このレビューは「鉄騎」とタイトルにつけ、”鉄騎の魂を受け継いだ”と銘打って発売した作品なので旧作鉄騎との比較がメインです。
旧作鉄騎をコントローラーを使い潰して２回も買い換えたほどにはまった人間ですが正直言ってこれは期待はずれ。
コントローラーが無いので前作のような操縦感は無い物と覚悟していたがそれ以外の部分でもひどすぎる。
まず第一にメカアクションとして前作からの大幅な劣化。
機体速度が前進以外は極端に遅い上に動きながら撃つと照準がぶれて命中が見込めないので戦闘は基本的に棒立ちで狙いを定めて撃つ、これだけです。
戦車のように砲身を横に向けることも出来ないので障害物から飛び出して撃ってまた戻る、というのも非常に動作が遅いのであまり実用的でない。
また前作にあった距離によって攻撃をはじく、という概念もないのでどんな距離で主砲を撃っても（撃たれても）必ずダメージが入ります。
敵CPUはほぼ百発百中の精度で長距離からでも当ててくるので非常にうざったい（ご丁寧に味方CPUは命中率が低く設定してあります。）
更に煙幕や砂嵐で視界がふさがれてる間も敵はお構いなしに撃ってきますがロックオン機能など無いのでこちらは当てるのが非常に難しいです。
機体数、および装備のバリエーションも大幅に減っています。
前作では10機以上の機体にそれぞれメイン、サブ3種類前後の武装を重量範囲内で組み合わせて搭載する。
と言った形式でしたが今作では機体はほぼ一機、メインウエポンは単発の砲、サブは機関銃で固定です。
またそれ以外にシナリオを進めるとカスタマイズ用のパーツがゲットできる、とありますが特定のステージで好成績を収めないともらえない上に後述するレベルデザインの不味さもあって普通にプレイすると一回クリアして半分もゲットできません。
そのレベルデザインですがアシスト機能をオンにしてもだいたいの目標の方位が表示されるだけで具体的に何をするのかの表記が無いため非常に分かりづらいです。
一応音声での説明もあるのですが音声英語なうえに字幕を読もうにもキネクトの仕様上画面から距離が遠いので見づらいと至れり尽くせりの仕様です。
パーツがもらえるミッションでは味方が死ぬとステージ評価が下がるのですがこの味方がまた使えない。
プレイヤーの射線を遮りつつ勝手に突っ込んで勝手に死にます、前に出ると今度はプレイヤーの尻にくっついて後退の邪魔をします。
前作では味方の撃破を防ぐために撤退させるという選択肢がありましたが今作ではもちろんそんな物はありません。
またコクピットの計器の配置なども実際の機械としてみれば呆れるばかりにひどい。
装填時間が被弾などによって変化するシステムなのに主砲の照準を付けていると装填ランプが見えない！などは序の口。
やらなければ死んでしまう緊急排煙レバーが見えているのにいちいち別の場所を操作してからでないと動かせず、
それぞれの反応が鈍いためどんなにうまく操作できるようになっても反応待ち時間で待たされます。
キネクト操作が多種多様で誤作動の元になっている一方、コントローラーは左右のトリガーとスティックしか使わずボタンは完全に使われていません。
ちなみにロボゲーでなく戦車ゲーとしてみても装甲圧にかかわらずどこに当たっててもとりあえずダメージが入るゆとりシステムなどの都合で戦車を好きな人ほどがっかりさせられる出来、まぁ戦車ゲーが好きなら他にいくらでももっと優れた戦車ゲーはあります。
前作プレイヤーの視点から言うと完全な失敗作。
鉄騎のキモである動かす楽しみが極めて薄っぺらなのに鉄騎を名乗ったことが失敗といった感じです。
買うなとは言いませんがオススメできない出来であることは確か。
ただし戦争の雰囲気だけは良くできているので戦争を題材にしたゲームは全部遊び尽くしたいという人には良いかも知れません。
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