目黒条さんの「世界人類がセックスレスでありますように」を読んだ。
目黒条という名前は、最初、矢吹丈のように男かと思ったが、実際には女性だった。
ペンネームのようだが、本名は不明。
この本を読んでみて、その読み易さに感動。
文体が、何のストレスもなく、心の中に入って来る。
ほとんどが登場人物による独白又は会話だからだと思う。
形式的には小説というより、演劇だと思う。
舞台の上で、照明を落とした中、それぞれの登場人物にスポットライトが当たり、独白して行く。
バス停の場面やファミレスの場面では、皆が登場し、台詞を言う。
そういう演劇を観ているように読んで行った。
ユーモアがあり、楽しい会話・・・笑える部分が多く、声を上げて笑ってしまった。
小説を読んでこんなに笑ったのは初めてだった。
仄々とした少しセレブなお母さん達の幼稚園デビューの平和なお話かと思っていたら、突然、怖ろしい方向に話が展開し始めた。
初めは、セックスレスだからセックスする相手を探そうとしていたはずなのに、セックスレスを広める方向に変わって行き、セックスレスではないお母さんやその子供を殺してしまう。
そのストーリーの飛躍に一瞬戸惑ったが、刺激や笑いを求める演劇ならばよくあることだ。
ストーリーが予期せぬ方向に展開することによって、観客はどんどん惹き付けられていく。
そして、「テルマ&ルイーズ」の映画のように、気の合う主婦二人で、クライマックスに向かって行く。
最後の人質立て籠もり事件は、浅間山荘立て籠もり事件にヒントを得たそうだ。
演劇として最高に盛り上がった申し分のない終わり方だ。
このまま、舞台で上演できる作品だと思った。
実際に、本の中で「劇中劇」として上演されていた。
目黒条さんは、小説としてではなく、演劇として本を書いた方が、その才能を遺憾なく発揮できると思った。
この小説を読むと、目黒条さんの世界観に惹き込まれ、何て素敵な女性なんだろうと恋をしてしまう。
読んだ人は皆、目黒条さんの虜になってしまうことだろう。

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世界人類がセックスレスでありますように 単行本 – 2007/7/19
目黒 条
(著)
あまりにも刺激的なタイトルに驚かれるとは思いますが、これはすごい小説です。しかも、この小説が処女作という大型女性作家の記念すべき書下ろし長編。この小説は、著者自らの言葉を借りればこうなります。「性、暴力、死は、現代文学が重視してきた三大テーマではないかと思う。その中の、第一番目のテーマを『性の不在』に置き換えてみたらどうだろう?みんなが好きなはず(多分)のセックスの話題を、セックスレスという風に反転させたら、さらに面白いのでは?そう思いついたのがこの作品の始まりだった」。子連れの主婦が結束し、ある日目覚めた?!キーワードは「セックスレス」。彼女たちの乾いた心が暴走を始め、幼児誘拐、そして殺人へと発展する。巧妙な形式と見事なストーリーテリングで展開する異色の傑作。驚くべき新人女性作家が誕生しました!
- 本の長さ267ページ
- 言語日本語
- 出版社マガジンハウス
- 発売日2007/7/19
- ISBN-104838717903
- ISBN-13978-4838717903
登録情報
- 出版社 : マガジンハウス (2007/7/19)
- 発売日 : 2007/7/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 267ページ
- ISBN-10 : 4838717903
- ISBN-13 : 978-4838717903
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,939,295位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 46,319位日本文学
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2011年5月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年8月30日に日本でレビュー済み
セックスレスな主婦たちが逆ナンサークル結成!・・・と、ちょっと考えると面白そうなプロットなんですが、登場人物のキャラが立ってなくて出てくる主婦の名前がサッパリ覚えられません・笑。各主婦・子供の名前ごとに章立てが分かれているという凝った構成も裏目?
終盤の展開もあまりにも唐突で読んでるほうとしては「何ソレ???」とついてけない人が多いのでは?SEX出来ないからってソコまでやるか?!僕もポカーーーーンとしちゃいました。小説として粗悪な出来。
終盤の展開もあまりにも唐突で読んでるほうとしては「何ソレ???」とついてけない人が多いのでは?SEX出来ないからってソコまでやるか?!僕もポカーーーーンとしちゃいました。小説として粗悪な出来。
2011年5月25日に日本でレビュー済み
すごく読みやすい。展開にひかれる。
が、登場人物の名前が覚えられず、誰が誰だか、汗。
しかし、突拍子もない展開に、これマジで書いてんのかよ?(苦笑)と、おかしくなる(笑)。
さよりんが、逆ナンミーティングの時『ママチャリかよ』と言われ瞬時にキレ、護身用のムチで相手を殴り(?)逃走というのには笑えた。
さよりんのキャラは良かったのだが、ラスト・・・そっちの方向に走るのね・・・と、展開が面白かっただけに残念・・・。
カルトっぽくなり『世界人類がセックスレスでありますように』と言われても、脱線したというか説得力がない。
でもこの著者の本なら、また読んでみたいなぁ〜
が、登場人物の名前が覚えられず、誰が誰だか、汗。
しかし、突拍子もない展開に、これマジで書いてんのかよ?(苦笑)と、おかしくなる(笑)。
さよりんが、逆ナンミーティングの時『ママチャリかよ』と言われ瞬時にキレ、護身用のムチで相手を殴り(?)逃走というのには笑えた。
さよりんのキャラは良かったのだが、ラスト・・・そっちの方向に走るのね・・・と、展開が面白かっただけに残念・・・。
カルトっぽくなり『世界人類がセックスレスでありますように』と言われても、脱線したというか説得力がない。
でもこの著者の本なら、また読んでみたいなぁ〜
2011年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
俳優であり司会者としても人気のあった児玉清さんが先日お亡くなりになった。児玉さんは熱心な読書家としても知られ、書評も数多く残しておられる。そんな児玉さんは生前、「私はただ面白い本が読みたいだけなんです」とおっしゃっていたそうである。
私も同じである。ただ、面白い本とはいったいどのようなものか、人それぞれに基準は違うだろうし、求める質も形態も異なるかもしれない。私個人は、フィクションに関しては推理小説を好む。非日常的な、というより推理ものにありがちなむしろ非現実的で時に他愛もない虚構の世界に遊ばせてくれる一過性の娯楽を、ミステリー小説という読み物に求める傾向がある。文学や古典と称される作品群に精神の高揚を求めようとしない点で、私は知的な人間とはいえないし、むしろそのような書物を敬遠するあたりは、向上意欲に欠ける凡夫である。その凡夫にとって、「世界人類がセックスレスでありますように」という書名は、凡庸な好奇心を少なからずくすぐる奇抜なタイトルだった。セックスレスと呼ばれる現象が日本社会の深層にある程度の密度で浸透しているらしいことは雑誌などで見聞きするが、所詮そのような事項は他人の家の寝室で起きているプライベートなことであり、私としては他人の家の便所で行なわれている排泄行為と同じようにまったく関心はないが、世界人類がセックスレスであることを望むような話となれば、人類のハシクレとしては興味をひかれ、本を手に取り、帯の宣伝文句を読んでみた。なになに、「子連れの女たちが結束し、ある日目覚めた。乾いた心が暴走を始め、幼児誘拐、殺人、そして逃亡へと発展する」「驚くべき新人女流作家が誕生した!」云々。
子連れの女たち、つまり主婦たちの、あるいはママさんたちの覚醒と決起と凶悪犯罪を描いた異常な物語のようである。主婦たちとは一般人のことであるし、犯罪者や変質者たちとは異質の平凡な人々のはずである。将来の日本を支える労働力となる子供たちを養育する社会的責任を負ってはいるが、やはりどこまでも日常的な存在だろう。そのマダムたちが、たぶん女子会みたいなものを作って、なにやらとてつもなく非日常的なことをやらかしちゃうストーリーのようである。そのプロセスがどのようなものなのかに興味をそそられた。けっこう面白そうじゃん。面白い話であって欲しい。「私はただ面白い本が読みたいだけなんですよ、奥さん」
結論から言えば、私はこの本を読んだ。まあ、読んだからこうしてアマゾンの書評を書いているわけだが、この駄文が曲がりなりにも書評である以上は、評価と感想を述べるべきだろう。ストーリーに関しては、他の評に書かれているので割愛させていただく。
私なりの評価は、文学作品や犯罪小説として考えると辛めの採点にならざるを得ないが、エンターテインメント小説としてなら、この一編は充分に「いいね!」であり、5つ星に値する出来である。一種の人間研究書としても高い水準にあると思う。
著者のスタイル(体型ではなく文体)は、行間を読ませるタイプのそれではないかもしれないが、勉強家で博識であることをうかがわせるその文章には破綻も矛盾もなく、論理的な整合性に満ちている。ユーモアの味付けも利いていて愉しませてくれる。新人作家にありがちな気負いや気取りのようなものはまったく感じられない。
この女流作家は、処女作であるこの物語を世に出した時点で処女ではなくなったわけだが、思わず「ねえ、ホントに処女だったの?」と聞きたくなるほど、なんというか、相当のテクニシャンである。
私も同じである。ただ、面白い本とはいったいどのようなものか、人それぞれに基準は違うだろうし、求める質も形態も異なるかもしれない。私個人は、フィクションに関しては推理小説を好む。非日常的な、というより推理ものにありがちなむしろ非現実的で時に他愛もない虚構の世界に遊ばせてくれる一過性の娯楽を、ミステリー小説という読み物に求める傾向がある。文学や古典と称される作品群に精神の高揚を求めようとしない点で、私は知的な人間とはいえないし、むしろそのような書物を敬遠するあたりは、向上意欲に欠ける凡夫である。その凡夫にとって、「世界人類がセックスレスでありますように」という書名は、凡庸な好奇心を少なからずくすぐる奇抜なタイトルだった。セックスレスと呼ばれる現象が日本社会の深層にある程度の密度で浸透しているらしいことは雑誌などで見聞きするが、所詮そのような事項は他人の家の寝室で起きているプライベートなことであり、私としては他人の家の便所で行なわれている排泄行為と同じようにまったく関心はないが、世界人類がセックスレスであることを望むような話となれば、人類のハシクレとしては興味をひかれ、本を手に取り、帯の宣伝文句を読んでみた。なになに、「子連れの女たちが結束し、ある日目覚めた。乾いた心が暴走を始め、幼児誘拐、殺人、そして逃亡へと発展する」「驚くべき新人女流作家が誕生した!」云々。
子連れの女たち、つまり主婦たちの、あるいはママさんたちの覚醒と決起と凶悪犯罪を描いた異常な物語のようである。主婦たちとは一般人のことであるし、犯罪者や変質者たちとは異質の平凡な人々のはずである。将来の日本を支える労働力となる子供たちを養育する社会的責任を負ってはいるが、やはりどこまでも日常的な存在だろう。そのマダムたちが、たぶん女子会みたいなものを作って、なにやらとてつもなく非日常的なことをやらかしちゃうストーリーのようである。そのプロセスがどのようなものなのかに興味をそそられた。けっこう面白そうじゃん。面白い話であって欲しい。「私はただ面白い本が読みたいだけなんですよ、奥さん」
結論から言えば、私はこの本を読んだ。まあ、読んだからこうしてアマゾンの書評を書いているわけだが、この駄文が曲がりなりにも書評である以上は、評価と感想を述べるべきだろう。ストーリーに関しては、他の評に書かれているので割愛させていただく。
私なりの評価は、文学作品や犯罪小説として考えると辛めの採点にならざるを得ないが、エンターテインメント小説としてなら、この一編は充分に「いいね!」であり、5つ星に値する出来である。一種の人間研究書としても高い水準にあると思う。
著者のスタイル(体型ではなく文体)は、行間を読ませるタイプのそれではないかもしれないが、勉強家で博識であることをうかがわせるその文章には破綻も矛盾もなく、論理的な整合性に満ちている。ユーモアの味付けも利いていて愉しませてくれる。新人作家にありがちな気負いや気取りのようなものはまったく感じられない。
この女流作家は、処女作であるこの物語を世に出した時点で処女ではなくなったわけだが、思わず「ねえ、ホントに処女だったの?」と聞きたくなるほど、なんというか、相当のテクニシャンである。
2007年10月15日に日本でレビュー済み
「SPA!」の絶賛書評を読んで思わず買って堪能したのですが、たまたまアマゾンのレビューを見てびっくり。残念ながらこの方みたいな読者はいるんだろうなあ(脱力)。この作品はどうも読者を選ぶらしい。初心者は振り回されてしまうと思う。なにしろ構成が凝っているのですよ。女性たち5〜8名それぞれのモノローグ、シナリオ形式の会話体、メールの文章、演説、戯曲体の模擬裁判、と技巧の限りをつくして実に見事なのです。もちろん登場人物のキャラはしっかりと立っています。
一見、とんでもない設定に見えるかもしれないけれど、それが著者の意図なんですねえ。単なるリアリズムの作品として読んだら面白さは半減します。暴走する主婦の背後には「あなた」や「あなたの家族」や「友人」がいるのです。現代を描くためにはこれぐらい巧妙な技術が必要だ、という見本のような小説です。新人とは思えない。次作が待ち遠しい。
一見、とんでもない設定に見えるかもしれないけれど、それが著者の意図なんですねえ。単なるリアリズムの作品として読んだら面白さは半減します。暴走する主婦の背後には「あなた」や「あなたの家族」や「友人」がいるのです。現代を描くためにはこれぐらい巧妙な技術が必要だ、という見本のような小説です。新人とは思えない。次作が待ち遠しい。