本書はスンニー派と呼ばれる多数派イスラム教徒の日常生活を規定しているイスラム法に関する真摯な研究を踏まえて書かれた、一般向けの入門書と言える。
ニュースで「イスラム法が・・・」「ファトワーが・・・」のような言葉を良く耳にするが正直なんのことか良く分からないと思っているような人が、イスラム法とはどのようにできていて、どのような判断をするのか、前知識のほとんどない一般人が読んでもある程度分かるように、できるだけ丁寧に説明されている。
この本を読めば、実際には法学派というものがあって、それぞれに法解釈に差異のあるイスラム教徒の集合体がスンニー派なのだということが理解できるだろう。
そして、イスラム法というものが、必ずしも唯一無二の判断の分かれようも無い、固定化したルールになっているわけではないことも分かるだろう。
余談だが、この本を読んで、あるイスラム教徒が、所属する共同体の法学派とは違う学派の共同体がいる地域に行くと、法解釈のずれから軋轢が起きたりしないのかという疑問を持たれるかもしれない。
この点は、お気遣いの通りで、日本人にはなじみが無いが、イスラム教徒の中では割りと良く知られた問題である。実際に旅行先で相手の所属している法学派に気をつけないと軋轢が発生する要因になったりする。
このような基礎的なことに示唆を与えてくれる入門編として、優れた良書である。

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イスラーム法通史 単行本 – 2004/4/1
堀井 聡江
(著)
『クルアーン』の立法/正統カリフ・ウマイヤ朝期の国家と法/古典法学の完成/古典期の法学と法学派/ファトワーはなぜ発行されるのか/慣習による法の変化/エジプトにおける民法典と身分法典の編纂/パキスタン刑法典
- 本の長さ290ページ
- 言語日本語
- 出版社山川出版社
- 発売日2004/4/1
- ISBN-104634649306
- ISBN-13978-4634649309
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
宗教であるとともに国家・社会という役目も持つイスラーム。宗教と法がどのように結びつき、理解されてきたかを、事例をあげながら詳述。難しい専門用語も丁寧に解説。
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