本書の底本は2001年の第3版という事になりますが、初版は1977年で邦訳作業中に監修者あとがきにもある様に2種の序文が加わった第4版が2011年にも出ていています。
所謂名著といわれる著作物でして、米国の、そして世界の外交・安全保障・戦後秩序の変化や指針に強く示唆に富んだ内容です。
頻繁に出てくる用語に躓かずに読み進められる人ならば既に本書で言及されてるような事は実の所、概論的には承知の事実でしょうが、用語に慣れていない方は結構平易な日本語で分かり易く書かれているにも関わらず読み進むのが難しくもどかしく感じられると思われます。慣れてください。
主義主張の左右に関わらずリアリストならば無視できない世界の在り様の論理的な力学を感じられると思います。
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パワーと相互依存 単行本 – 2012/11/15
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ロバート・コヘインとジョセフ・ナイによる相互依存論と国際レジーム論をとりむすぶ古典を紐解く
相互依存関係における敏感性と脆弱性を豊富な事例により多角的に検証。複合的相互依存というキー概念により、国際政治への新たな視点を切り開いた相互依存論の古典的名著を初邦訳。(原書:Robert O. Keohane and Joseph S. Nye, Power and Interdependence third edition, 2001.)
【目次】
日本語版への序文
序 文
第I部 相互依存関係を理解する
第1章 世界政治のなかの相互依存関係
1 相互依存関係の新しいレトリック
2 分析概念としての相互依存関係
3 パワーと相互依存
4 国際的レジーム変容
第2章 リアリズムと複合的相互依存関係
1 複合的相互依存関係の特徴
2 複合的相互依存関係の政治過程
第3章 国際レジームの変容を説明する
1 経済過程についての説明
2 全体的なパワー構造についての説明
3 イシュー構造
4 国際組織モデル
5 説明の要約
第II部 海洋と通貨の問題領域におけるレジーム変容
第4章 海洋と通貨の問題領域における政治——歴史的概観
1 国際通貨という問題領域
2 海洋問題における争点
3 結 論
第5章 海洋と通貨の問題領域における複合的相互依存関係
1 複合的相互依存関係の諸条件
2 通貨と海洋における政治過程
3 結 論
第6章 海洋と通貨におけるルール形成の政治
1 経済過程とレジーム変容
2 全体構造とレジーム変容
3 イシュー構造とレジーム変容
4 国際組織とレジーム変容
5 システム的説明の限界——国内政治とリーダーシップ
6 結 論
第III部 レジームと2国間関係
第7章 米加関係と米豪関係
1 米加関係と複合的相互依存関係
2 米豪関係と複合的相互依存関係
3 米加関係のイシューと結果
4 米豪関係のイシューと結果
5 アジェンダ形成をめぐる政治の比較
6 結果の違いを説明する
7 レジーム変容をめぐる新たな説明
第IV部 アメリカと複合的相互依存関係
第8章 相互依存関係への対処
1 世界政治の説明モデルと条件
2 複合的相互依存関係におけるパワー
3 複合的相互依存の傾向
4 複合的相互依存関係におけるリーダーシップ
5 多様なリーダーシップと政策調整
6 国際レジームの正当性の構築
7 国際組織と国内組織
8 結 論
第V部 グローバリズムと情報の時代
第9章 パワー・相互依存関係・情報の時代
1 情報革命と複合的相互依存関係
2 情報とパワー
3 豊富さの逆説と信頼に関する政治的問題
第10章 パワー・相互依存関係・グローバリズム
1 グローバリゼーションと相互依存関係
2 現代グローバリズム——何が新しいのか?
3 グローバリゼーションと冷戦の終結
4 政治・公平さ・パワー・統治
第VI部 理論と政策についての再考(1989年)
あとがき
1 『パワーと相互依存』の主要なテーマ
2 『パワーと相互依存』の研究プログラム——批 評
3 構造理論の限界——システムとしての政治過程
4 認識と学習
5 結 論
多国間主義を推奨する2つの論点
1 レジームの必要性
2 非現実的なビジョン
3 レジームの維持
監訳者あとがき
監訳者解説
人名索引
事項索引
相互依存関係における敏感性と脆弱性を豊富な事例により多角的に検証。複合的相互依存というキー概念により、国際政治への新たな視点を切り開いた相互依存論の古典的名著を初邦訳。(原書:Robert O. Keohane and Joseph S. Nye, Power and Interdependence third edition, 2001.)
【目次】
日本語版への序文
序 文
第I部 相互依存関係を理解する
第1章 世界政治のなかの相互依存関係
1 相互依存関係の新しいレトリック
2 分析概念としての相互依存関係
3 パワーと相互依存
4 国際的レジーム変容
第2章 リアリズムと複合的相互依存関係
1 複合的相互依存関係の特徴
2 複合的相互依存関係の政治過程
第3章 国際レジームの変容を説明する
1 経済過程についての説明
2 全体的なパワー構造についての説明
3 イシュー構造
4 国際組織モデル
5 説明の要約
第II部 海洋と通貨の問題領域におけるレジーム変容
第4章 海洋と通貨の問題領域における政治——歴史的概観
1 国際通貨という問題領域
2 海洋問題における争点
3 結 論
第5章 海洋と通貨の問題領域における複合的相互依存関係
1 複合的相互依存関係の諸条件
2 通貨と海洋における政治過程
3 結 論
第6章 海洋と通貨におけるルール形成の政治
1 経済過程とレジーム変容
2 全体構造とレジーム変容
3 イシュー構造とレジーム変容
4 国際組織とレジーム変容
5 システム的説明の限界——国内政治とリーダーシップ
6 結 論
第III部 レジームと2国間関係
第7章 米加関係と米豪関係
1 米加関係と複合的相互依存関係
2 米豪関係と複合的相互依存関係
3 米加関係のイシューと結果
4 米豪関係のイシューと結果
5 アジェンダ形成をめぐる政治の比較
6 結果の違いを説明する
7 レジーム変容をめぐる新たな説明
第IV部 アメリカと複合的相互依存関係
第8章 相互依存関係への対処
1 世界政治の説明モデルと条件
2 複合的相互依存関係におけるパワー
3 複合的相互依存の傾向
4 複合的相互依存関係におけるリーダーシップ
5 多様なリーダーシップと政策調整
6 国際レジームの正当性の構築
7 国際組織と国内組織
8 結 論
第V部 グローバリズムと情報の時代
第9章 パワー・相互依存関係・情報の時代
1 情報革命と複合的相互依存関係
2 情報とパワー
3 豊富さの逆説と信頼に関する政治的問題
第10章 パワー・相互依存関係・グローバリズム
1 グローバリゼーションと相互依存関係
2 現代グローバリズム——何が新しいのか?
3 グローバリゼーションと冷戦の終結
4 政治・公平さ・パワー・統治
第VI部 理論と政策についての再考(1989年)
あとがき
1 『パワーと相互依存』の主要なテーマ
2 『パワーと相互依存』の研究プログラム——批 評
3 構造理論の限界——システムとしての政治過程
4 認識と学習
5 結 論
多国間主義を推奨する2つの論点
1 レジームの必要性
2 非現実的なビジョン
3 レジームの維持
監訳者あとがき
監訳者解説
人名索引
事項索引
- 本の長さ504ページ
- 言語日本語
- 出版社ミネルヴァ書房
- 発売日2012/11/15
- 寸法15.8 x 3.3 x 21.8 cm
- ISBN-104623061027
- ISBN-13978-4623061020
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商品の説明
著者について
《著者紹介》*本情報は2014年7月時点のものです
ロバート・O・コヘイン(Robert Owen Keohane)
1941年 生まれ。
ハーバード大学で博士号取得。
1999〜2000年までアメリカ政治学会会長。
現 在 プリンストン大学教授。
邦訳書 1石黒馨・小林誠訳『覇権後の国際政治経済学』晃洋書房,1998年。
2真渕勝監訳『社会科学のリサーチ・デザイン——定性的研究における科学的推論』(共著)勁草書房,2004年,など多数。
ジョセフ・S・ナイ(Joseph Samuel Nye)
1937年 生まれ。
ハーバード大学で博士号取得。
1995〜2004年までハーバード大学ケネディスクール学長。
現 在 ハーバード大学特別功労教授。
邦訳書 1土山實男訳『核戦略と倫理』同文館出版,1988年。
2田中明彦・村田晃嗣訳『国際紛争——理論と歴史』有斐閣,2002年,(原書4版)2003年,(原書5版)2005年,(原書6版)2007年,(原書7版)2009年。
3山岡洋一・藤島京子訳『スマート・パワー——21世紀を支配する新しい力』日本経済新聞出版社,2011年,など多数。
《監訳者紹介》*本情報は2014年7月時点のものです
滝田賢治(たきた・けんじ)
1946年 生まれ。
東京外国語大学英米語学科卒業,一橋大学大学院博士後期課程(国際関係論専攻)単位取得満期退学。
現 在 中央大学法学部教授。
主 著 1『太平洋国家アメリカへの道』有信堂,1996年。
2「多国間主義の再定義とアメリカ外交」『国際政治』133号,2003年。
3「冷戦後世界とアメリカ」『国際政治』150号,2007年。
4「現代アメリカの世界軍事戦略——伝統的軍事脅威と『テロとの戦い』への対応」『法学新報』第118巻第3・4号,2011年。
4『21世紀東ユーラシアの地政学』(編著)中央大学出版部,2012年。
ロバート・O・コヘイン(Robert Owen Keohane)
1941年 生まれ。
ハーバード大学で博士号取得。
1999〜2000年までアメリカ政治学会会長。
現 在 プリンストン大学教授。
邦訳書 1石黒馨・小林誠訳『覇権後の国際政治経済学』晃洋書房,1998年。
2真渕勝監訳『社会科学のリサーチ・デザイン——定性的研究における科学的推論』(共著)勁草書房,2004年,など多数。
ジョセフ・S・ナイ(Joseph Samuel Nye)
1937年 生まれ。
ハーバード大学で博士号取得。
1995〜2004年までハーバード大学ケネディスクール学長。
現 在 ハーバード大学特別功労教授。
邦訳書 1土山實男訳『核戦略と倫理』同文館出版,1988年。
2田中明彦・村田晃嗣訳『国際紛争——理論と歴史』有斐閣,2002年,(原書4版)2003年,(原書5版)2005年,(原書6版)2007年,(原書7版)2009年。
3山岡洋一・藤島京子訳『スマート・パワー——21世紀を支配する新しい力』日本経済新聞出版社,2011年,など多数。
《監訳者紹介》*本情報は2014年7月時点のものです
滝田賢治(たきた・けんじ)
1946年 生まれ。
東京外国語大学英米語学科卒業,一橋大学大学院博士後期課程(国際関係論専攻)単位取得満期退学。
現 在 中央大学法学部教授。
主 著 1『太平洋国家アメリカへの道』有信堂,1996年。
2「多国間主義の再定義とアメリカ外交」『国際政治』133号,2003年。
3「冷戦後世界とアメリカ」『国際政治』150号,2007年。
4「現代アメリカの世界軍事戦略——伝統的軍事脅威と『テロとの戦い』への対応」『法学新報』第118巻第3・4号,2011年。
4『21世紀東ユーラシアの地政学』(編著)中央大学出版部,2012年。
登録情報
- 出版社 : ミネルヴァ書房 (2012/11/15)
- 発売日 : 2012/11/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 504ページ
- ISBN-10 : 4623061027
- ISBN-13 : 978-4623061020
- 寸法 : 15.8 x 3.3 x 21.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 382,519位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年10月26日に日本でレビュー済み
アメリカの著名な国際政治学者であるロバート・O・コヘインとジョセフ・S・ナイによって書かれた「相互依存論の古典的名著」。本書では、“「リアリスト(代表的な国際政治学者としては、モーゲンソーやウォルツなど。パワーポリティックス(国益追求のための国家間の権力闘争的側面を強調。軍事力の役割を重視)に立脚した国際政治のあり方について考察)」的な国際社会の分析だけでは、グローバルに展開する経済活動などの「相互依存関係」が国際社会に与える影響を見落としてしまう”ことを指摘し、“グローバル的な「相互依存関係」などによって、国際社会における諸国家の国力や「国際レジーム」が変化していくこと”について説明している。「原著初版は1977年」であるが、その後の「国際政治状況」の変化や著者たちの研究に対する他の研究者たちの反応などが盛り込まれて加筆された2001年の「第3版」に本訳書は基づいている。
「(第二次世界大戦後の)1940年代後半に(覇権国家)アメリカは新たな恐慌を未然に防ぐ、共産主義を封じ込める、という2つの目的のために開放的な国際経済体制(=「資本主義に有利な政治的環境」を整えるための、GATT=関税・貿易に関する一般協定(自由貿易の推進のため)やIMF=国際通貨基金(資金繰りの円滑化による急速かつ大規模な資金移動を可能にする)などの制度)を創り出そうとした。その結果として構築された多国間主義を基礎とする国際制度(=「国際レジーム(=国際社会での政治的・経済的問題の管理を行ったり、システムの安定を図るために、ルール作りを行ったり政策決定の場を設けるなど活動は多岐に渡る。例えばWTO=世界貿易機関など)」)は、情報に重きを置き、その制度自体も輸送技術とコミュニケーション技術の発展(=トランスナショナルな活動のコストがかつてより安価になる)によって影響を受けるという環境を創り上げた。これにより諸国家は、創出された(サプライチェーンなどの)相互依存関係のパターンに背を向けることがますます困難になった」。
と、本書で説明されているように、「国際レジーム」には、ある程度の「グローバリズム」を促進する作用がある、ということである。著者たちが指摘する「グローバリズム」は大雑把にいえば“国境を越えて相互に影響を与え合う活動全般”を差し、「①経済的グローバリズム」、「②軍事的グローバリズム」、「③環境グローバリズム」、「④社会と文化に関するグローバリズム」、というふうに大きく4つに分けている(著者たちは、「グローバリズム」といえば、①の中の「賃金の高い国から賃金の低い国への技術と資本の移動であり、結果として労働集約型の第3世界の輸出が成長する」という部分ばかりが、一般に語られがちである、と指摘している)。
このようなグローバル化が進展する中で、「相互依存(産業などの発展に伴う結びつきにより、両者が相互に浸透し合い、一国の変化が貿易・金融・資源・安全保障など全ての領域において全世界的に影響を及ぼすようになった状態)」が進むのであるが、現代での多岐に渡るあり方を、著者たちは「複合的相互依存関係」と呼ぶ。その特徴として、「①社会において国家だけではない多様なアクターによる、多様なチャンネルが存在(多国籍企業のような影響力のあるプレーヤーが増えることによって、ネットワークも増加する)、②明確に優先順位をつけられない多様なイシュー領域(問題領域がかつてより増えることによって、問題の優先順位がつけ難くなる)、③複合的相互依存関係によって諸国家が結びつくことで、脅威認識や武器使用が不合理なものとなる(交渉する際における「軍事的役割」の低下)」、の3つが挙げられている。著者たちの説明によれば、先進国どうしでは、①~③の特徴がよく見受けられるが、全世界的に見れば③の「軍事的役割」が低下しているとはいえず、世界中の国々や地域で①~③の全ての特徴が当てはまるものではない。
本書から読み取れる図式は、以下のようなものである。
諸国家の「基礎的な国力(パワー)」+グローバル化における「複合的相互依存関係」→諸国家の「国力」の変化、というものであり、「国際レジーム」が「複合的相互依存関係」のあり方をある程度規定している(とはいえ、「国際レジーム」が全てのジャンルを規定している訳ではなく、それほどの影響力を持っていない国際機関もある)。そのようなことから、諸国は自国の国益の保全や増進を目指して「国際機関(=国際レジーム)」に対する働きかけを行おうとするのである。
このような「相互依存関係が広く行き渡っている状況で展開される世界政治の特徴とは何なのか」といえば、「非対称的な相互依存がパワーの源泉となりうる」ということである。例えば、A国の産業や生存のために必要な資源なり物資をB国が保有しているが、B国にとって必要な資源なり物資をA国が保有していない(或いは、A国が保有していたとしても、B国は他国から容易に調達できる)場合は、B国のほうがA国よりも優位な立場にある、ということになる。著者たちは、国家における「代替的な政策(或いは資源・物資など)」に乗り換える「コスト」が低い場合は「敏感性(すぐに負の影響が表れたとしても、短期間のうちに克服でき、代替的な手段に乗り換える費用や手間もそれほど高くつかない)」であり、「コスト」が高い(か、それに代わるものが無い)場合は「脆弱性(負の影響が長期にわたり、代替的な手段に乗り換える費用が極めて高価なものになるか、他に代わるものが見つからない)」である、という。
必要な資源や物資を全て自給できる国がほとんど無い以上、どの国にとっても自国の「脆弱性」を低下させることが(外交的にも国内的にも)重要な政策になるのである。
そして、本書で様々に事例が挙げられている「国際レジームの変容」について、であるが、それぞれに論じられていることから読み取れるのは以下のようなことである。
大抵の「システム」は、“異なった性質の層(レイヤー)”が重なった混交物である(例えば、石油の「フロー(系統)」には、“国際政治の層”として産油国と消費国があり、“企業の層”としてメジャー(国際石油大手)・独立系企業(メジャーより小規模な諸々の民間会社)・国営石油公社(産油国による国営企業)・新興企業(中国やインドなどの新たに国際社会に登場した企業)があり、“技術の層”として掘削・精製・輸送などがあり、“市場の層”として原油市場・燃料油市場・電力市場などがあるように、様々に性質の違う層が重なっている)→層の内部での変化(時間の経過とともに、プレーヤーの勢力変化や技術の変化などが起こり、従来とのズレが徐々に広がっていく)→全体的な変化(主要プレーヤーの入れ替わり・枠組み(ルール)そのものの変更・「レジーム」の消滅や新たな「レジーム」の誕生)、というものである。
このように本書では、「複合的相互依存」が進んでいく現代で、国際社会の分析や「国際レジームの変容」などの変化について理解するためには、「パワーと利益が、世界政治で果たす役割についてのリアリストの中核的な洞察力を尊重しつつ」も、同時に「多様なアクターによる多様なチャンネル」で行われる活動(=様々な「フロー」における“異なった性質の層”での活動)にも目配りしなくてはならない、ということが指摘されている。「相互依存関係を操作することがパワーを行使する手段となり得る」と著者たちが指摘しているように、「複合的相互依存関係」の世界もシビアであることが、本書を読むと理解させられる。
「(第二次世界大戦後の)1940年代後半に(覇権国家)アメリカは新たな恐慌を未然に防ぐ、共産主義を封じ込める、という2つの目的のために開放的な国際経済体制(=「資本主義に有利な政治的環境」を整えるための、GATT=関税・貿易に関する一般協定(自由貿易の推進のため)やIMF=国際通貨基金(資金繰りの円滑化による急速かつ大規模な資金移動を可能にする)などの制度)を創り出そうとした。その結果として構築された多国間主義を基礎とする国際制度(=「国際レジーム(=国際社会での政治的・経済的問題の管理を行ったり、システムの安定を図るために、ルール作りを行ったり政策決定の場を設けるなど活動は多岐に渡る。例えばWTO=世界貿易機関など)」)は、情報に重きを置き、その制度自体も輸送技術とコミュニケーション技術の発展(=トランスナショナルな活動のコストがかつてより安価になる)によって影響を受けるという環境を創り上げた。これにより諸国家は、創出された(サプライチェーンなどの)相互依存関係のパターンに背を向けることがますます困難になった」。
と、本書で説明されているように、「国際レジーム」には、ある程度の「グローバリズム」を促進する作用がある、ということである。著者たちが指摘する「グローバリズム」は大雑把にいえば“国境を越えて相互に影響を与え合う活動全般”を差し、「①経済的グローバリズム」、「②軍事的グローバリズム」、「③環境グローバリズム」、「④社会と文化に関するグローバリズム」、というふうに大きく4つに分けている(著者たちは、「グローバリズム」といえば、①の中の「賃金の高い国から賃金の低い国への技術と資本の移動であり、結果として労働集約型の第3世界の輸出が成長する」という部分ばかりが、一般に語られがちである、と指摘している)。
このようなグローバル化が進展する中で、「相互依存(産業などの発展に伴う結びつきにより、両者が相互に浸透し合い、一国の変化が貿易・金融・資源・安全保障など全ての領域において全世界的に影響を及ぼすようになった状態)」が進むのであるが、現代での多岐に渡るあり方を、著者たちは「複合的相互依存関係」と呼ぶ。その特徴として、「①社会において国家だけではない多様なアクターによる、多様なチャンネルが存在(多国籍企業のような影響力のあるプレーヤーが増えることによって、ネットワークも増加する)、②明確に優先順位をつけられない多様なイシュー領域(問題領域がかつてより増えることによって、問題の優先順位がつけ難くなる)、③複合的相互依存関係によって諸国家が結びつくことで、脅威認識や武器使用が不合理なものとなる(交渉する際における「軍事的役割」の低下)」、の3つが挙げられている。著者たちの説明によれば、先進国どうしでは、①~③の特徴がよく見受けられるが、全世界的に見れば③の「軍事的役割」が低下しているとはいえず、世界中の国々や地域で①~③の全ての特徴が当てはまるものではない。
本書から読み取れる図式は、以下のようなものである。
諸国家の「基礎的な国力(パワー)」+グローバル化における「複合的相互依存関係」→諸国家の「国力」の変化、というものであり、「国際レジーム」が「複合的相互依存関係」のあり方をある程度規定している(とはいえ、「国際レジーム」が全てのジャンルを規定している訳ではなく、それほどの影響力を持っていない国際機関もある)。そのようなことから、諸国は自国の国益の保全や増進を目指して「国際機関(=国際レジーム)」に対する働きかけを行おうとするのである。
このような「相互依存関係が広く行き渡っている状況で展開される世界政治の特徴とは何なのか」といえば、「非対称的な相互依存がパワーの源泉となりうる」ということである。例えば、A国の産業や生存のために必要な資源なり物資をB国が保有しているが、B国にとって必要な資源なり物資をA国が保有していない(或いは、A国が保有していたとしても、B国は他国から容易に調達できる)場合は、B国のほうがA国よりも優位な立場にある、ということになる。著者たちは、国家における「代替的な政策(或いは資源・物資など)」に乗り換える「コスト」が低い場合は「敏感性(すぐに負の影響が表れたとしても、短期間のうちに克服でき、代替的な手段に乗り換える費用や手間もそれほど高くつかない)」であり、「コスト」が高い(か、それに代わるものが無い)場合は「脆弱性(負の影響が長期にわたり、代替的な手段に乗り換える費用が極めて高価なものになるか、他に代わるものが見つからない)」である、という。
必要な資源や物資を全て自給できる国がほとんど無い以上、どの国にとっても自国の「脆弱性」を低下させることが(外交的にも国内的にも)重要な政策になるのである。
そして、本書で様々に事例が挙げられている「国際レジームの変容」について、であるが、それぞれに論じられていることから読み取れるのは以下のようなことである。
大抵の「システム」は、“異なった性質の層(レイヤー)”が重なった混交物である(例えば、石油の「フロー(系統)」には、“国際政治の層”として産油国と消費国があり、“企業の層”としてメジャー(国際石油大手)・独立系企業(メジャーより小規模な諸々の民間会社)・国営石油公社(産油国による国営企業)・新興企業(中国やインドなどの新たに国際社会に登場した企業)があり、“技術の層”として掘削・精製・輸送などがあり、“市場の層”として原油市場・燃料油市場・電力市場などがあるように、様々に性質の違う層が重なっている)→層の内部での変化(時間の経過とともに、プレーヤーの勢力変化や技術の変化などが起こり、従来とのズレが徐々に広がっていく)→全体的な変化(主要プレーヤーの入れ替わり・枠組み(ルール)そのものの変更・「レジーム」の消滅や新たな「レジーム」の誕生)、というものである。
このように本書では、「複合的相互依存」が進んでいく現代で、国際社会の分析や「国際レジームの変容」などの変化について理解するためには、「パワーと利益が、世界政治で果たす役割についてのリアリストの中核的な洞察力を尊重しつつ」も、同時に「多様なアクターによる多様なチャンネル」で行われる活動(=様々な「フロー」における“異なった性質の層”での活動)にも目配りしなくてはならない、ということが指摘されている。「相互依存関係を操作することがパワーを行使する手段となり得る」と著者たちが指摘しているように、「複合的相互依存関係」の世界もシビアであることが、本書を読むと理解させられる。