第14回(2007年)日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作「鼻」を含む3編を収録した本書は、まず、2つのことに驚かされました。
【第1の驚き】
著者は、この短編賞を受賞した同じ年に、「沈底魚」で第53回江戸川乱歩賞を受賞しており、私はそちらの作品を先に読んでいたのですが、読み比べてみると、「同じ著者とは思えない作風」に驚かされました。
乱歩賞作品は、きちんと「スパイ小説(エスピオナージュ)」となっているのに、こちらは、(受賞したのだから当然ですが)純然たる「ホラー小説」。
ただ、作風の深いところでは繋がりがあるようで、「沈底魚」のレビューで、「人間の暗黒面を抉る快作」と題したのですが、同じ表題を掲げさせていただきました。
【第2の驚き】
それは、「細部に至るまで練り込まれた伏線」です。
これは、ホラーでは必ずしも要求されず、ミステリの分野で必要とされるものと考えておりますが、なるほど、ミステリで受賞できる手腕があるのですから、この「伏線」を活かす技術は兼ね備えていたというわけなのですね。
また、収録された3作品とも、現代日本が舞台と思われますが、小説を読み進めていくと、現実とは異なる、その小説独特の「世界」が広がっていることが、徐々に明らかになっていくのですが、そこから、得たいの知れぬ恐怖が滲み出てくる点は、相当にレベルの高い作品群と呼べると思います。
そして、読み終えて改めて目次を見返し、その3作の題名を見ると−−
【暴落】は、正に「暴落」であり、
【受難】は、正に「受難」であり、
【鼻】は、正に「鼻」 という題名しか有り得ないことに気づかされました。
2007年は、「ホラー」と「ミステリ」の傑作が同一著者によって生み出された豊作の年であったのではないでしょうか。
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鼻 (角川ホラー文庫) 文庫 – 2007/11/21
曽根 圭介
(著)
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購入オプションとあわせ買い
外科医は、被差別者を救うために違法な手術をすることを決意する。暴力刑事は、少女の行方不明事件の捜査中に、かつて自分が通り魔として傷つけた男に出会う。2人の物語が交差する時、衝撃の結末が!
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2007/11/21
- 寸法10.5 x 2.7 x 14.8 cm
- ISBN-104043873018
- ISBN-13978-4043873012
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商品の説明
著者について
●曽根 圭介:今年度、日本ホラー大賞短篇賞、江戸川乱歩賞、W受賞の大型新人。1967年静岡県生まれ。1991年に大学を中退後、漫画喫茶店長などを経験する。2007年、「鼻」にて第14回日本ホラー大賞短篇賞を受賞。直後、「沈底魚」にて第53回江戸川乱歩賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2007/11/21)
- 発売日 : 2007/11/21
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4043873018
- ISBN-13 : 978-4043873012
- 寸法 : 10.5 x 2.7 x 14.8 cm
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トップレビュー
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2022年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
収録されている三作品とも全て面白かったです。
とりわけ「暴落」は、読むと「あぁ…、うん」となる作品です。
ネタバレを避けるためにはもうこれ以上何も書けませんね。
うーん。
全作品とてもよかったので色々書きたいですけど、如何にもこうにもネタバレせずにうまく書けなさそうです。
結論は、全作品引き込まれるように読みました、ということです。
久々に満足な読後感です。
とりわけ「暴落」は、読むと「あぁ…、うん」となる作品です。
ネタバレを避けるためにはもうこれ以上何も書けませんね。
うーん。
全作品とてもよかったので色々書きたいですけど、如何にもこうにもネタバレせずにうまく書けなさそうです。
結論は、全作品引き込まれるように読みました、ということです。
久々に満足な読後感です。
2021年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世にも奇妙な物語、みたいな感じでした。最後の鼻も、なんだか途中でカラクリに気づいたので、何かうわぁ!とはならなかったかなぁ。
2019年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
後味が悪いのにしっかりと話がまとまっているためモヤモヤ感はなくスッキリとした読後感。ストーリが面白いので、ホラー小説なのについついハッピーエンドを期待してしまいそうになる。
2013年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ホラー、バッドエンドなお話、オチのあるお話は大好きなのですが、
3作ともあまりそそられませんでした。
怖さや残酷さもあまり伝わってこないし、
オチも弱くて、最後までたんたんと絵本で読み聞かせられてるような感じ。
短編だから仕方ないのかもしれないけど、
最後まで物語の中に入っていけませんでした。
フィクションである小説って、どれだけ読み手にリアルに思わせるかが名作と駄作の分かれ目だと思うんです。
これは私には駄目でしたね。
受賞作の鼻も、2つの話が1つに繋がっていく様を描くのはうまかったと思いますが、
こういうオチで片付けたらどうとでもまとまるのをいいことに、
説明がつかないまま放置されている部分が多く、
オチがわかったあともすっきりしませんでした。
3作ともあまりそそられませんでした。
怖さや残酷さもあまり伝わってこないし、
オチも弱くて、最後までたんたんと絵本で読み聞かせられてるような感じ。
短編だから仕方ないのかもしれないけど、
最後まで物語の中に入っていけませんでした。
フィクションである小説って、どれだけ読み手にリアルに思わせるかが名作と駄作の分かれ目だと思うんです。
これは私には駄目でしたね。
受賞作の鼻も、2つの話が1つに繋がっていく様を描くのはうまかったと思いますが、
こういうオチで片付けたらどうとでもまとまるのをいいことに、
説明がつかないまま放置されている部分が多く、
オチがわかったあともすっきりしませんでした。
2021年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初の2作品のほうが楽しめました。
表題作はなんだかよくわからないなと
思いましたが、なるほど解説必須のようです。
キンドルで読んだのでその解説がなかったので
解説を読んでからまた読み返してみたいです。
表題作はなんだかよくわからないなと
思いましたが、なるほど解説必須のようです。
キンドルで読んだのでその解説がなかったので
解説を読んでからまた読み返してみたいです。
2019年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
3つのうち、受難はおもろかった。先が読めてしまうとおもしろくなくなる。読んでてちょっとイライラする。ホラーではない。
2017年3月30日に日本でレビュー済み
ホラー大賞系列の作品はわりと読んでいる方ですが、短編・中編作品は「ザ・ホラー」感の薄いものが多い印象です。
奇妙だったり、グロだったり、不気味だったり、不条理だったり、もの悲しかったり、美しかったり。
短編・中編ならではの強い世界観を持った作品が目につきます。
この三編もそんな感じで、奇妙・不条理な世界観です。
そういう雰囲気がお好きな人にはぴったり。自分にはどんぴしゃでした。
●暴落 地味な部分ですが、「「ハエ」パンッ うっ」が好きです
作者はこういうちょっとした「怖」「狂」の表現が巧みだと思いました。
●受難 シンプルな流れのようで、構成がよく練られていると思いました。
めんどくさい三人のキャラも絶妙で、ひょこたんの竹の伏線は回収された瞬間、残酷ながらちょっと気持ちいい。
●鼻 自分も大森望さんの解説で「ああっ」と思ったクチです。
読了後、わかったつもりで解説を読んで、テングとブタの真の意味にやられました。
表紙の絵にも「ミスリード」を誘われました。
読み直して、大森さんの言うとおり伏線がたくさん隠されていたことにも気付かされました。大森さんに感謝です。
とはいえ…
「謎解き」がわかりずらいという意見が多いようですが、確かに自分も解説がなければ浅い部分で理解したつもりになってました。
もし解説を読んでなかったら…?そのあたりの評価がどうなるのか、難しいところではあると思います。
奇妙だったり、グロだったり、不気味だったり、不条理だったり、もの悲しかったり、美しかったり。
短編・中編ならではの強い世界観を持った作品が目につきます。
この三編もそんな感じで、奇妙・不条理な世界観です。
そういう雰囲気がお好きな人にはぴったり。自分にはどんぴしゃでした。
●暴落 地味な部分ですが、「「ハエ」パンッ うっ」が好きです
作者はこういうちょっとした「怖」「狂」の表現が巧みだと思いました。
●受難 シンプルな流れのようで、構成がよく練られていると思いました。
めんどくさい三人のキャラも絶妙で、ひょこたんの竹の伏線は回収された瞬間、残酷ながらちょっと気持ちいい。
●鼻 自分も大森望さんの解説で「ああっ」と思ったクチです。
読了後、わかったつもりで解説を読んで、テングとブタの真の意味にやられました。
表紙の絵にも「ミスリード」を誘われました。
読み直して、大森さんの言うとおり伏線がたくさん隠されていたことにも気付かされました。大森さんに感謝です。
とはいえ…
「謎解き」がわかりずらいという意見が多いようですが、確かに自分も解説がなければ浅い部分で理解したつもりになってました。
もし解説を読んでなかったら…?そのあたりの評価がどうなるのか、難しいところではあると思います。