なんだかとてもとても読みやすい本であった。
そしてとてもよくバレーボールの競技について理解し、日本がなぜ躍進できたかもとてもよくわかった。
筆者はとても説明上手なのだろう。
そしてあまりにもわかりやすく説明されたために、なんだかとてもわかってしまったかのような爽やかな気分になった。
不思議な爽快感が得られる一冊であった。
ではなぜ「もしドラ」を連想させられたかといえば、ランチェスター戦略で紹介されるような方法論が散りばめられているからだろう。
例をあげると、「弱者は強者と同じ土俵で戦わない」という定石があるが、眞鍋監督はこれを意識したのか、スパイクで1位を目指したりせずに、
「サーブレシーブ」
「サーブ」
「ディグ(スパイクレシーブ)」
「失点の少なさ」
で1位になることを目指した。
これぞまさに立派なランチェスター戦略だろう。
さらに、
「日本はいいアイデアを取り入れることがうまい国民といわれていますが、アイデアの発展の段階で周りが見えなくなり、「わが道を行く特異性」を発揮することも多い国民です。それが間違った方向に向かうことも少なくありません」
つまり日本はガラパゴス現象に陥りやすいことも見抜いている国際感覚。
もう言わずもがなのiPadを取り入れた先進性。
男子、女子ならでは特性も理解してゆき、柔軟にシンプルに数字を用いて対応。そして過去の男子の戦い方を女子も踏襲していることに気付くと歴史をたどって選手に戦略の説明をしている。
そして国際公式球が変更になると、その癖を調べ尽くすためにミカサと東海大学工学部の研究室にスタッフを派遣し、ボールの特徴を調べる社会科見学とまさになんだか「もしドラ」の世界である。
そこには過去の日本代表にはつきものだった、根性や努力ややたら怒る監督像などウェットな泥臭いイメージは存在しない。
もちろん陰での選手やスタッフの努力は相当なものなのだろう。
しかし、根性とやたら長時間の練習だけでは突破できないのにも関わらず続けてきた事自体が、日本の「わが道を行く特異性」だということをこの監督は教えてくれたのかもしれない。
その点こそが読み終えた後の爽やかさをもたらしてくれているのかもしれない。
自主的に爽やかに探究心を持って努力することが、日本代表の活躍によって「わが道を行く特異性」として浸透するのならば良しとしたい、そう思える一冊だった。
そしてそんな監督を応援したくなる一冊でもあった。

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「精密力」~日本再生のヒント~―全日本女子バレー32年ぶりメダル獲得の秘密 (主婦の友新書) 新書 – 2011/5/9
眞鍋 政義
(著)
全日本女子バレーボール32年ぶりのメダル獲得の裏には、試合中にもipadを駆使して注目された眞鍋監督の考える「精密力」があった。そして、ここに日本再生のヒントがある。
「精密力」とは、すべてにおいて気配りやチェックを欠かさず、細かいことにこだわり、歪みをなくすこと。全日本女子バレーボール監督真鍋政義は、この力を、まだ根性論の残滓が見られる女子バレーボールジャンルに、大胆にも導入した。その結果、個々のプレー精度の向上という小さな変化が起き、その変化が一つのボールを繋ぐ力を向上させ、様々な化学反応を起こして劇的なチーム力のアップにつながったのだ。32年ぶりの世界選手権銅メダルをもたらしたのは、「根性」ではなく「精密力」。正確な時刻表、5分前行動、精密機器製造など、日本人が古くから持つアイデンティとも言うべき精密力が、実は「日本再生の鍵を握る」と著者は言う。本書は単なる女子バレー復活ストーリーではない。メダル獲得の理由を解析することで精密力のノウハウを惜しげもなく伝授し、あらゆるジャンルの日本人と「ともに世界で戦おう!」と呼びかける著者の熱いメッセージ本である。
「精密力」とは、すべてにおいて気配りやチェックを欠かさず、細かいことにこだわり、歪みをなくすこと。全日本女子バレーボール監督真鍋政義は、この力を、まだ根性論の残滓が見られる女子バレーボールジャンルに、大胆にも導入した。その結果、個々のプレー精度の向上という小さな変化が起き、その変化が一つのボールを繋ぐ力を向上させ、様々な化学反応を起こして劇的なチーム力のアップにつながったのだ。32年ぶりの世界選手権銅メダルをもたらしたのは、「根性」ではなく「精密力」。正確な時刻表、5分前行動、精密機器製造など、日本人が古くから持つアイデンティとも言うべき精密力が、実は「日本再生の鍵を握る」と著者は言う。本書は単なる女子バレー復活ストーリーではない。メダル獲得の理由を解析することで精密力のノウハウを惜しげもなく伝授し、あらゆるジャンルの日本人と「ともに世界で戦おう!」と呼びかける著者の熱いメッセージ本である。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社主婦の友社
- 発売日2011/5/9
- ISBN-104072778427
- ISBN-13978-4072778425
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商品の説明
著者について
眞鍋 政義(まなべ まさよし): 1963年8月21日、兵庫県生まれ。大商大付属高校、大商大を経て、86年新日本製鐵(現・ブレイザーズ)に入社。全日本のセッターとして活躍。88年にはソウル五輪に出場。2005年に現役を引退し、同年、久光製薬(現・久光製薬スプリングス)の監督になる。08年12月、全日本女子チームの監督に就任する。
登録情報
- 出版社 : 主婦の友社 (2011/5/9)
- 発売日 : 2011/5/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 192ページ
- ISBN-10 : 4072778427
- ISBN-13 : 978-4072778425
- Amazon 売れ筋ランキング: - 256,676位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2019年2月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
かなりマニアックな内容でしたが、50代のバレー部出身の人にはたまらない一冊です。
なつかしい名前がたくさん出てきます。
なつかしい名前がたくさん出てきます。
2012年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ITおよび、データを活用するのは、バレーボール界では常識。それすら知らなかった。
それも世界各国のチームが略例外なく使っているデータ分析ツールがあり皆それを使っている。
iPadを自在に使う。その御陰で眞鍋ジャパンが世界バレーや、ロンドン五輪で銅メダルが取れた。
と片付けてしまうのは、あまりにも一面しか見ていない。という事を気づかせてくれた。
データーバレーそのものは、眞鍋監督の専売特許ではない!
どういうデータを何の目的でどのように活用するか。これが決定的に優れていたのだろう。
ロンドン五輪でメダルを獲得する! という目標を実現する上で、必要な条件、項目をKPI化する。
「狙い」を込めて達成目標項目、具体的数値を設定。→目標値を全て上回ることができれば、
ロンドンオリンピックでメダルが獲れる!
ただし、その項目は、あくまで日本のスタイル、特徴にあったもの。決して無いものねだりはしない。
各KPIには、目標値があり、それを達成すれば、メダル獲得が可能。という論理とある程度の裏付けも用意している。
大変興味深いことに、論理性やデータだけでは、目標は達成出来ないとも言及している。
データは、あくまで裏付けであり答えを出してくれるものではないと。
原則、各KPIに基づいて代表選手を選んだり、試合途中での選手交代の判断材料にするが
精神的な影響力がある選手などは、交代させてはいけない。これは勘と経験の領域。
また、眞鍋監督はデーターを駆使しながらも、最後は「ハートで勝負」と言い切る熱血漢だそうだ。
チームとしての「団結」が強み
これらを選手たちも理解できるところまで落とし込んでいる。選手自身が考えて、データを有効活用している。
そいう状態を作り出せた。だからこそ、チーム一丸となり目標に邁進出来た。
その結果が目標であったロンドン五輪でのメダル獲得に結びついている。
この本を読んでいて想起したのが三枝匡さんの経営者に必要な要素熱き心」と「論理性」。
真鍋ジャパン、眞鍋監督にあったのは 「熱き心」と「論理性」だと思いました。
ロンドン五輪でメダルを獲得するための準備、活動をしてそのとおり結果に結び付けた
勝つべきして勝った眞鍋ジャパン。そう思わせてくれた一冊だ。
それも世界各国のチームが略例外なく使っているデータ分析ツールがあり皆それを使っている。
iPadを自在に使う。その御陰で眞鍋ジャパンが世界バレーや、ロンドン五輪で銅メダルが取れた。
と片付けてしまうのは、あまりにも一面しか見ていない。という事を気づかせてくれた。
データーバレーそのものは、眞鍋監督の専売特許ではない!
どういうデータを何の目的でどのように活用するか。これが決定的に優れていたのだろう。
ロンドン五輪でメダルを獲得する! という目標を実現する上で、必要な条件、項目をKPI化する。
「狙い」を込めて達成目標項目、具体的数値を設定。→目標値を全て上回ることができれば、
ロンドンオリンピックでメダルが獲れる!
ただし、その項目は、あくまで日本のスタイル、特徴にあったもの。決して無いものねだりはしない。
各KPIには、目標値があり、それを達成すれば、メダル獲得が可能。という論理とある程度の裏付けも用意している。
大変興味深いことに、論理性やデータだけでは、目標は達成出来ないとも言及している。
データは、あくまで裏付けであり答えを出してくれるものではないと。
原則、各KPIに基づいて代表選手を選んだり、試合途中での選手交代の判断材料にするが
精神的な影響力がある選手などは、交代させてはいけない。これは勘と経験の領域。
また、眞鍋監督はデーターを駆使しながらも、最後は「ハートで勝負」と言い切る熱血漢だそうだ。
チームとしての「団結」が強み
これらを選手たちも理解できるところまで落とし込んでいる。選手自身が考えて、データを有効活用している。
そいう状態を作り出せた。だからこそ、チーム一丸となり目標に邁進出来た。
その結果が目標であったロンドン五輪でのメダル獲得に結びついている。
この本を読んでいて想起したのが三枝匡さんの経営者に必要な要素熱き心」と「論理性」。
真鍋ジャパン、眞鍋監督にあったのは 「熱き心」と「論理性」だと思いました。
ロンドン五輪でメダルを獲得するための準備、活動をしてそのとおり結果に結び付けた
勝つべきして勝った眞鍋ジャパン。そう思わせてくれた一冊だ。
2014年5月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全日本女子バレーがどのようにメダルを取れるようになってきたかという話で読みやすく面白い。
スポーツ世界でもビジネスと同様に戦略をたて、身近な目標をおいてステップアップするというのが良くわかった。
ただ、「精密力」~日本再生のヒント~というのはちょっとおおげさな題名と思います。
スポーツ世界でもビジネスと同様に戦略をたて、身近な目標をおいてステップアップするというのが良くわかった。
ただ、「精密力」~日本再生のヒント~というのはちょっとおおげさな題名と思います。
2012年12月17日に日本でレビュー済み
日本の女子バレーボールが世界バレーで銅メダルをとるための取り組みについて監督である眞鍋政義氏が紹介しています。日本のやるべきことについて明快にかかれてあったなという風に思いました。一つ一つ説得力があると思う。いい監督なんだろうなと思った。P180の濱口選手の紹介の時は不覚にも涙してしまった。彼女は佐野選手がいるからベンチに入れなかったんだよね。それを思い出すと涙を流してしまった。眞鍋監督は本誌によって濱口選手を紹介してくれてありがたかったよ。
結果を残したのは、データの活用だけでなく、スパイク、レシーブ、トス、ブロック、サーブなど一つ一つのプレーの精度を増したことなんでしょうね。気合だけでは先が見えているということなんでしょう。個人任せではなく、チーム全体で取り組む目標を明確にしたことが良かったんでしょうね。そういう意味では、前監督の柳本さんは何をやっていたんですかね。
序 チーム力の勝利
第1章 データバレーの真実
・iPadの活用ー監督の目にリアルタイムに情報が伝達される
第2章 世界選手権でのデータ活用
・日本が世界バレーを通じていちばんがんばったセットー準決勝の対ブラジル戦第2セット35-33でセットを取ったこと。この試合は1・2セットは取ったがあとのセットで競り負けて残念ながら負けたんだよね。
・世界バレーでいちばん成長したのは木村沙織選手。レセプションの向上が得点ランキング2位、サーブ4位につながった。
第3章 技術の「精密力」を高めることが日本のメダルにつながる
・男子に比べて女子は勝つ要素としての攻撃の要素はそれほど高くない。スパイクの現実は、「aパス(セッターにきっちり返す)」の場合はコンビが使え、攻撃バリエーションが豊富なので40%前後と他と引けをとらないのに対し、「bパス(セッターが動かされた状態でトスアップする)」の決定力の差がオフェンス得点力の差につながった。そこで、「bパス」でも早い攻撃が出来るように選択肢を増やすようにした。
・2011年は4つの目標(確か昨年も言っていたんじゃないかな)で1位になる
1.サーブレシーブ(レセプション)
2.サーブ
3.ディグ(スパイクレシーブ)
4.ミスによる失点の少なさ
・日本がやりたいことは、レセプションを確実にして、攻撃の選択肢を増やすことで相手を惑わし、一方で、サーブによって相手の攻撃力を減退させるということかな。
第4章 技術の精密力を戦術に昇華させる
・女子の戦術は男子がたどった道を歩んでいくだろう。攻撃はブラジル男子を参考に。「サイドに速い攻撃技術」をマスターして、さらに「バックアタックを速攻で打つ技術」を身につけ、攻撃オプションを複数もって「どちらも繰り出せる」という警戒感を与えることで、別々の2つの技術を組み合わせた「戦術の領域」まで高める必要がある。
・サーブは球の変化の質を上げて、狙いを定める。→ジャンプフローターサーブの習得
・ブロックとレシーブの連動による守備効率の追求ーブロック技術の向上(バンチリード、デディケード)
・2枚替えは、日本の「低さ」のハンデをカバーする戦術ーセッターの竹下の代わりに攻撃力のある選手をいれ、セッター対角に中道選手が使えるから。
第5章 マネジメントの精密力を上げたい
・男子と女子は違う。−マネジメントに公平性→数字
・指導する際の伝え方に気をつける。選手個々の課題は選手を呼んで対話形式で伝える
・食事と睡眠の意識付け
・コミュニケーションの大事さー選手個々の性格
終章 チーム力を上げるというテーマ
・自覚、考えること、ライバル選手の存在、控えの選手も含めたチーム全体で戦う、コーチがそれぞれ責任を果たす
結果を残したのは、データの活用だけでなく、スパイク、レシーブ、トス、ブロック、サーブなど一つ一つのプレーの精度を増したことなんでしょうね。気合だけでは先が見えているということなんでしょう。個人任せではなく、チーム全体で取り組む目標を明確にしたことが良かったんでしょうね。そういう意味では、前監督の柳本さんは何をやっていたんですかね。
序 チーム力の勝利
第1章 データバレーの真実
・iPadの活用ー監督の目にリアルタイムに情報が伝達される
第2章 世界選手権でのデータ活用
・日本が世界バレーを通じていちばんがんばったセットー準決勝の対ブラジル戦第2セット35-33でセットを取ったこと。この試合は1・2セットは取ったがあとのセットで競り負けて残念ながら負けたんだよね。
・世界バレーでいちばん成長したのは木村沙織選手。レセプションの向上が得点ランキング2位、サーブ4位につながった。
第3章 技術の「精密力」を高めることが日本のメダルにつながる
・男子に比べて女子は勝つ要素としての攻撃の要素はそれほど高くない。スパイクの現実は、「aパス(セッターにきっちり返す)」の場合はコンビが使え、攻撃バリエーションが豊富なので40%前後と他と引けをとらないのに対し、「bパス(セッターが動かされた状態でトスアップする)」の決定力の差がオフェンス得点力の差につながった。そこで、「bパス」でも早い攻撃が出来るように選択肢を増やすようにした。
・2011年は4つの目標(確か昨年も言っていたんじゃないかな)で1位になる
1.サーブレシーブ(レセプション)
2.サーブ
3.ディグ(スパイクレシーブ)
4.ミスによる失点の少なさ
・日本がやりたいことは、レセプションを確実にして、攻撃の選択肢を増やすことで相手を惑わし、一方で、サーブによって相手の攻撃力を減退させるということかな。
第4章 技術の精密力を戦術に昇華させる
・女子の戦術は男子がたどった道を歩んでいくだろう。攻撃はブラジル男子を参考に。「サイドに速い攻撃技術」をマスターして、さらに「バックアタックを速攻で打つ技術」を身につけ、攻撃オプションを複数もって「どちらも繰り出せる」という警戒感を与えることで、別々の2つの技術を組み合わせた「戦術の領域」まで高める必要がある。
・サーブは球の変化の質を上げて、狙いを定める。→ジャンプフローターサーブの習得
・ブロックとレシーブの連動による守備効率の追求ーブロック技術の向上(バンチリード、デディケード)
・2枚替えは、日本の「低さ」のハンデをカバーする戦術ーセッターの竹下の代わりに攻撃力のある選手をいれ、セッター対角に中道選手が使えるから。
第5章 マネジメントの精密力を上げたい
・男子と女子は違う。−マネジメントに公平性→数字
・指導する際の伝え方に気をつける。選手個々の課題は選手を呼んで対話形式で伝える
・食事と睡眠の意識付け
・コミュニケーションの大事さー選手個々の性格
終章 チーム力を上げるというテーマ
・自覚、考えること、ライバル選手の存在、控えの選手も含めたチーム全体で戦う、コーチがそれぞれ責任を果たす