄華を極めたコンスタンチノーブルの住人は、キリスト教徒のベネチア人も、ジェノバ人も、イスラム教徒も団結して戦ったではありませんか。
貧すれば鈍するというのが、身も蓋もありませんが、シンプルな歴史の教訓ではないでしょうか。貧しても鈍しないようにするか、貧しないようにするか、の二つに一つしかありません。さてここから先は歴史学の仕事になりうるのか、読後感はいまいち良くないので星4つ。
2015年10月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題に記したローマ繁栄の原理とは、古い説かもしれませんが「征服」です。私は、ローマの繁栄は拡大によって保たれていたという基本線に立ってローマの衰亡を考えてきました。トラヤヌス帝の時代にローマは最大領土になった、これは同時に拡大の停止を意味し、既に五賢帝第2代目の極盛期に潜在的には衰退が開始し、のちにそれが顕在化した。具体的には都市文明ローマの息の根を止める重税が不可避となり、悪循環を伴いつつ、帝国各地の都市の衰退をもたらしていった、最終的にはローマ都市の事実上の消滅がローマ帝国の衰滅であったと理解しております。本書で説かれたローマ・ゲルマンの接触領域での両者の交流などユニークな説に触れることができた点などに読み甲斐がありましたが、古典的な説の克服は容易ではないという感想でした。
2013年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ステレオタイプの議論は一切ない。
説得力のある記述が魅力です。
説得力のある記述が魅力です。
2013年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
塩野七生さんのローマ衰亡の味方と一味違う衰亡史です。これも必読の書。
2013年8月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これは筆者ではなく、岩波書店の帯広告の問題だと思います。
1)「地中海の帝国」と語られることの多いローマ帝国は、実は「大河と森の帝国」だった。
これに関する具体的な論述はなく、ライン川とドナウ川流域に関する時系列の論考もない。
2) 帝国衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は、存在しなかった。
民族という定義からすれば、それも納得できるが、「ゲルマン諸族」の存在は認めている。
西ゴートという言い方ではなく、西ゴートを構成する種族で表現していたが、これも正確さの問題で、歴史認識から見たら、重箱の話ではないかと思う。
また「境界」はなかったとあるが、「ゾーン」という形でボーダーは存在しているという。なにかわかったようで判らない記述だった。
3)「ローマ帝国衰亡」という古代史上最大のテーマを、歴史学の最新の知見から語り直し、「栄えた国が衰えるとはどういうことか」を考えさせる、刺激的な一冊
語り直しているのだと思うが、なにか消化不良で残尿感の残る一冊だった。結論は最大の要因を「他者との競争ではなく、自らの自壊」とする点は同じだが、
もう少し掘り下げてその「自壊」の内在的な事象を指摘してほしかった。
1)「地中海の帝国」と語られることの多いローマ帝国は、実は「大河と森の帝国」だった。
これに関する具体的な論述はなく、ライン川とドナウ川流域に関する時系列の論考もない。
2) 帝国衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は、存在しなかった。
民族という定義からすれば、それも納得できるが、「ゲルマン諸族」の存在は認めている。
西ゴートという言い方ではなく、西ゴートを構成する種族で表現していたが、これも正確さの問題で、歴史認識から見たら、重箱の話ではないかと思う。
また「境界」はなかったとあるが、「ゾーン」という形でボーダーは存在しているという。なにかわかったようで判らない記述だった。
3)「ローマ帝国衰亡」という古代史上最大のテーマを、歴史学の最新の知見から語り直し、「栄えた国が衰えるとはどういうことか」を考えさせる、刺激的な一冊
語り直しているのだと思うが、なにか消化不良で残尿感の残る一冊だった。結論は最大の要因を「他者との競争ではなく、自らの自壊」とする点は同じだが、
もう少し掘り下げてその「自壊」の内在的な事象を指摘してほしかった。
2013年5月30日に日本でレビュー済み
21世紀の視点から解釈された新たな「ローマ帝国衰亡史」の試みです。
エドワード・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」は、紀元2世紀のアントニウス帝から衰退が始まるとしていますが、
この書では、紀元4世紀のコンスタンティヌス大帝から衰退が始まります。
その衰退の最大の原因は、「ローマ人である」というアイデンティティの喪失にあるとしています。
ローマ帝国は、宏大な地域に住む多様な人々を「ローマ人である」という
単一のアイデンティティの下にまとめ上げた国家でした。
「ローマ人である」ことは、抽象的な概念ではなく軍隊や暮らしに密着した具体性を備えていたため、
帝国に参加すればより良い状況になれることを保証するものでした。
それ故に、ローマ帝国は魅力と威信をもつ「尊敬される国家」たり得たのでした。
ところがこの思想が「排他的ローマ主義」に変質してしまい、他の民族を軽蔑し排除するようになったため、
国家は魅力と威信を失い転落してしまったという訳です。
エドワード・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」は、紀元2世紀のアントニウス帝から衰退が始まるとしていますが、
この書では、紀元4世紀のコンスタンティヌス大帝から衰退が始まります。
その衰退の最大の原因は、「ローマ人である」というアイデンティティの喪失にあるとしています。
ローマ帝国は、宏大な地域に住む多様な人々を「ローマ人である」という
単一のアイデンティティの下にまとめ上げた国家でした。
「ローマ人である」ことは、抽象的な概念ではなく軍隊や暮らしに密着した具体性を備えていたため、
帝国に参加すればより良い状況になれることを保証するものでした。
それ故に、ローマ帝国は魅力と威信をもつ「尊敬される国家」たり得たのでした。
ところがこの思想が「排他的ローマ主義」に変質してしまい、他の民族を軽蔑し排除するようになったため、
国家は魅力と威信を失い転落してしまったという訳です。
2013年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史のあらたな見方や考え方の参考にしていきたいと思っています。