「ホテルニューハンプシャー」「ガープの世界」と並ぶアーヴィング三大小説(勝手に言ってる)の内の一つです。
物語と文章(翻訳)が完璧な小説で、私の個人的な意見では世界一の小説です。
アーヴィングといえば悲劇を軽妙に描く事で有名ですが、
悲劇2:青春7:哲学1 くらいの割合でどんな方にもおすすめできます。
孤児院で育った少年と少女が、社会に居場所を見つけるためにそれぞれ旅立ち、あるべき場所において役に立つことを求められるそんな作品です。
サイダーハウスはリンゴのジュースを作る倉庫の名前です。そこに貼られた黒人労働者に向けられたルールを見た主人公は……
この話を上下巻でまとめるのは人類の到達点です。

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サイダーハウス・ルール 上 (文春文庫 ア 7-1) 文庫 – 1996/7/1
"望まれざる存在"として生を享け、堕胎医への道をたどる孤児ホーマーを主人公に、独自の視点で人間の生の営みを描いた傑作長篇
- 本の長さ532ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1996/7/1
- ISBN-104167309645
- ISBN-13978-4167309640
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の主人公ホーマー・ウェルズの人生はとても切ない。
望まれざる存在として生を受けた孤児ホーマー・ウェルズ。
彼の尊敬する父親的存在である孤児院長ウィルバー・ラーチは,虐げられた女性を救うため堕胎手術を行っている。
ウィルバー・ラーチの行う堕胎手術に理解を示しながらも,望まれざる存在を闇に葬る堕胎行為はホーマー自身の存在を否定することになってしまう。
ホーマーはラーチの期待を感じながらも,ラーチから離れた人生を歩むため孤児院から出て行きます。
そんなホーマーに対して,ラーチは次のような内容の手紙を出す。
「堕胎が合法的だったら,女は選択することができる。誰か他の者がやるだろうからお前がそれをやらないのは自由だ。ところが,現状は,堕胎は非合法だから,それを必要とし望む女たちはそのことで選り好みはできない。堕胎の仕方を知っているお前が,ほかに助けを求める自由がない人々を助けないことにするのは自分の自由だと思っていいものだろうか?」
本書は,上記のとおり,堕胎の是非という重いテーマを扱っています。
しかし,本書の最大の魅力は,ホーマーが愛する美しい女性キャンディやその婚約者で人の良いウォーリー,同じく孤児でホーマーを一途に想う凶暴性を併せ持つ女性メロニー,孤児院の看護婦や寮長,果樹園の労働者ミスタ・ローズといった印象的で個性的な人物が登場し,魅力にあふれた物語を味わうことができるということです。
それぞれが自分のルールを持ち,それぞれの人生を歩んでいきます。
自分の存在意義を見いだすためには,人の役に立つ存在になることだと教えられ,そう信じてきたホーマーは,自分は人が望むものを与えることが自分の使命だと考えるようになる。
アーヴィングの作品は本書に限らず,人生の一時期を切り取った一般的な小説ではなく,登場人物の何十年間に渡るクロニクル的な人生を疑似体験することができ,読後感は切なく重く,それでも人生は前へ進んでいくんだという達観したような人生観と希望が垣間見えます。
たとえばウォーリーは次のような人生観を持っており,これは真理だと思います。
「人を愛する上で肝心なのは,誰にも強制はできないってことだ。愛する者が自分の望むことや,相手によかれと思うことをしてほしいと願うのは人情だが,人のことはなにごともなりゆきにまかせなきゃいけない。人を守ってやることなんてできるもんじゃないよ。精々できることは愛することぐらいさ」
さて,本書では,孤児院で暮らす孤児たちの気持ちを巧く表現しており,そのうちのいくつかを抜粋してみたいと思います。
「安心の度合は約束が守られた回数で測られる。子どもはみな,約束のなんたるかを理解し,次の約束を楽しみにする。孤児の間では,安心感はゆっくりと,だが規則正しいやり方で築きあげられてゆく」
「自由というのは孤児の最も危険な幻想だ。」
「嘘をつくと,人は自分の人生を支配しているような気になる。嘘をつくことは孤児にとってすこぶる魅力的なのだ」
アーヴィングの数ある作品の中でも,本書は割とストレートな展開を見せ,素直に物語世界に入っていける良質な作品で,「ガープの世界」同様アーヴィング入門としてもお勧めできます。
望まれざる存在として生を受けた孤児ホーマー・ウェルズ。
彼の尊敬する父親的存在である孤児院長ウィルバー・ラーチは,虐げられた女性を救うため堕胎手術を行っている。
ウィルバー・ラーチの行う堕胎手術に理解を示しながらも,望まれざる存在を闇に葬る堕胎行為はホーマー自身の存在を否定することになってしまう。
ホーマーはラーチの期待を感じながらも,ラーチから離れた人生を歩むため孤児院から出て行きます。
そんなホーマーに対して,ラーチは次のような内容の手紙を出す。
「堕胎が合法的だったら,女は選択することができる。誰か他の者がやるだろうからお前がそれをやらないのは自由だ。ところが,現状は,堕胎は非合法だから,それを必要とし望む女たちはそのことで選り好みはできない。堕胎の仕方を知っているお前が,ほかに助けを求める自由がない人々を助けないことにするのは自分の自由だと思っていいものだろうか?」
本書は,上記のとおり,堕胎の是非という重いテーマを扱っています。
しかし,本書の最大の魅力は,ホーマーが愛する美しい女性キャンディやその婚約者で人の良いウォーリー,同じく孤児でホーマーを一途に想う凶暴性を併せ持つ女性メロニー,孤児院の看護婦や寮長,果樹園の労働者ミスタ・ローズといった印象的で個性的な人物が登場し,魅力にあふれた物語を味わうことができるということです。
それぞれが自分のルールを持ち,それぞれの人生を歩んでいきます。
自分の存在意義を見いだすためには,人の役に立つ存在になることだと教えられ,そう信じてきたホーマーは,自分は人が望むものを与えることが自分の使命だと考えるようになる。
アーヴィングの作品は本書に限らず,人生の一時期を切り取った一般的な小説ではなく,登場人物の何十年間に渡るクロニクル的な人生を疑似体験することができ,読後感は切なく重く,それでも人生は前へ進んでいくんだという達観したような人生観と希望が垣間見えます。
たとえばウォーリーは次のような人生観を持っており,これは真理だと思います。
「人を愛する上で肝心なのは,誰にも強制はできないってことだ。愛する者が自分の望むことや,相手によかれと思うことをしてほしいと願うのは人情だが,人のことはなにごともなりゆきにまかせなきゃいけない。人を守ってやることなんてできるもんじゃないよ。精々できることは愛することぐらいさ」
さて,本書では,孤児院で暮らす孤児たちの気持ちを巧く表現しており,そのうちのいくつかを抜粋してみたいと思います。
「安心の度合は約束が守られた回数で測られる。子どもはみな,約束のなんたるかを理解し,次の約束を楽しみにする。孤児の間では,安心感はゆっくりと,だが規則正しいやり方で築きあげられてゆく」
「自由というのは孤児の最も危険な幻想だ。」
「嘘をつくと,人は自分の人生を支配しているような気になる。嘘をつくことは孤児にとってすこぶる魅力的なのだ」
アーヴィングの数ある作品の中でも,本書は割とストレートな展開を見せ,素直に物語世界に入っていける良質な作品で,「ガープの世界」同様アーヴィング入門としてもお勧めできます。
2016年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ビデオを以前みて、とても良かったので
原作も読んで見たくなり、文春文庫で読みました。
良かった。
原作も読んで見たくなり、文春文庫で読みました。
良かった。
2016年11月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古本だから、まあ、こんなもんかな!と、思いました。紙がやけていて、読んでるあいだに、バラバラになりそうな。でも大丈夫そう!
2015年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
20代のころに読んで読書人生NO.1を獲得し、以降抜かれることなく王座の本です。
何度読んでも、どこから読んでも楽しく読ませてもらってます。「他人の役に立つ人生」とは人生の命題であります。すばらしい脇役が人生のなんたるかを強烈に主張しています。ホーマーの生き方もそうですが、ドクターラーチ、メロニィの生き方に心を打たれます。
初見のときはメロニィに非常にいやな印象を受けておりましたが、最後にホーマーに決心させるくだりは最高であります。
アービングの本は基本的に欠陥がある主人公が右往左往してみじめなことになっていきながら、最後に光明を得るというのが筋なのですが、この本は割りにストレートに人生のすばらしさを謳っているように感じます。
トビー・マグワイヤとシャーリーズ・セロンで映画化されていますが、こちらも長い原作をうまく映像化しています。が、原作を読んだ人にはちょっと物足りないでしょう。
長い物語なのでじっくり楽しんでほしい作品です。きっと得られるものがあると思います。
何度読んでも、どこから読んでも楽しく読ませてもらってます。「他人の役に立つ人生」とは人生の命題であります。すばらしい脇役が人生のなんたるかを強烈に主張しています。ホーマーの生き方もそうですが、ドクターラーチ、メロニィの生き方に心を打たれます。
初見のときはメロニィに非常にいやな印象を受けておりましたが、最後にホーマーに決心させるくだりは最高であります。
アービングの本は基本的に欠陥がある主人公が右往左往してみじめなことになっていきながら、最後に光明を得るというのが筋なのですが、この本は割りにストレートに人生のすばらしさを謳っているように感じます。
トビー・マグワイヤとシャーリーズ・セロンで映画化されていますが、こちらも長い原作をうまく映像化しています。が、原作を読んだ人にはちょっと物足りないでしょう。
長い物語なのでじっくり楽しんでほしい作品です。きっと得られるものがあると思います。
2015年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
同タイトル映画は大好きで何回も観てました。原作も読みたくなり購入。映画より詳細な人物描写、映画よりずっと生々しい女性の哀しい性。引き込まれます。
文字が小さくて72歳の私には一気に読めなくて、まだ(上)の半分ですが、ラーチ先生、ホーマー、その他の登場人物ど味わいながら必ず読破します。
文字が小さくて72歳の私には一気に読めなくて、まだ(上)の半分ですが、ラーチ先生、ホーマー、その他の登場人物ど味わいながら必ず読破します。
2015年10月7日に日本でレビュー済み
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DVDを見ていて、又読みたいと思ったのですが、原作を読みたくて、購入後、読了。可也、良かったです。
2005年8月7日に日本でレビュー済み
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映画を観て感動し、原作では、気持ちよく打ちのめされました。
サスガは、アーヴィング。畏るべし! です。
「サイダーハウス」 ってなんだろと思っていたら、
収穫したりんごをジュースにする小屋(季節労働者の住まいでもある)でした。
そして、ルールとはそこに貼り付けてある紙のこと。
というのが、一応の題名の説明です。
ですが、勿論そんな単純な(?)小説では有りません。
微細にして壮大な物語です。受精卵から成長、死に到るまで。
人が生きていくには、人の数だけルールが有るのですね。
そんな当たり前のことを気付かせてくれる、愛に溢れる傑作だと思います。
傍らに置きたい本に出合えました。
サスガは、アーヴィング。畏るべし! です。
「サイダーハウス」 ってなんだろと思っていたら、
収穫したりんごをジュースにする小屋(季節労働者の住まいでもある)でした。
そして、ルールとはそこに貼り付けてある紙のこと。
というのが、一応の題名の説明です。
ですが、勿論そんな単純な(?)小説では有りません。
微細にして壮大な物語です。受精卵から成長、死に到るまで。
人が生きていくには、人の数だけルールが有るのですね。
そんな当たり前のことを気付かせてくれる、愛に溢れる傑作だと思います。
傍らに置きたい本に出合えました。