ねこ好きの心の中には、たとえば「あの子に会いたいから、あのお店に行って用を足す」という心情もあって、オレの場合も、もっと近所の、もっと安いお店には目もくれず、何匹かねこさんのいる散髪屋さんでカットしてもらうようにしています。
もちろん、そこはねこさんのことなので、そのお店にいる間、ねこさんの姿を一切見ないまま、という日もあれば、順番待ちでソファに座っているひざの上に乗っかってきてくれ、ナデナデさせてくれることだってあり、そこはその日の運しだいですが、いつでもそこでカットしてもらいたい、そう思っています。
そのお店のお母さんとも、ねこ談義に花が咲き、時にはうちのお嬢さま=“はな”さん用に、カリカリをいただくこともあったり。
それぞれのねこさんたちにしてみれば、基本的には「ただ、そこにいるだけ」だとしても、そこにはまず、お店の方とのふれあいがあり、訪れるお客さんたちとのコミュニケーションを円滑なものにしてくれ、その子がいなくなった後にも、そのまま常連さんになってくれたりする場合もありと、お店にねこさんがいることによって生じる効用は、計り知れないものがあります。
この『吾輩は看板猫である』は、そんな風にさまざまなお店などにいる、ねこさんたちの日常を、その周りのちょっとレトロな雰囲気込みで切り取った一冊。
もともとは、文藝春秋の女性誌から派生したムック『CREA Due Cat』3号に掲載された「街の『看板ネコ』を訪ねて」という特集記事の好評を受け、大幅に追加取材を行なって単行本化したものです(「2011年3月10日 第1刷」で、震災直前の発行となっています)。
カバーがなく、ちょっと造りが教科書のような、オールカラー・およそ100ページ。
表紙を含め、登場するお店同様にどこか懐かしさのある、しっとりした感触と色合いの紙を使用していて、その分気軽に手に取りやすくなっています。
みんな、健気にがんばっていたり、パトロールしていたり、ただただ眠っていたり。
ねこさんの数、お店(とお店の方)の数だけ、小さなドラマがあります。
2015年1〜2月に行方不明になり、SNSなども通しての大捜索の末、無事発見された、高円寺の中古レコード屋さん・ヨーロピアンパパのウェンディも登場しています(ウェンディの行方不明の顛末は、ヨーロピアンパパさんのブログ・2015年2月に記事があります)。
そういえば、松島に行くたび、よくお昼をいただく《うちみ》という中華のおいしいお店にもポン太というねこさんがいて、サンドウィッチマンの富澤たけしさん、U字工事の益子卓郎さんといった“ねこ好き芸人”の方々にも可愛がられていましたが、その子は家出をしてしまい、一時、ご主人も奥さんも淋しい思いをしたのでしたが、その後《うちみ》さんでは、同じお母さんから生まれた、若いねこさんが暮らすようになっています。
そんな、お店の方々の悲喜こもごもと共に、“看板猫”のみなさんは、今日もあなたとの出会いを待っている……のかもしれません。
※本書の著者である梅津有希子さんによる“続編”には、2012年の『
吾輩は看板猫である 東京下町篇
』、そして2014年の『
毎度あり!またきてニャ 商店街のネコ店長
』がございます。

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吾輩は看板猫である 単行本 – 2011/3/10
梅津 有希子
(著)
ちょっぴりメタボな下町のアイドルから、ネクタイ締めて毎朝9時出勤の社長まで、すべて店番が仕事のネコばかり。脱力系ネコ写真集
- 本の長さ95ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2011/3/10
- ISBN-104163738401
- ISBN-13978-4163738406
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2011/3/10)
- 発売日 : 2011/3/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 95ページ
- ISBN-10 : 4163738401
- ISBN-13 : 978-4163738406
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,170,353位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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北海道出身。編集者・ライター。高校野球ブラバン応援研究家。だし愛好家。札幌白石高校吹奏楽部を経て、現在は、完全吹奏楽目線で高校野球応援を観戦するのが趣味。著書に『ブラバン甲子園大研究』(文藝春秋)、『終電ごはん』(幻冬舎)、『だし生活、はじめました。』(祥伝社)など。『青空エール』(河原和音)では監修を務める。
Twitter/@y_umetsu
Instagram/@y_umetsu
公式サイト/umetsuyukiko.com
カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2015年4月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
笑わせてくれて、和ませてくれて、実にやすらぎます。気取った飼い主やコじゃれた店はまちがってもでてこなくて、どのお店もほんとレトロ。猫たちも高齢の感じが多く、そこが「0655」に登場する猫とのいちばんの違いかも。でも、現実の猫はコッチが主流。若いときはあっという間に過ぎるんだから。
とにかく時間が止まったようなこのぬるさ。ま、人によって好みはあるでしょうが、この時代には貴重では?。東京にもこんなお店がまだあるんだ、と驚くのも楽しいし。どんなメディアにもおそらく登場しない人と猫とのゆったりとした暮らしの息遣いが、ここにはありますね。時代に取り残された、といっちゃぁ悪いけど、そんな感じもちょっと漂ってたりして。・・・哀感があります。
とにかく時間が止まったようなこのぬるさ。ま、人によって好みはあるでしょうが、この時代には貴重では?。東京にもこんなお店がまだあるんだ、と驚くのも楽しいし。どんなメディアにもおそらく登場しない人と猫とのゆったりとした暮らしの息遣いが、ここにはありますね。時代に取り残された、といっちゃぁ悪いけど、そんな感じもちょっと漂ってたりして。・・・哀感があります。
2013年2月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
猫本は多いですが、「お店の猫」をメインに取り上げた本は珍しいです。
変に猫単体を、きれいに写そうとしていないのも好感が持てます。
人が居て、猫も居る・これが基本コンンセプトになっている本書は、
猫好きの人と、街好きの方にお勧めです。
変に猫単体を、きれいに写そうとしていないのも好感が持てます。
人が居て、猫も居る・これが基本コンンセプトになっている本書は、
猫好きの人と、街好きの方にお勧めです。
2017年3月22日に日本でレビュー済み
『吾輩は看板猫である』(2011年)と『吾輩は看板猫である 東京下町篇』(2012年)の2冊を合わせて文庫化したもの。
東京各地(+川崎)の「看板猫」たちをカラー写真と文章で紹介する本である。
クリーニング店、理容店、仏具店、文具店、民芸品店、焼き鳥店と多様な店の看板猫たちがとりあげられている。商売繁盛に本当に結びつくのかは分からないが、とにかく行って見たくなるのは確かである。何か購入したい気持ちになる。
商売熱心な猫もいれば、寝てるだけのやつもおり、気の向いたときだけ接客するような子も。
なお、2015年時点でのデータに更新されている。
東京各地(+川崎)の「看板猫」たちをカラー写真と文章で紹介する本である。
クリーニング店、理容店、仏具店、文具店、民芸品店、焼き鳥店と多様な店の看板猫たちがとりあげられている。商売繁盛に本当に結びつくのかは分からないが、とにかく行って見たくなるのは確かである。何か購入したい気持ちになる。
商売熱心な猫もいれば、寝てるだけのやつもおり、気の向いたときだけ接客するような子も。
なお、2015年時点でのデータに更新されている。
2012年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
疲れたときによく読み返しています。
看板猫らしさがいっぱいでほっこりします。
猫好きのみなさん必読です。
看板猫らしさがいっぱいでほっこりします。
猫好きのみなさん必読です。
2016年2月4日に日本でレビュー済み
ブックオフで偶然見つけて購入しました。
『吾輩は看板猫である』と『吾輩は看板猫である 東京下町篇』を再構成したものなのですね。
ほかのレビューにもあるように渋谷区や新宿区、江戸川区や
東京西部などがなかったのが残念なので★-1です。
会いに行きたいと思ってもすでに亡くなった子も多かった
みたいですが、その後をちゃんと書いてくれたのは評価
出来ました。温かく見守りたいです。
『吾輩は看板猫である』と『吾輩は看板猫である 東京下町篇』を再構成したものなのですね。
ほかのレビューにもあるように渋谷区や新宿区、江戸川区や
東京西部などがなかったのが残念なので★-1です。
会いに行きたいと思ってもすでに亡くなった子も多かった
みたいですが、その後をちゃんと書いてくれたのは評価
出来ました。温かく見守りたいです。
2015年11月24日に日本でレビュー済み
最近のネコブームは今までにない盛り上がりだ。
ここに出ている猫はお店にいる看板猫!
鬼子母神の猫に会いたかったけど裏に隠れて
顔半分しか見れなかった!そんな私にバッチリな
写真が載ってたから嬉しい。
会いに行きたくなること間違いなし!
でも気まぐれな猫だから会えるかどうか・・・
単行本だから持ち歩けていい
ちょっとコーヒーでも飲みながら見るのが和みます
ここに出ている猫はお店にいる看板猫!
鬼子母神の猫に会いたかったけど裏に隠れて
顔半分しか見れなかった!そんな私にバッチリな
写真が載ってたから嬉しい。
会いに行きたくなること間違いなし!
でも気まぐれな猫だから会えるかどうか・・・
単行本だから持ち歩けていい
ちょっとコーヒーでも飲みながら見るのが和みます
2011年4月7日に日本でレビュー済み
看板猫といっても真面目に店番しているわけではありません。
猫ですから(笑)
自分の勝手でそこにいるだけ。
でも、それがいい。
地域に密着した昔ながらのお店と、その主といった風情の猫とのマッチングは
天の配剤という感じさえします。
あとがきの取材苦労話も猫好きなら思わずニヤリとしてしまうことばかり。
飲食店の中を動物が闊歩するってどうなの?と眉をひそめる向きには
全くもってお勧めできませんが、猫は猫であるだけでいいという人には
ぜひ手に取ってほしい一冊です。
猫ですから(笑)
自分の勝手でそこにいるだけ。
でも、それがいい。
地域に密着した昔ながらのお店と、その主といった風情の猫とのマッチングは
天の配剤という感じさえします。
あとがきの取材苦労話も猫好きなら思わずニヤリとしてしまうことばかり。
飲食店の中を動物が闊歩するってどうなの?と眉をひそめる向きには
全くもってお勧めできませんが、猫は猫であるだけでいいという人には
ぜひ手に取ってほしい一冊です。