サウザー、ヒルマン、フューレイともカントリー風味を得意とする人たちなので、アコギとコーラス大会になるかと思いきや、骨太のロックンロールを聴かせる名盤です。CSNYの二匹目のドジョウという言い方もされるプロジェクト。でもCSNYとの何よりの違いは、メンバーの対立や緊張感がないところ。いや、初顔合わせに近い各人には緊張あったと思いますけれど、クロスビーやニール・ヤングのように何を出してくるか判らないやりにくさはなかったはずです。サウザー、ヒルマン、フューレイともメロディを書く達人らしく、いい曲を持ってきています。
コーラスやアレンジが巧みなのは予想つきますけれど、意外にハードなギターが随所に出てきます。この三人に加えてマナサスのアル・パーキンスがいる豪華さなので、いくらでも弾き倒せたと思います。マナサスと言えば、ポール・ハリスのハモンドも唸っていて躍動感を与えています。いつでも上手いジム・ゴードンと合わせてバックの興奮度はCSNYより上です。だから爽やかさだけでない躍動を感じるのですね。サウザー作の3.The Heartbreaker 、ヒルマン作の8.Rise And Fall はカントリーとロックが融合した名曲です。ルーズで派手でとてもよろしい。アメリカっていいな、と思ってしまうカタルシスです。