「おもいでだま」1~4巻のレビュー
近未来。
トラウマの元となっているような嫌な記憶をピンポイントで切り取ったり、自分の素敵な思い出を別の第三者にあげたりできる。
そんな、自在に人間の記憶をコントロールできる夢のような薬が開発される。
その名も「MSC(Memory Save Candy)」
誰にでも消してしまいたい忌まわしい過去はある。それが完全なカタチで可能になるのだ。
多くの人が驚き、そして歓迎をもってその薬を受け入れた。
しかし、次第に明らかになってくるMSCの負の部分。それはそこにかかわる人達に暗い影を落とし始める・・・
結論から言ってとても面白く読み応えのある作品です。
個人的に記憶にまつわるフィクションといえば、映画「トータルリコール」のような願望を叶える
創作の記憶提供の活劇モノを思い浮かべるのですが、本作はそのMSCを利用する人々の悩みや苦しみなどの心情を丁寧に描いた人間ドラマです。
物語全体の軸はMSCによって起こる事件をめぐり、主人公の出生の秘密等が解き明かされていくというものですが、
見所はやはりオムニバスで描かれるMSC利用者の人間模様だと思います。
一例を挙げると・・・
〇失恋の原因となった記憶を消し去りたい男子大学生。
〇入院を続ける親友に自らの楽しい思い出を渡し続ける少年。
〇偏執狂的な恋愛感情を父娘ほども年齢の離れた姪に抱く初老の男性。
〇水商売(?)の世界に身を投じる決意をした青年とその父の確執。
等々・・・・・・その内容はバラエティに富み読む者を飽きさせません。
泣ける話も盛りだくさんです。
あと、この作品で最も魅力的だった部分は何か?と聞かれたら、迷わずこう答えます。
それは「絵」です!
マンガにとって絵は非常に重要な要素です。実に曖昧で説明が難しいことなのですが。マンガにおける絵は、ただ上手ければいいというものではありません。
(ムロン、画力があるにこしたことはないのですが)一番大切なのは、感覚的に見る者を惹きつけることができる、そんな魅力があるかないか、
そこに尽きると思います。
この荒井ママレ氏の描く絵は、もちろん高い画力もさることながら、それに加えて見る者を惹きつける何かがあります。
うまく言えませんが、この人の絵はやわらかで繊細でポゥっとするようなかんじというか・・しかも後からジワジワくる・・みたいな、そんな実に魅力的な絵柄なのです。
本当に良いです。
そんなわけで「おもいでだま」。自分的には大変満足できた良作です。
多く人にお勧めしたいです。次回作も非常に楽しみです。

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おもいでだま (1) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) コミック – 2012/5/30
荒井 ママレ
(著)
忘れたい記憶…あなたにはありますか?
もしも自由に記憶を取り出すことに出来る社会だったら…
覚えておきたい想い出、忘れ去りたい記憶、あなたにはありますか?
「メモリーセーブキャンディー」…通称「MSC」と呼ばれるキャンディーのようなメディア。
お値段、一つ10万円。
トラウマになった記憶を取り出したり、大事な想い出を保存できるこのサービスを取り扱うMSC社のミオの元に、今日も新しい顧客が尋ねてくる。
…たとえば、高校生の時、好きだった彼女に「童貞なの?」とバカにされたトラウマに苦しめられている大学生。
…たとえば、死を間近に控え、遺言をMSCにこめてドラ息子たちにいじわるをするおじいさん。
――彼らは、その果てに何を想い、何を見つめるのか?
リリカルにして本格。
スピリッツ発の期待の新星・荒井ママレが描く、”想い出”を巡るオムニバスSFストーリー第1集、遂に単行本化!!
【編集担当からのおすすめ情報】
青田買い大歓迎!
小学館新人コミック大賞出身のスピリッツ超期待!の新人作家・荒井ママレ氏デビュー単行本!
凝ったSF設定と、淡くリリカルな心理描写…
この硬軟二つの要素が見事に溶け合った、作者渾身の一作です。
トラウマや、忘れかけた大事な想い出など、誰もが隠し持っている心の無防備なところをフッと突いてくる。
そんなオムニバス短篇が5編、詰まっています。
感性バリバリな透明感ある絵柄は一目惚れ必至!!!
読み応え&余韻、あわよくば涙、確約いたします。
もしも自由に記憶を取り出すことに出来る社会だったら…
覚えておきたい想い出、忘れ去りたい記憶、あなたにはありますか?
「メモリーセーブキャンディー」…通称「MSC」と呼ばれるキャンディーのようなメディア。
お値段、一つ10万円。
トラウマになった記憶を取り出したり、大事な想い出を保存できるこのサービスを取り扱うMSC社のミオの元に、今日も新しい顧客が尋ねてくる。
…たとえば、高校生の時、好きだった彼女に「童貞なの?」とバカにされたトラウマに苦しめられている大学生。
…たとえば、死を間近に控え、遺言をMSCにこめてドラ息子たちにいじわるをするおじいさん。
――彼らは、その果てに何を想い、何を見つめるのか?
リリカルにして本格。
スピリッツ発の期待の新星・荒井ママレが描く、”想い出”を巡るオムニバスSFストーリー第1集、遂に単行本化!!
【編集担当からのおすすめ情報】
青田買い大歓迎!
小学館新人コミック大賞出身のスピリッツ超期待!の新人作家・荒井ママレ氏デビュー単行本!
凝ったSF設定と、淡くリリカルな心理描写…
この硬軟二つの要素が見事に溶け合った、作者渾身の一作です。
トラウマや、忘れかけた大事な想い出など、誰もが隠し持っている心の無防備なところをフッと突いてくる。
そんなオムニバス短篇が5編、詰まっています。
感性バリバリな透明感ある絵柄は一目惚れ必至!!!
読み応え&余韻、あわよくば涙、確約いたします。
- 本の長さ182ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2012/5/30
- ISBN-104091845568
- ISBN-13978-4091845566
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上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
取り出す記憶と取り出した後のその人の行動などが描かれていて、すこし考えさせられました。
あいまいな記憶や、自分にとっての良い悪いの記憶の整理の仕方で、ひとつの出来事もかわるのだとあらためて思いました。
また、それぞれのストーリーでキャンディーを利用した人が主人公となって、お話が進むのタイプで主人公がかわっていきます。
一話で区切れるので、ちょこちょこ読みできるタイプです。
キャンディーに記憶を閉じ込める作業をする女性のなぞが解けぬまま一巻が終わるため、気になります。
続きが読みたいです。
あいまいな記憶や、自分にとっての良い悪いの記憶の整理の仕方で、ひとつの出来事もかわるのだとあらためて思いました。
また、それぞれのストーリーでキャンディーを利用した人が主人公となって、お話が進むのタイプで主人公がかわっていきます。
一話で区切れるので、ちょこちょこ読みできるタイプです。
キャンディーに記憶を閉じ込める作業をする女性のなぞが解けぬまま一巻が終わるため、気になります。
続きが読みたいです。
2018年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
上は冗談です。ユニークで深い。遊星からの物体Xみたく、これから色々な作品の雛形になるのかも、と思いました。
2014年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
嫌な思い出・記憶を消せる。
誰もが一度は望む夢物語も、可能になれば残酷な逃避。
そんな残酷なテーマなのに、作者さんの居心地の良い画風とテンポで作中のキャラクターを、そして人間を信じて見守るように心地よく読み進められました。
作中の登場人物の記憶のエピソードとは無縁でも、自分の忘れたい記憶も、ひとりよがりなものだったり、はたまた他の人には大事な記憶なのかも…と、自分の記憶と向き合ってしまいます。
それも、この漫画の優しい空気のおかげか普段は思い出すと悶えそうな嫌な記憶でも、ふと、抵抗無く眼を合わせられました。
4巻まで読もうと思います。
素敵な漫画をありがとうございます。
誰もが一度は望む夢物語も、可能になれば残酷な逃避。
そんな残酷なテーマなのに、作者さんの居心地の良い画風とテンポで作中のキャラクターを、そして人間を信じて見守るように心地よく読み進められました。
作中の登場人物の記憶のエピソードとは無縁でも、自分の忘れたい記憶も、ひとりよがりなものだったり、はたまた他の人には大事な記憶なのかも…と、自分の記憶と向き合ってしまいます。
それも、この漫画の優しい空気のおかげか普段は思い出すと悶えそうな嫌な記憶でも、ふと、抵抗無く眼を合わせられました。
4巻まで読もうと思います。
素敵な漫画をありがとうございます。
2012年6月5日に日本でレビュー済み
誰も、ひとつくらいは記憶から抹殺したいくらいこっぱずかしい
黒歴史の思い出を持っている。
誰も、ひとつくらいはどうしても思い出したい記憶を持っている。
それがかなうとしたら。
第2話の「いじわるな遺言」という話が良かった。
父の残した莫大な遺産を巡って三兄弟が醜い争いを繰り広げる。
しかし彼らは父親が残した記憶を見て少しずつ変わっていく。
現実にはこんなにうまくはいかないかも知れない。
けれど、本人達はすっかり忘れてしまったこと、気付けなかった
父の思いを知り、今までの人生を振り返る、このエピソードがすごく良かった。
第4話は友達であった二人のすれ違いが悲しい結末になってしまった。
嫌な記憶を消してしまえたら楽かも知れない。
でも消した瞬間から、それはもう、自分の人生ではないんじゃないか。
この作品を見ているとそう思う。
黒歴史の思い出を持っている。
誰も、ひとつくらいはどうしても思い出したい記憶を持っている。
それがかなうとしたら。
第2話の「いじわるな遺言」という話が良かった。
父の残した莫大な遺産を巡って三兄弟が醜い争いを繰り広げる。
しかし彼らは父親が残した記憶を見て少しずつ変わっていく。
現実にはこんなにうまくはいかないかも知れない。
けれど、本人達はすっかり忘れてしまったこと、気付けなかった
父の思いを知り、今までの人生を振り返る、このエピソードがすごく良かった。
第4話は友達であった二人のすれ違いが悲しい結末になってしまった。
嫌な記憶を消してしまえたら楽かも知れない。
でも消した瞬間から、それはもう、自分の人生ではないんじゃないか。
この作品を見ているとそう思う。