戦記物を読み始めて数年経ち、この本に辿り着きました。
劣悪邪悪な作戦で末端兵士を虫のように殺した上に自分だけ生き残った卑劣な海軍上層部が反省会したところで碌な話があるものか、どうせ自分達を擁護する言い訳ばかりだろうとタイトルを見ただけで憤怒な気分になり、ずっとスルーしてました。
また、それをネタにした作家の対談だし、あんまり面白くなさそう、というのもスルーの要因でした。
ただ今回、なんとなく読んでみたところ、なかなかどうして今まで読んだ事のない話が色々あり非常に興味深い内容でした。
元々、生き残った海軍上層部が内輪話のみに留める趣向だった事で本音話が漏れているようです。
また終盤に、
【中継ぎ世代の任 代わりに言う】
と言う章があり、ここでの戸髙氏の話には非常に共感するものがありました。
抜粋以下、
戦争体験記だけを出していたある出版社の社長の中村さんの話。
戦争で苦労したとか、大変だったとかいう人がいるけど、あれは嘘。
本当に大変だった人は、そこで死んでいる。
生きている人は、生きているじゃないか。
本当に運が良かった人だけが、大変だったとか苦労したとか言える。
本当に伝えなければならないのは、亡くなった人のこと。だから自分は戦争体験記を出している。それは、その人の体験ばかりでなくて、亡くなった人のことを書いてもらうために、戦記を書いてもらっているんです。
本当につらい思いをして死んだ人は、何も言えないんです。
抜粋以上
私も、10年ほど前でしょうか、ネットのニュースで高齢者女性が戦争のせいで家が燃えたから賠償しろと国を相手に訴訟を起こした、と言うのを見て、なんか不快な気分になり、思わず隣の席の同僚に、
「本当に可哀想なのは死んだ人だよ。もの言えない死んだ人だよ。死んで骨になっても今だに帰れない人も沢山いるのに。そういう人たちの事を考えたら家が燃えたで今頃賠償しろって何だろう。」と漏らした事がありました。
再び以下抜粋
【戦争体験の物語化への危惧】
だんだんこの貴重な戦争体験、本当にやってはならない戦争の体験というものがいま、物語になってきている事を、危惧している。
そんなおもしろいものじゃない。
昭和を勉強し、読むこと、そして書くことは、そんな楽しいことではなくて、つらい事。
物語としての昭和史はいらない。
抜粋以上
ただしこれに関しては、読みやすい物語を入り口に昭和史やあの戦争に興味を持ち、本当はどうだったのだろうと深掘りを始める人も一定数いるでしょうし、そういう人たちの中から将来、新たな史実を掘り出したり、その先の世代に繋いでくれる人が出てこないとも限らないと思うので、それはそれで入り口の役割を担うと言う事でメリットもあると思いました。
逆にエンターテイメントとして楽しむだけの人もいると思います。
最近、就活年齢の大学生と話す機会がありましたが、こう言ってました。一応、都内の名門大学。
「俺ら、日本を良くしようなんてコレっぽっちも思ってない。自分だけ生きていければいいから公務員になりたい。」
こういう若者ばかりではないと思ってますが、こういう若者が主流になれば、この国はいずれはなるようしかなりませんね。
著者の三名のうち、半藤氏は知っていましたが、他のお二人は初めてでした。
これからこのお二人の著書も読んでみたいと思います。
また、戦争体験記だけを出していたある出版社 というのはどこなのか、知りたいと思い最後のページまで探しましたが分かりませんでした。
思い当たる方がいらっしゃいましたら教えて頂けたら幸いです。
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日本海軍はなぜ過ったか――海軍反省会四〇〇時間の証言より 単行本 – 2011/12/7
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勝算もなく、戦争へ突き進んでいったのはなぜか。「国の将来なんか考えるよりも、自分の局部局部でやりまして」「本当に検討されず、どんどん勢いに流されていった」――。太平洋戦争の作戦立案をした海軍トップエリートたち。その生の声を記録した「海軍反省会」録音テープによって、はじめて明かされる日米開戦の内実。その衝撃をめぐる白熱の鼎談。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2011/12/7
- ISBN-10400024289X
- ISBN-13978-4000242899
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2011/12/7)
- 発売日 : 2011/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 192ページ
- ISBN-10 : 400024289X
- ISBN-13 : 978-4000242899
- Amazon 売れ筋ランキング: - 567,407位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1930年、東京・向島生まれ。
東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。松本清張、司馬遼太郎らの担当編集者をつとめる。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、取締役などをへて作家。「歴史探偵」を名乗り、おもに近現代史に関する著作を発表。
著書は『日本の一番長い日』、『漱石先生ぞな、もし』(正続、新田次郎文学賞)、『ノモンハンの夏』(山本七平賞)、『幕末史』など多数。『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。
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ノンフィクション作家。1930年東京に生まれ、4歳で渡満。敗戦の翌年引揚げる。1949年中央公論社経理部員となり、早稲田大学第二文学部に学ぶ。卒 業後『婦人公論』編集部へ転属。63年、編集次長で病気退職、のち五味川純平氏『戦争と人間』の資料助手。72年『妻たちの二・二六事件』刊行、73年、 フリーのライターに。『火はわが胸中にあり―忘れられた近衛兵士の叛乱 竹橋事件』(第五回日本ノンフィクション賞)(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 きもの箪笥 (ISBN-13: 978-4473036506 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年2月4日に日本でレビュー済み
いわゆる大企業に勤めてますが、同じようなことが日々行われているように感じてなりません。
セクショナリズム、自組織の論理が絶対で他を受け付けない、過去の栄光にしがみつき、冷静に競合分析しない。 声の大きな人の意見が通るなどなど。
その結果なんでこんな商品開発したのみたいなものが出来上がってしまう。だれがどう考えてもちがうでしょうみたいな。今から考えればなんでアメリカなんかと戦争したの?勝てるわけないでしょうと同じことが頻繁に起こってます。違うと思ったら恐れず声を上げる。その姿勢が少しづつ組織を変えていくと信じて。頑張らないといけません。
セクショナリズム、自組織の論理が絶対で他を受け付けない、過去の栄光にしがみつき、冷静に競合分析しない。 声の大きな人の意見が通るなどなど。
その結果なんでこんな商品開発したのみたいなものが出来上がってしまう。だれがどう考えてもちがうでしょうみたいな。今から考えればなんでアメリカなんかと戦争したの?勝てるわけないでしょうと同じことが頻繁に起こってます。違うと思ったら恐れず声を上げる。その姿勢が少しづつ組織を変えていくと信じて。頑張らないといけません。
2020年6月10日に日本でレビュー済み
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現在の学校教育では、まだ近現代史を時間が足りないという理由で、授業に取り入れていないと聞いております。
だとすれば、親はまず自分でこの本を読んでみて欲しい。そうすれば、必ず子供にも副読本としてこの本を読ませたくなると思います。戦争に至った、また政治家、軍部指導者などの実態・深層を、知るというより感じ取れると思います。このような本があったというのは奇跡でしょう。日本の負の遺産として、大切に後世へ語り継がれるべきものと思う次第であります。
だとすれば、親はまず自分でこの本を読んでみて欲しい。そうすれば、必ず子供にも副読本としてこの本を読ませたくなると思います。戦争に至った、また政治家、軍部指導者などの実態・深層を、知るというより感じ取れると思います。このような本があったというのは奇跡でしょう。日本の負の遺産として、大切に後世へ語り継がれるべきものと思う次第であります。
2018年12月5日に日本でレビュー済み
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迅速な発送ありがとうございました。
新刊本と見間違うような装丁でした。内容は、現代の日本の電気産業の衰退が、日本海軍の組織の中に有った、組織の硬直化や派閥政治である!こと。実力主義でなく、ボス政治や年功序列、非科学的な考え方など。日本海軍が、日露戦争の成功体験に酔い。自滅していった。
新刊本と見間違うような装丁でした。内容は、現代の日本の電気産業の衰退が、日本海軍の組織の中に有った、組織の硬直化や派閥政治である!こと。実力主義でなく、ボス政治や年功序列、非科学的な考え方など。日本海軍が、日露戦争の成功体験に酔い。自滅していった。
2016年5月5日に日本でレビュー済み
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作家の皆様の事後論評で、「なぜ過ったか」を論ずることはとても無理ではないでしょうか。また、結果に対して「ああしたほう」が「こうしたほう」がをいい論は、
一方的な判断であるため、誤解を受けやすいです。大東亜戦争に対する多くの知識や鋭い指摘には、頭下がる思いでありますが、
断定的や軍部批判ばかりでは、趣旨が偏りすぎるのではないかと思います。作戦立案をした海軍トップのエリートたちと現場で戦っている兵士の
思いがいつの時代でも乖離していることが、大きな要因ではないでしょうか。
一方的な判断であるため、誤解を受けやすいです。大東亜戦争に対する多くの知識や鋭い指摘には、頭下がる思いでありますが、
断定的や軍部批判ばかりでは、趣旨が偏りすぎるのではないかと思います。作戦立案をした海軍トップのエリートたちと現場で戦っている兵士の
思いがいつの時代でも乖離していることが、大きな要因ではないでしょうか。
2012年1月3日に日本でレビュー済み
戦後、海軍関係者が「海軍反省会」と称して内輪の会合を多数回行い、その録音テープをもとに2009年、NHKの特別番組が放送された。本書は、その番組を受けて行われた鼎談の記録である。澤地氏と半藤氏は第二次大戦関連の著作も多く、戸高氏は戦後生まれながら、海軍反省会の事務方だったという経歴の持ち主である。本書であらためて明らかになったのは、軍隊と言う官僚組織の権化の暴走(当事者達はそうは思っていないのが怖い)が国を滅ぼす、という事実である。
東京裁判で、東条英機や多数の陸軍関係者が処刑されたのに対して、海軍関係者は一人も処刑されていない。開戦に対する海軍の責任が軽かったからでは必ずしもないことが、本書で明らかにされる。海軍反省会の出席者は、軍令部のトップクラスか艦隊の指揮官クラスであり、多くは戦闘の第一線に立つことなく敗戦を迎えた。出席者の発言は貴重な証言ではあるが、開戦や敗戦に対してどこか無責任で言い訳がましく、特攻作戦という死を覚悟の作戦を命じたことや、海底に散った無数の将兵への慙愧の思いはあまり伝わらない。「頭がいい」海軍だけに、敗戦の責任を免れるための巧妙な工作を行うなど、その狡猾さは陸軍といい勝負である。
本書を読んでも、つい70年前の史実を客観的に記録することの難しさを痛感する。海軍反省会の記録も別途出版されているが、その発言は、他の多くの史実ともクロスチェックしてはじめて評価が可能になる。
国を滅ぼす一翼を担った海軍とどうしても重なって見えるのが、東京電力福島第一原子力発電所の事故に至るまでの経緯と、現在に至る事故収束における東電、経済産業省、官邸、御用学者、マスコミの迷走振りである。外部からの批判を受け入れない官僚組織が国を滅ぼすのは昔も今も変わらないと、つくづく考えさせられた。旧軍関係者が初期の自衛隊幹部になり、その他の官僚組織も戦前とその体質は変わっていない。これ以上の「敗戦」を繰り返さないためにも、国民の目線による官僚組織の徹底的な改革と監視が不可欠である。
東京裁判で、東条英機や多数の陸軍関係者が処刑されたのに対して、海軍関係者は一人も処刑されていない。開戦に対する海軍の責任が軽かったからでは必ずしもないことが、本書で明らかにされる。海軍反省会の出席者は、軍令部のトップクラスか艦隊の指揮官クラスであり、多くは戦闘の第一線に立つことなく敗戦を迎えた。出席者の発言は貴重な証言ではあるが、開戦や敗戦に対してどこか無責任で言い訳がましく、特攻作戦という死を覚悟の作戦を命じたことや、海底に散った無数の将兵への慙愧の思いはあまり伝わらない。「頭がいい」海軍だけに、敗戦の責任を免れるための巧妙な工作を行うなど、その狡猾さは陸軍といい勝負である。
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国を滅ぼす一翼を担った海軍とどうしても重なって見えるのが、東京電力福島第一原子力発電所の事故に至るまでの経緯と、現在に至る事故収束における東電、経済産業省、官邸、御用学者、マスコミの迷走振りである。外部からの批判を受け入れない官僚組織が国を滅ぼすのは昔も今も変わらないと、つくづく考えさせられた。旧軍関係者が初期の自衛隊幹部になり、その他の官僚組織も戦前とその体質は変わっていない。これ以上の「敗戦」を繰り返さないためにも、国民の目線による官僚組織の徹底的な改革と監視が不可欠である。
2014年2月8日に日本でレビュー済み
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当時の人々には逆にわかり得ない当時の様子。どこが間違っていたのか、後世の人間の方がよくわかることもある。