タイトルの通り、ネットメディアのトップスターのインタビュー集を集めた一冊です。ネットメディアにそれなりに触れている人から見れば、かなり豪華なメンツが揃っています。一方で、テレビなどのマス媒体中心の人たちから見れば、NHKの方を除けば、「誰だこいつら？」という方たちなのでしょう（笑）。
インタビュー中心ではありますが、決して浅い内容ではなく、かなり深いレベルまで切り込んでおり、著者＆インタービューアーの方の愛と知識がよく伝わってくる内容です。ここで取り上げられている「トップスター」のほとんどは、会社ではなく、個人、もしくは個人に毛の生えた程度の組織レベルでメディアを立ち上げて運営している人たちばかりです。その意味でも、多くの読者にとっては感情移入をして読みやすいのではと思います。
そんなトップスターたちが、どのような考えで自分たちの思いをウェブメディアを通して伝えていき、有名になってきたのか。何がブレイクの原因だったのか。はたまた、ウェブメディアを通した現実の稼ぎはどんなものなのか。リアルな仕事との両立はどのような形で行われているのか。などなど、個々人の生活にまで踏み込んだディープな内容になっています。
個人的に気にならざるを得なかったのが、ものすごくたくさんの読者を集めているメディア運営者の多くが、特に「SEO（検索エンジン対策）」などのマーケティング技術を駆使している様子が見られない点。（例外もあり）また、ものすごくたくさんの読者がいるにもかかわらず、多くのウェブサイトが収益化から程遠いところにある点です。
いろいろ偶発的な要素があるのは間違いないのですが、彼らが多くの読者やファンを集めるためには、やはり質の高いコンテンツや、マメな更新など、「コンテンツ力」と「愛」が必要であること。また、アクセスが多いウェブサイトが直ちに「儲かるサイト」になるわけではないということが本書を読むとよくわかります。（理由についてはあえて割愛）
私も、たくさんアクセスがあっても全く金にならないウェブサイトの事例をたくさん見ていますし、実際に自分が運営しているサイトで、１日20人前後しかアクセスがないのに、何もしなくても月3〜5万円くらいキャッシュを生み出すウェブサイトも所有しており、人気と儲けの微妙な関係は様々に経験してきました。
順接的でも逆説的でもあるのですが、本書をただの面白い他人の体験談として読み流すのではなく、インタビューのすみずみまで注意して読みこむと、人を集めるウェブサイトはどうやって生まれるのか、また儲けにつながるウェブサイトのヒントなどが、随所に散りばめられていて、何気に宝の山だらけの一冊になっています。
本書は、ウェブメディアの可能性（読者にとっても書き手にとっても）と、ある種のウェブメディアのダメさ加減（笑）が共存して示されている妙なバランスのとれた素晴らしい一冊です。
現在、ブログを運営している方や、密やかにfacebookなどのソーシャルメディアを利用して、有名になろうと野望を持っている方は、今すぐに、必ず目を通したほうがよい一冊といっていいでしょう。
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