評者は、過去に翻訳出版されていたフロスト警部ものを全巻読んでいますが、翻訳している芹澤恵さんのウイットとユーモアー&読者へのサービス精神溢れる翻訳技によって、このシリーズを面白くしているのは確かだと断じたい。
例えば、フロストがマレット署長に悪態をついている場面(原書P342)で、「The lying foureyed bastard」、とたった4ワードですが、私は「この嘘つきのメガネ野郎!」などと訳していました。
ところが訳者の芹澤さんは、「この眼鏡猿目媚びへつらい科大嘘つき属のこんこんちき!」と訳しているから、エッ!こんな手あり、とその翻訳の冴えに唸ってしまったのです。
苦労して読んだ『Winter Frost』の413ページに、下記のようなフロストとモーガンのやりとりがあり、訳者の芹澤さんがどのように訳すだろうと、Amazonブックレビューで早く読んでみたいと投稿したのですが、二年も待っていた甲斐があり、ようやく読むことができたから下記に引用しました。
<R・D・ウィングフィールドの原文>
‘What turns me on is the thought of making love to a girl who wears glasses. She strips to the buff, but keeps her glasses on.'‘Then you can breathe on the lens and she can't see how small your dick is,' said Frost.
<芹澤恵さんの訳文>
「自分がいちばん興奮するのは、眼鏡をかけてる子と愛しあってるところを、あれこれ想像することなんです。着ているものは全部脱いじまって素っ裸なのに、眼鏡だけはずっとかけているんです。最初から最後まで。
「で、おまえさんが鼻息荒くして、おねえちゃんの眼鏡のレンズを曇らせて目隠しにするんだろう?芋にいちゃんのお芋はあまりでかくないってことがばれないように」とフロストは言った。
ま〜、英語で読めば意味は理解できたのですが、さすがの訳文だと、同じ内容ながら二度も楽しめてしまいました。
そんな芹澤さんでも、翻訳に悩み寝つきが悪くなることもある、と彼女のブログで読んだことがありますが、真実のところは定かではありません。
評者が英国人に訊いて確かめたこともないから、独断と偏見だと思うのですが、ひょっとすると原作より面白く、このフロスト警部ものを芹澤さんが読ませてくれているかも知れないと思ってしまったのです。
かって評者もフロスト警部のTV放送版を、DVDで観たことがありますが、フロスト警部もの原作のイメージをぶち壊しにしているので二度と観たくないと思ってしまいました。
二年前に原書で読んですでに知っている相変わらずマンネリなストーリーではありますが、芹澤翻訳版『冬のフロスト』下巻を、かって日野啓三さんが、なだ・いなださんに語ったように、“なんというのかなあ、深いんだよなあ”と評者も呟きながら楽しくエンドロール(トイレット・ペーパーの)まで読ませていただきました。
東京創元社さん!「なだ・いなだ」さんの例もあるから、最後の一冊になった『A Killing Frost』も早く刊行してくださいよ!!
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冬のフロスト 下 (創元推理文庫) 文庫 – 2013/6/29
R・D・ウィングフィールド
(著),
芹澤 恵
(翻訳)
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デントン市内で起きた事件は大半が未解決のまま。署に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者"が押しかけるわで事態はまさに八方ふさがり……フロスト警部、ついに降参か!?
- 本の長さ466ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2013/6/29
- ISBN-104488291074
- ISBN-13978-4488291075
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2013/6/29)
- 発売日 : 2013/6/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 466ページ
- ISBN-10 : 4488291074
- ISBN-13 : 978-4488291075
- Amazon 売れ筋ランキング: - 291,004位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,115位創元推理文庫
- - 1,787位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年7月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
相変わらずしっちゃかめっちゃか。
あの事件この事件、あのばあちゃんこのおっさん、あの死体この死体、あの書類この書類。
上司も部下もセクハラも、なんだかんだよく混乱しないもんだと感心しながら読みました。
でもこれ、ふたつにして欲しかった。半分の事件を半分の時間ですっきりさせてくれたら2倍楽しめたのではないかと・・・・。
でもこの余韻を残した終わり方は好き。
あの事件この事件、あのばあちゃんこのおっさん、あの死体この死体、あの書類この書類。
上司も部下もセクハラも、なんだかんだよく混乱しないもんだと感心しながら読みました。
でもこれ、ふたつにして欲しかった。半分の事件を半分の時間ですっきりさせてくれたら2倍楽しめたのではないかと・・・・。
でもこの余韻を残した終わり方は好き。
2017年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
細かい難点は勿論あります。長いとか、ワンパターンだとか・・・
それでも一人でも多くの方がこの面白さを楽しまれることを願ってしまいます。
そんな作品です。
翻訳も素晴らしいですね!
ユーモアや笑いは特に翻訳が難しいのではと思いますが、流れを損なわないセンスは
すごいです。
読み進んできました本シリーズも残り一作となりました。
大切に読みたいと思います。
それでも一人でも多くの方がこの面白さを楽しまれることを願ってしまいます。
そんな作品です。
翻訳も素晴らしいですね!
ユーモアや笑いは特に翻訳が難しいのではと思いますが、流れを損なわないセンスは
すごいです。
読み進んできました本シリーズも残り一作となりました。
大切に読みたいと思います。
2014年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フロスト警部シリーズはつい最近知り、「クリスマスのフロスト」を読んでみて気に入ったので
訳出されているシリーズを一気に読んでしまいました。
どの作品もページをめくる手が止められずすっかり寝不足に・・・。
現在訳されているのはこの作品が最新で、あと一作しかないのは寂しい限りです。
本作品、前作から少し時間が開いたためか、多少違った印象でした。
相棒になる警官は、今までは向上心・野心のあるやり手でしたが、本作ではフロスト警部も
ため息をつくダメッぷりです。前作までと違って、相棒の内面が描写されてなかったので
途中にはこれまでに無い疑念もわきましたが、取り越し苦労だったようです。
内面描写するまでもなく、いつも女性のことを考えているようなタイプかな?
捜査の進捗が芳しくないのも今まで以上で、最後の最後に繋がるヒントが途中で出たときに
警部がそれに飛びつかなかったのはちょっと不思議でした。まあそれだけいっぱいいっぱい
で疲れていたのでしょうね・・・。
最後の作品、原書でも読もうかと思っていますが、日本語訳も早く出版されますように。
きっと寂しくなるでしょうけどね。。。
訳出されているシリーズを一気に読んでしまいました。
どの作品もページをめくる手が止められずすっかり寝不足に・・・。
現在訳されているのはこの作品が最新で、あと一作しかないのは寂しい限りです。
本作品、前作から少し時間が開いたためか、多少違った印象でした。
相棒になる警官は、今までは向上心・野心のあるやり手でしたが、本作ではフロスト警部も
ため息をつくダメッぷりです。前作までと違って、相棒の内面が描写されてなかったので
途中にはこれまでに無い疑念もわきましたが、取り越し苦労だったようです。
内面描写するまでもなく、いつも女性のことを考えているようなタイプかな?
捜査の進捗が芳しくないのも今まで以上で、最後の最後に繋がるヒントが途中で出たときに
警部がそれに飛びつかなかったのはちょっと不思議でした。まあそれだけいっぱいいっぱい
で疲れていたのでしょうね・・・。
最後の作品、原書でも読もうかと思っていますが、日本語訳も早く出版されますように。
きっと寂しくなるでしょうけどね。。。
2021年12月17日に日本でレビュー済み
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英国のどんよりとした灰色の冬空のように、派手なアクションはなく、淡々と風景と心理描写が交差して、時にコミカルに、時に現実的に、収束点に向かっていく。あとがき、故 養老孟子氏がいわれるように。ただきばらず、暖かい紅茶を読んで、ふうっと フロストがいい。
2017年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白い。長々と事件は一向に解決しないけど、もつれながらも、最後は気持ちよく解決。はまります。
2015年4月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シリーズ全て読みました。作者がだいぶ前に亡くなってると知り、ショック。もう続きは読めない。
でも最後に書かれた未訳が1冊残っている。何年も待たされて諦めつつあるファンの皆さん、出版社に問い合わせしたところ、翻訳中とのことです。
刊行の時期は未定。今年は無理かな?少なくても来年には出るのでは。
嬉しいけど、最後だと思うと寂しい。出版されたら大事にゆっくり読みたい。
でも最後に書かれた未訳が1冊残っている。何年も待たされて諦めつつあるファンの皆さん、出版社に問い合わせしたところ、翻訳中とのことです。
刊行の時期は未定。今年は無理かな?少なくても来年には出るのでは。
嬉しいけど、最後だと思うと寂しい。出版されたら大事にゆっくり読みたい。
2013年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
上下通しての感想としては、どうも下巻になって事件の顛末が少し慌ただしく思われる。
「怪盗枕カバー」の件しかり、娼婦連続殺人事件の顛末しかり。
もっとも、フロストものは事件解決のプロセスそのものを楽しむ部分も大きいと考えているので
おもしろくはあるんだけど、ちょっと薄味かな。
また、マレットとの超過予算を巡る攻防はちょっとしつこく鼻についてしまったように思う。
一番気になるのは、ラスト近くでモーガンが犯したミスとその結果引き起こされた
出来事が消化不良でもやもやしてしまうこと。リズ・モードの身に起こったことと
引き合わせて考えると、いかにもその後があっさりしすぎているし、過去の作品では
「大きなヘマをやらかした」「全く見込み違いをやっちまった」などと言うフロストも
実際には大きな判断ミスで誰かがひどい目に会うというようなことはなかったように思うが
今回の件は・・・、ちょっと引っかかってしまった。
それでも上下巻一気読みしてしまうおもしろさは格別であることは変わらないし
一つ一つのやりとりのおもしろさも健在なので質の高さは保証できる。
原書で読んでいたときラストのフロストの台詞、ニュアンスはわかるけど
どう訳されるのだろう、と思っていたらまさかあんな訳になるとは!
うならされました。
「怪盗枕カバー」の件しかり、娼婦連続殺人事件の顛末しかり。
もっとも、フロストものは事件解決のプロセスそのものを楽しむ部分も大きいと考えているので
おもしろくはあるんだけど、ちょっと薄味かな。
また、マレットとの超過予算を巡る攻防はちょっとしつこく鼻についてしまったように思う。
一番気になるのは、ラスト近くでモーガンが犯したミスとその結果引き起こされた
出来事が消化不良でもやもやしてしまうこと。リズ・モードの身に起こったことと
引き合わせて考えると、いかにもその後があっさりしすぎているし、過去の作品では
「大きなヘマをやらかした」「全く見込み違いをやっちまった」などと言うフロストも
実際には大きな判断ミスで誰かがひどい目に会うというようなことはなかったように思うが
今回の件は・・・、ちょっと引っかかってしまった。
それでも上下巻一気読みしてしまうおもしろさは格別であることは変わらないし
一つ一つのやりとりのおもしろさも健在なので質の高さは保証できる。
原書で読んでいたときラストのフロストの台詞、ニュアンスはわかるけど
どう訳されるのだろう、と思っていたらまさかあんな訳になるとは!
うならされました。