マリアンは本を閉じた。
この本のことをすっかり忘れていた。自分が描いたのに、だ。
今では電子書籍でただで読めてしまう自分の本。その割に、レビューに褒め言葉すらない。
子どもたちどころか、実際のマリアンは、今、ひとりで、数百年前に書いた本のレビューを開けて見ていた。
インターネットの情報サイトが閉じられて、現代じゃあ、マリアンは、本の而空で情報として存在している。
マリアンの背後には、こどもたちはいない。
鍋がひとりでゴトゴト沸き立ち、ジャガイモが茹で上がっていた。
さあ、おジャガを食べよう。
徹夜明けのガウンを羽織り、マリアンは毎日、小説前と後を行き来するのだ。

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スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1) 文庫 – 1984/10/1
女手一つで3人の子どもを育てる忙しい流行推理小説作家のマリアン・カーステアズ。そんなある日、子供達はお隣りの奥さんの射殺事件に遭遇する。もしもママが事件の謎を解いて犯人を見つけたら本も売れるに違いない。…こうして3人組の活躍がはじまる。警察の巡査部長もなんのその、事件の核心へと近づきながら、その一方では独身で孤独なビル・スミス警部とママをくっつけようとさえ画策する。本格推理とユーモアとが渾然となって仕上がったライスの傑作。
- 本の長さ396ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1984/10/1
- ISBN-104150715513
- ISBN-13978-4150715519
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1984/10/1)
- 発売日 : 1984/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 396ページ
- ISBN-10 : 4150715513
- ISBN-13 : 978-4150715519
- Amazon 売れ筋ランキング: - 585,308位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年3月29日に日本でレビュー済み
有名な作品ですが、初めて読みました。
子供3人が近所で起きた殺人事件を捜査するという、日本でも昔、赤川次郎の全盛期あたりではやったシチュエーションですが、こちらのほうが先輩です。
うろ覚えですが、確か作者のクレイグ・ライスの私生活は(傍から見て)あまり幸せといえなかったと思うので、その意味では、本人が理想として描いた物語かなといういう気がします。
謎解きというよりも、3人の子供たちと、その母親そのほかの登場人物たちとのやり取りを楽しむ気持ちで読むとよりいっそう印象深い読書体験が出来るのではないでしょうか。
なかでも道化的に描かれるオヘーア巡査部長のキャラクターが最後にかっこ良く、気に入りました。星は4つでも良いかもしれませんが、終盤での彼のかっこ良さにプラス1です。
子供3人が近所で起きた殺人事件を捜査するという、日本でも昔、赤川次郎の全盛期あたりではやったシチュエーションですが、こちらのほうが先輩です。
うろ覚えですが、確か作者のクレイグ・ライスの私生活は(傍から見て)あまり幸せといえなかったと思うので、その意味では、本人が理想として描いた物語かなといういう気がします。
謎解きというよりも、3人の子供たちと、その母親そのほかの登場人物たちとのやり取りを楽しむ気持ちで読むとよりいっそう印象深い読書体験が出来るのではないでしょうか。
なかでも道化的に描かれるオヘーア巡査部長のキャラクターが最後にかっこ良く、気に入りました。星は4つでも良いかもしれませんが、終盤での彼のかっこ良さにプラス1です。
2007年3月6日に日本でレビュー済み
子供向けというわけではあるまいが、訳がですます調になっている。
悪意からではなく捜査を引っ掻き回すのが、子供の怖さかもしれない。
でっちあげた目撃証言から、いるはずのない人物が名乗りを上げたり、犯罪現場に忍び込んで証拠品を持ち出したりと、良識があれば到底するようなころではない。
だが、実際三人はとてもいい子で、こうまで母親思いの子がいるものだろうか、と思う。何しろ、捜査のついでにビル・スミスというハンサムでママの小説の登場人物と同じ名前の警部を、ママとくっつけようと画策するぐらいなのだ。
殺されたサンフォード夫人が恐喝をしていたので、次から次へ容疑者が浮かび上がる。一体誰が犯人なのか、最後まで分からなかった。誰も違えばいいのに、と子供たちが思ったのも道理なほどいい人たちばかりで、その点、ちょっと心が痛まないでもない。
ラスト近く、名前だけだがマローンシリーズのジェークが出てくるのがちょっと嬉しい。クレイグ・ライスが長生きしていれば、この家族があっちに出ることもあったかもしれない。
これなら、日本でドラマ化してもいいかもしれない作品だ。
悪意からではなく捜査を引っ掻き回すのが、子供の怖さかもしれない。
でっちあげた目撃証言から、いるはずのない人物が名乗りを上げたり、犯罪現場に忍び込んで証拠品を持ち出したりと、良識があれば到底するようなころではない。
だが、実際三人はとてもいい子で、こうまで母親思いの子がいるものだろうか、と思う。何しろ、捜査のついでにビル・スミスというハンサムでママの小説の登場人物と同じ名前の警部を、ママとくっつけようと画策するぐらいなのだ。
殺されたサンフォード夫人が恐喝をしていたので、次から次へ容疑者が浮かび上がる。一体誰が犯人なのか、最後まで分からなかった。誰も違えばいいのに、と子供たちが思ったのも道理なほどいい人たちばかりで、その点、ちょっと心が痛まないでもない。
ラスト近く、名前だけだがマローンシリーズのジェークが出てくるのがちょっと嬉しい。クレイグ・ライスが長生きしていれば、この家族があっちに出ることもあったかもしれない。
これなら、日本でドラマ化してもいいかもしれない作品だ。
2007年4月24日に日本でレビュー済み
この人の作品は才気走った感があって、集中力がないと読めない。おそらく訳が昔風の難解翻訳のせいもあるだろうけど。
『スイートホーム殺人事件』は小生意気な3人の子供が、母親のために殺人事件を捜査し解決し再婚相手をあてがう話だ。至れり尽せりとはまさにこのこと。子供が主役だが、これはどう見ても大人のためのファンタジーでしょう。私もそんな子供欲しいよ。
解説で小泉喜美子がライスが売れない世評に文句垂れながら、この作品を絶賛していたが、これが好きな女子が多いのはやはり女の夢を実現してもらってるからだろうか? 賢くて自分を愛し切っている子供、夢中になれる仕事、好印象の男性、に囲まれて健康に幸せに暮らしている中年の女。ファンタジーである。セックスのないハーレクインである。2時間ドラマでも受け入れてはもらえない幸せ充足ぶりだ。
子供やら事件やらでカモフラージュされてるが、女性白書の願望を具現化したよう。
それにしても、ライス(アン・ライスの方がメジャーかな?)とP.D.ジェイムスは似ている。
アメリカとイギリスで背景の文化も全然違うけど、私自身の取り組み方が似てる>ライス作品とP.D.ジェイムス作品への。これは単に、マローンもダルグリッシュも今一歩好きになれないって言う、探偵キャラの問題かもしれないけど。
非現実的で憧れを抱かせる作品世界だ、どっちも。そりゃ住むならライス的世界の方が長生きしそうだが。
『スイートホーム殺人事件』は小生意気な3人の子供が、母親のために殺人事件を捜査し解決し再婚相手をあてがう話だ。至れり尽せりとはまさにこのこと。子供が主役だが、これはどう見ても大人のためのファンタジーでしょう。私もそんな子供欲しいよ。
解説で小泉喜美子がライスが売れない世評に文句垂れながら、この作品を絶賛していたが、これが好きな女子が多いのはやはり女の夢を実現してもらってるからだろうか? 賢くて自分を愛し切っている子供、夢中になれる仕事、好印象の男性、に囲まれて健康に幸せに暮らしている中年の女。ファンタジーである。セックスのないハーレクインである。2時間ドラマでも受け入れてはもらえない幸せ充足ぶりだ。
子供やら事件やらでカモフラージュされてるが、女性白書の願望を具現化したよう。
それにしても、ライス(アン・ライスの方がメジャーかな?)とP.D.ジェイムスは似ている。
アメリカとイギリスで背景の文化も全然違うけど、私自身の取り組み方が似てる>ライス作品とP.D.ジェイムス作品への。これは単に、マローンもダルグリッシュも今一歩好きになれないって言う、探偵キャラの問題かもしれないけど。
非現実的で憧れを抱かせる作品世界だ、どっちも。そりゃ住むならライス的世界の方が長生きしそうだが。
2008年9月6日に日本でレビュー済み
クレイグ・ライスは高校生のときからのファンです。
彼女の作品は本格ミステリと呼ばれていて、他のシリーズでも謎解きなしに終わったりします。出ているものは全て読みました。
有名な作家なのにミステリファンじゃないと知らない人も多いから友人と話題にもならないのですが、私は大好きです。
特にスウィートホーム殺人事件はミステリが苦手な人も楽しめる、イギリスの家庭小説を読んでいるかのような可愛い作品です。その頃、映画ではグーニーズやスタンドバイミーなどが流行っていて何となくピッタリきました。
日本でも15年位前に火曜サスペンスか何かで「スウィートホーム殺人事件」を原作にドラマ化してましたがこの作品の片鱗も感じさせず原作で名前をあげるのも止めて欲しいなと思ったのを覚えてます。
ちなみにミステリ作家のママは三田佳子だった。
彼女の作品は本格ミステリと呼ばれていて、他のシリーズでも謎解きなしに終わったりします。出ているものは全て読みました。
有名な作家なのにミステリファンじゃないと知らない人も多いから友人と話題にもならないのですが、私は大好きです。
特にスウィートホーム殺人事件はミステリが苦手な人も楽しめる、イギリスの家庭小説を読んでいるかのような可愛い作品です。その頃、映画ではグーニーズやスタンドバイミーなどが流行っていて何となくピッタリきました。
日本でも15年位前に火曜サスペンスか何かで「スウィートホーム殺人事件」を原作にドラマ化してましたがこの作品の片鱗も感じさせず原作で名前をあげるのも止めて欲しいなと思ったのを覚えてます。
ちなみにミステリ作家のママは三田佳子だった。
2008年3月21日に日本でレビュー済み
隣家で起きた事件を子供たちが捜査を開始する。うまい事、事件が解決できれば、便乗効果でミステリ作家である母親の本もバカ売れするはずだぁ・・・
ストーリーだけを抜き出したら、子供だましと言う人がいるかもしれません。少年・少女探偵団??児童書ですかぁ・・??軽い?ライト感覚??そう、まるで「ええ、ベットで寝ながらかきましたの」ってライスが言いそうな感覚です。
もっとも、本当は血を吐くような努力で書かれたに違いない(私の妄想)しかし、そんな感じは全くさせない。これぞ、「粋」というものではないでしょうか?これぞ、ミステリの精神ではないでしょうか・・・まあ、これにくらべたら、乱歩も横溝もクイーンもカーも「どう、私のお手並みは、巧みでしょ?」といっているようで、いただけません。もっともライス自身ももマーロンシリーズはテクニックが鼻につく。ある意味『スイート・ホーム殺人事件』は奇跡のような作品です。ミステリとは何か?・・・一つの答えがここにあります。
ストーリーだけを抜き出したら、子供だましと言う人がいるかもしれません。少年・少女探偵団??児童書ですかぁ・・??軽い?ライト感覚??そう、まるで「ええ、ベットで寝ながらかきましたの」ってライスが言いそうな感覚です。
もっとも、本当は血を吐くような努力で書かれたに違いない(私の妄想)しかし、そんな感じは全くさせない。これぞ、「粋」というものではないでしょうか?これぞ、ミステリの精神ではないでしょうか・・・まあ、これにくらべたら、乱歩も横溝もクイーンもカーも「どう、私のお手並みは、巧みでしょ?」といっているようで、いただけません。もっともライス自身ももマーロンシリーズはテクニックが鼻につく。ある意味『スイート・ホーム殺人事件』は奇跡のような作品です。ミステリとは何か?・・・一つの答えがここにあります。
2021年10月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
明るく元気で楽しい?ミステリー小説を読みたくて探しました。秋晴れの午後にミルクティーと一緒に読めるような爽快な作品、と言う気持ちに答えてくれた物でした。
活発過ぎてハラハラしてしまう、読み手の大人を尻目に、賢くて勇敢で、母親思いで、結束力のある姉弟3人と取り巻く警察関係者&隣人達とのやり取りが、殺人事件を半ば忘れて、ホームコメディーとして、ラストのハッピーエンドでニコッとホッコリ気分で終われ、拍手でした!
活発過ぎてハラハラしてしまう、読み手の大人を尻目に、賢くて勇敢で、母親思いで、結束力のある姉弟3人と取り巻く警察関係者&隣人達とのやり取りが、殺人事件を半ば忘れて、ホームコメディーとして、ラストのハッピーエンドでニコッとホッコリ気分で終われ、拍手でした!