某国営放送をはじめ、マスコミではノモンハン事変となるとお決まりの日本陸軍司令部の指揮官、参謀たちの無能さ傲慢さが語られるが、おそらく部分的ではあるものの本書がノモンハン事変の真実なのであろうと感じる。やはり 多用されている写真には説得力があり、装備は明らかにソビエト軍が優秀であるが、どうもその優秀な装備を使いこなせず、戦略なき日本陸軍ではあったが、現地部隊の日本軍の戦術には大分苦戦を強いられたことが書かれている。
ロシアの研究家が書いた本であるが、どちらにも肩入れすることなく詳細に分析がなされているのに、なぜこの教訓が独ソ戦で生かされていないのか、やはりソビエトも日本と同じ膠着した組織なのだと感じた。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ノモンハン戦車戦: ロシアの発掘資料から検証するソ連軍対関東軍の封印された戦い (独ソ戦車戦シリーズ 7) 単行本 – 2005/6/1
- 本の長さ151ページ
- 言語日本語
- 出版社大日本絵画
- 発売日2005/6/1
- ISBN-104499228883
- ISBN-13978-4499228886
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年9月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
写真が素晴らしいということで買ってみたが、正直それほどでもなかった。一番良いと思ったことは、他のレビュアーの方も指摘している通り公平に書こうと言う姿勢が感じられる点だ。ノモンハンの地上戦についてはおそらくもっとも客観的な本だろうと思う。認識違いもあるがところどころで日本人監修者が情報を追加している。それでもおやと思うところはあるが、それでもかなり公平と思う。なにより客観的で立派。著者の人間性を感じ感心する。
もう少し日本側の事情に詳しい日本の良書と合わせて見るとおぼろげながら実態が見えてくるのではなかろうか?
事実認識について、ソ連側の損害や装備の量、修理の量などもわかり、日本軍兵器の捕獲数量などから当時の日本側重装備の量なども見えてくるので実態を相当程度客観的データで見ることができる。またソ連側の戦訓なども書かれており貴重で有用。部隊の展開を表す図面などもあり、日本の本と比較すると、ソ連側は実はそうだったのかとわかって面白い。これらを比較分析するのは読者の仕事になる。
航空戦については書かれていないのは注意だが、航空戦については他に良書があるので中途半端に入れて読者が変な偏見を持つリスクを考えればむしろなくて良いと思う。
本書の良い点の一つにジューコフに対する疑念を示唆するところがある点があり、ソ連時代にジューコフもソ連もいかに過大な戦果を上げたかをでっち上げプロパガンダしていたかが示されており、「実際は日本軍は包囲さえされていなかった」、あるいは損害はジューコフが言っているのに比べれば遥かに少なかったことなどを示しているところを見ると、戦後日本人がいかにプロパガンダに騙されてきたのかと思う。
そもそも、ジューコフが全く実戦経験もなく初陣であり、ノモンハンの地理、特徴にも疎く、大量の犠牲を伴う無理な攻撃を多用している点等についても触れており、ジューコフが名将という事自体がそもそもはじめからプロパガンダであって日本の読者も多くはそれに騙されているのではないかという疑いすらもった。あれだけの物量で大量犠牲をいとわない戦い方をすれば、誰でも勝つのではないか?
本書は陸上戦闘にフォーカスしたものであって、説明が足りないという評価は公平ではないと思うが、ソ連の大攻勢の後に休戦合意がなされた翌日、ソ連はポーランドに進行しているというソ連側の事情や、それとノモンハンの関係についての考察や調査などはなく、また日本側は比較的介入を制限しており拡大しないようにしていた点などもあまり触れられておらず、その意味では若干表面的な説明の感はある。純粋に地上戦闘の軍事的解説としては無論問題ないのではあるが総合的な解説ではなくそういう本である。繰り返すが、それは悪いことではない。
著者はソ連側はBTの方が日本の戦車より操作性は良いと評価したことを書いており、これに対して、日本側は日本の戦車のほうが良いと評価していることを日本人監修者がコメントしている。またソ連側では日本の戦車の照準に難があるというような指摘をしているようだ。
一般に、BT戦車はギアレバーが入りにくく、ハンマーで叩いたりしないと動かないなどの問題が指摘されており、実際ユーチューブで見ると、現代の人がBTを操縦しようとすると確かにギアが入らず、ハンマーで叩かないと動かせないということを確認している。おそらくは当時のソ連の人はそれが普通だから特に操作性が悪いとは感じなかったのだろうが、それは明らかに悪い。
一方日本の戦車には主砲照準のエレベーションのギアがなかったりするが、それは人が肩で調整しながら射撃する為であり、熟練していれば行進間でも揺れを減らして命中精度を高めるというものだが、熟練しないソ連の人には照準に難ありと受け取られるのは当然ではないかと思う。
本書は、そういう点まで論評するような類の本はない。ただし、私としてはそのようなディティールを解説することよりも全体像を正しく認識することが遥かに大事と思うので、これはむしろ良いことと思う。ただ、この本はそういう本であるということだ。
また地形的な問題点として、ハルハ川西岸高地が右岸より高く、そこに展開するソ連軍砲兵隊は日本軍から死角となって安全に展開でき、一方右岸の日本軍はソ連軍観測班から丸見えに近く、左岸ソ連砲兵より一方的に撃たれまくっていたというような地形的な特徴については、私の見落としかもしれないが解説がなかったように思う。激戦のフイ高地の重要性等も本書ではわからない。だから、なぜフイ高地がそこまで激戦となったのか、なぜ日本軍が渡河して左岸に向かったのかなど作戦の意図や重要性なども含めて、戦いの様子がよく分かったという程に理解できるほどでもない。この点は少々残念ではある。
もう少し日本側の事情に詳しい日本の良書と合わせて見るとおぼろげながら実態が見えてくるのではなかろうか?
事実認識について、ソ連側の損害や装備の量、修理の量などもわかり、日本軍兵器の捕獲数量などから当時の日本側重装備の量なども見えてくるので実態を相当程度客観的データで見ることができる。またソ連側の戦訓なども書かれており貴重で有用。部隊の展開を表す図面などもあり、日本の本と比較すると、ソ連側は実はそうだったのかとわかって面白い。これらを比較分析するのは読者の仕事になる。
航空戦については書かれていないのは注意だが、航空戦については他に良書があるので中途半端に入れて読者が変な偏見を持つリスクを考えればむしろなくて良いと思う。
本書の良い点の一つにジューコフに対する疑念を示唆するところがある点があり、ソ連時代にジューコフもソ連もいかに過大な戦果を上げたかをでっち上げプロパガンダしていたかが示されており、「実際は日本軍は包囲さえされていなかった」、あるいは損害はジューコフが言っているのに比べれば遥かに少なかったことなどを示しているところを見ると、戦後日本人がいかにプロパガンダに騙されてきたのかと思う。
そもそも、ジューコフが全く実戦経験もなく初陣であり、ノモンハンの地理、特徴にも疎く、大量の犠牲を伴う無理な攻撃を多用している点等についても触れており、ジューコフが名将という事自体がそもそもはじめからプロパガンダであって日本の読者も多くはそれに騙されているのではないかという疑いすらもった。あれだけの物量で大量犠牲をいとわない戦い方をすれば、誰でも勝つのではないか?
本書は陸上戦闘にフォーカスしたものであって、説明が足りないという評価は公平ではないと思うが、ソ連の大攻勢の後に休戦合意がなされた翌日、ソ連はポーランドに進行しているというソ連側の事情や、それとノモンハンの関係についての考察や調査などはなく、また日本側は比較的介入を制限しており拡大しないようにしていた点などもあまり触れられておらず、その意味では若干表面的な説明の感はある。純粋に地上戦闘の軍事的解説としては無論問題ないのではあるが総合的な解説ではなくそういう本である。繰り返すが、それは悪いことではない。
著者はソ連側はBTの方が日本の戦車より操作性は良いと評価したことを書いており、これに対して、日本側は日本の戦車のほうが良いと評価していることを日本人監修者がコメントしている。またソ連側では日本の戦車の照準に難があるというような指摘をしているようだ。
一般に、BT戦車はギアレバーが入りにくく、ハンマーで叩いたりしないと動かないなどの問題が指摘されており、実際ユーチューブで見ると、現代の人がBTを操縦しようとすると確かにギアが入らず、ハンマーで叩かないと動かせないということを確認している。おそらくは当時のソ連の人はそれが普通だから特に操作性が悪いとは感じなかったのだろうが、それは明らかに悪い。
一方日本の戦車には主砲照準のエレベーションのギアがなかったりするが、それは人が肩で調整しながら射撃する為であり、熟練していれば行進間でも揺れを減らして命中精度を高めるというものだが、熟練しないソ連の人には照準に難ありと受け取られるのは当然ではないかと思う。
本書は、そういう点まで論評するような類の本はない。ただし、私としてはそのようなディティールを解説することよりも全体像を正しく認識することが遥かに大事と思うので、これはむしろ良いことと思う。ただ、この本はそういう本であるということだ。
また地形的な問題点として、ハルハ川西岸高地が右岸より高く、そこに展開するソ連軍砲兵隊は日本軍から死角となって安全に展開でき、一方右岸の日本軍はソ連軍観測班から丸見えに近く、左岸ソ連砲兵より一方的に撃たれまくっていたというような地形的な特徴については、私の見落としかもしれないが解説がなかったように思う。激戦のフイ高地の重要性等も本書ではわからない。だから、なぜフイ高地がそこまで激戦となったのか、なぜ日本軍が渡河して左岸に向かったのかなど作戦の意図や重要性なども含めて、戦いの様子がよく分かったという程に理解できるほどでもない。この点は少々残念ではある。
2009年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ノモンハン事件の中でも特に日ソ両国の装甲部隊の活躍に焦点を当てた著作である。特にソ連側の戦車について多くのページが割かれており、同事件におけるソ連戦車の活躍と苦闘が克明に描かれている。
従来ノモンハン事件といえば、「圧倒的兵力のソ連軍に押しつぶされた日本軍」というイメージが定着している。しかし本書に読むと、この戦いが必ずしもソ連軍にとって「楽な戦い」ではなく、多大な損害を強いられた「苦闘」であったことが伝わってくる。そういった意味では、ノモンハン事件について新たな視野を提供するといった点で本書の価値は大きい。
苦言を呈するとすれば、まず価格。この会社の書籍はいつもそうだが、とにかくボリュームに比して価格が高い。価格設定については営業的な事情もあるのだろうが、とにかく割高感があるのは確かである。その気になれば1時間程度で読み終わる著作で定価¥2,500+税というのはいただけない。
あと、文書も平板でつまらない。翻訳文の宿命かもしれないが、もう少しなんとかならないか、と感じた。
従来ノモンハン事件といえば、「圧倒的兵力のソ連軍に押しつぶされた日本軍」というイメージが定着している。しかし本書に読むと、この戦いが必ずしもソ連軍にとって「楽な戦い」ではなく、多大な損害を強いられた「苦闘」であったことが伝わってくる。そういった意味では、ノモンハン事件について新たな視野を提供するといった点で本書の価値は大きい。
苦言を呈するとすれば、まず価格。この会社の書籍はいつもそうだが、とにかくボリュームに比して価格が高い。価格設定については営業的な事情もあるのだろうが、とにかく割高感があるのは確かである。その気になれば1時間程度で読み終わる著作で定価¥2,500+税というのはいただけない。
あと、文書も平板でつまらない。翻訳文の宿命かもしれないが、もう少しなんとかならないか、と感じた。
2016年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ソ連側から観たノモンハン事件ですが、ソ連崩壊後に書かれ、客観的な視点を保とうとしている点は好感が持てます。
2005年9月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ノモンハン戦は鉄で攻めてくるソ連軍に対し日本軍が肉弾で戦った無謀な戦という
イメージしか日本ではないが、冷静に数字で内容を語ってくれる新鮮な本。
いくらなんでもソ連軍に損害がなかったとは思ってなかったが、想像以上に
物質的にも精神的にもソ連軍側に損害があり、驚く。
またジューコフ将軍の登場もかなり政治的意味合いがある等新たな話題も多い。
でもなんといっても一番の見所は写真。
この戦の写真がこれだけ一度に見られるのはこれが初めてではないのか。
今まで日本の作家が文章だけで書いていたものをビジュアルで見られるというのは
やはり価値あると思います。
イメージしか日本ではないが、冷静に数字で内容を語ってくれる新鮮な本。
いくらなんでもソ連軍に損害がなかったとは思ってなかったが、想像以上に
物質的にも精神的にもソ連軍側に損害があり、驚く。
またジューコフ将軍の登場もかなり政治的意味合いがある等新たな話題も多い。
でもなんといっても一番の見所は写真。
この戦の写真がこれだけ一度に見られるのはこれが初めてではないのか。
今まで日本の作家が文章だけで書いていたものをビジュアルで見られるというのは
やはり価値あると思います。
2005年7月8日に日本でレビュー済み
ノモンハンの戦い
それは、押し寄せるソ連重戦車群に対し、肉弾をもって突撃し全滅していく関東軍兵士達、その教訓を生かせず無謀な太平洋戦争に突入してゆく陸軍指導部達が今までのイメージでした。
ロシア人の著者が、ソビエト、日本側の資料を基に戦場の真実を描こうとした本です。
地上戦それも戦車戦中心で有るが、両軍の人員、装備、損害を詳細な
リストで示されると、人員ではソ連軍の損害が日本軍を上回ることや
戦車装甲車でソ連側に400両近い損害が有る事を見てゆくと日本兵士の勇戦敢闘が目に見えるようだ。
いわゆる火炎瓶が余り効果を上げていない事や、高射機関砲が有力な対戦車兵器であった等興味を引く事も述べられています。
日本側の勝利で有ったと言われてきた航空戦に触れられていない事や
兵士の肉声が実際は殆ど紹介されていない事など不満もありますが、詳細な数字の羅列に真の戦いを読み取る事が出来ます。
また写真は、宣伝色の少ない初出のもの多くこの本の価値を高めています。
結局は、多くの損害を出して得る所の無かった戦いですが、ノモンハン戦の新たな見方を考えさせてくれる良書です。
ノモンハン戦の全貌を描いた本も合わせて読まれるとより理解できると思います。
それは、押し寄せるソ連重戦車群に対し、肉弾をもって突撃し全滅していく関東軍兵士達、その教訓を生かせず無謀な太平洋戦争に突入してゆく陸軍指導部達が今までのイメージでした。
ロシア人の著者が、ソビエト、日本側の資料を基に戦場の真実を描こうとした本です。
地上戦それも戦車戦中心で有るが、両軍の人員、装備、損害を詳細な
リストで示されると、人員ではソ連軍の損害が日本軍を上回ることや
戦車装甲車でソ連側に400両近い損害が有る事を見てゆくと日本兵士の勇戦敢闘が目に見えるようだ。
いわゆる火炎瓶が余り効果を上げていない事や、高射機関砲が有力な対戦車兵器であった等興味を引く事も述べられています。
日本側の勝利で有ったと言われてきた航空戦に触れられていない事や
兵士の肉声が実際は殆ど紹介されていない事など不満もありますが、詳細な数字の羅列に真の戦いを読み取る事が出来ます。
また写真は、宣伝色の少ない初出のもの多くこの本の価値を高めています。
結局は、多くの損害を出して得る所の無かった戦いですが、ノモンハン戦の新たな見方を考えさせてくれる良書です。
ノモンハン戦の全貌を描いた本も合わせて読まれるとより理解できると思います。