五嶋みどりのシベリウスVr協奏曲(ズービンメーター指揮、イスラエルフィル)のCDを購入しましたが、オーソドックスで好感のもてる演奏である。だた、CD録音の音圧が低くて、このCDだけボリュームを上げないと聞き取れない。そういうことで、今一つ存在感に欠ける演奏に思えてしまう。
そこで、このムター(アンドレ・プレヴィン指揮、シュターツカペレ・ドレスデン)を聴いてみることにした。書評によると、これはシベリウス音楽の北欧の静かな透明なリリシズムを無視した、強烈な個性とある。
ムターの力強いダイナミックな演奏、それに負けず呼応するプレヴィンのオーケストラ、チャイコフスキーのような情熱的な演奏である。こういうシベリウスがあってもいい。かつてのユージンオーマンディ指揮、フィラデルフィア管のシベリウス交響曲も、ゴージャスな演奏で秀逸である。
ムラヴィンスキー指揮、レニングラードフィルのシベリウス交響曲第7番なんぞ、迫力と抒情が独創的に織り交ぜられ、トローンボーンのソロがこんなに目立つ演奏は無い。印象深い演奏である。
このムターのシベリウスVr協奏曲も、個性的、かつ秀逸な演奏であり、とにかくも、耳によく入り、印象深いのは確かである。
第三楽章の民族舞踊的なところは、はじけるように鮮やかに演奏、すばらしい。書評では、ムター盤は、第一楽章の演奏が白眉とのことです。
CDコレクションのひとつに加えておいてもいいのではないか。