
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ハンカチ王子と老エース 奇跡を生んだ早実野球部100年物語 単行本 – 2006/11/11
時空を超えた衝撃の甲子園ノンフィクション!
斎藤佑樹独占!ロングインタビュー
「僕はあの日から、鬼になった」収録
アルプススタンドへ走る斎藤の目から、みるみる涙が溢れ出した。「僕たちを支えてくれた仲間がいました。その顔が見えて、涙が出たんです。肩の重みが抜けていきました。早実野球部100年の思いから、解き放たれた気がしました」
「鬼」と化した斎藤が、普通の「青年」に戻った瞬間だった。
「あの乾いた音、糸を引くように三遊間を抜けていった打球のことは、忘れられない。自分にとって一瞬の、しかし人生のなかでこの上なく悔しく、思い出深いあの光景を」
75年前の8月、若き日の老エースは、斎藤が立つ同じ甲子園のマウンドにいた。
- 本の長さ306ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/11/11
- ISBN-104062136848
- ISBN-13978-4062136846
この著者の人気タイトル
商品の説明
抜粋
運命の対決
それは、まさに地鳴りだった。
甲子園球場を包んだ悲鳴と熱気、そして視線----。摂氏35度を超えた灼熱の甲子
園が、ここ何年も味わったことのなかった緊張感に支配されていた。
「頼む......頼む」
一人の若者の右腕に、創部百年の悲願が込められていた。
アルプススタンドから溢れ出た早実OBや関係者、そしてファン......、何万とい
う人間が身体の中から発散させる熱気は、色で譬えれば何色になるのだろうか。
平成18年夏、第88回全国高等学校野球選手権大会決勝戦。
端正な顔だちと優しい眼差しとは裏腹に、激しい闘争心を内に秘めた若者----斎
藤佑樹は、甲子園のマウンドに仁王立ちしていた。
バッターボックスには、三連覇を目指す駒大苫小牧のエース・田中将大。185セ
ンチ、83キロの恵まれた身体に、らんらんとした闘志を漲らせていた。
田中は、バッターボックスに向かう時、
「野球の神様がこの場面をつくってくれた」
と、思った。
九回裏二死、4対3、早実のリード。
甲子園決勝という選ばれた者だけに許された極限の勝負の世界が、最後の最後に
こんな舞台を用意してくれたのだ。自分と斎藤に----。
「やっぱりいるんだ、野球の神様って......」
田中は打席に入る時、そんなことを改めて考えた。すると、思わず、ふっ
と笑みが零れたのだ。
「田中が笑っている」
マウンドの斎藤は、この時の田中の笑みを見逃さなかった。
これから「真剣」を手にして斬り結ぶ二人。
誰もが震えるような興奮で手に汗を握る中で、当事者の二人だけは、喧噪も何も
ない真空状態の中にいたのである。
「これは運命だ」
田中が笑みを漏らす姿を見て、斎藤はそう思った。
著者について
著書に『甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯』(講談社)、『裁判官が日本を滅ぼす』(新潮社)がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/11/11)
- 発売日 : 2006/11/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 306ページ
- ISBN-10 : 4062136848
- ISBN-13 : 978-4062136846
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,324,896位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 31,539位スポーツ (本)
- - 140,182位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
早実の本がいくつか出ているけど、中身はいちばん濃いと思う。
斎藤ファンのみならず、野球ファン、全てのスポーツファンにお薦めしたい一冊です。
早実野球部100年の歴史は、やっぱりハンパじゃないですね。
島津雅男(老エース)、王貞治、荒木大輔、斎藤佑樹。
四人のエースの物語は、それぞれに光と陰があり、
高校野球の醍醐味は「負けたら終わり」なところにあると、
改めて思いました。
私も3章のキャッチボールのシーンでは泣きました。
そして7章では、「斎藤って、結構エグいな」と、新鮮な驚きがありました。
決してヨイショ本ではなく、斎藤の「本当の顔」が伝わってきます。
帯に「鬼になった」と書いてあるけど、その通りだと思いました。
ところが甲子園で一戦一戦、力を付けていったよね、ものすごくチームにまとまりが出てきて。特に大阪桐蔭戦の勝ち方でもしや、って期待が膨らんだ。あの中田との勝負っぷり!それが伝統なのか、先輩たちの無念の集積なのかわかんないけど、“もののけチック”なパワーが斎藤に、早実ナインに憑依しているのがハッキリと感じられた。それは思わず身震いしたくなるような目に見えないチカラ。俺は別段、早実ファンじゃないんだけど、昨夏の早実の戦いぶりには魅入られてしまったもの。野球の面白さって奴もあらためて感じさせてもらったし。あの駒大苫小牧との決勝、再試合はドラマとして出来過ぎだよね。もう、あれ見られただけでほんと幸せ!それにしても早実野球部って、100年の歴史の中で“老エース”こと島津雅男、王貞治、荒木大輔、そして斎藤佑樹の活躍がほぼ四半世紀ごと、ってのが面白いよね。やっぱ、そういうサイクルってあるんだなって。野球人気の陰り、みたいなことがここ数年言われてたところに、斎藤とか田中とか出てきて、そういうのってポッと突然変異的に出てくるものじゃなくて、連綿と続いてきた歴史とか伝統ってのが、ある種、たまたま、斎藤とか田中って逸材によって花開くってことなんだな、ってのがこの本読んでわかった気がする。
とりあえず、“王子”の大学進学っていうのは野球ファンにとっては嬉しい選択だった。だって、じり貧だった大学野球に注目が集まる訳だし、プロ野球にとっても四年後の斎藤、田中対決って楽しみが出来て、延命が図れた訳だし。
この本、便乗本じゃなくて、取材も構成もちゃんとしてて良かったっす!
そう著者は斉藤君を形容しています。
テレビや新聞、雑誌では到底知ることのできない
素顔の斉藤君を知れました。
こんな書き方してるのはこの本だけではないでしょうか。
早実野球部の甲子園との因縁、伝統校にしかない苦悩。
まるで一つの壮大なドラマですね。
プロローグで泣きそうになり、私の母校との死闘で鳥肌が立ち、
斉藤君と高屋敷君のキャッチボールで涙しました。
野球好きはもちろん、斉藤君のファンからコアな高校野球ファンまで
楽しめる1冊だと思います。
どこにでもありそうな夏を、2人の高校球児がガラリと変えてしまった。
斎藤と田中の激戦は誰の眼にも「運命」を焼き付けたと思う。
けれど、同じ夏、同じ空の下で、こんな「運命」の物語があったなんて知らなかった。
本当の「運命」は私たちの知らないところで少しずつ始まっていたのかもしれない。
斎藤投手の一球一球に込められたもの。歴史、戦争、命・・・。
およそ、私たちが思い当たる「願い」と呼ばれるものは、あの夏、斎藤投手が握り締めていた。
そんなことを考えると、あの夏の自分は何か大切なものを見落としてしまったんじゃないかと思ってしまう。
まさに劇的。こんな予定調和みたいな物語が事実だなんて。
奇跡を信じられなくなった方、ここに奇跡があります。
特に夏の甲子園での早実と苫小牧の歴史的な試合を見らた時の感動は忘れられません。
その時、和泉監督が「88回待ちました」と言ったインタビューの意味がこの本でよく分かり
試合の裏側を知ることが出来、感動を新たにしました。
またこの本は、どこの野球部でも繰り広げられるような感動的なエピソードが沢山
書かれてあり、早実、斎藤ファンでない方にも是非読んでもらいたいと思いました。
この本を読んでますます野球が好きになりました。
斎藤君は、この壮烈な「運命や因縁」を知った上で、あの決勝のマウンドに上がっていたんですね。君の闘志は凄いです。そして、その歴史を支えてきた「老エース」を含めた早実の諸先輩方も凄いです。
高校野球が、ますます好きになってしまいました。野球をジャーナリズムの視点で捉えた作品として、読む人を引きずりこむ筆致と共に、心に残りました。