"ああ、争いなど神界からも人の世からもなくなればよいに、また怒りも。"紀元前8世紀頃成立とされる本書は世界三大叙事詩の一つ、トロイア戦争十年目のある日に生じたアキレウスの怒りから、イーリオスの英雄ヘクトールの葬儀までを描写する口承文学、不朽の名著。
個人的には主宰する読書会の課題図書として手にとりました。
さて、そんな本書はシェリーマンの発掘により、かって実際にあったとされるトロイア戦争を題材にした作品で、人間の増加を憂うゼウスによる『パリスの審判』が遠因となり、初見だと唐突にも感じるギリシア軍第一の勇将アキレウスと王アガメムノンの舌戦に始まり、ギリシア連合軍によるトロイアへの攻撃、それによる互いの勇士たちの騎士道的な戦いと次々とした死を鮮やかに、そして上下巻でボリュームたっぷりに描いているわけですが。
特に戦争へと至る過程が語られる物語の前半は、それぞれの章で描かれていることの簡単な説明があるとはいえ、登場人物たちも多く【内容をつかむのが大変だった】のですが。戦争が始まってからは勇士たちの活躍が映像的にドラマチックに描かれていて面白かったです。
また、本書の戦争は一応はアキレウスの勝利で終わるとはいえ、敵将となるヘクトール、そして神々も含めて、どちらが正義で悪だとかいう【単純な勧善懲悪ものではなく】複雑な思惑が描かれているのも現代にも通じるメッセージがあって驚きました。
世界三大叙事詩の一つ、西洋文学のバックボーン的名著として。またトルストイの『戦争と平和』他、多数の作品に影響を与えた一冊としてもオススメ。
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ホメロス イリアス 上 (岩波文庫 赤 102-1) 文庫 – 1992/9/16
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- ISBN-104003210212
- ISBN-13978-4003210215
- 出版社岩波書店
- 発売日1992/9/16
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 2.7 x 14.8 cm
- 本の長さ454ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1992/9/16)
- 発売日 : 1992/9/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 454ページ
- ISBN-10 : 4003210212
- ISBN-13 : 978-4003210215
- 寸法 : 10.5 x 2.7 x 14.8 cm
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2024年2月3日に日本でレビュー済み
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殺られる時の描写が生々しいが、いちいち想像してしまう。神が人間の命を両天秤にかける様子。有り得ないけど有り得る。ホメロス天才。大昔なのに
2023年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
結構、コーエイの戦国無双・三国無双っぽいワサワサ感です。戦場の描写が多く、かなりの臨場感。実はトロイ戦役でも一部のみの記述で、戦役の発端や終わりであるトロイの木馬は出て来ません。ブラピの映画「トロイ」でも事前に観ておいて、全体を把握しておいた方が良いかと。やたらと人の名前が羅列されますので(しかも誰々の子との前置付)、トロイ側かギリシア側かKindleでマーカーを付けながら読むと便利。Kindleなら、神様や有名な人物はWikipediaが検索してくれますので、更に便利。やはりオデッセイアと並び欧州文化の基礎となっていますので、一読の価値はあるかと。
2023年6月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「現にいまもわしとアキレウスとが、たかがひとりの女のことで、激しい言葉で罵り合った」(60頁)
「わし」というのは、「王アガメムノン」。
トロイア戦争のとき、トロイアに上陸したギリシア連合軍の王アガメムノンは、
勇将アキレウスの愛妾ブリセイスのことでアキレウスと言い争い、
そのため勇将アキレウスが戦線を離れたため、ギリシア軍は一時劣勢になります。
「ひとりの女」というのは、このときのブリセイスのことです。
当時「戦は男の仕事」(206頁)だったとしても、女も陰で戦に大きく関わっていたのです。
トロイア戦争から三千年経った今日でも、戦争はなくなりません。
戦争の原因や目的はいろいろですが、
男と女の人間社会から戦争がなくなることはないのかもしれません。
本書『イリアス』(上)は、古代ギリシアの叙事詩(エボス)です。
口承で伝えられたものを、数百年後に文字化された詩集なのです。
神話と思われていた「トロイア伝説に取材した物語」(447頁)
実話だったことが、後に発見された遺跡から検証されたのです。
本書(上巻)の目次には、第一歌から第十二歌まであります。
各歌の冒頭に、見出しと「梗概」が付されていて、読者にはありがたい。
巻末には、詳しい「訳注」と、訳者の松平千秋氏による「解説」があります。
本書は全部で454頁の大著です。
トロイア落城は「前十三世紀中庸」(448頁)。
トロイア戦争がギリシャ文字化されたのは、前八世紀中葉「前750年頃」(440頁)。
前十三世紀から前八世紀の間は、もっぱら口頭での伝承だったのでしょう。
今から三千年近くも前の古いことなのに、思ったより読みやすかったです。
本書上巻の最後の文章について。
「ダナオイ勢は船のまわりに逃げまどい、辺りは果てることなき喧噪の場と化した」(392頁)
この「ダナオイ勢」とは、巻末の訳注を見ると「アルゴス勢」などと同様に
「ギリシア軍の総称」(393頁)とのこと。
本文は、英語の底本に忠実に訳しているようです。
確かに、原文に忠実に本文を訳した上で、
別途、「訳注」として補足説明するのが、正確で学術的な翻訳でしょう。
でも、一般読者には
《ギリシア連合軍》とかの用語に統一していただくか、
直近の本文中に注記していただくほうが読みやすい。
《ギリシア連合軍は船のまわりに逃げまどい》のほうが、
ギリシア連合軍が劣勢とすぐ分かります。
結局、トロイア戦争は最終的にはギリシア連合軍が勝利したのですが、
本書(上巻)では劣勢になったところで終わっています。
下巻も合わせて読んでいます。
「わし」というのは、「王アガメムノン」。
トロイア戦争のとき、トロイアに上陸したギリシア連合軍の王アガメムノンは、
勇将アキレウスの愛妾ブリセイスのことでアキレウスと言い争い、
そのため勇将アキレウスが戦線を離れたため、ギリシア軍は一時劣勢になります。
「ひとりの女」というのは、このときのブリセイスのことです。
当時「戦は男の仕事」(206頁)だったとしても、女も陰で戦に大きく関わっていたのです。
トロイア戦争から三千年経った今日でも、戦争はなくなりません。
戦争の原因や目的はいろいろですが、
男と女の人間社会から戦争がなくなることはないのかもしれません。
本書『イリアス』(上)は、古代ギリシアの叙事詩(エボス)です。
口承で伝えられたものを、数百年後に文字化された詩集なのです。
神話と思われていた「トロイア伝説に取材した物語」(447頁)
実話だったことが、後に発見された遺跡から検証されたのです。
本書(上巻)の目次には、第一歌から第十二歌まであります。
各歌の冒頭に、見出しと「梗概」が付されていて、読者にはありがたい。
巻末には、詳しい「訳注」と、訳者の松平千秋氏による「解説」があります。
本書は全部で454頁の大著です。
トロイア落城は「前十三世紀中庸」(448頁)。
トロイア戦争がギリシャ文字化されたのは、前八世紀中葉「前750年頃」(440頁)。
前十三世紀から前八世紀の間は、もっぱら口頭での伝承だったのでしょう。
今から三千年近くも前の古いことなのに、思ったより読みやすかったです。
本書上巻の最後の文章について。
「ダナオイ勢は船のまわりに逃げまどい、辺りは果てることなき喧噪の場と化した」(392頁)
この「ダナオイ勢」とは、巻末の訳注を見ると「アルゴス勢」などと同様に
「ギリシア軍の総称」(393頁)とのこと。
本文は、英語の底本に忠実に訳しているようです。
確かに、原文に忠実に本文を訳した上で、
別途、「訳注」として補足説明するのが、正確で学術的な翻訳でしょう。
でも、一般読者には
《ギリシア連合軍》とかの用語に統一していただくか、
直近の本文中に注記していただくほうが読みやすい。
《ギリシア連合軍は船のまわりに逃げまどい》のほうが、
ギリシア連合軍が劣勢とすぐ分かります。
結局、トロイア戦争は最終的にはギリシア連合軍が勝利したのですが、
本書(上巻)では劣勢になったところで終わっています。
下巻も合わせて読んでいます。
2014年7月20日に日本でレビュー済み
散文的な翻訳なので叙事詩として浪々とうたわれた時の
感じは想像できないけど、枕詞のような修飾語の端々に
歌の片鱗を感じることはできます。
(オング「声の文化と文字の文化」などをどうぞ)
とにかく固有名詞や、だれそれの子といった修飾や反復が多い
ですが、あまり気にせずトロイア戦争のパノラマ描写を
楽しめばいいかとおもいます。
映画の「ベン・ハー」の戦車競走を彷彿とさせる躍動感、
スピード感があってのめりこめます。
アキレウス、子供っぽいけどかっけー!みたいな。
今の異世界ラノベ描写や世界設定にまで脈々と流れる
人間の世界把握、世界描写の破天荒さにある種の畏怖
すら覚えます。
ドン・キホーテばっかがいた時代、ってことかな。
いわゆる「内面描写」は希薄なので、現代小説になれた
読者からするとあっさり感がするかもしれませんが、
逆にいかに近代の物語が「内面」の病に毒されているか
よくわかります。
このイリアスにも登場する策士オデュセウスが、
トロイヤ戦争後に帰国する際の困難を描いたものが
続編ともいえる『オデュッセイア』になります。
こちらは、打って変わってプロット構成も緻密で技巧的。
あわせてよまれたし。
西洋文学を読む上で、聖書(キリスト教など)についての
背景知識あるのとないので異なるように、好むと好まざると
にかかわらず、本書も一度くらいは読んでおかないと話に
ならない基本的なもののように思います。
それがすべてとはいわないですが、文系の大学生なら本書を
読んでる程度の「教養」は卒業までには身に着けておいて
もらわないと、「さわりであれ真面目に学問がじってもねー
か、ピンポイントの専門バカかどっちかかな?」って思っち
ゃうでしょうね。そういう位の文系にとっての基本図書だと
思います。
感じは想像できないけど、枕詞のような修飾語の端々に
歌の片鱗を感じることはできます。
(オング「声の文化と文字の文化」などをどうぞ)
とにかく固有名詞や、だれそれの子といった修飾や反復が多い
ですが、あまり気にせずトロイア戦争のパノラマ描写を
楽しめばいいかとおもいます。
映画の「ベン・ハー」の戦車競走を彷彿とさせる躍動感、
スピード感があってのめりこめます。
アキレウス、子供っぽいけどかっけー!みたいな。
今の異世界ラノベ描写や世界設定にまで脈々と流れる
人間の世界把握、世界描写の破天荒さにある種の畏怖
すら覚えます。
ドン・キホーテばっかがいた時代、ってことかな。
いわゆる「内面描写」は希薄なので、現代小説になれた
読者からするとあっさり感がするかもしれませんが、
逆にいかに近代の物語が「内面」の病に毒されているか
よくわかります。
このイリアスにも登場する策士オデュセウスが、
トロイヤ戦争後に帰国する際の困難を描いたものが
続編ともいえる『オデュッセイア』になります。
こちらは、打って変わってプロット構成も緻密で技巧的。
あわせてよまれたし。
西洋文学を読む上で、聖書(キリスト教など)についての
背景知識あるのとないので異なるように、好むと好まざると
にかかわらず、本書も一度くらいは読んでおかないと話に
ならない基本的なもののように思います。
それがすべてとはいわないですが、文系の大学生なら本書を
読んでる程度の「教養」は卒業までには身に着けておいて
もらわないと、「さわりであれ真面目に学問がじってもねー
か、ピンポイントの専門バカかどっちかかな?」って思っち
ゃうでしょうね。そういう位の文系にとっての基本図書だと
思います。
2022年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世界三大叙情詩のひとつ。
古代の文学作品。
合理的な物語と合理的な問答で展開される。
大人対大人のお手本ですよね。
英雄という英雄が登場しつつ。
紀元前千五百年付近のトロイヤ戦争が語られます。
ホメロスは経過を熟知していたのかな。
登場人物に一貫した合理性があり。
馴染みやすくて好きになります。
文量が多いのは覚悟が必要。
諸説ありますが。
パリスのヘレネ誘拐は。
不和のリンゴが投げ込まれて。
パリスがアプロディテを選んだので。
約束として恋仲にしてもらい誘拐。
人間が板挟みになって蹂躙されるという。
人間が巻き込まれた状況になっています。
実戦は映画みたいな何とか大決戦とは異なり。
日常の拡張のようにスローモーションで展開されますが。
これもホメロスが再現している所ですね。
昔の戦争は礼儀正しく。
優れた者同士で行われていた。
ホメロスはギリシア史の偉人で。
詩人でもあります。
想像とは違っている所が古典の魅力。
歴史をそのまま物語にした辺りは。
文学と古典と歴史書がまとまった。
たまらない内容になっていますね。
古代の文学作品。
合理的な物語と合理的な問答で展開される。
大人対大人のお手本ですよね。
英雄という英雄が登場しつつ。
紀元前千五百年付近のトロイヤ戦争が語られます。
ホメロスは経過を熟知していたのかな。
登場人物に一貫した合理性があり。
馴染みやすくて好きになります。
文量が多いのは覚悟が必要。
諸説ありますが。
パリスのヘレネ誘拐は。
不和のリンゴが投げ込まれて。
パリスがアプロディテを選んだので。
約束として恋仲にしてもらい誘拐。
人間が板挟みになって蹂躙されるという。
人間が巻き込まれた状況になっています。
実戦は映画みたいな何とか大決戦とは異なり。
日常の拡張のようにスローモーションで展開されますが。
これもホメロスが再現している所ですね。
昔の戦争は礼儀正しく。
優れた者同士で行われていた。
ホメロスはギリシア史の偉人で。
詩人でもあります。
想像とは違っている所が古典の魅力。
歴史をそのまま物語にした辺りは。
文学と古典と歴史書がまとまった。
たまらない内容になっていますね。