著者の斉藤美智子さんは、1970年代から約30年を経て70歳代後半になられる今ま
で、反原発や反核、反日米安保、さらには死刑廃止や合成洗剤・食品添加物の追
放まで、幅広く活動してこられた。本書はその活動を、かつて各種刊行物に掲載
された文章や手紙、書き溜めてあった手記などに、新たに書き下ろした文章も交
えて、紹介していく。
こう言うと固い内容だと思われるかもしれないが、決して読みにくい文章ではな
い。特に、原発に反対して旧料金払い運動を展開、支払い命令を突き返しに東京
電力本社へと赴いた日の話と、横須賀から新潟まで核燃料輸送に反対して追いか
けたときのエピソードは、意外なほどに軽妙で、ガマの油売りの口上などを思わ
せるくらいテンポが良く、しかもこういう運動を実体験した斉藤さんならではの
生々しさ、迫力が感じられて、思わず引き込まれた。
斉藤さんのように聡明で信念を持った方々が30年にもわたって努力しておられる
のに、世の中はどうして変わらないのだろう・・・そんな気持ちにもなった。し
かし、それ以上に、斉藤さんたちの頑張りを、決して無駄にしてはならないし、
悲観ばかりせず希望を持って行動し続けることの大切さも、この本は教えてくれ
た気がする。
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