スマラ・ラティ歌舞団による現代曲の演奏です。スマラ・ダナ(ガムランの統合的な新音階システム)を使って、新しい楽器で演奏しています。人々の生活に根付いたガムランが西洋人の影響により段々と商業化してゆき、地域社会の生活と切り離されたエンタメ(経済活動)となったのも、社会の調和よりも個人の幸福の追求という世相の変化を反映しているのでしょう。
演奏はGong Kebyar式です。曲は旋律らしきものがあって、西洋音楽の影響を受けているように聴こえ、フェーズの異なる色々な響きが収束調和する美しさを感じさせられる本来のガムランとは違うような印象を受けます。ガンサの高速連打は楽器の持っている本来の響きの美しさを最大限に出しているのだろうか、AIに機械学習させてロボットに打たせるのと何が違うのだろうか、と思いながら聴きました。人が演奏することの意味を改めて考えさせられます。
5 Track目の古典曲もKebyar式の演奏なので、う〜ん、という感じがします。このような感想になったのも、JVCのWorld Soundsシリーズは音質がよくて細部のディテイルまで聴こえてしまうからでしょう。