不穏なピアノのメロディーが全体を包み込み、その中からデス声で産声を上げるボーカル。と書くと恐ろしいバンドに聞こえるが、パンクのキャッチーなメロで本能と言うべき性欲を爆発させるバンド、ミドリ。実はポップ感も非常に高く否が応でも耳にこびりついてしまう。もちろん全体的には爆音で飛ばしてるが、「あたしのお歌」は童謡にさえ聞こえるし、時折入る合いの手はかわいらしい。この「セカンド」は多くの人に届くべきだ。
何にも知らない心がピュアなのではなく、何かを知って尚偽らず素直でいようとするのがピュアの本当の強さではないか。純粋なものほど危うい。ミドリの、後藤まりこの歌は、心に渦巻くドスグロいピュアの塊。純粋だから「あたしを惑わすあんた」を知りたいと、ただセックスがしたいと、腹が立てばアホボケカスと、叫ぶのだ。
それぐらい後藤まりこは強い女で、弱さを知っているかわいい女の子だ。ついでに彼女は目の力も凄味がある。引き付けられる。
本気で歌ったらこんな名盤ができた。この名曲たちを「ディス イズ ミュージック」と説明しなければ解らないほど日本人の耳は腐ってなければいいが。
頭まで腐ってしまう前に聴け