![オンライン授業で使える日本語活動集90 [電子版付]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61Mu2laHY4L._AC_UL160_SR160,160_.jpg)
本書の５ページに“人前で何かを教えようとすると、普段とは異なる何かが必要になる。”“言語的な学びと共にパフォーマンスの自覚的学びが必要である。”とあります。パフォーマンスを自覚的に学ぶために必読の一冊です。
本書の特色は、著名な実践家のライフヒストリー（来歴）がふんだんに盛り込まれていることです。新しい授業研究法であるライフヒストリー・アプローチでは、教師の力量形成に一番大切だとされているのが「こだわり」とのことでした。お笑い教師同盟を設立し、キャラがかなり濃いイメージのある上條晴夫氏ですが、自身の声の高さを子どもたちに揶揄されるのではないかと不安を感じていた時期が若い頃にはあったそうです。緊張すると声が高くなるという短所をキャラクター化することで長所に変え、“七色の声”と自称するまでになった上條晴夫氏自身のエピソードはパフォーマンスを自覚的に学んだ例として興味深かったです。他にも、斎藤喜博氏、大西忠治氏、家本芳郎氏、築地久子氏、有田和正氏、向山洋一氏、今泉博氏、佐藤正寿氏、赤坂真二氏、中村健一氏などの教師から異業種の明石家さんま師匠まで、各業界のパフォーマンスの達人のエピソードが満載で、達人が持つ強いこだわりを知ることができました。
上條氏の最も伝えたいのは、第８章の「MC型教師のすすめ」だと思います。MC（エムシー）とは、司会、司会者、番組進行役（英: master of ceremonies, master of ceremony）のこと。「МＣ型教師」に必要なのは「ポジショニング力」と「仕切りのスキル」です。「ポジショニング力」とは、“場を俯瞰で捉えて、自分と相手をどのように位置づけていけばいいかを立体的に考える戦略的思考力”、「仕切りのスキル」とは“自虐・ボケる・つっこむ・ずらす・合わせる・拾う”などのテレビ番組に特徴的なスキルです。面白さに対して目が肥えている現在の子供たちに関わる者にとって、これらの力やスキルを身につけることは今後益々重要になってくるでしょう。
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