ご多分にもれず、わたしもこの歌を最初に聞いたのは『花咲くいろは』第1話のエンディングとしてだった。映画やアニメを見ていると、時として映像と音楽が電光のようにパチパチと音を立てて化学反応する瞬間がある。あの時がまさにそうだ。親の夜逃げで旅館に住みこんで働くことになった女の子が、職場でのきつい人間関係にでくわして、誰もいないところで一瞬だけパタパタっと涙を落として、でも「おりゃー!」って突っ走ってゆく。ここに流れるのはまさにこの『ハナノイロ』でなくてはならない。アニメが主とか歌が従とかそんなんじゃない。バンドのVoとDrとGuとBaがまったく別な音のくせに、ある一瞬に神のような一体となる、それと同じだ。たぶん『花咲くいろは』は傑作になる、『ハナノイロ』とともに記憶されて。そう確信する。
長く生きていると、新しい歌を聴いてもどこかで郷愁のようなものを感じたりもする。たとえばこの歌を聴くと、Judy and Maryやレベッカを思い出したりするわけだ。それはいいとか悪いとかいうことではなくて、どの時代にも「働く少女たち」、世の中に対して圧倒的に不利な戦いを挑む女の子たちがいるってことで、たとえばバスガイドやエステティシャンで生活費を稼いでいたYUKIや、実家の経済状況のためにバレリーナの夢をあきらめたNOKKO、彼女たちの歌が切実なリアリティをともなうのは自然なことだろう。そういえばマドンナやシンディ・ローパーにだって、住む場所を転々としながら仕事から仕事へと流れていく時代があった。・・・
『ハナノイロ』にもまた、そうした「働く少女」のやるせなさがバックビートで流れている。けれどもこの歌には、理不尽に暗い夜を夜明けの方角へ突き抜けていくような、なにか新しくて、やたらとヤミクモなエネルギーがある。そのエネルギーは仕事に疲れたおっさんの耳へも春の突風とともに押し寄せて、頭の中でヘビーローテーションし、いまこうしてCDをレジへと持ってゆかせるというわけだ。(@∀@)・・・ブラボー。