「春の城」や「雲の墓標」、又海軍提督三部作に感銘を受け、全集を購入することにしました。
以下、収録作品を挙げておきますのでご参考にどうぞ。
1,年年歳歳
2,霊三題
3,巣立ち
4,八月六日
5,修介
6,蝙蝠
7,胡媚娘
8,光の潮
9,修介の年末
10,千日酒
11,江南揚柳
12,こけし
13,春の城
対談 谷川徹三と白樺派の人々 谷川俊太郎・阿川弘之
初出と初収録
「年年歳歳」は阿川さんの処女作で、中国で敗戦を迎えた主人公が復員して広島の故郷に無事帰って来た時の話です。「春の城」は初期の代表作にあたるもので、二作とも心に響く素晴らしい作品です。
又、「巣立ち」はタイトルからも想像がつくように、復員した阿川さんが谷川徹三氏や後に師事することになる志賀直哉氏を通じて、文学界に歩み出す過程が描かれています。
対談での話もなかなか興味深かったです。谷川俊太郎氏は徹三氏の息子さんで、阿川さんが志賀直哉氏や徹三氏に目をかけてもらっていた若い時分にはまだ小さな男の子だったそうです。阿川さんは海軍時代に徹三氏の奥様には自分の母親のように接していて、俊太郎氏のことも「俊ちゃん、俊ちゃん」と呼んで、お互いに家族のような間柄だったそうです。対談には盛り沢山な裏話があって非常に面白かったです。
「修介」と「修介の年末」は話が繋がっており、敗戦直後の日本の社会の現実が垣間見えるように感じます。真面目に生きようとしている修介ですが、あらゆる場面で何故かいつも貧乏クジを引かされているような、修介の人柄と性格がよく表れているように感じます。それでいて愛らしい、微笑ましい場面もあります。私はこの作品が非常に気に入っています。
「蝙蝠」は敗戦時の日本にとって、実際に起こり得た問題だろうと思います。
題名からはちょっと想像がつきませんでしたが、国の為に戦って最後まで責任を全うしようとする人間と、利己的で責任逃れをしようとする人間を対称的にうまく描かれています。人としての道徳や本質を何か問われているような印象深い作品で、これは思わず最後に唸ってしまいました。
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阿川弘之全集 (第1巻) 単行本 – 2005/8/25
阿川 弘之
(著)
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年年歳歳,霊三題,巣立ち,八月六日,修介,蝙蝠,胡媚娘,光の潮 他
- 本の長さ597ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/8/25
- ISBN-104106434113
- ISBN-13978-4106434112
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/8/25)
- 発売日 : 2005/8/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 597ページ
- ISBN-10 : 4106434113
- ISBN-13 : 978-4106434112
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,923,806位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,913位個人全集の全集・選書
- カスタマーレビュー:
著者について
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1920(大正9)年広島県生まれ。東大国文科を繰上げ卒業、海軍に入り、中国で終戦。戦後、志賀直哉に師事し、『春の城』、『雲の墓標』、『山本五十六』『米内光政』『井上成美』の海軍提督三部作などがある。『食味風々録』は読売文学賞受賞作品。1999年に文化勲章を受章。
カスタマーレビュー
星5つ中4.1つ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年1月27日に日本でレビュー済み
阿川弘之氏のエッセイを中心とする作品群の愛読者です。しかし、海軍を中心とする軍記物(?)と言える分野はどうにも優れた作物とは思えません。谷川徹三氏や志賀直哉氏が認めたと言われる「年年歳歳」を始めとする初期の作品群はどうかと読み始めました。特に自伝的作品と言われた「春の城」に関しては前から気にかかっていました。
結論としての印象は、「春の城」はまだ手習いの域を出ていません。学生時代の生活・恋愛から海軍予備少尉としての交友を青春小説のような筆致で描いていると思えば、突然軍艦の説明、そして暗号の解読の説明をくどい位に、時として読者を考えていないのではないかと思える様に得意気に記述するのには参りました。そして上海での軍隊生活を描いていると思えば、突然に広島の原爆投下後の悲惨な現地描写に移ります。一体作者は何を書きたかったのかと疑問を感じるのは自分だけでしょうか? 古い小説形式と片づけるよりも、やはり未熟と言わざるを得ません。
「春の城」の前に掲載されている「年年歳歳」から始まる12編の短編小説にしても、「こけし」以外には感心したものはありませんでした。「年年歳歳」も含め、むしろ、つまらないものばかりです。巻末の初出年表を見ると昭和21年から25年のものばかりで、まだ修行中の習作ともいえるべきものなのでしょう。この巻で読ませたものは、最後の「谷川徹三と白樺派の人々」という対談と小説というより参考資料の様な「巣立ち」と、前述の「こけし」でした。この作品は小説になっています。特に実の娘に女の性を感じ、布団の中で抱き寄せる描写などは、見事な描写で、これが、後半の湯治場での主人公の感慨を小説作品に仕上げています。
大の愛読者ではありますが、あくまでエッセイとの分野で、小説家としてはそれほどの作家とは思っていません。評伝「志賀直哉」はこの人でないと書けなかったでしょうが、岩波から全集を出せたのも、志賀直哉全集を発刊するにあたっての長年の貢献のためではと考えているのは少々失礼過ぎるでしょうか? この全集、活字は読みやすいですが、月報は無いようです。大衆小説とも言える「末の末っ子」の9巻を読み、初期作品である1巻から4巻までをこれで読むつもりです。しかし、退屈です。
結論としての印象は、「春の城」はまだ手習いの域を出ていません。学生時代の生活・恋愛から海軍予備少尉としての交友を青春小説のような筆致で描いていると思えば、突然軍艦の説明、そして暗号の解読の説明をくどい位に、時として読者を考えていないのではないかと思える様に得意気に記述するのには参りました。そして上海での軍隊生活を描いていると思えば、突然に広島の原爆投下後の悲惨な現地描写に移ります。一体作者は何を書きたかったのかと疑問を感じるのは自分だけでしょうか? 古い小説形式と片づけるよりも、やはり未熟と言わざるを得ません。
「春の城」の前に掲載されている「年年歳歳」から始まる12編の短編小説にしても、「こけし」以外には感心したものはありませんでした。「年年歳歳」も含め、むしろ、つまらないものばかりです。巻末の初出年表を見ると昭和21年から25年のものばかりで、まだ修行中の習作ともいえるべきものなのでしょう。この巻で読ませたものは、最後の「谷川徹三と白樺派の人々」という対談と小説というより参考資料の様な「巣立ち」と、前述の「こけし」でした。この作品は小説になっています。特に実の娘に女の性を感じ、布団の中で抱き寄せる描写などは、見事な描写で、これが、後半の湯治場での主人公の感慨を小説作品に仕上げています。
大の愛読者ではありますが、あくまでエッセイとの分野で、小説家としてはそれほどの作家とは思っていません。評伝「志賀直哉」はこの人でないと書けなかったでしょうが、岩波から全集を出せたのも、志賀直哉全集を発刊するにあたっての長年の貢献のためではと考えているのは少々失礼過ぎるでしょうか? この全集、活字は読みやすいですが、月報は無いようです。大衆小説とも言える「末の末っ子」の9巻を読み、初期作品である1巻から4巻までをこれで読むつもりです。しかし、退屈です。