トゥルー・ディテクティヴを見て、アメリカは広く、田舎はいろんなことがあるなー、と思いましたが
この物語も、クライム・ノベルだから当たり前でしょうが、
さまざまな大変な状況が出てきますけれども、どうなって行くのか先が知りたくなる物語でした。
アメリカって、日本よりもすべてが利益のために回っていて、
その時の相手に対する思いやり、優しさによるサービスは、日本ほどはないんだろうなー、と想像されました。
男性は女性に対して自分の性欲を表向き、あらわにしないようにしてると、だんだんわかってきましたが、
この物語は男性主人公の語り口で語られるので、
中年男の若い娘に対するそういう視点が、ちゃんと言葉にされていて、
女性の私からすると、あんまりいい気はしないのですが・・・主人公男性が、
最初のころに缶ビールの空き缶を切って折って、兵隊みたいに作って遊ぶことが書かれていて、
それが、トゥルー・ディテクティブのマシュー・マコノヒーが、ロングヘアをポニーテールにして
やっていたのを思い出して、マシュー・マコノヒーくらい、なんというか
セクシーさのある男性なら、若い娘にそういう視線を向けても、それはそれでいいかも、
と思えるので、女の側も勝手なもんだなー、と我ながら思ってしまいました!
文章がうまく、いろんな情景が、魂を揺さぶるような語り口で語られるときがあって、
さすがな人だ、と思いましたが、特に、死を覚悟して、昔の恋人のところに行き、
すごく迷惑がられるのに、自分は人生に起こったことが、いろいろ素晴らしく思い出されている、
というところが、感動してしまいました。死ぬとなったら、きっと、自分が元気に生きていた時の
楽しい部分の思い出は、本当に宝物のように思い出されるのかもしれない、と。
この男性はあまりにも語り口が素晴らしく、
チンピラ稼業なんかやめて、文筆家になれば成功できるのでは、と思うほどでしたが、
それは、作者がうまいから、なのですが・・・・そんな風に思ってしまう、
クライム・ノベルではありますが、詩的で文学的で心揺さぶる描写と
飽きさせないストーリー、だったと思います。

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逃亡のガルヴェストン (ハヤカワ・ミステリ) 単行本 – 2011/5/9
ボスに命を狙われたギャングのロイは、娼婦を連れ故郷のガルヴェストンへ逃げるのだが……。MWA賞ノミネート中の傑作ミステリ。
- 本の長さ273ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2011/5/9
- 寸法10.7 x 1.3 x 18.5 cm
- ISBN-104150018472
- ISBN-13978-4150018474
商品の説明
著者について
アメリカ・ニューオリンズ生まれ。短篇を中心に執筆活動を始め、2004年には全米雑誌賞、2006年にはフランク・オコナー短編小説賞の候補になる。2009年版のジェフリー・ディーヴァー&オットー・ペンズラー編『ベスト・アメリカン・ミステリ』にも短篇が収録された。初長篇の本書は、アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀新人賞、バーンズ&ノーブル優秀新人賞の候補に挙がっている。現在は妻と娘とともにロサンジェルス在住。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2011/5/9)
- 発売日 : 2011/5/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 273ページ
- ISBN-10 : 4150018472
- ISBN-13 : 978-4150018474
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 18.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 585,718位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 903位ハヤカワ・ミステリ
- カスタマーレビュー:
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2021年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
欲情はあれど恋愛はなく、愛情はあれど性行為はない。絶望はあれど救済はあまりない。
肺癌で死期の近い中年の殺し屋と、若い娼婦&幼い妹が、ギャングに追われながらの逃避行。残り少ない命の中で自分の人生を振り返り、人生ガチャで貧困底辺徘徊を強制される若い娼婦を少しでも堅気に戻そうとするが、そこは暴力と理不尽が支配するギャングの世界。自らもその中で生きてきた暴力のルールから逃げ切ることは難しく…
情景描写が巧みで、色彩や情景が鮮やかに浮かびます。心理描写も丁寧。佳作。
肺癌で死期の近い中年の殺し屋と、若い娼婦&幼い妹が、ギャングに追われながらの逃避行。残り少ない命の中で自分の人生を振り返り、人生ガチャで貧困底辺徘徊を強制される若い娼婦を少しでも堅気に戻そうとするが、そこは暴力と理不尽が支配するギャングの世界。自らもその中で生きてきた暴力のルールから逃げ切ることは難しく…
情景描写が巧みで、色彩や情景が鮮やかに浮かびます。心理描写も丁寧。佳作。
2019年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
封切り時に観賞できなかったのでリバイバル観賞し、原作が読みたくなり購入しました。
予想通り原作も細部にわたり書かれているので良かったです。
予想通り原作も細部にわたり書かれているので良かったです。
2017年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
海外ドラマのトゥルーデティクティブの脚本の方が書かれているということで本書を購入しました。
ドラマでは厚みのあるセリフの良さにしびれましたが、やはり文章もすばらしかった。
暴力を生業とし、頭は悪くないものの、野心家でもなく、友もなく、孤高の男。
その主人公が若い女の子と逃亡する数日間。
男の言葉で語られる、ガルヴェストンの風景が鮮やかです。
骨太な男の物語を読みたい人にオススメ。
私は非常に面白く読めました。
男の人生を彩る女性が何人か出てきますが、それぞれ趣の違う花のようでいい。
翻訳も非常に読みやすいです。
トゥルーディティクティブを楽しめた方なら、満足できること間違いなし、
また逆もしかりですので、本書を気に入られたら、ぜひ見てみてください。
とにかく〆の一行が最高すぎる。
ドラマでは厚みのあるセリフの良さにしびれましたが、やはり文章もすばらしかった。
暴力を生業とし、頭は悪くないものの、野心家でもなく、友もなく、孤高の男。
その主人公が若い女の子と逃亡する数日間。
男の言葉で語られる、ガルヴェストンの風景が鮮やかです。
骨太な男の物語を読みたい人にオススメ。
私は非常に面白く読めました。
男の人生を彩る女性が何人か出てきますが、それぞれ趣の違う花のようでいい。
翻訳も非常に読みやすいです。
トゥルーディティクティブを楽しめた方なら、満足できること間違いなし、
また逆もしかりですので、本書を気に入られたら、ぜひ見てみてください。
とにかく〆の一行が最高すぎる。
2019年12月15日に日本でレビュー済み
冷酷な悪党でありながら、人情の切れ端を持つ矛盾した主人公の姿が実に素敵だ。ひよんなことから拾ってしまったこれまたアウトローの女を捨てきれず、人情のはざまで揺れながら悲劇に向かって進んでしまう過程はスリリングであり、とても怖いものがある。僅かに心和む描写もいくつかあり、全編を覆う哀しい雰囲気との対比は際立っている。最後は悲劇的な結末を迎えるのであるが、悲しみだけでない僅かな光が見えるシーンも映画を見ているようで素晴らしかった。
2012年7月31日に日本でレビュー済み
ガルヴェストンとはメキシコ湾に浮ぶ細長い島の名前である。港湾都市であるが、風光明媚な観光都市でもある。邦訳タイトルはそこに「逃亡」がつくが、原題は「ガルヴェストン」だけである。たしか刑事コロンボも原題は「コロンボ」だけだった。味も素っ気も無いが、それが米国流なのだろう。「逃亡のガルヴェストン」はいいタイトルである。
一人称語りのクライムノベルやハードボイルドはその主人公に肩入れ出来るか否かでほぼ評価が定まるが、シリーズものであれば安心して読めても、本書のような新人作家であれば用心してかからねばならない。しかし冒頭、末期癌の掴みは驚きで、知らず知らずの内に引き込まれて行った。
ただこの主人公、見かけによらず女には未練がましいところがある。中盤あたり、昔の女に会いに行くのだが、その言動には正直、何しているんだよと突っ込みたくなる。
このように、不細工な面と非情な面とが混在している主人公がどうしても気にかかり、一緒に逃亡することになった家出娘で若い娼婦のロッキーの行く末も気がかりで、知らず知らずの内に、この小説の術中に嵌っていった。しかも逃亡はこの二人だけではなく、ロッキーの実家から幼いティファニーも連れ出すのだ。
そして、20年後の現在の章と交互に描かれ、終末に行くまで淡々と話は流れるのだが、やはり強烈なパンチが待っていた。
交互に描かれていた章も自然に融合し、ラスト、大型のハリケーンの襲来とティファニーとの邂逅・・・。舞台が揃いすぎなのだが、着地の感動は充分に堪能出来る。
一人称語りのクライムノベルやハードボイルドはその主人公に肩入れ出来るか否かでほぼ評価が定まるが、シリーズものであれば安心して読めても、本書のような新人作家であれば用心してかからねばならない。しかし冒頭、末期癌の掴みは驚きで、知らず知らずの内に引き込まれて行った。
ただこの主人公、見かけによらず女には未練がましいところがある。中盤あたり、昔の女に会いに行くのだが、その言動には正直、何しているんだよと突っ込みたくなる。
このように、不細工な面と非情な面とが混在している主人公がどうしても気にかかり、一緒に逃亡することになった家出娘で若い娼婦のロッキーの行く末も気がかりで、知らず知らずの内に、この小説の術中に嵌っていった。しかも逃亡はこの二人だけではなく、ロッキーの実家から幼いティファニーも連れ出すのだ。
そして、20年後の現在の章と交互に描かれ、終末に行くまで淡々と話は流れるのだが、やはり強烈なパンチが待っていた。
交互に描かれていた章も自然に融合し、ラスト、大型のハリケーンの襲来とティファニーとの邂逅・・・。舞台が揃いすぎなのだが、着地の感動は充分に堪能出来る。
2011年11月7日に日本でレビュー済み
人生の裏街道を歩いてきた男の、土壇場の悪あがき、崖っぷちの大勝負、そして、尽きせぬ未練・・・
なかなか痛いお話なのですが、文章にキレがあって、キラリと光る名文がいくつも。
この作者、なかなかの詩人とみた。
(訳が東野さやかさんだし?)
うん、わかる、わかる!
標語カレンダーに載せたいような、人生の機微を凝縮したつぶやきなども。
ラストは、「そうきちゃうのォ〜?」という感じでもありますが、そこがまたなんだかリアルで納得してしまいました。
最後の一文もとてもイイ♪
なかなか痛いお話なのですが、文章にキレがあって、キラリと光る名文がいくつも。
この作者、なかなかの詩人とみた。
(訳が東野さやかさんだし?)
うん、わかる、わかる!
標語カレンダーに載せたいような、人生の機微を凝縮したつぶやきなども。
ラストは、「そうきちゃうのォ〜?」という感じでもありますが、そこがまたなんだかリアルで納得してしまいました。
最後の一文もとてもイイ♪