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眠れる美女 (新潮文庫) ペーパーバック – 1967/11/28
川端 康成
(著)
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購入オプションとあわせ買い
三島由紀夫、エドワード・G・サイデンステッカーらが大絶賛した、
川端エロティシズムの金字塔。
波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館だった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視していた。
「熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品」と三島由紀夫が評した名作「眠れる美女」のほか、「片腕」「散りぬるを」を収録。
「眠れる美女」は1962年度の「毎日出版文化賞」を受賞している。
目次
眠れる美女
片腕
散りぬるを
解説 三島由紀夫
本書収録「眠れる美女」より
たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ、と宿の女は江口老人に念を押した。
二階は江口が女と話している八畳と隣りの――おそらくは寝部屋の二間しかなく、見たところ狭い下にも客間などなさそうで、宿とは言えまい。宿屋の看板は出していない。またこの家の秘密は、そんなものを出せぬだろう。家のなかは物音もしない。
本書収録「片腕」より
「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた。
「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に伝わった。
「あ、指輪をはめておきますわ。あたしの腕ですというしるしにね。」と娘は笑顔で左手を私の胸の前にあげた。「おねがい……。」
本書収録「散りぬるを」より
滝子と蔦子とが蚊帳一つのなかに寝床を並べながら、二人とも、自分達の殺されるのも知らずに眠っていた。少くともはっきりとは目を覚まさなんだ。――ということは、無期懲役を宣告された加害者山辺三郎も一昨年獄死し、もう事件から五年も経た今となれば、私を一種の阿呆らしい虚無感に落すよりも、むしろ一種の肉体的な誘惑を感じさせるのである。
本書「解説」より「眠れる美女」について
その執拗綿密な、ネクロフィリー的肉体描写は、およそ言語による観念的淫蕩の極致と云ってよい。しかし、作品全体が、いかにも息苦しいのは、性的幻想につねに嫌悪が織り込まれているためであり、又、生命の讃仰(さんぎょう)につねに生命の否定が入りまじっているためである。ここではその官能の閉塞状態は、人智の限りと云ってよいほど推し進められており、性が自由や解放の象徴として用いられることは絶無である。
――三島由紀夫(作家)
川端康成(1899-1972)
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
川端エロティシズムの金字塔。
波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館だった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視していた。
「熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品」と三島由紀夫が評した名作「眠れる美女」のほか、「片腕」「散りぬるを」を収録。
「眠れる美女」は1962年度の「毎日出版文化賞」を受賞している。
目次
眠れる美女
片腕
散りぬるを
解説 三島由紀夫
本書収録「眠れる美女」より
たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ、と宿の女は江口老人に念を押した。
二階は江口が女と話している八畳と隣りの――おそらくは寝部屋の二間しかなく、見たところ狭い下にも客間などなさそうで、宿とは言えまい。宿屋の看板は出していない。またこの家の秘密は、そんなものを出せぬだろう。家のなかは物音もしない。
本書収録「片腕」より
「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた。
「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に伝わった。
「あ、指輪をはめておきますわ。あたしの腕ですというしるしにね。」と娘は笑顔で左手を私の胸の前にあげた。「おねがい……。」
本書収録「散りぬるを」より
滝子と蔦子とが蚊帳一つのなかに寝床を並べながら、二人とも、自分達の殺されるのも知らずに眠っていた。少くともはっきりとは目を覚まさなんだ。――ということは、無期懲役を宣告された加害者山辺三郎も一昨年獄死し、もう事件から五年も経た今となれば、私を一種の阿呆らしい虚無感に落すよりも、むしろ一種の肉体的な誘惑を感じさせるのである。
本書「解説」より「眠れる美女」について
その執拗綿密な、ネクロフィリー的肉体描写は、およそ言語による観念的淫蕩の極致と云ってよい。しかし、作品全体が、いかにも息苦しいのは、性的幻想につねに嫌悪が織り込まれているためであり、又、生命の讃仰(さんぎょう)につねに生命の否定が入りまじっているためである。ここではその官能の閉塞状態は、人智の限りと云ってよいほど推し進められており、性が自由や解放の象徴として用いられることは絶無である。
――三島由紀夫(作家)
川端康成(1899-1972)
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
- ISBN-104101001200
- ISBN-13978-4101001203
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1967/11/28
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ256ページ
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雪国 | 伊豆の踊子 | 愛する人達 | 掌の小説 | 舞姫 | 山の音 | |
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価格 | ¥1¥1 | ¥1¥1 | ¥539¥539 | ¥294¥294 | ¥1,160¥1,160 | ¥1¥1 |
【新潮文庫】川端康成 作品 | 雪に埋もれた温泉町で、芸者駒子と出会った島村──ひとりの男の透徹した意識に映し出される女の美しさを、抒情豊かに描く名作。 | 伊豆の旅に出た旧制高校生の私は、途中で会った旅芸人一座の清純な踊子に孤独な心を温かく解きほぐされる──表題作など4編。 | 円熟期の著者が、人生に対する限りない愛情をもって筆をとった名作集。秘かに愛を育てる娘ごころを描く「母の初恋」など9編を収録。 | 優れた抒情性と鋭く研ぎすまされた感覚で、独自な作風を形成した著者が、四十余年にわたって書き続けた「掌の小説」122編を収録。 | 敗戦後、経済状態の逼迫に従って、徐々に崩壊していく”家”を背景に、愛情ではなく嫌悪で結ばれている舞踊家一家の悲劇をえぐる。 | 得体の知れない山の音を、死の予告のように怖れる老人を通して、日本の家がもつ重苦しさや悲しさ、家に住む人間の心の襞を捉える。〈野間文芸賞受賞〉 |
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女であること | 虹いくたび | みずうみ | 名人 | 眠れる美女 | 古都 | |
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価格 | ¥1,100¥1,100 | ¥649¥649 | ¥69¥69 | ¥291¥291 | ¥572¥572 | ¥1¥1 |
恋愛に心奥の業火を燃やす二人の若い女を中心に、女であることのさまざまな行動や心理葛藤を描いて女の妖しさを見事に照らし出す。 | 建築家水原の三人の娘はそれぞれ母が違う。みやびやかな京風俗を背景に、琵琶湖の水面に浮ぶはかない虹のような三姉妹の愛を描く。 | 教え子と恋愛事件を引き起こして学校を追われた元教師の、女性に対する暗い情念を描き出し、幽艶な非現実の世界を展開する異色作。 | 悟達の本因坊秀哉名人に、勝負の鬼大竹七段が挑む……本因坊引退碁を実際に観戦した著者が、その緊迫したドラマを克明に写し出す。 | 前後不覚に眠る裸形の美女を横たえ、周囲に真紅のビロードをめぐらす一室は、老人たちの秘密の逸楽の館であった──表題作等3編。〈毎日出版文化賞受賞〉 | 捨子という出生の秘密に悩む京の商家の一人娘千重子は、北山杉の村で瓜二つの苗子を知る。ふたご姉妹のゆらめく愛のさざ波を描く。 |
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千羽鶴 | 川端康成・三島由紀夫 往復書簡 | 川端康成初恋小説集 | 少年 | |
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志野茶碗が呼び起こす感触と幻想を地模様に、亡き情人の息子に妖しく惹かれる中年女性を超現実的な美の世界に描く。続編「波千鳥」併録。 | 「小生が怖れるのは死ではなくて、死後の家族の名誉です」三島由紀夫は、川端康成に後事を託した。恐るべき文学者の魂の対話。 | 新発見書簡にメディア騒然!若き文豪が心奪われた少女・伊藤初代。「伊豆の踊子」の原点となった運命的な恋の物語を一冊に集成。 | 彼の指を、腕を、胸を、唇を愛着していた……。旧制中学の寄宿舎での「少年愛」を描き、川端文学の核に触れる知られざる名編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1967/11/28)
- 発売日 : 1967/11/28
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 256ページ
- ISBN-10 : 4101001200
- ISBN-13 : 978-4101001203
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 27,140位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1899-1972)1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。
一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行、旅芸人の一行と知り合う。以降約10年間毎年、伊豆湯ヶ島湯本館に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋でガス自殺を遂げた。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
イメージ付きのレビュー

5 星
新感覚派作家として誰も真似できない感性で執筆した高度に官能的な小説である
この作品では、現在の作家の思考では全く想像できない眠れる美女と会話するという困難な想定のもと極めて官能的で退廃な世界が見事に描写し展開させ魅了されている
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年8月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
kindleで読みました。
2023年11月29日に日本でレビュー済み
50年以上前に文庫本で胸をどきどきさせて読み、「なーんだ」という感想をもちました。
今読んでも、「なーんだ」ですね。
今読んでも、「なーんだ」ですね。
2021年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品では、現在の作家の思考では全く想像できない眠れる美女と会話するという困難な想定のもと極めて官能的で退廃な世界が見事に描写し展開させ魅了されている

この作品では、現在の作家の思考では全く想像できない眠れる美女と会話するという困難な想定のもと極めて官能的で退廃な世界が見事に描写し展開させ魅了されている
このレビューの画像


2020年3月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なんか変なおじさんの変態風俗情報みたいな話。笑笑
うーん。なかなかページが進まない。ツラミ。
うーん。なかなかページが進まない。ツラミ。
2016年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本には、「眠れる美女」、「片腕」、「散りぬるを」の3編が載っている。
有名な「眠れる美女」についてはレビューが多いのでここでは「片腕」を取り上げたい。
「片腕」(著者65歳の時の作品)
フェティッシュ感あふれる奇想天外な物語である。「私」はある娘から片腕を
一晩だけ借り受ける。娘はハンス・ベルメールの人形みたいに肩のところから
腕をはずせるらしい。しかもその片腕はしゃべることもできるのだ。
とりはずした腕の端のまるみを見ていると、「私」は娘のからだの可憐な全体が
想像できる。胸の円みもそう大きくなく、手のひらにはいって、はにかみながら
吸いつくような固くて、やわらかい乳房とか。
この小説は「私」と片腕との「愛の語らい」(あるいは「愛のいとなみ」と
言い換えてもいいかもしれない)の物語である。極めて暗喩に富む。
・・私は娘の手に握られていない方の手の、人差し指に娘の小指をのせて、
その細長い爪を親指の腹でさすりながら見入っていた。いつとなく
私の人さし指は娘の爪の廂にかくれた、小指のさきにふれた。ぴくっと娘の
指が縮まった。肘もまがった。「あっ、くすぐったいの?」と私は娘の片腕に
言った。「くすぐったいんだね。」・・
しかもこの指先は愛撫していると濡れてくるのである。「女の純潔の悲劇の露」が
長い爪の陰にまもられて、指さきにひとしずく滴ってくる。「私」はこの片腕とともに
一晩をベッドで過ごすわけだが、結局ひとつになる。「私」の腕を外して娘の片腕を
かわりにつけることでそれを実現する。結ばれた時、
・・私はその腕を曲げて口に近づけながら、
「痛いの? 苦しいの?」
「いいえ、そうじゃないの。そうじゃないの。」とその腕が切れ切れに
早く言ったとたんに、戦慄の稲妻が私をつらぬいた。・・
深読みしすぎだろうか。実に官能的な描写が続く。このふたり、「私」と片腕が最後に
どうなったか、それは読んでのお楽しみである。
有名な「眠れる美女」についてはレビューが多いのでここでは「片腕」を取り上げたい。
「片腕」(著者65歳の時の作品)
フェティッシュ感あふれる奇想天外な物語である。「私」はある娘から片腕を
一晩だけ借り受ける。娘はハンス・ベルメールの人形みたいに肩のところから
腕をはずせるらしい。しかもその片腕はしゃべることもできるのだ。
とりはずした腕の端のまるみを見ていると、「私」は娘のからだの可憐な全体が
想像できる。胸の円みもそう大きくなく、手のひらにはいって、はにかみながら
吸いつくような固くて、やわらかい乳房とか。
この小説は「私」と片腕との「愛の語らい」(あるいは「愛のいとなみ」と
言い換えてもいいかもしれない)の物語である。極めて暗喩に富む。
・・私は娘の手に握られていない方の手の、人差し指に娘の小指をのせて、
その細長い爪を親指の腹でさすりながら見入っていた。いつとなく
私の人さし指は娘の爪の廂にかくれた、小指のさきにふれた。ぴくっと娘の
指が縮まった。肘もまがった。「あっ、くすぐったいの?」と私は娘の片腕に
言った。「くすぐったいんだね。」・・
しかもこの指先は愛撫していると濡れてくるのである。「女の純潔の悲劇の露」が
長い爪の陰にまもられて、指さきにひとしずく滴ってくる。「私」はこの片腕とともに
一晩をベッドで過ごすわけだが、結局ひとつになる。「私」の腕を外して娘の片腕を
かわりにつけることでそれを実現する。結ばれた時、
・・私はその腕を曲げて口に近づけながら、
「痛いの? 苦しいの?」
「いいえ、そうじゃないの。そうじゃないの。」とその腕が切れ切れに
早く言ったとたんに、戦慄の稲妻が私をつらぬいた。・・
深読みしすぎだろうか。実に官能的な描写が続く。このふたり、「私」と片腕が最後に
どうなったか、それは読んでのお楽しみである。
2017年10月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こっちも気持ち悪い話。パリのS事件のきっかけになったんだろうな。あの犯人は川端研究者だというからね。
指を丸めたときに形成される四角い穴の向こうを見る、というような異様に細かい描写は凄みがあるが、安吾が「痒いところに手が届く」と揶揄した「漱石の知と理」に通じるものがある。そんなこと描写してどうするんだよ?という感じ。
指を丸めたときに形成される四角い穴の向こうを見る、というような異様に細かい描写は凄みがあるが、安吾が「痒いところに手が届く」と揶揄した「漱石の知と理」に通じるものがある。そんなこと描写してどうするんだよ?という感じ。