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天皇家の財布 (新潮新書 18) 新書 – 2003/6/1
皇室の家計簿をちょっと拝見。
皇居の月々の水道、電気代は? 家計をやりくりするのは誰? きらびやかな宮中晩餐会の費用はどのくらい? 皇室費、宮内庁費などを含めた、いわゆる皇室関連予算の総額は273億円。私的なお小遣いである「御手元金」から、「御物」「御由緒物」と呼ばれる皇室財産まで。
菊のカーテンの向こう側、知られざる「皇室の家計簿」の詳細を、情報公開法を駆使して大検証する
- 本の長さ207ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2003/6/1
- ISBN-104106100185
- ISBN-13978-4106100185
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商品の説明
出版社からのコメント
公式文書捺印のための朱肉は30万円
宮中晩餐会に出されるケーキは一個120円
同行する宮内庁職員の宿泊費は統一料金2万円
天皇家の私的費用「内廷費」は3億2400万円
内廷費の振込みは、年四回に分け8100万ずつ
秋篠宮家の私的費用「皇族費」は5185万円
そうなっているとは知らなかった──。
情報公開請求で分かった驚きの新事実が満載!
抜粋
皇室≒個人事業主
経費の「公」「私」の区別という点で、皇室は個人事業主と似た会計処理をしている。
小さな会社を経営する夫婦が、取引先の友人と打ち合わせでレストランに行ったとしよう。これを「会議」と捉えれば、この費用は会社の経費とすることもできる。しかし、打ち合わせは数分で、ビールを飲みながら食事を楽しむのが主だとしたら、夫婦はポケットマネーで払う必要がある。個人事業主は、経費の公私の別を常に判断している。そして、時として曖昧だ。
皇室でも同じような微妙さがある。例えば、ベルギーのフィリップ皇太子夫妻は二〇〇二年六月、サッカー・ワールドカップ(W杯)観戦のために私的に来日し、皇太子夫妻との午餐のため、東宮御所を訪れた。この費用は皇太子夫妻がポケットマネーで支払った。だが、ベルギー皇太子夫妻の来日に少しでも公的な性格があれば、公費からの出費になる。皇室でも、一つひとつの出費に公私の判断がつきまとうのだ。
公的な宮廷費
天皇、皇族の活動のために「皇室費」という予算項目がある。これはさらに、宮廷費、内廷費、皇族費の三つに分類される。宮廷費がオフィシャル(公的)マネーで、内廷費、皇族費がプライベート(私的)マネーである。
宮廷費は、皇室の公的な活動に使われる。一般の役所の予算と同じで、毎年、金額が変わる。二〇〇三年度予算では、六三億六一九三・三万円。
国賓を招く宮中晩餐会、著名人らを招く園遊会、国民体育大会(国体)や全国植樹祭への地方訪問……などが、支出項目として思い浮かぶだろう。他に宮殿の補修、皇居の庭園整備など土木・建設費も含まれる。支出の範囲は想像以上に広い。
内廷費、皇族費は「御手元金」
内廷費は、生活費を含む天皇家の私的費用だ。天皇家とは、天皇陛下、美智子さま、皇太子さま、雅子さま、愛子(敬宮)さま、紀宮さまの六人を指す。内廷費は定額制で一九九六年度以降三億二四〇〇万円。
大雑把な言い方だが、天皇家へのサラリーと考えると分かりやすい。国の予算ではあるが、天皇家に渡った後は私的な費用となる。その点で国家公務員の給与と同じだ。美智子さまのピアノの修理代、皇太子さまの山登り用品代、愛子さまのベビーカー代……などが内廷費から支出される。
皇族費は、天皇家以外の宮家のプライベートな費用である。宮家には、秋篠宮、常陸宮、高松宮、三笠宮、寛仁親王、桂宮、高円宮の七家があり、計一八人の皇族がいる。秋篠宮家五一八五万円、常陸宮家四五七五万円……と家族の人数と構成によって金額が変わる。二〇〇三年度の総額は二億九七六八万円。
内廷費と同じように、宮家皇族へのサラリーと捉えると理解しやすい。実際は内廷費と性格が微妙に異なるが、後に詳しく論じるのでここでは踏み込まない。
内廷費、皇族費は「御手元金」とも呼ばれ、「公費」「国費」とされる宮廷費とは区別される。
同じ鉛筆でも
本書が扱うのは主に「皇室費」だが、宮内庁が管理する予算には、他に宮内庁費がある。定数一〇九〇人の宮内庁の経費で、二〇〇三年度は一一四億六一二九・二万円。このうち、人件費と手当関係が九〇億四二七七・二万円で全体の七九%を占めている。残りは、職員旅費、行政情報化推進経費、修繕費など。
「皇室費」と合わせると、宮内庁は「四つの財布」を持っている。例えば、宮内庁が鉛筆を買ったとしよう。天皇陛下の公務用であれば宮廷費、愛子さまのお絵かき用ならば内廷費、秋篠宮さまのナマズの研究用だったら皇族費、職員の事務用なら宮内庁費になる。同じ物を同じ業者から購入しても、使い道によって予算の出所が異なる。宮内庁は、四つの予算を別々の帳簿で管理しているわけだ。
「皇室費」(宮廷費、内廷費、皇族費)と宮内庁費を、宮内庁関連予算として総計すると、〇三年度で、一八四億四四九〇・五万円となる。
著者について
著者について

1964(昭和39)年埼玉県生まれ。90年京都大学文学部史学科卒業後、毎日新聞社入社。福島支局、警視庁担当、皇室担当記者を経て98年退職。2000年国際大学大学院国際関係学研究科修士課程修了。同年CNN 日本語サイト編集長。02年琉球新報ワシントン駐在記者。05年成城大学文芸学部専任講師,同准教授を経て,17年より成城大学文芸学部教授。博士(文学)。専攻:日本近現代史,歴史社会学,メディア史。
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トップレビュー
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「そういえば天皇家に関するニュースはワイドショーネタか政治ネタだけだよな」というものであった。
天皇家だって生きて行くにはお金が必要。戦前ならともかく、今のこのご時世では使いたいだけ使うなんて事は出来ないのは少し考えればすぐわかる。では、どんなお金の使い方をしているのだろうか。
著者は情報公開法を使って天皇家の財政の実態を知ろうとする。
しかし、情報公開法を使えばこんな事もわかるのかということと、こんな事を非公開にして何の意味があるのかということ、それぞれであった。
それにしても今まで如何に今の天皇家について何も知らなかったか。
宮廷費と内廷費の違い(これは古代国家の区分そのままで、これはこれで非常に興味深い)、天皇家と宮家の扱いの違い、などなど。
他にも皇居で食される食材の供給先や電気・水道代、皇室の財テク、職員の身分や給与など興味深い記述が多かった。ある部分では一般の家庭や事業所と変わらない側面もあり、親近感を持った。
財政的に見れば御用邸や内廷費の扱いに表れているように公的分野と私的分野の区切りは時として厳格であり、時として曖昧である。
とにかく、皇族というのは窮屈なものだと実感。
我々の生活と財布は密接に関連している。天皇家であっても財布からその生活の一端をかいま見ることが出来るのだなあとちょっと感心した。
本書を一読して感じられるのは、公の機関としての天皇制の台所事情に関する著者の厳しい視線と、私人としての皇室の人々への温かい視線である。前者に関しては、大赤字の上にいざというときに役に立たない宮内庁病院などが例示されているし、後者に関してはたとえば「御手元金」である内廷費すら自由に使えない天皇という指摘がある。
また興味深いのは、皇室費用が公費である「宮廷費」と、御手元金である「内廷費」と、皇族の品位保持の資に充てるための「皇族費」に区分されてお�!��、しかもそれらの線引きが曖昧であることである。これは、1人の生身の人間を、生まれながらにそのまま「象徴」というよくわからない「公人」に仕立て上げてしまう、天皇制の問題性に起因する。さらに、現在「女帝」が認められていないことに起因する、親王と内親王の教育費の出所の差異などは、天皇制の女性差別的側面を露骨に示している。
天皇制廃止というと「偏った」見方だと言われかねない雰囲気もあるが、本書を読むと、予算節約のためにも、皇室の人々の人権のためにも、廃止してもいいんじゃないかと思えてくる(無論、廃止するにしても、皇室の人々の雇用確保は必要である)。少なくとも、「聖域なき構造改革」を言うなら、この「聖域」に使われている無駄金の削減から取り組むべきでは?
したであろう宮内庁病院のくだりは著者
独自の視点で興味深かった。
本書は言うなれば皇室の資産公開である。その金額にはいずれも興味を見張るものはあるが、人権を与えられていないはずの天皇と皇族はどのように生活しているのかという財布感覚の内容ではなく、主権者たる国民の税金が皇室でどのように使われているかというところに注目しなければならない。
資本主義社会は費用対効果を重要視するが天皇家の財布(経済)の中身は不思議でいっぱいだ。
マクドナルド社長の藤田田氏によれば不思議(数字の単位の不可思議)というのは数字だから必ず明確化できるというが、事業仕分けで盛り上がっている国の税金の使われ方を含めてこの明確にするということこそが現憲法を維持する主権者たる国民の責務ではないだろうか?
本書には我々がこれまで知り得なかった天皇家の財布事情が分かりやすく明確に著されている。天皇家の旅行費はいくらか?などといった例から、宮中晩餐会や園遊会の費用は?といったものまで本書に記述されている天皇家の出費内訳は多岐にわたる。
著者は天皇制の是非については特に論じてはいないが、この本から天皇制というものをもう一度考えてみるのもおもしろいかもしれない。