アラブの春で話題となったチュニジアには、あのハンニバルを生んだカルタゴがあった。
新王国エジプト、アッシリアの侵攻を受けながらも失われなかったシドンやティルスなどのフェニキア人の交易、そのノウハウはダビデ王やダレイオス1世が絶賛するほど。世界史教科書では知識の一つでしかなかったフェニキア人の歴史というものが、膨大な史料と共に明らかにされている。
本土のシドン等が衰えてからも、植民都市カルタゴが繁栄を遂げる。女性の奉納者がいたり、男女共にお洒落であったりと、ローマの陰に埋もれた高度な生活水準を垣間見た。
三度のポエニ戦争の過程もなかなか奥深く、これだけで一冊の書物になりそうなほど(既に出ていた)
ローマによって滅亡してから再建はタブーとされていたが、オクタウィアヌスによってついにローマ都市として再建される。
以前のカルタゴとは様相の異なる都市ではあったが、カルタゴはそれからも北アフリカ重要都市の一つとして栄えたのである。
参考文献の紹介では熟読したくなる名著が多く、今後の研究の指針を示してくれる。

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通商国家カルタゴ (興亡の世界史) 単行本 – 2009/9/18
フェニキア・カルタゴ史の決定版、遂に登場
伝説の彼方に消え去ったフェニキア人が築き、ローマに滅ぼされたカルタゴ。史料の乏しさから語られることの少なかった通史を、二人の専門家が鮮やかに描き出す。
伝説の彼方に消え去ったフェニキア人が築き、ローマに滅ぼされたカルタゴ。史料の乏しさから語られることの少なかった通史を、二人の専門家が鮮やかに描き出す。
- 本の長さ426ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/9/18
- ISBN-104062807033
- ISBN-13978-4062807036
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2009/9/18)
- 発売日 : 2009/9/18
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 426ページ
- ISBN-10 : 4062807033
- ISBN-13 : 978-4062807036
- Amazon 売れ筋ランキング: - 527,197位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2017年9月2日に日本でレビュー済み
2009年9月22日に日本でレビュー済み
長谷川博隆氏、楠田直樹氏に次ぐ、日本人研究者の手によるカルタゴ研究書。
両氏の著作が講演集・論文集であり扱う内容も限定的であったことを踏まえれば、「通史」として初めての試みとなる。
レバントのフェニキア諸市が都市国家として発展し、西方殖民を経てカルタゴを建設し、シチリアのギリシア勢力やローマと抗争を繰り広げ、終には敗れ歴史の表舞台から消え去っていくさまを、最新の研究をもとに描き出している。
東西のフェニキア世界に対する言及のバランスがよく、通史としての完成度は高い。
特に多くの読者にとっての最たる関心事であろうシチリア抗争やポエニ戦争のくだりは、非常によく纏まっている。
また基本的な論調はこれまでのカルタゴ本と大差ないが、西方殖民やトフェトをめぐる議論には近年の研究成果が反映され、数は多くないがこれまでほとんど用いられてこなかったフェニキア語史料も一部に紹介されている。
文章には塩野七生『ローマ人の物語』のような歴史小説にみられる叙述の躍動感こそ無いが、それはあくまで本書が史料の分析と再構築に重きを置く学術的な立場から著された概説であるからであり、“カルタゴ史概論”としては現時点で最高水準の内容といえよう。
カルタゴ関連では近年G.MarcoeやAmadasi=Guzzoの訳書も刊行されているが、守備範囲の広さと纏まり具合からいって、初学者には先ずこちらの本をお薦めしたい。
両氏の著作が講演集・論文集であり扱う内容も限定的であったことを踏まえれば、「通史」として初めての試みとなる。
レバントのフェニキア諸市が都市国家として発展し、西方殖民を経てカルタゴを建設し、シチリアのギリシア勢力やローマと抗争を繰り広げ、終には敗れ歴史の表舞台から消え去っていくさまを、最新の研究をもとに描き出している。
東西のフェニキア世界に対する言及のバランスがよく、通史としての完成度は高い。
特に多くの読者にとっての最たる関心事であろうシチリア抗争やポエニ戦争のくだりは、非常によく纏まっている。
また基本的な論調はこれまでのカルタゴ本と大差ないが、西方殖民やトフェトをめぐる議論には近年の研究成果が反映され、数は多くないがこれまでほとんど用いられてこなかったフェニキア語史料も一部に紹介されている。
文章には塩野七生『ローマ人の物語』のような歴史小説にみられる叙述の躍動感こそ無いが、それはあくまで本書が史料の分析と再構築に重きを置く学術的な立場から著された概説であるからであり、“カルタゴ史概論”としては現時点で最高水準の内容といえよう。
カルタゴ関連では近年G.MarcoeやAmadasi=Guzzoの訳書も刊行されているが、守備範囲の広さと纏まり具合からいって、初学者には先ずこちらの本をお薦めしたい。
2013年5月3日に日本でレビュー済み
地中海はジブラルタルで閉ざされ、”カディス湾は死の海”と考えられていたというキリスト教的文明感という本を読んだことがあります。フェニキアに富をもたらせたイベリア半島と港町カディス。地中海を巡る反時計回りの航路も驚きです。フェニキアの時代からカルタゴに拠点をおき、西地中海と大西洋まで伸びる大海洋ネットワークを作っていたのですね。ローマがイタリアの統一から地中海の覇者に、そして拡大から分裂に。筆者がエピローグに述べているようにローマ時代は地中海に閉ざされた、また同質化の世界でもあった、との思いを新たにしました。
2009年9月24日に日本でレビュー済み
ほぼ日本では初のカルタゴ・フェニキア通史。オリエント→ギリシア→ローマという従来の地中海史では抜け落ちてしまう部分にスポットライトを当て、正当な歴史の主人公としての役割を再確認させる一冊だ。
フェニキア文字、ポエニ戦争など、断片的にしかこれまでとりあげられなかったものも踏まえ、立体的・鳥瞰的に地中海の興亡の歴史を浮き上がらせる。史料的制約・歴史観のバイアスもあろうが、そういった部分を明らかにしようというのは歴史家の矜持なのだろう。
旧約聖書の時代から海上覇権の確立、ローマとの攻防、その宗教や神話、文化(日本で一般書として紹介されるのは非常に珍しいものもあるのではないか)。あまり日本人にはなじみのない世界ではあるが、一面的な地中海歴史への理解を改め、深めさせるものであるといえよう。
フェニキア文字、ポエニ戦争など、断片的にしかこれまでとりあげられなかったものも踏まえ、立体的・鳥瞰的に地中海の興亡の歴史を浮き上がらせる。史料的制約・歴史観のバイアスもあろうが、そういった部分を明らかにしようというのは歴史家の矜持なのだろう。
旧約聖書の時代から海上覇権の確立、ローマとの攻防、その宗教や神話、文化(日本で一般書として紹介されるのは非常に珍しいものもあるのではないか)。あまり日本人にはなじみのない世界ではあるが、一面的な地中海歴史への理解を改め、深めさせるものであるといえよう。