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額田女王 (新潮文庫) 文庫 – 1972/11/1
井上 靖
(著)
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絶対権力者とその弟、史上空前の三角関係。彼女が本当に愛したのは……。
万葉随一の才媛の生涯を綴り、古代人の心を探る。井上歴史文学の白眉。
大化改新後の激動する時代、万葉随一の才媛で“紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)"とうたわれた額田女王をめぐる大ロマン。朝鮮半島への出兵、蝦夷征伐、壬申の乱……と古代国家形成のエネルギーがくろぐろと渦巻く中で、天智・天武両天皇から愛され、恋と動乱の渦中に生きた美しき宮廷歌人の劇的で華やかな生涯を、著者独自の史眼で綴り、古代人の心を探った詩情ゆたかな歴史小説。
本文より
一度神の声を聞いてしまった者には、人間の声などさして興味も関心も持てないのである。自分が作る歌は、すべて神の声である。この国の悦びや悲しみ、この国に生きる人たちの悦びや悲しみ、それを神の御心にはいって詠い上げるのである。いつも、それは滔々(とうとう)たる大河の流れの調べを持っていなければならなかった。この国や国人の運命に通じているからである。
額田女王は二人の求愛者をまいてしまうと、台地の端しの闇の中で、神の声を聞く作業にはいっていた。……(「白い雉(きじ)」、本書43ページ)
本書「解説」より
額田女王の采女(うねめ)的・巫女(みこ)的性格に焦点を当てたのは、折口信夫で、その説をも取り入れながら女王についての詳細な研究を展開したのは、谷馨氏であった。井上氏のこの作品は、この折口・谷的方向に沿って額田女王の像を組み立てている。もちろん氏は小説家だから、史実を離れて作者の空想は天翔けっているが、氏の描き出す額田女王像には、世のつねの男女の生活倫理では律しがたい、采女的存在であるがゆえに取らねばならなかった宿命がただよっている。
――山本健吉(文芸評論家)
井上靖(1907-1991)
旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(1969年)、「孔子」での野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章した。
万葉随一の才媛の生涯を綴り、古代人の心を探る。井上歴史文学の白眉。
大化改新後の激動する時代、万葉随一の才媛で“紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)"とうたわれた額田女王をめぐる大ロマン。朝鮮半島への出兵、蝦夷征伐、壬申の乱……と古代国家形成のエネルギーがくろぐろと渦巻く中で、天智・天武両天皇から愛され、恋と動乱の渦中に生きた美しき宮廷歌人の劇的で華やかな生涯を、著者独自の史眼で綴り、古代人の心を探った詩情ゆたかな歴史小説。
本文より
一度神の声を聞いてしまった者には、人間の声などさして興味も関心も持てないのである。自分が作る歌は、すべて神の声である。この国の悦びや悲しみ、この国に生きる人たちの悦びや悲しみ、それを神の御心にはいって詠い上げるのである。いつも、それは滔々(とうとう)たる大河の流れの調べを持っていなければならなかった。この国や国人の運命に通じているからである。
額田女王は二人の求愛者をまいてしまうと、台地の端しの闇の中で、神の声を聞く作業にはいっていた。……(「白い雉(きじ)」、本書43ページ)
本書「解説」より
額田女王の采女(うねめ)的・巫女(みこ)的性格に焦点を当てたのは、折口信夫で、その説をも取り入れながら女王についての詳細な研究を展開したのは、谷馨氏であった。井上氏のこの作品は、この折口・谷的方向に沿って額田女王の像を組み立てている。もちろん氏は小説家だから、史実を離れて作者の空想は天翔けっているが、氏の描き出す額田女王像には、世のつねの男女の生活倫理では律しがたい、采女的存在であるがゆえに取らねばならなかった宿命がただよっている。
――山本健吉(文芸評論家)
井上靖(1907-1991)
旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(1969年)、「孔子」での野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章した。
- 本の長さ624ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1972/11/1
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101063192
- ISBN-13978-4101063195
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猟銃・闘牛 | 敦煌 | あすなろ物語 | 風林火山 | 氷壁 | 天平の甍 | |
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【新潮文庫】井上靖 作品 | ひとりの男の十三年間にわたる不倫の恋を、妻・愛人・愛人の娘の三通の手紙によって浮彫りにした「猟銃」、芥川賞の「闘牛」等、3編。〈芥川賞受賞〉 | 無数の宝典をその砂中に秘した辺境の要衝の町敦煌──西域に惹かれた一人の若者のあとを追いながら、中国の秘史を綴る歴史大作。〈毎日芸術賞受賞〉 | あすは檜になろうと念願しながら、永遠に檜にはなれない”あすなろ”の木に託し、幼年期から壮年までの感受性の劇を謳った長編。 | 知略縦横の軍師として信玄に仕える山本勘助が、秘かに慕う信玄の側室由布姫。風林火山の旗のもと、川中島の合戦は目前に迫る……。 | 前穂高に挑んだ小坂乙彦は、切れるはずのないザイルが切れて墜死した──恋愛と男同士の友情がドラマチックにくり広げられる長編。 | 天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した五人の若い僧──鑒真来朝を中心に歴史の大きなうねりに巻きこまれる人間を描く名作。〈芸術選奨受賞〉 |
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蒼き狼 | 楼蘭 | 風濤 | 額田女王 | 後白河院 | 幼き日のこと・青春放浪 | |
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全蒙古を統一し、ヨーロッパへの大遠征をも企てたアジアの英雄チンギスカン。闘争に明け暮れた彼のあくなき征服欲の秘密を探る。 | 朔風吹き荒れ流砂舞う中国の辺境西域──その湖のほとりに忽然と消え去った一小国の運命を探る「楼蘭」等12編を収めた歴史小説。 | 朝鮮半島を蹂躙してはるかに日本をうかがう強大国元の帝フビライ。その強力な膝下に隠忍する高麗の苦難の歴史を重厚な筆に描く。〈読売文学賞受賞〉 | 天智、天武両帝の愛をうけ、”紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)”とうたわれた万葉随一の才媛、額田女王の劇的な生涯を綴り、古代人の心を探る。 | 武門・公卿の覇権争いが激化した平安末期に、権謀術数を駆使し政治を巧みに操り続けた後白河院。側近が語るその謎多き肖像とは。 | 血のつながらない祖母と過した幼年時代──なつかしい昔を愛惜の念をこめて描く「幼き日のこと」他、「青春放浪」「私の自己形成史」。 |
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戦乱の春秋末期に生きた孔子の人間像を描く。現代にも通ずる「乱世を生きる知恵」を提示した著者最後の歴史長編。〈野間文芸賞受賞〉 | 野草の匂いと陽光のみなぎる、伊豆湯ヶ島の自然のなかで幼い魂はいかに成長していったか。著者自身の少年時代を描いた自伝小説。 | 両親と離れて暮す洪作が友達や上級生との友情の中で明るく成長する青春の姿を体験をもとに描く、『しろばんば』につづく自伝的長編。 | 高校受験に失敗しながら勉強もせず、柔道の稽古に明け暮れた青春の日々──若き日の自由奔放な生活を鎮魂の思いをこめて描く長編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1972/11/1)
- 発売日 : 1972/11/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 624ページ
- ISBN-10 : 4101063192
- ISBN-13 : 978-4101063195
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 181,075位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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(1907-1991)旭川市生れ。
京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。
「天平の甍」での芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(1969年)、「孔子」での野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章した。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年8月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自他共に許す神の歌人として生きた額田女王の、動乱の時代の目撃譚。凄い。
2021年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
30年前に文庫本で読んだことあり、また読みたいが老眼で細かい文字は辛く…大きい本を探していました。
状態はまあまあ。古い感じは仕方ないけど、他では見つけられずAmazon有難いです❣️
状態はまあまあ。古い感じは仕方ないけど、他では見つけられずAmazon有難いです❣️
2021年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
飛鳥時代末期といえば、乙巳の変に始まる「大化の改新」により社会に大変動が起こり、白村江の戦いで倭国が唐・新羅連合軍に大敗して国中が動揺し、近江宮への慌ただしい遷都により社会不安が増大するなかで天智天皇と大海人皇子(後の天武天皇)との対立が次第に募っていき、ついに政治的不和がピークを迎えて壬申の乱に至るといった、日本史の中でも最も大きな激動の時代のひとつです。そんな時代の真っ只中に生き、兄弟でもありライバルでもある天智と天武の二人の天皇から愛された天才女性歌人の波乱万丈の生涯やいかに!と期待してこの本を読むとみごとに肩透かしを食らわされるかもしれません。
この作品に登場する額田女王はどこまでも控えめで分をわきまえ、あれこれと人の心を気遣いつつ堂々巡りの思いに囚われ、自らはなにひとつ主体的に発言もせず、具体的行動も起こさなず、なんとなく運命に翻弄されるままにふわふわと生きていく、あまり魅力的とはいえない女性です。ですから歴史とはうらはらにドラマティックな出来事はなにもおこりません。国家を危機に陥れた半島での敗戦も、骨肉相食む古代史最大の内乱も、主人公の内面にとってはたいして大きな意味を持たない余所事のうちにいつの間にか終結してしまい、彼女はただただ身内の人々の思惑に気をつかって悶々と思い悩み祈っているだけです。肉親どうしの呪わしい嫉妬や憎悪も、権力にとりつかれた人間の妄執も、自らを破滅に導くような激しい恋慕も、戦争の悲惨も民衆の苦しみもこの物語の内には見いだせません。
せめて蒲生野の遊猟の際に詠まれた「野守は見ずや…」「人妻ゆえに…」の大海人皇子との恋歌の危ない遣り取りくらいは劇的展開になるかと思えば、全くそうはならず、それがとても残念に感じられるのは、すでにわれわれが派手なストーリー展開や自己主張の強い魅力的なヒロインたちの活躍に慣れきってしまっているからでしょうか。
この作品に登場する額田女王はどこまでも控えめで分をわきまえ、あれこれと人の心を気遣いつつ堂々巡りの思いに囚われ、自らはなにひとつ主体的に発言もせず、具体的行動も起こさなず、なんとなく運命に翻弄されるままにふわふわと生きていく、あまり魅力的とはいえない女性です。ですから歴史とはうらはらにドラマティックな出来事はなにもおこりません。国家を危機に陥れた半島での敗戦も、骨肉相食む古代史最大の内乱も、主人公の内面にとってはたいして大きな意味を持たない余所事のうちにいつの間にか終結してしまい、彼女はただただ身内の人々の思惑に気をつかって悶々と思い悩み祈っているだけです。肉親どうしの呪わしい嫉妬や憎悪も、権力にとりつかれた人間の妄執も、自らを破滅に導くような激しい恋慕も、戦争の悲惨も民衆の苦しみもこの物語の内には見いだせません。
せめて蒲生野の遊猟の際に詠まれた「野守は見ずや…」「人妻ゆえに…」の大海人皇子との恋歌の危ない遣り取りくらいは劇的展開になるかと思えば、全くそうはならず、それがとても残念に感じられるのは、すでにわれわれが派手なストーリー展開や自己主張の強い魅力的なヒロインたちの活躍に慣れきってしまっているからでしょうか。
2021年2月23日に日本でレビュー済み
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毎日新聞の夕刊に連載中の小説の内容が額田王が主人公のものだったので、合わせて読んでみようと思ったので購入しました。長編だったけど興味深く読み進めました。さすが井上靖さんだと感じました。
2021年12月2日に日本でレビュー済み
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万葉集と共に物語が進んでいるところがよかった。熟田津の歌が印象的だった。
2019年9月28日に日本でレビュー済み
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物語は『日本書紀』の大化の改新後の孝徳紀、斉明紀、天智紀、天武紀(上)の記述に沿って進みます(なお、並行して適宜『日本書紀』の該当箇所も読みました)。天智と天武については書紀に事績などは記述されていますが、人となりはあまり分からず、また額田王(『万葉集』での表記)にいたっては、天武紀に大海人(天武)との間の十市皇女の母としての「額田姫王」としてしか出てこないんですが、作者は、白村江の戦い、近江遷都、壬申の乱などの大きな出来事と、『万葉集』の額田王と、天智、天武3者の歌から、この3人の関係をつぶさに想像していきます(さらに有間皇子の人物造形も非常に素晴らしく、「陽狂(うはりくるひ)す」(=心の病を装う)の場面も非常に印象に残ります。)。
解説にもありますが、額田王の有名な歌の「熟田津に」、「味酒三輪の山」、「茜指す」、天智への挽歌「やすみしし わご大君」などを、それまでの国文学者の解釈とはかなり異なる解釈で、しかも額田王のその時々の心情に無理なく効果的に落とし込んでいて、(小説に有名な歌や俳句を取り込むのはもの凄く難しいと思うのですが)非常に説得力があり、さすが詩作も行っていた、(昔の)芥川賞作家井上靖ならではの歴史小説だなあと思い、たいへん感銘を受けました。
ちなみに、これまで飛鳥時代関係の歴史書や万葉集の解説書はそこそこ読んできて、「白村江の戦い」や「壬申の乱」などのキーワードは何度も目にしてきたのですが、恥ずかしながらリアルに想像したことなど、これまで一度もありませんでした(「壬申の乱」のときに、大津宮の中がどんな感じだったかなんて考えてみたこともありませんでしたが、この小説では、戦いの行方に心を震わせながら、言葉もなくじっと耐え続けていた額田女王や天智と天武の両方の妃たち、そして大友皇子の妃十市皇女の心情が非常にリアルに描かれています。歴史小説の醍醐味とは、こういうところなんでしょうね。)。
解説にもありますが、額田王の有名な歌の「熟田津に」、「味酒三輪の山」、「茜指す」、天智への挽歌「やすみしし わご大君」などを、それまでの国文学者の解釈とはかなり異なる解釈で、しかも額田王のその時々の心情に無理なく効果的に落とし込んでいて、(小説に有名な歌や俳句を取り込むのはもの凄く難しいと思うのですが)非常に説得力があり、さすが詩作も行っていた、(昔の)芥川賞作家井上靖ならではの歴史小説だなあと思い、たいへん感銘を受けました。
ちなみに、これまで飛鳥時代関係の歴史書や万葉集の解説書はそこそこ読んできて、「白村江の戦い」や「壬申の乱」などのキーワードは何度も目にしてきたのですが、恥ずかしながらリアルに想像したことなど、これまで一度もありませんでした(「壬申の乱」のときに、大津宮の中がどんな感じだったかなんて考えてみたこともありませんでしたが、この小説では、戦いの行方に心を震わせながら、言葉もなくじっと耐え続けていた額田女王や天智と天武の両方の妃たち、そして大友皇子の妃十市皇女の心情が非常にリアルに描かれています。歴史小説の醍醐味とは、こういうところなんでしょうね。)。