静謐感。透明感。澄んだ雰囲気で綴られる日本人青年とカナダ人少女の物語。
時間軸と平行するのはフリースタイルスキーの歴史。黎明期の輝きや情熱、フ
リースタイルスキーがオリンピック競技となるまでの混乱と荒波、翻弄される者
たちの様子までもが静謐感の中で表現されているように感じる。
自分はまだKindle版しかないこの作品をスマートフォンで読んだ。静かな夜、
遠くからほんのかすかに静かな蛙の鳴き声が聞こえていた。著者はブログに「最
後の四分の一くらいは、ぜひ静かなところで、じっくりとお読みいただけました
ら幸いです」と書いている。著者のその言葉は忘れていたが、作品の後半を読み
進めるうちに窓を閉め、完璧な静寂の中で作品を読み終えた。PCでもソフトを入
れれば読むことはできるが、無音PCでなければ勧められない。少なくとも自分は
ファンの音が作品の静謐感を損ねるように感じた。
著者はノンフィクションで受賞歴のある作家にしてフリースタイルスキー黎明
期からのフリースタイラー。エピソードのいくつかは著者の体験に基づいて書か
れている。雑誌やネットで知っていたエピソードをこの作品で再読することによ
り、現実感が増し、自分はあたかもこの作品がノンフィクションであるかのよう
に感じ、どうかこの悲しい話はフィクションであってくれと祈るような気持ちで
後半を読んだ。涙で活字は滲み、鼻の奥にツンとした刺激を感じた。かろうじて
落涙をまぬがれたが、もしもいかなるエピソードも知らずにこの作品を読んだな
ら落涙を禁じ得なかっただろう。
静謐感と悲しみ。この作品を印象付けるのはそれだけではないが、それを言葉
にはしたくない。それをすることはこの作品をまだ読んでいない方と、作品その
ものへの冒涜に感じられるから。
勿論、「この言葉にはこんな思いが込められているのではないか」、「この表
現は著者のあのときの体験が下敷きにあるのではないか」と語りたい衝動はあ
る。しかしそれはこの作品の感想が様々なところで語られるようになってからに
しようと思う。
世の中に広く知られる作品となって欲しい。著者のエピソードを知る人、知ら
ない人、多くの方に読んで欲しい。この文章がその妨げとならないことを願う。
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星と、輝いて: あるフリースタイルスキーヤーの恋物語 Kindle版
プロスポーツとして興隆を究めていたフリースタイルスキーは、1980年よりオリンピック競技を目指すことになった。オリンピック参加を旗印に、プロスポーツからアマチュアスポーツへという逆行する流れを泳ぐことになったのである。
これは、その過程でさまざまな政治的、歴史的波に翻弄され、悲劇に巻き込まれた二人のモーグルスキーヤーの物語である。
ラブストーリーではあるが、プロからアマチュアという転換を経たスポーツの矛盾に満ちた歩みを記している。
これは、その過程でさまざまな政治的、歴史的波に翻弄され、悲劇に巻き込まれた二人のモーグルスキーヤーの物語である。
ラブストーリーではあるが、プロからアマチュアという転換を経たスポーツの矛盾に満ちた歩みを記している。
- 言語日本語
- 発売日2013/5/12
- ファイルサイズ453 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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登録情報
- ASIN : B00CQU5JMQ
- 出版社 : 角皆優人; 第2版 (2013/5/12)
- 発売日 : 2013/5/12
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 453 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 190ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 401,132位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,386位ロマンス (Kindleストア)
- - 3,135位ロマンス (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1955年群馬県高崎市生まれ。県立高崎高校卒業、青山学院大学中退。
大学からフリースタイルスキーに取り組み、青山学院大学にフリースタイルスキークラブを創設。初代部長を務める。
1970年代後半から80年代半ばにかけて、全日本フリースタイルスキー選手権・総合優勝7回、種目別優勝35回(全日本FS協会主催&SAJ主催大会)。国際大会優勝・入賞多数。引退後、全日本スキー連盟フリースタイルスキー部ヘッドコーチを経て、現在は株式会社クロスプロジェクトグループ相談役、エフ-スタイルスクール代表。
2000年に現役復帰を決意し、2001年アクロ種目全日本選手権第2位。50才より水泳競技でも現役復帰し、ジャパンマスターズ 50m自由形、50mバタフライ優勝多数。
ノンフィクション 『流れ星たちの長野オリンピック』 で潮賞受賞。
クラシック音楽と文学を愛し、関連著書・原稿執筆多数。
生涯現役を願い、スポーツ指導と作家活動に意欲を燃やしている。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年5月14日に日本でレビュー済み
レポート
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5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2017年12月1日に日本でレビュー済み
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久し振りに読み進めるのがもったいないと感じる本でした。世界を目指して努力を続ける若者たちの青春の甘酸っぱさと切なさと、全体に流れる何か青く透明なトーンは、ヘルマン・ヘッセの小説を彷彿とさせました。そして意外な結末は、生きる事についての深い感慨を心に刻むと思います。
2013年6月19日に日本でレビュー済み
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初めてのキンドル本で購入しました。著者と同年代で毎冬スキーをしているので
大変、共感し若かりし頃を思い出し新鮮な想いを感じました。
大変、共感し若かりし頃を思い出し新鮮な想いを感じました。
2013年6月4日に日本でレビュー済み
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この物語を流れる時間の緩急、そしてそこに織り成す様々な人生の時間軸の交差、時間を越えて現在過去未来に想いが巡る様、一瞬の輝きと永遠の輝き…この物語の作者は、時間を自由にあやつる一種のタイムマシンの発明者である、といっても過言ではないかもしれません。
時として人は、交通事故など生命の危険に晒されると、僅か一秒間程度の出来事を、超スローモーションの映像を視たかの様に、時間軸が引き伸ばされて体感し、記憶することがあります。武術格闘技やアクロバティックなスポーツなどを嗜んで危険な体験を多くしている者達、あるいは危険でないスポーツでもトップアスリートともなると、自分の身体感覚が研ぎ澄まされたその先に、やはり景色をスローモーションで捉えたり、動くモノが止まってみえた…などに類する体験談は枚挙にいとまがありません。
実際にはその空間の時間の速度が変化減速したのではなく、体験者の脳の処理速度がクロックアップして、相対的に時間の流れをユックリと感じるメカニズムが働いたと考えられるのですが、本人は自己のクロックアップ…脳を目まぐるしくフル回転させたつもりはなく、むしろ落ち着いた静寂な心持ちや悟りの境地の成せる業かのようにさえ感じられてしまう場合もあるのです。
この時間の主観速度の変化について、私も、事故、武術、体操やトランポリン競技の中で、確かに経験してきた1人であると自負しています。
ところで私は最近歳を取るにつれ、このような時間感覚の変化を、別の形と感覚でも捉える様になりました。
それは自分の年々長くなる人生経験を時折振り返って記憶を追体験する、その時間の短さ、密度の濃さの中に於いて、であるのですが、映画や小説で人の一生のダイジェストを観て共感し、それを反芻したりする場合にも同様の機能が働いているように思えます。
さらには。
…これはもう、時間感覚という話を超えるのですが、武術やスポーツで伝承した技、その動作ひとつの中に、指先の形の中に、あるいはその名称にさえ、多くの先人の人生が凝縮されて輝きを放っていることについて、最近はしみじみと感じ入るようになりました。
それは武術やアクロバットスポーツに限らず、音楽・芸術・創作活動や表現のすべて、否、人間の営みの全てに宿っているはずだと思います。
一人の人間の長い人生が一瞬の輝きに集約されたり、想い出が蘇ったり既視感を味わったりすることがあります。逆に時間が止まったかのように切り取られた写真やその瞬間の感動の記憶が、その人の人生全体を潤すだけでなく、後世にまで飾り語り継がれて、いつまでも輝きを失わないこともあります。
そんな時間の織りなす素敵な魔法が幾重にも連なって、最後に凝縮されて永遠の輝きを放つ…そんなラブストーリーが「星と輝いて」なのです。
リアルに作者を知る私には、色々な意味で涙さそわれたり共感したりしましたが、本作では純粋にラブストーリーフィクションとしても感動させられました。おそらくは角皆さんやフリースタイルスキーを知らない人でも、味わい深く楽しんでいただける作品だと思いますが、一方で、昨今の現世の様々な流れと人々の無関心を憂う私としては、このラブストーリーに感動できない人も多く居るだろうし、その様な感性の人とは同じ社会で手を取り合って生きていくのは難しそうだな、とも思ってしまいます。
願わくば、この物語を読んで感動しないタイプの人が、この物語を読んだことで、人生の価値、生命の輝きの尊さ、輝きを失うことのない愛の素晴らしさを思い出し、あるいは気付いて、自分の人生を大切に生き、自分と関わるヒトの人生をも大切にし、自分と直接関わらないヒトの人生にも想いを馳せて、次世代の地球に何をどのように残すかを、考える切っ掛けにして欲しい…とまで、切なく思う私がここに居ます。
時として人は、交通事故など生命の危険に晒されると、僅か一秒間程度の出来事を、超スローモーションの映像を視たかの様に、時間軸が引き伸ばされて体感し、記憶することがあります。武術格闘技やアクロバティックなスポーツなどを嗜んで危険な体験を多くしている者達、あるいは危険でないスポーツでもトップアスリートともなると、自分の身体感覚が研ぎ澄まされたその先に、やはり景色をスローモーションで捉えたり、動くモノが止まってみえた…などに類する体験談は枚挙にいとまがありません。
実際にはその空間の時間の速度が変化減速したのではなく、体験者の脳の処理速度がクロックアップして、相対的に時間の流れをユックリと感じるメカニズムが働いたと考えられるのですが、本人は自己のクロックアップ…脳を目まぐるしくフル回転させたつもりはなく、むしろ落ち着いた静寂な心持ちや悟りの境地の成せる業かのようにさえ感じられてしまう場合もあるのです。
この時間の主観速度の変化について、私も、事故、武術、体操やトランポリン競技の中で、確かに経験してきた1人であると自負しています。
ところで私は最近歳を取るにつれ、このような時間感覚の変化を、別の形と感覚でも捉える様になりました。
それは自分の年々長くなる人生経験を時折振り返って記憶を追体験する、その時間の短さ、密度の濃さの中に於いて、であるのですが、映画や小説で人の一生のダイジェストを観て共感し、それを反芻したりする場合にも同様の機能が働いているように思えます。
さらには。
…これはもう、時間感覚という話を超えるのですが、武術やスポーツで伝承した技、その動作ひとつの中に、指先の形の中に、あるいはその名称にさえ、多くの先人の人生が凝縮されて輝きを放っていることについて、最近はしみじみと感じ入るようになりました。
それは武術やアクロバットスポーツに限らず、音楽・芸術・創作活動や表現のすべて、否、人間の営みの全てに宿っているはずだと思います。
一人の人間の長い人生が一瞬の輝きに集約されたり、想い出が蘇ったり既視感を味わったりすることがあります。逆に時間が止まったかのように切り取られた写真やその瞬間の感動の記憶が、その人の人生全体を潤すだけでなく、後世にまで飾り語り継がれて、いつまでも輝きを失わないこともあります。
そんな時間の織りなす素敵な魔法が幾重にも連なって、最後に凝縮されて永遠の輝きを放つ…そんなラブストーリーが「星と輝いて」なのです。
リアルに作者を知る私には、色々な意味で涙さそわれたり共感したりしましたが、本作では純粋にラブストーリーフィクションとしても感動させられました。おそらくは角皆さんやフリースタイルスキーを知らない人でも、味わい深く楽しんでいただける作品だと思いますが、一方で、昨今の現世の様々な流れと人々の無関心を憂う私としては、このラブストーリーに感動できない人も多く居るだろうし、その様な感性の人とは同じ社会で手を取り合って生きていくのは難しそうだな、とも思ってしまいます。
願わくば、この物語を読んで感動しないタイプの人が、この物語を読んだことで、人生の価値、生命の輝きの尊さ、輝きを失うことのない愛の素晴らしさを思い出し、あるいは気付いて、自分の人生を大切に生き、自分と関わるヒトの人生をも大切にし、自分と直接関わらないヒトの人生にも想いを馳せて、次世代の地球に何をどのように残すかを、考える切っ掛けにして欲しい…とまで、切なく思う私がここに居ます。
2013年5月14日に日本でレビュー済み
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久しぶりに時間を忘れて一気に完読しました。
スキーを趣味にしている私としてはとても興味深く、作者と年齢が近いという事もあり出てくる音楽グループや音楽についても親しみが沸きました。
以下少々ネタバレかもしれません。お許しください。
若者の恋から大人の愛へ、そして永遠の愛への確信と気持ちが固まっていくわけですが、別れてからの12年間のブランクがさらに深い愛へと育てたのでしょうが、なにかもったいない気もします。その後に偶然で会えた事もやはり二人は運命が繋がっていたのでしょう。再会したあと、お互いの気持ちをきづかい決してお互い責めることもしないで、昔と今のギャップを埋めようとする二人。そこにはもはや時間の流れもギャップもなく自然に昔の感情がタイムスリップしたかのように自然と向き合えていた所も感激です。
二人のモーグル選手としての価値はお互いがいたからこそ高め合えたのでしょう。これぞまさしく本当の愛ですね。競技中のローラのハヤトに対する言葉やその後のハヤトのパフォーマンスなど感動の展開でした。
悲哀といえば悲哀ですが、ある意味ハッピーエンドのような気もします。
いい作品をありがとうございました。最後にこれはフィクションとのことですが、事実背景がリアルなのでノンフィクションかも・・・と思ってしまいます。
スキーを趣味にしている私としてはとても興味深く、作者と年齢が近いという事もあり出てくる音楽グループや音楽についても親しみが沸きました。
以下少々ネタバレかもしれません。お許しください。
若者の恋から大人の愛へ、そして永遠の愛への確信と気持ちが固まっていくわけですが、別れてからの12年間のブランクがさらに深い愛へと育てたのでしょうが、なにかもったいない気もします。その後に偶然で会えた事もやはり二人は運命が繋がっていたのでしょう。再会したあと、お互いの気持ちをきづかい決してお互い責めることもしないで、昔と今のギャップを埋めようとする二人。そこにはもはや時間の流れもギャップもなく自然に昔の感情がタイムスリップしたかのように自然と向き合えていた所も感激です。
二人のモーグル選手としての価値はお互いがいたからこそ高め合えたのでしょう。これぞまさしく本当の愛ですね。競技中のローラのハヤトに対する言葉やその後のハヤトのパフォーマンスなど感動の展開でした。
悲哀といえば悲哀ですが、ある意味ハッピーエンドのような気もします。
いい作品をありがとうございました。最後にこれはフィクションとのことですが、事実背景がリアルなのでノンフィクションかも・・・と思ってしまいます。
2013年5月22日に日本でレビュー済み
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著者の作品にはじめて触れたのは、もう20年も前のこと。
スキーの技術本であったが、なんといっても表現力が抜群に良くて、
スキーだけでなく、人生観まで学ばせてもらった。
それ以来、著者の書いたものであればブログでもツイッターでもなんだって読み漁ってきた。
そして、待望の小説デビューである。
内容は伏せるが、著者のファンならおなじみのエピソードが随所に登場する。
ジャンルとしては恋愛小説なのだろうが、才能にあふれた主人公の栄光と苦悩を描く点で、
ロマン・ロランのベートーベンやジャン・クリストフを彷彿とさせられた。
あっという間に読み終わってしまう分量なのが、残念なくらいである。
今後の作品にも期待したい。
スキーの技術本であったが、なんといっても表現力が抜群に良くて、
スキーだけでなく、人生観まで学ばせてもらった。
それ以来、著者の書いたものであればブログでもツイッターでもなんだって読み漁ってきた。
そして、待望の小説デビューである。
内容は伏せるが、著者のファンならおなじみのエピソードが随所に登場する。
ジャンルとしては恋愛小説なのだろうが、才能にあふれた主人公の栄光と苦悩を描く点で、
ロマン・ロランのベートーベンやジャン・クリストフを彷彿とさせられた。
あっという間に読み終わってしまう分量なのが、残念なくらいである。
今後の作品にも期待したい。
2013年5月24日に日本でレビュー済み
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作者をよく知る人から勧められて読んでみました。
私もスキーヤーなので、この作品の世界観にすぐ溶け込みました。
パウダー(新雪)にドロップインする前、ゲレンデに鳴り響くBGMでなく、風の音と澄み渡り良く冷えた空気とが自分自身を包み込む時の、静謐感と高揚感と少しの不安感。
この作品には、それを想起させるものがあると思います。
読み終えて、もう一度、恋愛したくなった。
私もスキーヤーなので、この作品の世界観にすぐ溶け込みました。
パウダー(新雪)にドロップインする前、ゲレンデに鳴り響くBGMでなく、風の音と澄み渡り良く冷えた空気とが自分自身を包み込む時の、静謐感と高揚感と少しの不安感。
この作品には、それを想起させるものがあると思います。
読み終えて、もう一度、恋愛したくなった。
2013年5月21日に日本でレビュー済み
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日本のフリースタイルスキー先駆者、角皆優人氏によるフィクションという事だが、この業界の歴史的背景をもとに実在の人物を交えて展開される日本人青年とカナダ人少女の物語なので、読み進むうちにノンフィクションの部分とフィクションの境目に迷い込む。
フリースタイルスキーの世界に身を置いた事のある人なら、たちまち物語の中に引き込まれ、もはやフィクションであるとか、そういう事は関係なくなるのではないだろうか。一人称の懐古形式で進むストーリーに、この幸せそうな2人の間にいったい何があったのか、そしてこれから何が起きるのだろうと、気が気ではなくなる。
主人公の青年が成長し、中年と呼ばれる世代を迎えながらも直面する葛藤や不安、そしてときめきは、読み手側のほろ苦い青春の日々を彷彿とさせてくれるし、人はいくつになってもこの様な気持ちに支配される事があるのだと、中年世代には共感出来る点も多い。
悲恋の物語ではあるが、ラストの描写に少し元気をわけてもらえそうな気がする。年をとってから大きな物を失うと、立ち直るのには時間を要したりするものだが、この主人公のように素敵に年を重ねたいと思う。
フリースタイルスキーの世界に身を置いた事のある人なら、たちまち物語の中に引き込まれ、もはやフィクションであるとか、そういう事は関係なくなるのではないだろうか。一人称の懐古形式で進むストーリーに、この幸せそうな2人の間にいったい何があったのか、そしてこれから何が起きるのだろうと、気が気ではなくなる。
主人公の青年が成長し、中年と呼ばれる世代を迎えながらも直面する葛藤や不安、そしてときめきは、読み手側のほろ苦い青春の日々を彷彿とさせてくれるし、人はいくつになってもこの様な気持ちに支配される事があるのだと、中年世代には共感出来る点も多い。
悲恋の物語ではあるが、ラストの描写に少し元気をわけてもらえそうな気がする。年をとってから大きな物を失うと、立ち直るのには時間を要したりするものだが、この主人公のように素敵に年を重ねたいと思う。