魚の放射能汚染問題に関心があり購入した一冊ですが、この本を読んで、日本の漁業が抱える問題の大きさを、初めて真面目に考えさせられました。
設備や施設だけを作り直しても本当の意味で漁業が再生できないとして、漁協の参入障壁や既得権、乱獲の問題などにも踏み込んでおり、日本の漁業に対する著者の真剣な思いが伝わる一冊でした。これまであまり漁業問題に関心を持っていなかった素人の私でも、すんなり読むことができました。
放射能汚染問題についても、セシウム濃度の経年変化の解説など、グラフも多用していて分かり易いものでした。著者の言われる通り、「『自分の基準は自分で決める』がこれからの常識」だと思います。そういう意味では、本書は偏りのない視点を提供してくれ、大変参考になりました。
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日本の魚は大丈夫か 漁業は三陸から生まれ変わる (NHK出版新書) 新書 – 2011/9/8
勝川 俊雄
(著)
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参入障壁、既得権、乱獲……。
漁業がヤバいって知ってた??
資源枯渇と魚価安で、衰退の一途を辿る日本の漁業。
既得権でがんじがらめの「水産ムラ」にいまメスを入れなければ、漁業者の暮らしは救われず、
食卓から国産の魚が消える日も近いだろう。
しかし、適切な資源管理と健全な組合経営で、
日本は世界有数の豊かな漁業と海と食卓を取り戻せる。
改革派の旗手が三陸復興へ思いを込めて描く、持続的で儲かる漁業の未来図。
魚の放射能汚染についても解説。
漁業がヤバいって知ってた??
資源枯渇と魚価安で、衰退の一途を辿る日本の漁業。
既得権でがんじがらめの「水産ムラ」にいまメスを入れなければ、漁業者の暮らしは救われず、
食卓から国産の魚が消える日も近いだろう。
しかし、適切な資源管理と健全な組合経営で、
日本は世界有数の豊かな漁業と海と食卓を取り戻せる。
改革派の旗手が三陸復興へ思いを込めて描く、持続的で儲かる漁業の未来図。
魚の放射能汚染についても解説。
- ISBN-10414088360X
- ISBN-13978-4140883600
- 出版社NHK出版
- 発売日2011/9/8
- 言語日本語
- 本の長さ224ページ
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商品の説明
著者について
■勝川俊雄(かつかわ・としお)
1972年東京都生まれ。
三重大学生物資源学部准教授。専門は水産資源管理と資源解析。
東京大学農学生命科学研究科にて博士号取得。東京大学海洋研究所助教を経て現職。
日本水産学会論文賞および日本水産学会奨励賞を受賞。
研究の傍ら、政策提言のほか、漁業者や消費者とともに、持続可能な水産資源管理や漁業の制度改革に向けて活動を行う。
1972年東京都生まれ。
三重大学生物資源学部准教授。専門は水産資源管理と資源解析。
東京大学農学生命科学研究科にて博士号取得。東京大学海洋研究所助教を経て現職。
日本水産学会論文賞および日本水産学会奨励賞を受賞。
研究の傍ら、政策提言のほか、漁業者や消費者とともに、持続可能な水産資源管理や漁業の制度改革に向けて活動を行う。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2011/9/8)
- 発売日 : 2011/9/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 414088360X
- ISBN-13 : 978-4140883600
- Amazon 売れ筋ランキング: - 499,939位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 281位NHK出版新書
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年6月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年12月15日に日本でレビュー済み
日本の水産業について書かれている事は、これまで色々な人が言ってきたことなので目新しいものはない。ただ、それらを簡潔にまとめているので、日本の漁業の問題を知るとっかかりとしては良い。しかし「隣の芝生は青い」ということを思いつつ読まないと外国はすばらしい日本はダメという短絡的な結論に引き込まれてしまう。また、新しい制度が日本に導入できない理由の分析結果が、「既得権益の保護」や「行政の怠慢」というのはあまりにも貧弱。この分野の専門家としてもっと掘り下げて欲しい。
後半にある放射能の章は、少し問題がある。著者は専門家ではないというエクスキューズをいれているが本をだす以上は非専門家という言い訳は通じない。まずP-17で、”水産庁は当初安全性を強調していましたが”と書かれているが、私は3月に水産庁で行われた勉強会に出席したり水産庁のHPを見ているが、一度も水産庁が”安全”と言っているのを聞いたことがない。水産庁は事実関係を述べているだけで、それを勝手に著者は”安全を強調している”と受け取っている。また、P-170に水産庁のHPに「放射性セシウムは魚の体内に蓄積されません」と書かれていたことを、著者は間違いと断言しているが、これは明らかに著者が間違っている。放射性セシウムは魚体内で濃縮はされるが、排出されてもいるので蓄積はしないということは公の事実だ。どうやら著者は、濃縮と蓄積を混同しているようだ。P-207では、国の高官、行政機関が「この食品.....健康への影響はない」と言っていたと書いてあるが、これは間違いであの悪評だった「ただちに健康への影響はない」が正しい。つまり、著者の論理で言えば、国の高官、行政機関は、ちゃんとICRP基準で発言していたということだ。また、著者は、あえて「暫定規制値」と「暫定基準値」と書いているようだが、この理由がわからない。意味が違ってくるので、正しい「暫定規制値」を使用してほしい。このあたりは、出版社が訂正すべき事のように思える。
後半にある放射能の章は、少し問題がある。著者は専門家ではないというエクスキューズをいれているが本をだす以上は非専門家という言い訳は通じない。まずP-17で、”水産庁は当初安全性を強調していましたが”と書かれているが、私は3月に水産庁で行われた勉強会に出席したり水産庁のHPを見ているが、一度も水産庁が”安全”と言っているのを聞いたことがない。水産庁は事実関係を述べているだけで、それを勝手に著者は”安全を強調している”と受け取っている。また、P-170に水産庁のHPに「放射性セシウムは魚の体内に蓄積されません」と書かれていたことを、著者は間違いと断言しているが、これは明らかに著者が間違っている。放射性セシウムは魚体内で濃縮はされるが、排出されてもいるので蓄積はしないということは公の事実だ。どうやら著者は、濃縮と蓄積を混同しているようだ。P-207では、国の高官、行政機関が「この食品.....健康への影響はない」と言っていたと書いてあるが、これは間違いであの悪評だった「ただちに健康への影響はない」が正しい。つまり、著者の論理で言えば、国の高官、行政機関は、ちゃんとICRP基準で発言していたということだ。また、著者は、あえて「暫定規制値」と「暫定基準値」と書いているようだが、この理由がわからない。意味が違ってくるので、正しい「暫定規制値」を使用してほしい。このあたりは、出版社が訂正すべき事のように思える。
2012年1月15日に日本でレビュー済み
津波で壊滅的な被害を受けた三陸の漁業。
著者は漁師さんの早く漁を再開したいという気持ちはわかるとしながらも「インフラだけ元に戻しても水産業は復興しない」として4つの理由を挙げている。
この本を読むまでは港が復活すれば漁師さんは漁ができるから元通りにできれば良いんじゃないの?と単純に思っていたが、そんな簡単な話ではないこと、このままでは先細りなことが良くわかった。予算、高齢化、加工・冷蔵、失われたシェア…。
「かわいそうだから元に戻そう」は無責任
厳しい言葉だけど、著者は前向きな改革の形を見据えた上でこの発言をしていて、それが一筋の光のように「こうなったら日本の漁業はよくなるだろう」という形を示してくれている。
乱獲と魚の価格の関係、資源管理の必要性、個別漁獲枠制度…うーん、日本が国として資源管理をちゃんとしていないとは思わなかった。こういう研究者と意見を交換したりして政策策定者ががんがん改革していくことはできないのかな。。。
宮城県の「水産復興特区構想」…この本で初めて知った。(因みに県議会は2011年10月18日に漁協の撤回請願を反対多数で不採択としたらしいが、その後どこまで進んでいるかは不明。)
この本のおかげで漁港の復興について興味を持った。漁港の数について「選択と集中」方式を取る宮城県と復興前の状態に戻す岩手県とで方針が別れているようだ。この本が主張する内容が正しければ、宮城県が正しい選択をしたことになるのだと思うが、隣の県同士で明暗が分かれるかもしれないなんて…こういうのって効率を考えると県ごとじゃなくて国が大方針を決めた方が良いんじゃないかなと思った。
この本の主題は日本の漁業の改革についてだが、最後の一章で水産物の放射能汚染について消費者として知りたいことが色々書かれていて、とても興味深かった。
一番驚いたのは「2011年6月まで、水産庁のウェブサイトには、「放射性セシウムは魚の体内に蓄積されません」と明記されてい」たそうだが世界中の文献によれば「魚に蓄積されるセシウムの値は海水中濃度の」「数十倍〜数百倍に蓄積され」、「日本語の情報は、少ないうえに間違えている」という部分だった。水産庁ということは一応国の見解だったんだよね…カンベンして…。
一番良いと思ったのは、不安になる消費者に対し、3つの基準を示し、どの基準を採択するかは個人の考えとしながらも、この基準に従えばこれくらいまでは大丈夫という基準値を示しているところだ。とてもわかりやすい。
とにかく淡水魚には注意したほうが良いそうだ。(普段あまり食べる機会がないかもしれないけど…)
著者は漁師さんの早く漁を再開したいという気持ちはわかるとしながらも「インフラだけ元に戻しても水産業は復興しない」として4つの理由を挙げている。
この本を読むまでは港が復活すれば漁師さんは漁ができるから元通りにできれば良いんじゃないの?と単純に思っていたが、そんな簡単な話ではないこと、このままでは先細りなことが良くわかった。予算、高齢化、加工・冷蔵、失われたシェア…。
「かわいそうだから元に戻そう」は無責任
厳しい言葉だけど、著者は前向きな改革の形を見据えた上でこの発言をしていて、それが一筋の光のように「こうなったら日本の漁業はよくなるだろう」という形を示してくれている。
乱獲と魚の価格の関係、資源管理の必要性、個別漁獲枠制度…うーん、日本が国として資源管理をちゃんとしていないとは思わなかった。こういう研究者と意見を交換したりして政策策定者ががんがん改革していくことはできないのかな。。。
宮城県の「水産復興特区構想」…この本で初めて知った。(因みに県議会は2011年10月18日に漁協の撤回請願を反対多数で不採択としたらしいが、その後どこまで進んでいるかは不明。)
この本のおかげで漁港の復興について興味を持った。漁港の数について「選択と集中」方式を取る宮城県と復興前の状態に戻す岩手県とで方針が別れているようだ。この本が主張する内容が正しければ、宮城県が正しい選択をしたことになるのだと思うが、隣の県同士で明暗が分かれるかもしれないなんて…こういうのって効率を考えると県ごとじゃなくて国が大方針を決めた方が良いんじゃないかなと思った。
この本の主題は日本の漁業の改革についてだが、最後の一章で水産物の放射能汚染について消費者として知りたいことが色々書かれていて、とても興味深かった。
一番驚いたのは「2011年6月まで、水産庁のウェブサイトには、「放射性セシウムは魚の体内に蓄積されません」と明記されてい」たそうだが世界中の文献によれば「魚に蓄積されるセシウムの値は海水中濃度の」「数十倍〜数百倍に蓄積され」、「日本語の情報は、少ないうえに間違えている」という部分だった。水産庁ということは一応国の見解だったんだよね…カンベンして…。
一番良いと思ったのは、不安になる消費者に対し、3つの基準を示し、どの基準を採択するかは個人の考えとしながらも、この基準に従えばこれくらいまでは大丈夫という基準値を示しているところだ。とてもわかりやすい。
とにかく淡水魚には注意したほうが良いそうだ。(普段あまり食べる機会がないかもしれないけど…)
2011年11月26日に日本でレビュー済み
日本の漁業に関して全くの不勉強である。それを恥じて本書を読むことにした。このジャンルの本を読むことは今回が初めてといって良い。本書の内容が正しいかどうか検証する知見が無いという前提で僕の読後感は以下二点である。
一点目。他のレビュアーの方も書かれているが日本の漁業の在り方に関しては想像以上に放漫経営状況である点に正直驚いた。日本の水産業の苦戦は新聞等で横目で読んでいてある程度は知っていた。それは漁業という産業構造から来る「不可避」である程度の見識しか無かった。本書で紹介されているノルウェーの事例は読んでいて衝撃的と言っても良い。
日本はモノ作り大国だと言われている。トヨタ等を象徴とされる改善等は、KAIZENという英語にすらなっている。その一方で、一次産業に関してはその日本の強みが発揮されているとは言い難い。ノルウェーの事例等は本来水産大国である日本でやれていてしかるべきなのだろうが、そうは成っていない。この点は日本として大いに反省すべきであるし、また言葉を変えると改善余地は大きいとも言える。その意味では日本の漁業はやりようがあるという明るい結論が可能だ。
二点目。本書の副題は「漁業は三陸から生まれ変わる」とある。三陸とは震災を意味する。日本の漁業にとって東日本震災とは何になるのかを考えることは大きな意味がある。
言うまでも無く三陸の漁業者にとって震災とは悲劇以外の何物でもない。本書で紹介される被害の大きさには言葉も出ない。リアス式地形にある小さい無数の漁村に津波が押し寄せたら何が起こるのかということは昔からのいくつかの津波でも分かっていたことだが、今回の震災で、その問題点は改めて浮き彫りにされた。
ここで災難を嘆いていたり、昔の状態に復元しようというだけでは意味が無いことを本書は説く。復元された「昔の状態」とは既に経営として破綻しているビジネスモデルだったとしたら、復元ではあっても復活には程遠い。日本の漁業は津波が来る前から既に災難下にあったことを本書は冷静に記述している。
津波は多くのものを流し去った。命に始まり、生活、家屋、漁船、加工設備、漁港設備等「全て」と言っても良いものを流した。その不幸の中に活路を見出すとしたら「流されたもの」の中に「従来のビジネスモデル」も入れることが出来るかどうかだ。
何かを創造するに際しては旧来を破壊しなくてはいけない面がある。「創造的破壊」という綺麗な言葉もあるが、今回の震災を「創造的破壊」と捉え直せない限り、震災の死者や被害に苦しむ生者は救われない。それが著者の真意であり、三陸から生まれる新しいビジネスモデルが「日本の魚」を「大丈夫」にするのだというメッセージだと僕は読んだ。
一点目。他のレビュアーの方も書かれているが日本の漁業の在り方に関しては想像以上に放漫経営状況である点に正直驚いた。日本の水産業の苦戦は新聞等で横目で読んでいてある程度は知っていた。それは漁業という産業構造から来る「不可避」である程度の見識しか無かった。本書で紹介されているノルウェーの事例は読んでいて衝撃的と言っても良い。
日本はモノ作り大国だと言われている。トヨタ等を象徴とされる改善等は、KAIZENという英語にすらなっている。その一方で、一次産業に関してはその日本の強みが発揮されているとは言い難い。ノルウェーの事例等は本来水産大国である日本でやれていてしかるべきなのだろうが、そうは成っていない。この点は日本として大いに反省すべきであるし、また言葉を変えると改善余地は大きいとも言える。その意味では日本の漁業はやりようがあるという明るい結論が可能だ。
二点目。本書の副題は「漁業は三陸から生まれ変わる」とある。三陸とは震災を意味する。日本の漁業にとって東日本震災とは何になるのかを考えることは大きな意味がある。
言うまでも無く三陸の漁業者にとって震災とは悲劇以外の何物でもない。本書で紹介される被害の大きさには言葉も出ない。リアス式地形にある小さい無数の漁村に津波が押し寄せたら何が起こるのかということは昔からのいくつかの津波でも分かっていたことだが、今回の震災で、その問題点は改めて浮き彫りにされた。
ここで災難を嘆いていたり、昔の状態に復元しようというだけでは意味が無いことを本書は説く。復元された「昔の状態」とは既に経営として破綻しているビジネスモデルだったとしたら、復元ではあっても復活には程遠い。日本の漁業は津波が来る前から既に災難下にあったことを本書は冷静に記述している。
津波は多くのものを流し去った。命に始まり、生活、家屋、漁船、加工設備、漁港設備等「全て」と言っても良いものを流した。その不幸の中に活路を見出すとしたら「流されたもの」の中に「従来のビジネスモデル」も入れることが出来るかどうかだ。
何かを創造するに際しては旧来を破壊しなくてはいけない面がある。「創造的破壊」という綺麗な言葉もあるが、今回の震災を「創造的破壊」と捉え直せない限り、震災の死者や被害に苦しむ生者は救われない。それが著者の真意であり、三陸から生まれる新しいビジネスモデルが「日本の魚」を「大丈夫」にするのだというメッセージだと僕は読んだ。
2013年11月6日に日本でレビュー済み
日本の漁業を救うには、個別漁獲枠制度を導入し、魚資源の回復と、利益率の向上を図らなければならない。著者の主張は明快かつ説得的である。
本当に、今、何とか手を打たないと、近い将来、ウナギもマグロも絶滅するのではないか。それが分かっていながら、何故手を打たないんだ、水産庁!いい加減にして欲しい。
そして、我々、消費者1人ひとりの意識も変えていかねばならない。だいたい、我々が子供の頃、今ほど気軽に寿司やウナギなど食さなかったし、トロなど滅多に食べるものではなかった。要するに、我々日本人の食生活が贅沢になり過ぎ、自然の方が、日本人の胃袋を満たせなくなってしまっているのだ。そうであれば、我々は、もっと持続可能な食生活を考えていかなくてはならないのではないか。
(2013/11/6読了)
本当に、今、何とか手を打たないと、近い将来、ウナギもマグロも絶滅するのではないか。それが分かっていながら、何故手を打たないんだ、水産庁!いい加減にして欲しい。
そして、我々、消費者1人ひとりの意識も変えていかねばならない。だいたい、我々が子供の頃、今ほど気軽に寿司やウナギなど食さなかったし、トロなど滅多に食べるものではなかった。要するに、我々日本人の食生活が贅沢になり過ぎ、自然の方が、日本人の胃袋を満たせなくなってしまっているのだ。そうであれば、我々は、もっと持続可能な食生活を考えていかなくてはならないのではないか。
(2013/11/6読了)
2011年10月8日に日本でレビュー済み
日本は先進国だから、漁業管理でも先進国なのだろうと思っていたが真逆で、獲りたいだけ魚を獲れてしまうために乱獲状態で漁獲量が減っているという。早い者勝ちだから小魚でも何でも獲れるものは獲ってしまう。クロマグロの場合、5年待てば100倍になるが、5年待つ前に誰かに獲られてしまうから、魚粉にしかならない0歳魚でもまさに一網打尽で獲り尽くす。漁獲高は上がっても生産額という点で大きく見劣る。また、近年は漁獲量自体も減ってきた。
著者は、補助金をやめ、漁船ごとに漁獲量を割り当てた個別漁獲枠制度の日本への導入を提案している。この応用で、漁獲枠の取引をできるようにした制度も含めれば、日本以外の世界の主要な漁業国はすべて、船ごとの漁獲枠制度を導入している。一人当たり漁獲高が日本の6倍以上あり、水産品輸出量世界一のノルウェーを例に、漁獲量割当制度のメリットを解説する。自分に割り当てられた枠を買い叩かれるような魚粉用で埋めたくないから、良い魚だけを狙う。漁獲枠の割り当てを巡っては世界どこでももめるし、乱獲で失われた生物量を取り戻すために最初はかなり制限されるが、効果は確実にあるという。
三陸の漁村や漁船は震災で壊滅した。著者はこれを機に、過剰な漁船数に戻すのではなく、漁船や漁村に漁獲枠を割り当てる資源管理型漁業の導入、漁業者の統合による漁業経営の効率化などを提案している。現状説明と分析はロジカルで、巻末の水産物と放射能の関係も納得しながら読めた。
著者は、補助金をやめ、漁船ごとに漁獲量を割り当てた個別漁獲枠制度の日本への導入を提案している。この応用で、漁獲枠の取引をできるようにした制度も含めれば、日本以外の世界の主要な漁業国はすべて、船ごとの漁獲枠制度を導入している。一人当たり漁獲高が日本の6倍以上あり、水産品輸出量世界一のノルウェーを例に、漁獲量割当制度のメリットを解説する。自分に割り当てられた枠を買い叩かれるような魚粉用で埋めたくないから、良い魚だけを狙う。漁獲枠の割り当てを巡っては世界どこでももめるし、乱獲で失われた生物量を取り戻すために最初はかなり制限されるが、効果は確実にあるという。
三陸の漁村や漁船は震災で壊滅した。著者はこれを機に、過剰な漁船数に戻すのではなく、漁船や漁村に漁獲枠を割り当てる資源管理型漁業の導入、漁業者の統合による漁業経営の効率化などを提案している。現状説明と分析はロジカルで、巻末の水産物と放射能の関係も納得しながら読めた。
2011年9月13日に日本でレビュー済み
被災地復興の道筋がメイン。
さらには日本の漁業の再興についても。
漁業関係者は必読の一冊であり、良心的な著書。
それから魚の放射性物質について一章が設けられていて
魚についての放射性物質を気にしている人は
危ない魚を避けるための知識も、しっかりとした視座から伝授してくれる。
ICRP基準やさらに厳しい基準について
厳しい基準を採用したい小さなお子様をお持ちの家族にも
丁寧に説明してあるところも好感。
さらには日本の漁業の再興についても。
漁業関係者は必読の一冊であり、良心的な著書。
それから魚の放射性物質について一章が設けられていて
魚についての放射性物質を気にしている人は
危ない魚を避けるための知識も、しっかりとした視座から伝授してくれる。
ICRP基準やさらに厳しい基準について
厳しい基準を採用したい小さなお子様をお持ちの家族にも
丁寧に説明してあるところも好感。
2011年11月25日に日本でレビュー済み
テレビや新聞で食卓に"マグロが並ばない"とかは以前から何度か聞いたことがありましたし、今回の震災の報道を見て漠然と漁業は大丈夫なのかと思っていました。その中で私は本書を読んで具体的に漁業の課題を知ることができました。
他国との比較のデータなど資料がたくさん載っており、わかりやすく説明されています。
乱獲や魚の売り方、組合の仕組みなど、問題は山積みであるようですが、他国の改革の成功例などを参考にしていけば必ずしも漁業の未来は悲観的ではないと思えました。
食卓に直結する漁業のこと、一読する価値があると思います。
他国との比較のデータなど資料がたくさん載っており、わかりやすく説明されています。
乱獲や魚の売り方、組合の仕組みなど、問題は山積みであるようですが、他国の改革の成功例などを参考にしていけば必ずしも漁業の未来は悲観的ではないと思えました。
食卓に直結する漁業のこと、一読する価値があると思います。