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円のゆくえを問いなおす: 実証的・歴史的にみた日本経済 (ちくま新書 959) 新書 – 2012/5/1
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2012/5/1
- ISBN-104480066632
- ISBN-13978-4480066633
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2012/5/1)
- 発売日 : 2012/5/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 278ページ
- ISBN-10 : 4480066632
- ISBN-13 : 978-4480066633
- Amazon 売れ筋ランキング: - 280,823位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 954位ちくま新書
- カスタマーレビュー:
著者について

【私の問題意識】
90年代の長期停滞-「失われた10年」を経て、デフレを伴った不十分な景気回復、そして世界金融危機に翻弄される日本経済。私はこの20年間を「失われた20年」としてみています。
この「失われた20年」は我々にとっては甘んじて引き受けねばならない事態だったのでしょうか?そうではありません。私の主張は、過去20年間の経済停滞に大きな影響を及ぼしたのは経済政策の失敗ではないか、ということにあります。
「経済政策の失敗」は様々な視点から考察することが可能です。一つは経済政策の手段の視点ですが、政策には様々な主体が個々の意図を持ちながら行動した結果としても見ることが可能です。そうすると、経済政策の政策過程論、政治学としての側面も明らかとなります。更に、マクロ経済は幾多の政策の失敗と成功の経験から紡がれてきたものと理解すれば、政策担当者の思想の影響も無視できません。
我々は過去と未来という二つの時代の接点としての「現代」に生きています。現代を考えるには過去の事象を詳細に考察することが必要です。一方、望ましい未来を構想することで現代何をすべきかという視点も得られるでしょう。
主に経済の視点に立脚しつつ関連領域の幅を広げながら、実証的事実を大切に地道な議論を重ねていくこと、これが私の問題意識です。
【略歴】
1972年生まれ。愛知県常滑市出身。
2001年慶應義塾大学商学研究科修士課程(計量経済学専攻)修了。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員(2016年7月現在)。
1996年三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に入社して現在に至る。
専門は応用計量経済学、マクロ経済学、経済政策論。論文「我が国の経済政策はどこに向かうのか-「失われた10年」以降の日本経済」で藤原書店主催第4回河上肇賞本賞受賞(2008年度)、『日本の「失われた20年」』(藤原書店)で第2回政策分析ネットワーク シンクタンク賞受賞(2011年度)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
・・・甘かった。
この本、それなりの予備知識無しでいきなり読むには見た目と内容の濃度にギャップがあり過ぎますw
私の様な背伸びしちゃった人向けレビューを。
私の場合、高度で無駄のすくない論展開に思ったような読書ペースでは進まず、基本的な部分の理解が足りないのを思い知りました(それだけでも結構有益)。とりあえず、半ばも読まないまま本棚の本書には手が伸びなくなってました。
テーマに沿って最低2冊は複合的に購入して、(なるべく)読破する様にしているので、本書と同時期に購入した金融政策について批判的な著書(内容納得できないので割愛)の他、筆者と近い観点で、以前読んだものも初心者との対話形式で分り易く好感があったため同時期に購入した若田部昌澄氏の「もうダマされないための経済学講義」から読んでみました。
他のレビューになってしまいそうですが、読破後にその中で紹介されていた「歴史が教えるマネーの理論(飯田泰之氏)」を購入。それも読み終えてから本書を読み、ようやくそこそこのペースで読め、何とか読み終えられました。本書を含め3冊を纏めると
・もうダマされないための経済学講義(若田部昌澄氏)⇒経済学入門、近代経済史。特に戦後日本のマクロ経済の検証
・「歴史が教えるマネーの理論(飯田泰之氏)」⇒古典派から現代までマネー(貨幣数量説)の説明。特に江戸時代の貨幣論は面白い
・本書⇒お金の世界経済史。円の行方の前に、世界大恐慌〜今の日本のデフレまで。歩んできた道を検証していく段階で各国の為替、国際取引制度の変化とその内容を知る事が出来ます(それを論理的かつ詳細な資料と検証しながらこのサイズに凝縮されれば読み進めるのに苦労するわけですね)。
となるでしょうか。
経済学は経験科学といわれるそうで、経済史としての歴史の検証は重要な意味を持ちます。
私自身歴史が好きというのもありますが、史実から説明される事で理解が深まるのは確かですね。
「もうダマされないための〜」は経済学とは何か入門者から分かるように丁寧に述べられていますし、本書と共通するのは近代史の特にWW1終戦辺りからの戦中期(戦前、中、後の期間)に触れている事です。
貨幣的現象や為替のメカニズムなどの掴みとして「歴史が教える〜」は良いと思いますし、後者になるほど難易度が上がります。
為替や金融政策は中々難解ですけど、他の著書でもレビューなどを参考に、私ような正式に経済学を学んでいないドンキホーテな人は初級→中級の後の「上級」として奨めます。
難しいさを強調して「反販促レビュー」みたいになりましたけど、いつか読むつもりで購入しておいて損はしないと思います。ポジティブに述べますと、論文や報告書などでよく用いられる、まず結論から入るという展開の著書は都合の良いものを集めるバイアスが強くなり、特に読者側の思考にはいい影響ではないと思ったりします。
本書(のみならず経済学的思考法ゆえなのでしょうけど)は「状況把握」→「検証」→「反証」→「結論」といった展開です。共に検証を進めていく容なので前者に比べ読者に先入観を与えず、その分読み出しから結構ハードルは高い。しかし、「結果の分かっているスポーツの録画」や「犯人や手口が分かっている推理小説」がつまらない様に読み物としての面白さもあり私は好きですね。その内容と思考トレーニングとしても読み終えて後悔する事は無いはずです。
批判的に読んだとして、公正な内容と論展開だと思いますが、公正と言う面で一つだけ気になったのはデフレに対する短期及び中長期のアンケートの資料に2011年の物を挙げていた点です。その年の相場には震災と原発事故が大きく影響していて特異な例と思われるので、際立った例は説得力がある反面それのみを持って述べると極端な根拠として批判対象になるのではないかと。他にもう一つくらい平年のデータなどがあると良かったと思う。といっても現在円高の良し悪しなど(一部の「円崇拝教」みたいな人達を除き)相当な人に明らかな答えなので筆者には重要な事でなくアホらしい解説かも。
とにかくしつこいですが、見た目から想像するよりはるかに濃い内容です。読破に相当労力と時間を要した点で逆切れ的に一つ星を減らしますw
しかし、これを読めば(本書の内容を理解できたならば)デフレ、円高、為替、貨幣が経済にどのような影響を与えるか。近代の世界は貨幣、通貨とどう向き合ってきたかがよく分かります。
そして、つまりそれは日本の閉塞感はどう打破すればいいのか、具体的に考えられるようになるという事。レビュー作成している今、タイムリーな「インフレ目標政策」と「それがどういうモノでなぜ必要か」の理解。
もちろん「安倍自民党総裁の金融政策の発言」その是非についても一段も二段も深く有益な知識を得られる確かな1冊です。
著者がマネタリズムに毒されていると考える理由を、貴著のp066頁にある記述を下記のごとく提案させて頂くことによって、おくみとり下さい。
'ア(自国の予想物価/外国の予想物価)がある一定値で不変の場合、を下記のように書き換えること。
(自国の予想付加価値生産力/外国の予想付加価値生産力)・・・(以下同様)、
'イ 上と同様に、予想物価を 予想付加価値生産力 と書き換えること。
著者は分っていると言うと思うが、頼むから世間に誤解を与えるような政策を公開しないでほしい。自国の自立性があって、グローバリズムが成り立つと私は言いたいのである。
円高の原因は何か。為替レートに影響を与えるものは何か。「過度な円高」とは何か。デフレと円高を止めるために何をすべきか等々の経済問題について、著者が内外の公的機関がリリースした諸資料を独自の視点から整理し、自らグラフ化して解説している。このグラフ、なかなかの労作である。
第1章で「為替レートを考える際の6つのポイント」を提示し、この後、本書は終始このポイントを解説してゆくことになる。その際、為替レートに影響を与えるものとして、物価上昇率、名目金利、予想物価上昇率を挙げ、さらにマンデルのいう「国際金融のトリレンマ」、すなわち為替レートの安定化、国際資本移動の自由化、そして独立した金融政策について、すべて同時には成り立たないということ、これらの概念も終始一貫してブレなく使われる。
これだけではない。
為替相場制度の変遷についても詳しい。金本位制度、ブレトンウッズ体制、第一次フロート制、スミソニアン体制、そして現在まで続く変動相場制についても、「トリレンマ」をもとに解説している。
さらにプラザ合意後のあのバブル経済。なぜバブル経済が起きてしまったのか、このあたりの解説は実に鋭い。ここまで端的に切り込んだ類書はまずないのではないか、実に清々しい。終始一貫した論理が貫かれている。
本書は「です」「ます」調の優しい言葉で書かれているが読みこなすのには相当の努力がいる。ひとすじなわではいかない。ボリュームもある。メモを取りながら、さらには日銀のHPを開きながら。それくらいの努力を要しても、本書を読み込む意義は十分にある。
しかし何故、財務省も日銀も思い切った金融緩和策を推し進めないのかと考えた時、
結局は円安が進み、輸入価格の高騰に伴うインフレが高進し、デフレと経済不況の中で
政策金利を引き上げても、インフレを止められないという恐怖感にとらわれているからではないでしょうか。
つまり狂乱物価、バブル経済の経験の中で、財務省も、日銀も「羹に懲りて膾をふかす」という心境になっている
のではないでしょうか。
この本を読んで、輸入は円安レート、輸出は円高レートの二重レート制がとれないものかと思いました。
言い換えれば、輸出には製品の付加価値に見合った輸出税を掛けるということです。
日本の個人金融資産は約1500兆円あり、その内現金と銀行預金の合計は800兆円を超えます。
為替市場でこのお金を動かせば、一方的な円高に悩まされる事は無いように思いますが。
この著者の40歳の若さの将来に期待いたします。
本に見えてしまうところがあります。実際、「マンデル=フ
レミング効果」や「国際金融のトリレンマ」などのモデル理
論を援用しての議論には説得力があり、すっかりその気
になってしまう読者もいるはずです。
わたしも、著者が提案するようインフレ目標を定め、強
力な金融緩和を継続するならデフレ退治もでき、あるいは
景気回復もできるかもしれぬと思います。でも、パナソニ
ックやシャープの不振に象徴される製造業の地盤沈下を
放置したまま築かれる国民経済の姿は、あのいまわしい
金融資本主義でしかないであろうし、そこでは我々生活民
の貧富の格差は今以上に拡がるのだろうと思います。ジョ
セフ・E・ステイグリッツ『世界の99%を貧困にする経済』2012
★★★での、不平等は経済を長期低迷させるという言葉
を思い出しましょう。
ここは思案のしどころです。例えば、水野和夫・萱野稔人
『超マクロ展望世界経済の真実』2010 集英社新書 が提
示するように、人口減に加え米欧と中国など新興国に挟
まれ今後は成長など望めぬというなら、せめて環境保護
や福祉サービスなど得意分野のビジネスを重点化して、
その結果得られた富を多くの人で均しく享受する、そんな
無理のない経済立国もありだと思うのです。
著者のクリティシズム、鋭利な刃物のように切れ味抜群
で気持はよいのですが、読後寒々しい思いが残ったことは
否定できませんでした。
○財政の硬直化が否応なしに進行する日本が、通貨急落に直面するシナリオ
○法改正し、FRBと同じく雇用最大化の目標を課せば日銀はどう変わるか
○原田泰氏の提唱する韓国ウォンへの積極介入を行えばどうなるか
『なぜ日本経済はうまくいかないのか』
単純明快な答えの出る筈のない通貨や為替の分野で余りにも予定調和的な論旨に運びたがる内容にも違和感を感じた。経済学は社会科学と称しているが思想布教まがいの事例も少なくなく、一種のイデオロギーに感染し易い分野でもある。特に日銀の政策に関しては当書とは別の見解も確認する必要性を感じる。
Data:読み込み度【走り読み】社会的重要性【Political bias】 入手元【書店】 お薦め度【Critical Read】
円という通貨の価値の上昇や下落は、言うまでもなく日本の経済に、そして日本人の暮らしに大きな影響をもたらす。それを動かしたものは何だったのか。日本の通貨制度や、通貨変動のトレンドを変えた事件やできごと、そしてその影を貫いて流れる日本の通貨当局の政策に、歴史的・経済的視点から光を当てた力作。
これだけの濃い内容を、このレビューで簡単にまとめることはできない。むしろ、圧倒的なデータの裏付けとともに著者の語る、円という通貨の激動の歴史に、ともに押し流されることを楽しみたい。
そして、そこから円の、そして日本という国の行く末も見えてくる。