国の為、仕事の為とはいえ多くの人々を逮捕、拷問、強制重労働所送り
にしてきた罪人のレオの結末は大団円ではなかった。
正に因果応報の終局はとても切ない。
獄中で愛する娘達に面会できたのはせめてもの救いなのか?
レオの人生はなんだったのか?忌まわしい国家体制の犠牲者なのか?
最愛の妻を亡くし、二人の愛娘も巣立ったレオは、国家の使役の為、
アフガニスタンに身を置くが失意の挙句にアヘンに溺れ世捨て人のような
人生を送る。しかし、逃れることができない危機が訪れ窮地に陥る。
そして、危機からの脱出する局面で生きる意味を見出していく。
トムの特徴の「会話の無い文章」にも慣れ上下巻とも一気読みでした。
チャイルド44、グラーグ57、エージェント6の三部作に共通しているのは、
残酷と非業と無慈悲に打ちひしがれながらも、絶望しもがき抵抗する人々の、
とても苦しい生々しい境遇でした。ですから、読了後には決して爽快感、幸福感と
言うものはありません。胸が苦しくなる、息が詰まるような思いです。
されど、卓越した文章に引き込まれ、寝るのも忘れひたすら読み進めていく。
読者を惹きつける表現力と展開の繋ぎが絶妙な点がトム・ロブ・スミスの凄いと
ころなんでしょうね。でもね「偽りの楽園」は残念すぎました。
商業主義の人々にのせられ、稀有の能力を発揮できない作家にだけはなって欲しくない。

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エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫) 文庫 – 2011/8/28
運命の出会いから15年。レオの妻ライーサは教育界で名を成し、養女のゾーヤとエレナを含むソ連の友好使節団を率いて一路ニューヨークへと向かう。同行を許されなかったレオの懸念をよそに、国連本部で催された米ソの少年少女によるコンサートは大成功。だが、一行が会場を出た刹那に惨劇は起きた――。両大国の思惑に翻弄されながら、真実を求めるレオの旅が始まる。驚愕の完結編。
- 本の長さ393ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2011/8/28
- ISBN-104102169350
- ISBN-13978-4102169353
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2011/8/28)
- 発売日 : 2011/8/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 393ページ
- ISBN-10 : 4102169350
- ISBN-13 : 978-4102169353
- Amazon 売れ筋ランキング: - 396,721位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,522位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年12月30日に日本でレビュー済み
期待された第3作目だが、どうも「水増し」の感が否めない。
チャイルド44・グラーグ57と、緊張感とスピード感のある作品を生んだ作家だけに残念な気持ちが
少しある。
旧ソ連のスターリニズムを背景に、主人公が統制された思想と自らの意思・行動の乖離に悩む、
この構図は同じだが、後半部分はどうしても間延びしてしまっている。
さすがにソ連内部の政治・KGBの動きなどは読み応えがあるのだが、逆にアメリカFBI要員の動きや
マッカーシー反共政策の箇所がまどろこしく感じる。
主人公の行動と当時の世界政治の動きが連動しており、ソ連のアフガン侵攻については実によく
描写できている。しかし、主人公の行動と世界政治の流れが上手く繋がってこない。
絵空事とは感じなくとも、主人公が行動するその原因と世界政治がマッチしておらず、「このような状況で、
なぜ主人公がこういう行動をとるのか」が不明瞭なまま。
1950年前半から1980年代前半までの約30年間の激動するソ連政治=「スターリンによる粛正の嵐・
フルシチョフの秘密演説・その後のソ連の政治変化・アフガン侵攻」=それらをあまりに詰め込みすぎて、
どうにも筋立てに無理がある。
上下巻の上巻はほとんど間をおかずに読めたが、下巻に入ってから急に緊張感が失われ、失速している。
プロット自体の問題ではなく、おそらくは内容として1巻に収めるべき分量を、無理やりに2巻に分けていると
思える。下巻に入ったところで、アフガン侵攻の場面になるが、アフガンやパキスタンの政治状況はよく
描かれているが、主人公はその政治状況の中に埋没してしまっている。
購入するのには損はないことを保障するが、前2作と比較するとどうしても見劣りがする。
面白いことは面白い。
チャイルド44・グラーグ57と、緊張感とスピード感のある作品を生んだ作家だけに残念な気持ちが
少しある。
旧ソ連のスターリニズムを背景に、主人公が統制された思想と自らの意思・行動の乖離に悩む、
この構図は同じだが、後半部分はどうしても間延びしてしまっている。
さすがにソ連内部の政治・KGBの動きなどは読み応えがあるのだが、逆にアメリカFBI要員の動きや
マッカーシー反共政策の箇所がまどろこしく感じる。
主人公の行動と当時の世界政治の動きが連動しており、ソ連のアフガン侵攻については実によく
描写できている。しかし、主人公の行動と世界政治の流れが上手く繋がってこない。
絵空事とは感じなくとも、主人公が行動するその原因と世界政治がマッチしておらず、「このような状況で、
なぜ主人公がこういう行動をとるのか」が不明瞭なまま。
1950年前半から1980年代前半までの約30年間の激動するソ連政治=「スターリンによる粛正の嵐・
フルシチョフの秘密演説・その後のソ連の政治変化・アフガン侵攻」=それらをあまりに詰め込みすぎて、
どうにも筋立てに無理がある。
上下巻の上巻はほとんど間をおかずに読めたが、下巻に入ってから急に緊張感が失われ、失速している。
プロット自体の問題ではなく、おそらくは内容として1巻に収めるべき分量を、無理やりに2巻に分けていると
思える。下巻に入ったところで、アフガン侵攻の場面になるが、アフガンやパキスタンの政治状況はよく
描かれているが、主人公はその政治状況の中に埋没してしまっている。
購入するのには損はないことを保障するが、前2作と比較するとどうしても見劣りがする。
面白いことは面白い。
2013年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
に始まるレオ・デミドフ三部作の完結編。本三部作はレオの内面と個人史、家族に対する愛を求める旅を描いています。家族への愛にのみ生き求め続ける点で極めて個人的な物語であると同時に
スターリン時代の粛清時代から冷戦、アフガニスタン侵攻までの第二次世界大戦後のソヴィエトの現代史大河ドラマになっています。
第三部に当たる本作は米ソ冷戦を背景としたアメリカのレッドパージが生々しく描かれています。その象徴としてFBI捜査官ジム・イエーツが登場しますが、彼の反共思想はスターリン時代の秘密警察を思い起こさせます。これは、病んでいたのは共産主義のソヴィエトだけではなくその宿敵であるアメリカも著しく病んでいたことを示しています。その病理は対象がイスラム・テロリストとなり、その後のアメリカによるアフガン侵攻、イラク戦争へとつながっていることを思わずにはいられません。下巻p327泥沼化しているアフガンに駐留しているロシアの軍人がCIAエージェントに「アメリカもアフガニスタンに派兵するほど馬鹿じゃない」と言わせているのは何とも皮肉なセリフと言えましょう。
このように病んだ国家の犠牲なったレオと家族に多くの災いが降りかかりますが、その災いに正面から対峙して愛をつかもうとするレオの姿は愚かで痛々しくもありながら、美しいと感じられます。
スターリン時代の粛清時代から冷戦、アフガニスタン侵攻までの第二次世界大戦後のソヴィエトの現代史大河ドラマになっています。
第三部に当たる本作は米ソ冷戦を背景としたアメリカのレッドパージが生々しく描かれています。その象徴としてFBI捜査官ジム・イエーツが登場しますが、彼の反共思想はスターリン時代の秘密警察を思い起こさせます。これは、病んでいたのは共産主義のソヴィエトだけではなくその宿敵であるアメリカも著しく病んでいたことを示しています。その病理は対象がイスラム・テロリストとなり、その後のアメリカによるアフガン侵攻、イラク戦争へとつながっていることを思わずにはいられません。下巻p327泥沼化しているアフガンに駐留しているロシアの軍人がCIAエージェントに「アメリカもアフガニスタンに派兵するほど馬鹿じゃない」と言わせているのは何とも皮肉なセリフと言えましょう。
このように病んだ国家の犠牲なったレオと家族に多くの災いが降りかかりますが、その災いに正面から対峙して愛をつかもうとするレオの姿は愚かで痛々しくもありながら、美しいと感じられます。
2011年9月13日に日本でレビュー済み
この小説の(表現は適切ではないかもしれませんが)面白いところは、混迷を極めた20世紀のソビエトの歴史が、ソビエトの官僚だった主人公やソビエト国民ならびにソビエトについていた他の共産圏国家が翻弄されるところです。朝令暮改のような政治ですので、国民にとっては生死がかかっているので、緊張感が本を通しても伝わってきます。
またその対共産主義から、アメリカも異常に狂っていた時代をもここで知ることが出来ます。
この一連のシリーズを私が好きなのは、単なるサスペンスやアクションだけではなく、歴史をさかのぼり、その翻弄された歴史により、さまざまな悲劇をから政治が国民に与える影響を勉強できるからです。
1920年代のロシア飢饉から戦後のスターリンの死ぬまで・・・「チャイルド44」
1956年・・・第20回党大会の「スターリン批判」から同年10/11月のハンガリー動乱・・・「グラーグ57」
そして今回は1980年代のアフガン戦争までです。
アフガニスタンは今でもアメリカが駐留していますが、この本を読むとアフガニスタンの複雑な歴史を垣間見ることが出来ます。そしてこの本当時のアメリカの介入も皮肉な結果になることは歴史が証明しています。
小説の内容に話を進めますが、以前は養女ゾーヤとレオとの関係がどうしようもなかったのが、話を前に進めるためにいきなり関係良好。
奥様のライーサともいつの間にかこんなに信頼関係ができているというのは、ちと2作品の読者からすると、納得の行かないところもあります。
ただ話の展開や流れは相変わらずスムーズで、先が気になってどんどん読み進められていきます。
今回のこの話で個人的にとても惹かれたのがジェシー・オースティンの話です。巻末のあとがきに載っていますが、実際のモデルはアメリカの歌手のポール・ロブソンです。
歴史にほとんど封印されてしまい、忘れ去られた彼の悲しい個人史もここでまた日の目を見ることが出来、忘れされれた過去の悲劇から学ぶことが出来るのがこの本の魅力ではないかと思います。
またその対共産主義から、アメリカも異常に狂っていた時代をもここで知ることが出来ます。
この一連のシリーズを私が好きなのは、単なるサスペンスやアクションだけではなく、歴史をさかのぼり、その翻弄された歴史により、さまざまな悲劇をから政治が国民に与える影響を勉強できるからです。
1920年代のロシア飢饉から戦後のスターリンの死ぬまで・・・「チャイルド44」
1956年・・・第20回党大会の「スターリン批判」から同年10/11月のハンガリー動乱・・・「グラーグ57」
そして今回は1980年代のアフガン戦争までです。
アフガニスタンは今でもアメリカが駐留していますが、この本を読むとアフガニスタンの複雑な歴史を垣間見ることが出来ます。そしてこの本当時のアメリカの介入も皮肉な結果になることは歴史が証明しています。
小説の内容に話を進めますが、以前は養女ゾーヤとレオとの関係がどうしようもなかったのが、話を前に進めるためにいきなり関係良好。
奥様のライーサともいつの間にかこんなに信頼関係ができているというのは、ちと2作品の読者からすると、納得の行かないところもあります。
ただ話の展開や流れは相変わらずスムーズで、先が気になってどんどん読み進められていきます。
今回のこの話で個人的にとても惹かれたのがジェシー・オースティンの話です。巻末のあとがきに載っていますが、実際のモデルはアメリカの歌手のポール・ロブソンです。
歴史にほとんど封印されてしまい、忘れ去られた彼の悲しい個人史もここでまた日の目を見ることが出来、忘れされれた過去の悲劇から学ぶことが出来るのがこの本の魅力ではないかと思います。
2011年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「チャイルド44」「グラーグ57」「エージェント6」
これは恐るべき傑作です。
構成力・ストーリー・人物造形・リアルで細部まできめ細かな
国家と仕事と生活の描写・そして世界観。
これに匹敵するのは、スウエーデンの恐るべき傑作「ミレニアム3部作」だけだろう。
このふたつの3部作を連続して読めた時間は、
久しぶりに味わえた至福の時間だった。
終わってほしくなかった!
永遠に本の世界に留まっていたかった。
読了して、一日呆然としていた。
これから読み始める読者に嫉妬を覚える。
できれば、この3部作を終えたら、「ミレニアム3部作」を
読むことをお勧めする。
冬が近い、これからの季節にふさわしい
驚くべき傑作が読める最高の幸せが待っていることを約束します。
これは恐るべき傑作です。
構成力・ストーリー・人物造形・リアルで細部まできめ細かな
国家と仕事と生活の描写・そして世界観。
これに匹敵するのは、スウエーデンの恐るべき傑作「ミレニアム3部作」だけだろう。
このふたつの3部作を連続して読めた時間は、
久しぶりに味わえた至福の時間だった。
終わってほしくなかった!
永遠に本の世界に留まっていたかった。
読了して、一日呆然としていた。
これから読み始める読者に嫉妬を覚える。
できれば、この3部作を終えたら、「ミレニアム3部作」を
読むことをお勧めする。
冬が近い、これからの季節にふさわしい
驚くべき傑作が読める最高の幸せが待っていることを約束します。
2011年11月13日に日本でレビュー済み
3部作の締めくくりはレオの圧倒的な
愛を感じる作品でした。
国家に翻弄され、絶望に落ち、
それでも何年、何十年を経ても消えない
ライーサへの想い。
考えれば出会いから最後まで
レオはずっとライーサを愛してたんですね。
ソ連という閉塞的な国家と、
時代の変遷を背景としながらも、
根底にあるのは間違いなく「愛」だと思う。
レオが洞窟でライーサを見るところは泣きました。
愛を感じる作品でした。
国家に翻弄され、絶望に落ち、
それでも何年、何十年を経ても消えない
ライーサへの想い。
考えれば出会いから最後まで
レオはずっとライーサを愛してたんですね。
ソ連という閉塞的な国家と、
時代の変遷を背景としながらも、
根底にあるのは間違いなく「愛」だと思う。
レオが洞窟でライーサを見るところは泣きました。
2013年1月17日に日本でレビュー済み
うわー。こりゃすごい。相変わらず戦慄の展開。
前作、前々作も読みましたが、
まさか、1作目越えがあるのか・・・。
とにかく場面転換が鮮やか。
情景描写がきちんと次の出来事を示唆していて、
そこから想像をふたまわり超えた展開がやってきます。
このへんのやり口はさすがだなあ。
かつてスターリン体制下で過酷な生活を経験したロシアの子供達が
冷戦で厳戒態勢が続く中、平和を歌うためにニューヨークへやってくる。
初めて目の当たりにする成熟した資本主義社会の姿に圧倒されるうち
水面下でうごめくイデオロギー闘争に巻きこまれていって。
それはもう、とんでもないことに。
中盤まで読むとひしひしと感じるんです。
この物語にはヒーローが必要だと。その不在感がすごくて。
頼むよ、レオ・デミドフ。お願いだからなんとかしてくれ。と。
しかし、それはアレです。もはや望むべくもなくて。
上巻の最後はページをめくるのが怖いくらいでした。
下巻はきっと全く別の話になるだろうなあ。
レオ・・・。
前作、前々作も読みましたが、
まさか、1作目越えがあるのか・・・。
とにかく場面転換が鮮やか。
情景描写がきちんと次の出来事を示唆していて、
そこから想像をふたまわり超えた展開がやってきます。
このへんのやり口はさすがだなあ。
かつてスターリン体制下で過酷な生活を経験したロシアの子供達が
冷戦で厳戒態勢が続く中、平和を歌うためにニューヨークへやってくる。
初めて目の当たりにする成熟した資本主義社会の姿に圧倒されるうち
水面下でうごめくイデオロギー闘争に巻きこまれていって。
それはもう、とんでもないことに。
中盤まで読むとひしひしと感じるんです。
この物語にはヒーローが必要だと。その不在感がすごくて。
頼むよ、レオ・デミドフ。お願いだからなんとかしてくれ。と。
しかし、それはアレです。もはや望むべくもなくて。
上巻の最後はページをめくるのが怖いくらいでした。
下巻はきっと全く別の話になるだろうなあ。
レオ・・・。
2011年9月20日に日本でレビュー済み
上巻と下巻でページ数に結構な違いがあり、何でだろうか、と思っていたのだが、上巻400ページは
”まるまる”下巻への”前振り”だった...
上巻を読み終わったばかりだが、ここまでの陰謀譚の面白さに圧倒されている。
冷戦下、赤狩り渦巻く米国で、ソ連が仕掛けた、(割りにソフトな)共産主義プロパガンダ作戦、それに対してアメリカが仕掛け返したらしい
熾烈なしっぺ返しの作戦、まるでエルロイの小説の登場人物のようなFBI職員の存在が、さらに仕組まれた別の陰謀を予見させる...
上巻だけでは全体のハッキリした構図はまだ見えて来ない。
上巻で仕掛けられた陰謀、そして下巻は、ここまで蚊帳の外に置かれていたレオの熾烈な復讐譚への予感。
後半は、<本の裏書>によるとアフガンでの、すごい冒険譚から始まる様で、それはそれで楽しみなのだが、
そこは<最終目的地>ではないはず....大丈夫か?
下巻に手を掛けるのがもったいない様な、まさしく<本を読む手を置くをあたわず>な本。
題材は違うがウインズロウ「犬の力」を彷彿とさせるほどの面白さ。
下巻での締めかた次第では、今年のNo.1...
”まるまる”下巻への”前振り”だった...
上巻を読み終わったばかりだが、ここまでの陰謀譚の面白さに圧倒されている。
冷戦下、赤狩り渦巻く米国で、ソ連が仕掛けた、(割りにソフトな)共産主義プロパガンダ作戦、それに対してアメリカが仕掛け返したらしい
熾烈なしっぺ返しの作戦、まるでエルロイの小説の登場人物のようなFBI職員の存在が、さらに仕組まれた別の陰謀を予見させる...
上巻だけでは全体のハッキリした構図はまだ見えて来ない。
上巻で仕掛けられた陰謀、そして下巻は、ここまで蚊帳の外に置かれていたレオの熾烈な復讐譚への予感。
後半は、<本の裏書>によるとアフガンでの、すごい冒険譚から始まる様で、それはそれで楽しみなのだが、
そこは<最終目的地>ではないはず....大丈夫か?
下巻に手を掛けるのがもったいない様な、まさしく<本を読む手を置くをあたわず>な本。
題材は違うがウインズロウ「犬の力」を彷彿とさせるほどの面白さ。
下巻での締めかた次第では、今年のNo.1...