名前も顔も知らない状態で、たまたまラジオで生ライブを聴いて、全身が震えるぐらい感動して、これは素晴らしいと思い、名前を記憶して数ヶ月…。
ちゃんと聞きたいなと思いながらも、つい買いそびれていましたが、ようやくCDを購入しました(発売されているものは全て同時購入)。
星羅さん、文句なく歌が上手いです。
妙な押し付けがましさがないというか、感情丸出しじゃないというか、とても自然な感じです。
繊細で透き通る声の中にも、芯の強さと、地に足が付いた安定感のようなものがあると思います。
とにかくこの人は「声の抜き方」が実に上手いです。
張り上げるような声や、声量のある上手な歌い手さんはたくさんいますが、声の抜き方が上手い人って(Jポップでは)そんなにいないんです。
口先だけ、咽喉だけで歌っているのではなくて、なんていうか、もっと感覚的に体から歌っている感じがします。
きっと歌を歌うことが好きなんだろうな、ということが伝わってきます。
全曲いいけど、とくに5曲目の『風』は白眉の名曲です。歌詞も素晴らしい。
10代の多感な時期の、ひりひりした情感というか、一人ぼっちの寂しさ、哀しさ、空しさが、ストレートに歌われています。
胸にぽっかり空いた穴を埋めてくれるような優しい歌です。聴くたびに涙ぐんでしまいます。
ちょっと独特のメロディーセンスです。
1989年生まれとのことで、それを考慮に入れると(入れなくてもか)、とんでもない才能だと思います。3年後、10年後が本当に楽しみな『シンガー・ソングライター』です。
インディーズから出したこのCDは、シンプルなアレンジとサウンドで、彼女の持ち味を損なうことなく、活かせている思います。
浜田真理子さんや、秦基博さんのことが好きな人には、とくにお勧めします(自分がそうなので…)。
こういう「本物」の実力を持ったシンガーは、シンプルにアコギだけとかのほうが個人的にはいいと思います。
が、地味になりすぎてもアレなので、とにかくもっともっと多くの人に(時間をかけて)聞いてもらいたいです!
大器晩成かもしれないけど、でも間違いなく、星羅さんは本物で大物ですよ。