
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書) 新書 – 2007/7/19
小林 英夫
(著)
近代日本にとって最大最悪の戦争だった日中戦争。軍事力で圧倒する日本が弱敵・中国に惨敗したのはなぜだったのか? 両国の戦略の違い、その根底にある国民性の違いまで分析し、これからの日中関係を見通す決定版! 新史料『検閲月報』から、両国民の封印された「肉声」の数々も紹介。
近代日本にとって最大最悪の戦争だった日中戦争。
軍事力で圧倒する日本が弱敵・中国に惨敗したのはなぜだったのか?
両国の戦略の違い、その根底にある国民性の違いまで分析し、
これからの日中関係を見通す決定版!
新史料『検閲月報』から、両国民の封印された「肉声」の数々も紹介。
目次より
●満洲事変がもたらした誤算
●起きるべくして起きた南京虐殺
●殲滅戦略戦争の破綻
●蒋介石の消耗戦略はなぜ生まれたか
●欺かれた汪兆銘
●二つのパワー
●『検閲月報』が明かす両国民の本音 など
近代日本にとって最大最悪の戦争だった日中戦争。
軍事力で圧倒する日本が弱敵・中国に惨敗したのはなぜだったのか?
両国の戦略の違い、その根底にある国民性の違いまで分析し、
これからの日中関係を見通す決定版!
新史料『検閲月報』から、両国民の封印された「肉声」の数々も紹介。
目次より
●満洲事変がもたらした誤算
●起きるべくして起きた南京虐殺
●殲滅戦略戦争の破綻
●蒋介石の消耗戦略はなぜ生まれたか
●欺かれた汪兆銘
●二つのパワー
●『検閲月報』が明かす両国民の本音 など
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/7/19
- 寸法10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- ISBN-10406287900X
- ISBN-13978-4062879002
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/7/19)
- 発売日 : 2007/7/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 232ページ
- ISBN-10 : 406287900X
- ISBN-13 : 978-4062879002
- 寸法 : 10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 605,529位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 951位日中・太平洋戦争
- - 1,072位東洋史
- - 1,125位日本史ノンフィクション
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日中戦争を、軍事力・産業力を原動力とする日本の「殲滅戦」と、政治力・外交力・文化的背景を原動力とする中国の「消耗戦」という視点から分析する。この視点から叙述される日中戦争の実態は、日中戦争の通史的理解のみならず、一種の文化論になっており、留学体験で得た蒋介石の日本人観と中国を侮った日本の指導者の比較も面白い。また、この日中の文化比較は、現在・未来の日中関係を考える際のみならず、バブル経済破綻後に諸分野に露呈した、日本の企業経営の弱点・外交や経済政策の失敗など分析する時の示唆にもなる。『検閲月報』に見る生の兵士の声も、日中戦争を知ろうとする読者に極めて貴重なものだ。捕虜を自分の手で殺した「日本の民衆」のあからさま且つ「素朴」な肉声は、戦争のほんの一場面に過ぎない。しかし、人が人の「生」を断つことを「正義」とする戦争の実態に思いを馳せようとする時、この肉声はその一助となり、歴史修正主義者(自慰史観)の美化を許容しない。本書を通読し、沖縄の地上戦における悲惨は3ヶ月であったが、日本が中国で行った地上戦は十数年に及んだという事実が改めて思い起こされた。また、「日中戦争を、われわれの父祖は、討匪戦や報復・復仇の概念でとらえていた」と断じ、政策企画者のような視点でこの時期を語った、加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』とはずいぶん異なる読後感を持った。
2008年5月22日に日本でレビュー済み
日中戦争に関しては良書がなかなかないために、基礎的知識が曖昧ななままいい加減な本に惑わされている人が多いのが嘆かわしかったが、ついにこういう本も出たかという感がする。
明治期以降の日中の因縁、軍事問題、経済問題、第三国関係を含む
多角的外交問題などなど、日中戦争を語る切り口は多いが、
既刊の新書類はそれらを詰め込みすぎて飽和状態のものが多かった。
本書は「殲滅戦」と「消耗戦」というキーワードに沿って日中戦争を概観し、
しかも軍事・政治両面に関する出来事をバランスよく取り上げている。
そしてわずか新書の半分で、日中戦争の経緯を整理しきっているのだ!
徹底的にキーワードに沿った解釈が提示されているので、
議論にいささか乱暴な点があることも否めないが、
記述内容のバランスの良さは、長年にわたって真摯に探求をしてきた
第一線の研究者ならでは。見事の一言に尽きる。
しかも章末ごとに年表も準備されており、初学者にも親切である。
後半の検閲月報が取り上げられている部分はいささか唐突な感じもするが、
戦争の局面の数々、それも日本の現地当局者が何を隠そうとしたかが読みとれて
非常に興味深い(ただし本書の前半との繋がりは非常に悪い)。
全体的に中国を褒め過ぎかとも思われるが(特にあとがき)、
日中戦争における日本の敗因を鋭く突いている点でも、
特に初学者には必読書ではないだろうか。
惜しむらくは、著者自身が一気に書き上げたと告白しているが、
時間不足のために起きたと思われる瑕疵が確かに散見される。
早期の改訂を切に願う。
明治期以降の日中の因縁、軍事問題、経済問題、第三国関係を含む
多角的外交問題などなど、日中戦争を語る切り口は多いが、
既刊の新書類はそれらを詰め込みすぎて飽和状態のものが多かった。
本書は「殲滅戦」と「消耗戦」というキーワードに沿って日中戦争を概観し、
しかも軍事・政治両面に関する出来事をバランスよく取り上げている。
そしてわずか新書の半分で、日中戦争の経緯を整理しきっているのだ!
徹底的にキーワードに沿った解釈が提示されているので、
議論にいささか乱暴な点があることも否めないが、
記述内容のバランスの良さは、長年にわたって真摯に探求をしてきた
第一線の研究者ならでは。見事の一言に尽きる。
しかも章末ごとに年表も準備されており、初学者にも親切である。
後半の検閲月報が取り上げられている部分はいささか唐突な感じもするが、
戦争の局面の数々、それも日本の現地当局者が何を隠そうとしたかが読みとれて
非常に興味深い(ただし本書の前半との繋がりは非常に悪い)。
全体的に中国を褒め過ぎかとも思われるが(特にあとがき)、
日中戦争における日本の敗因を鋭く突いている点でも、
特に初学者には必読書ではないだろうか。
惜しむらくは、著者自身が一気に書き上げたと告白しているが、
時間不足のために起きたと思われる瑕疵が確かに散見される。
早期の改訂を切に願う。
2014年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白かったです。2週目は要らないです。
_本書は,盧溝橋事件勃発から終戦までの日本と汪南京政権の動向を主に扱ったものです。これが8割以上です。蒋介石国民党の動向・日本との関係に関する記述は大分少ないです。毛沢東の共産党や欧米の反応等に至っては殆どありません。
_著者によると、日本は今まで殲滅型戦争戦略しか採ってきた事が無く,消耗戦型戦争の戦略の取り方を知らなかった事と,国際社会への情報発信の努力を行わなかった故,蒋介石国民党の消耗型戦争戦略に対応できず,さらに蒋介石政権の外交戦略により日本は孤立した,との事です。
_著者は南京大虐殺はあったとの立場を取っていました。しかし,その分析にページは割かず,対立意見を併記するだけにとどめていました。
_本書終盤には,関東憲兵隊によって検閲され,没収・削除等された中国の民間人や日本の軍の兵士,更には,特派員等の当時の生の様子が伺える手紙が一部取り上げられています。
_本書は,盧溝橋事件勃発から終戦までの日本と汪南京政権の動向を主に扱ったものです。これが8割以上です。蒋介石国民党の動向・日本との関係に関する記述は大分少ないです。毛沢東の共産党や欧米の反応等に至っては殆どありません。
_著者によると、日本は今まで殲滅型戦争戦略しか採ってきた事が無く,消耗戦型戦争の戦略の取り方を知らなかった事と,国際社会への情報発信の努力を行わなかった故,蒋介石国民党の消耗型戦争戦略に対応できず,さらに蒋介石政権の外交戦略により日本は孤立した,との事です。
_著者は南京大虐殺はあったとの立場を取っていました。しかし,その分析にページは割かず,対立意見を併記するだけにとどめていました。
_本書終盤には,関東憲兵隊によって検閲され,没収・削除等された中国の民間人や日本の軍の兵士,更には,特派員等の当時の生の様子が伺える手紙が一部取り上げられています。
2007年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読んでみてとてもおもしろかった。私は中国の留学生だが、この本を読んで日本双方の戦略の違いが良く理解できた。多くの人が読むべき本だと思う。
2007年10月6日に日本でレビュー済み
著者が言う、今、日中戦争を考える問題意識に同感だ。
世界における中国の存在が非常に大きくなっている。世界の工場としての「ハードパワー」だけでなく、外交や文化といった「ソフトパワー」でも、急激にその影響力を増している。 昨今のビルマの弾圧事件や、昨秋の北朝鮮によるミサイル連続発射から核実験の実施に至った際の中国の対応は、大国としての責任を自覚した「大人の国」の振る舞いとも言えるものだった。一方、その間の日本の政治家による「靖国参拝」や「核武装」発言は、まるで「子供の国」のものだったように思う。 今後、東アジアから軍事を中心に米国のプレゼンスが後退してゆく一方で、中国の存在は益々大きくなるだろう。そのような状況で、日本は、いや私達はどうあるべきかを考える時、70年前の近代日本最長の戦争であった日中戦争の分析が、有益であることを本書は教えてくれる。
分量から物足りない面はある。 しかし、70年前に8年にわたり戦われ、約20万人の日本軍の戦死者を出した日中戦争という事象を、蒋介石の「ソフトパワー重視⇒消耗戦略」VS 旧日本軍の「ハードパワー重視⇒殲滅戦略」という対立概念により、ラフカットに解明することに本書は成功していると思う。
また、終盤、中国で発見された旧軍憲兵隊の検閲資料を最新の研究成果として取り上げつつ、当時の民衆や軍人の生の声を掲載し、上記の概念を裏づけする等、日中戦争を多面的な視点で捉えている点も評価したい。
上記の対立概念を使って、現在の米国によるイラク戦争を考えたとき、それは、まさに旧軍と同じ「殲滅戦略」であり、対テロ戦争という「ソフトパワー」を前面に掲げながら、いつしか軍産資源複合体による「ハードパワー」利権の争奪ばかりが目につく、泥沼化した現代の「日中戦争」となっている。 それは、かつての日本帝国がそうであったように、アメリカの凋落を予感させる。。。
と、そんな事も考えさせてくれる本です。
世界における中国の存在が非常に大きくなっている。世界の工場としての「ハードパワー」だけでなく、外交や文化といった「ソフトパワー」でも、急激にその影響力を増している。 昨今のビルマの弾圧事件や、昨秋の北朝鮮によるミサイル連続発射から核実験の実施に至った際の中国の対応は、大国としての責任を自覚した「大人の国」の振る舞いとも言えるものだった。一方、その間の日本の政治家による「靖国参拝」や「核武装」発言は、まるで「子供の国」のものだったように思う。 今後、東アジアから軍事を中心に米国のプレゼンスが後退してゆく一方で、中国の存在は益々大きくなるだろう。そのような状況で、日本は、いや私達はどうあるべきかを考える時、70年前の近代日本最長の戦争であった日中戦争の分析が、有益であることを本書は教えてくれる。
分量から物足りない面はある。 しかし、70年前に8年にわたり戦われ、約20万人の日本軍の戦死者を出した日中戦争という事象を、蒋介石の「ソフトパワー重視⇒消耗戦略」VS 旧日本軍の「ハードパワー重視⇒殲滅戦略」という対立概念により、ラフカットに解明することに本書は成功していると思う。
また、終盤、中国で発見された旧軍憲兵隊の検閲資料を最新の研究成果として取り上げつつ、当時の民衆や軍人の生の声を掲載し、上記の概念を裏づけする等、日中戦争を多面的な視点で捉えている点も評価したい。
上記の対立概念を使って、現在の米国によるイラク戦争を考えたとき、それは、まさに旧軍と同じ「殲滅戦略」であり、対テロ戦争という「ソフトパワー」を前面に掲げながら、いつしか軍産資源複合体による「ハードパワー」利権の争奪ばかりが目につく、泥沼化した現代の「日中戦争」となっている。 それは、かつての日本帝国がそうであったように、アメリカの凋落を予感させる。。。
と、そんな事も考えさせてくれる本です。
2007年9月10日に日本でレビュー済み
宣戦布告もないままに始められ、そのままずるずると長期化・泥沼化していく日中戦争の本質を、あくまで「殲滅戦」を戦おうとした日本と、初めからこれは「消耗戦」であるという認識を持っていた中国という対比から明らかにしようとする本書の記述はとにかく分かりやすい。特に、汪兆銘政権の位置づけについてここまで分かりやすく説明した啓蒙書は今までなかったのではないだろうか。
本書ではさらにそのような日中の「戦争観」の違いを「国力」として「ハードパワー」と「ソフトパワー」のどちらを重視するか、という点から説明しようとする。しかしながら、そういった「ハードパワーの日本」と「ソフトパワーの中国」という対比は戦後も脈々とうけつがれ、現在における両国の産業や外交における国家戦略や国際社会でのプレゼンスの違いもその構図で説明できる、といわれると、あまりに分かりやすすぎてホンマにそれでええんかいな、という気になったのも事実だ。というわけで、日中戦争というその開戦の理由も泥沼化していった過程も非常に「分かりにくい」戦争の大まかな見取り図が、分かりやすくすんなり頭に入るというところが良くも悪くも本書の最大の特徴だと思います。
本書ではさらにそのような日中の「戦争観」の違いを「国力」として「ハードパワー」と「ソフトパワー」のどちらを重視するか、という点から説明しようとする。しかしながら、そういった「ハードパワーの日本」と「ソフトパワーの中国」という対比は戦後も脈々とうけつがれ、現在における両国の産業や外交における国家戦略や国際社会でのプレゼンスの違いもその構図で説明できる、といわれると、あまりに分かりやすすぎてホンマにそれでええんかいな、という気になったのも事実だ。というわけで、日中戦争というその開戦の理由も泥沼化していった過程も非常に「分かりにくい」戦争の大まかな見取り図が、分かりやすくすんなり頭に入るというところが良くも悪くも本書の最大の特徴だと思います。
2014年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東京裁判史観にもたれかかって著書を書くときっと楽なのだろうと思う。ともかく日本軍は
残忍であり、対する中国軍は健気にも奮戦したとでもいうように書けば済む。だからであろうか、
そもそも史実との食い違いないしは意図的な歪曲と取れる箇所が随所にあり、驚いた。心象的
には強い親中国的視点を感じる。何とかして日本を貶めようという偏向の書というべきであろう。
一例を挙げる。1937年8月の第2次上海事変の記述を見てみる。実際の史実は次の通り。
この戦いは、最近の良心的な著作により、ナチスと密約を結んでいた蒋介石率いる中国軍の
先制攻撃によって始まったことがようやく広く知られるようになった。ナチスの軍事顧問だった
ファルケンハウゼンは対日開戦を強く進言してもいた。
攻撃に先立ち、日本海軍の大山大尉が上海市内を自動車で通行中に中国保安隊に虐殺
される事件が発生し、その事件処理のさなかにナチス顧問に訓練された中国正規軍精鋭が
上海郊外まで前進していたのである。
8月13日に突然中国軍が日本海軍上海陸戦隊(日本租界防衛のためにもともと駐留。米英仏
軍も駐留)に機関銃掃射を開始し、また中国軍機が飛来した。これに対して、日本海軍陸戦隊は
防戦にのみ努め、不拡大方針を堅持した上に、中国軍航空機に対して対空砲火も撃っていない。
一方、翌8月14日の中国軍機の空襲では、有名なキャセイホテル前の道路に着弾し、多くの死傷者
を出している。また婦女子の避難場所だった大世界娯楽センターにも着弾し、1000人以上が死亡した
のである。その後も中国軍の激しい攻撃が続いたが、海軍陸戦隊の奮戦により日本租界は防衛された。
ただ、海軍陸戦隊はおおむね2600名程度の兵力であったのに対して、中国軍は3万、郊外には20万
という大軍であったので、陸軍に派兵要請を行い、8月23日に海軍の艦砲射撃の支援を受けつつ、上海
北岸に日本陸軍が上陸、ナチス顧問団の指導によって作られた中国軍のクリーク陣地で苦戦しつつも
前進していたが11月5日に上海南側の杭州湾に新たに日本陸軍が敵前上陸すると、退路を断たれる恐れ
から中国軍は動揺し総崩れとなった。
その後は、敗走する中国軍を追って日本陸軍が南京に向けて前進していくのである。なお、南京では、
攻撃前に24時間の猶予とともに情理を尽くした降伏勧告を行っている。
中国軍を追った上海では、イギリス東洋艦隊のノックス提督が松井石根司令官に戦勝の祝辞を述べる
ために正装をして訪問している。その写真もある。また、上海では中国軍の撤退により、市民が安全に
なったとして日本軍に感謝するとの英字新聞の論評がなされている。
一方、中国軍は退却に際して略奪を行うのが通例だが、中国農民の方が数が多いので逆に農民に
虐殺される中国軍兵士も多くいたことをフランス軍将兵が見ている。
いささか長くなってしまったが、この史実に対して、筆者小林英夫氏はこう述べる。
まず、華北での「日本軍の殲滅戦略は成功を収めたかに見えたが、上海での戦闘が、日本に
大きな誤算をもたらした」というのである。まるで中国での戦いと上海事変が日本の企画で
あったかのようだ。また。日本軍は殲滅戦などは行っていない。
さらに「上海に上陸した日本軍は海軍陸戦隊を支援した二個師団で作戦を展開した」とのみ
記載され 日本側の懸命の防御的姿勢と中国側の陰湿な攻撃性がまったく没却されている。
さらに上海から南京に向かう日本軍が「殲滅戦をお家芸とする本領を発揮した」のだと述べる。
どこからこのような記述が出てくるのだろうか。呆れてしまう。
中国軍は味方を信じず、督戦隊というのがいて味方兵士を監視する。だから、総崩れになった
中国軍では逃げる兵士と督戦隊との同士討ちが何度も起きたのが史実である。また、農民に
対する略奪と相互の殺し合いは先述したとおり。
日本軍は味方に置き去りにされた中国軍負傷兵を保護し、治療を与えている。さらに制服を
きちんと着ていた捕虜には国際法に従った待遇を与えて、日向ぼっこなどをさせている。
日本軍が農民から農産物を買うときには対価を支払うので、農民がとても喜んでいる。
そうした様子は記録写真にある。
とにかく、この筆者は日本軍を貶めたくてしようがないのか、こうした書き方の方が十分な
調査をしないで済むので楽なのか。東京裁判史観に基づく自虐物語的データに依拠した
研究である。
残忍であり、対する中国軍は健気にも奮戦したとでもいうように書けば済む。だからであろうか、
そもそも史実との食い違いないしは意図的な歪曲と取れる箇所が随所にあり、驚いた。心象的
には強い親中国的視点を感じる。何とかして日本を貶めようという偏向の書というべきであろう。
一例を挙げる。1937年8月の第2次上海事変の記述を見てみる。実際の史実は次の通り。
この戦いは、最近の良心的な著作により、ナチスと密約を結んでいた蒋介石率いる中国軍の
先制攻撃によって始まったことがようやく広く知られるようになった。ナチスの軍事顧問だった
ファルケンハウゼンは対日開戦を強く進言してもいた。
攻撃に先立ち、日本海軍の大山大尉が上海市内を自動車で通行中に中国保安隊に虐殺
される事件が発生し、その事件処理のさなかにナチス顧問に訓練された中国正規軍精鋭が
上海郊外まで前進していたのである。
8月13日に突然中国軍が日本海軍上海陸戦隊(日本租界防衛のためにもともと駐留。米英仏
軍も駐留)に機関銃掃射を開始し、また中国軍機が飛来した。これに対して、日本海軍陸戦隊は
防戦にのみ努め、不拡大方針を堅持した上に、中国軍航空機に対して対空砲火も撃っていない。
一方、翌8月14日の中国軍機の空襲では、有名なキャセイホテル前の道路に着弾し、多くの死傷者
を出している。また婦女子の避難場所だった大世界娯楽センターにも着弾し、1000人以上が死亡した
のである。その後も中国軍の激しい攻撃が続いたが、海軍陸戦隊の奮戦により日本租界は防衛された。
ただ、海軍陸戦隊はおおむね2600名程度の兵力であったのに対して、中国軍は3万、郊外には20万
という大軍であったので、陸軍に派兵要請を行い、8月23日に海軍の艦砲射撃の支援を受けつつ、上海
北岸に日本陸軍が上陸、ナチス顧問団の指導によって作られた中国軍のクリーク陣地で苦戦しつつも
前進していたが11月5日に上海南側の杭州湾に新たに日本陸軍が敵前上陸すると、退路を断たれる恐れ
から中国軍は動揺し総崩れとなった。
その後は、敗走する中国軍を追って日本陸軍が南京に向けて前進していくのである。なお、南京では、
攻撃前に24時間の猶予とともに情理を尽くした降伏勧告を行っている。
中国軍を追った上海では、イギリス東洋艦隊のノックス提督が松井石根司令官に戦勝の祝辞を述べる
ために正装をして訪問している。その写真もある。また、上海では中国軍の撤退により、市民が安全に
なったとして日本軍に感謝するとの英字新聞の論評がなされている。
一方、中国軍は退却に際して略奪を行うのが通例だが、中国農民の方が数が多いので逆に農民に
虐殺される中国軍兵士も多くいたことをフランス軍将兵が見ている。
いささか長くなってしまったが、この史実に対して、筆者小林英夫氏はこう述べる。
まず、華北での「日本軍の殲滅戦略は成功を収めたかに見えたが、上海での戦闘が、日本に
大きな誤算をもたらした」というのである。まるで中国での戦いと上海事変が日本の企画で
あったかのようだ。また。日本軍は殲滅戦などは行っていない。
さらに「上海に上陸した日本軍は海軍陸戦隊を支援した二個師団で作戦を展開した」とのみ
記載され 日本側の懸命の防御的姿勢と中国側の陰湿な攻撃性がまったく没却されている。
さらに上海から南京に向かう日本軍が「殲滅戦をお家芸とする本領を発揮した」のだと述べる。
どこからこのような記述が出てくるのだろうか。呆れてしまう。
中国軍は味方を信じず、督戦隊というのがいて味方兵士を監視する。だから、総崩れになった
中国軍では逃げる兵士と督戦隊との同士討ちが何度も起きたのが史実である。また、農民に
対する略奪と相互の殺し合いは先述したとおり。
日本軍は味方に置き去りにされた中国軍負傷兵を保護し、治療を与えている。さらに制服を
きちんと着ていた捕虜には国際法に従った待遇を与えて、日向ぼっこなどをさせている。
日本軍が農民から農産物を買うときには対価を支払うので、農民がとても喜んでいる。
そうした様子は記録写真にある。
とにかく、この筆者は日本軍を貶めたくてしようがないのか、こうした書き方の方が十分な
調査をしないで済むので楽なのか。東京裁判史観に基づく自虐物語的データに依拠した
研究である。
2007年8月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やはり一般的には「太平洋戦争」や「第二次世界大戦」で括られてしまう歴史を、あえて「日中戦争」検証することで、あの戦争の本質を見たような気がする。この本は歴史認識を変え、すでに同じ過ちを繰り返そうとしている現在に対して大きな警鐘を鳴らしていると言える。