社会に出て働いたことのある人なら、多くの人が感じるのではないかと思いますが、な
ぜこんなにも過剰に働かなければ社会や自分たちの生活を維持できないのか、何かわけ
もわからず働かされているような感覚に陥ることがあるのではないでしょうか。
結局は、この競争社会の中では厳しい競争に勝ち残るしかしようがないのだといった、
諦めにも似た気持ちで毎日を淡々と過ごすことになるのですが、この競争がいったいど
こから引き起こされているのか、まともに考えたことはないのではないでしょうか。
実はこれが、お金の根本的な仕組みに原因があるということにほとんどの人が気づかな
いまま、闇雲に働きながら搾取されているという実態を明らかにするのが本書です。
前作の『金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った』に比べて随分まとまっているし、
陰謀色もだいぶ抑えられてかなり読み易くなっています。
まあ前作は、金融資本主義の形成にまつわるロスチャイルドの果たした役割を明らかに
するものでしたし、それに対して本書は、著者のブログの記事をまとめて世に問う的な
内容ですので、力点が多少違うものではあります。
その中でまずは、日本の国家財政が破綻状態にある現状をデータを示して解説し、その
背景であるグローバリゼーションによる世界的経済格差の拡大の様子を示し、さらに、
その仕掛け人である国際金融の支配者たちの素顔をあぶり出します。
そして、そもそもお金とは何であるのかを根本的に問い直し、無から有を作り出す利子
のシステムが無理な経済成長を強制し、激しい競争を促していることを示し、作られた
富は全て少数の富裕層へ吸い上げられる仕組みになっていることを明らかにします。
最後に、我々庶民がこの搾取のシステムから逃れるための可能性として、忘れられた経
済学者シルビオ・ゲゼルの自由貨幣理論による自由経済を基本にした、新しいお金のシ
ステムを提唱します。
これは「弱者が弱者なりに生きていける領域」を作ることであり、金融支配者からの自
立を意味します。つまり、今の強者のためのシステムの中では普通の人々はどれだけ頑
張っても足りず、さらに椅子取りゲームの椅子の奪い合いで、必ずこぼれ落ちる人が出
てしまうため、強者とは別の共生のシステムを作ろうということです。
そのキーワードが「地域通貨」であり、その実効性はある程度証明されていますが、ど
うも現実にうまく行っているところばかりではなさそうです。
しかし、この絶望的な状況の中で、唯一といっていい希望の光のように感じます。
情報の内容自体は、いろんな先駆的方々の主張をまとめたような感じですが、新書とい
う形でとても読みやすくかつ刺激的で、今の私たちが進むべき方向を考えるのに、たい
へん参考になる本だと思います。ただ、タイトルがなんかありがちな裏社会本的な題名
で、ちょっとインパクトに欠けるのが残念に思います。
経済の素人の私には、この本の内容はとても説得的に思えますが、専門家的にはどのよ
うに捉えるのか知りたいところです。あと、個人的には利子が生み出す影響についてもっ
と知りたいと思いましたし、利子を取らない金融としてイスラム金融がありますが、そ
れとの関係なども知りたいと思いました。
いずれにしても、もっと多くの人に知られてほしい本であることは確かです。

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日本人が知らない恐るべき真実 〜マネーがわかれば世界がわかる〜(晋遊舎新書 001) 新書 – 2008/12/15
安部 芳裕
(著)
このページの読み込み中に問題が発生しました。もう一度試してください。
迫り来る世界経済の崩壊をどう乗り越えるべきか!?
◎あなたが知らない“恐るべき真実”がここにある。
・日本の財政は既に破綻している
・グローバリゼーションの行きつく先は地獄
・むさぼるだけのギャンブル投機マネーはいずれ崩壊する
・無から創造されるお金=ロスチャイルドの詐術
・もうひとつのお金は世界を救う
◎あなたが知らない“恐るべき真実”がここにある。
・日本の財政は既に破綻している
・グローバリゼーションの行きつく先は地獄
・むさぼるだけのギャンブル投機マネーはいずれ崩壊する
・無から創造されるお金=ロスチャイルドの詐術
・もうひとつのお金は世界を救う
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社晋遊舎
- 発売日2008/12/15
- ISBN-104883808815
- ISBN-13978-4883808816
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商品の説明
著者について
●安部芳裕(あべ よしひろ)
環境問題の根幹にあるのは経済システムの問題だとの認識からオルタナティブ(代替的)なお金である地域通貨に希望を見出す。1999年に地域通貨グループ「レインボーリング」を立ち上げる。講演や体験型ワークショップを全国の自治体・商店街・商工会・大学・NPO・NGOなどで数多く行ない、その実践もサポート。
著書には『だれでもわかる地域通貨入門』『なるほど地域通貨ナビ』『ボクらの街のボクらのお金』『金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った』などがある。
2007年4月からネット上で「反ロスチャイルド同盟」を立ち上げる。豊富な資料を揃え、マス・メディアが伝えない情報を発信している。
環境問題の根幹にあるのは経済システムの問題だとの認識からオルタナティブ(代替的)なお金である地域通貨に希望を見出す。1999年に地域通貨グループ「レインボーリング」を立ち上げる。講演や体験型ワークショップを全国の自治体・商店街・商工会・大学・NPO・NGOなどで数多く行ない、その実践もサポート。
著書には『だれでもわかる地域通貨入門』『なるほど地域通貨ナビ』『ボクらの街のボクらのお金』『金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った』などがある。
2007年4月からネット上で「反ロスチャイルド同盟」を立ち上げる。豊富な資料を揃え、マス・メディアが伝えない情報を発信している。
登録情報
- 出版社 : 晋遊舎 (2008/12/15)
- 発売日 : 2008/12/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 336ページ
- ISBN-10 : 4883808815
- ISBN-13 : 978-4883808816
- Amazon 売れ筋ランキング: - 866,415位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13位晋遊舎新書
- - 4,314位サブカルチャー (本)
- - 128,922位趣味・実用
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年生まれ。関東学院大学卒業。環境問題の根幹にあるのは、経済システムの問題だと認識し、オルターナティブ(代替的)なお金である「地域通貨」に 希望を見出す。1999年に地域通貨グループ「レインボーリング」を立ち上げる。講演や体験型ワークショップを全国の自治体・商店街・商工会・大学・ NPO・NGOなどで数多く行ない、その実践もサポート(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『全部わかった!国際銀行家たちの地球支配/管理のしくみ (ISBN-13: 978-4199060809)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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33グローバルレーティング
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- 2009年4月19日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2011年2月20日に日本でレビュー済みAmazonで購入昔は、利子というものを西洋諸国(キリスト教、イスラム教)は禁じており、唯一ユダヤ教だけが、別民族に対してのみ良いという理由で金貸しをしていた。それがいまだにユダヤ人のイメージとして定着しているわけだけれど、今現在、利子で儲ける人間がいわゆる「エリート」となり、実際に市場で流れている手で触れるお金の何倍もの利子でできたバーチャルな「マネー」が世界を牛耳る力となってしまった。本書は具体的なユダヤ財閥であるロスチャイルド家についての解説もされている。
ほんと、スターウォーズの悪が勝利した銀河帝国のような時代になってしまった。
日本の財政状況もとてもわかりやすい。歳入(合計83兆円)の三分の一が公債金となり、歳出の四分の一が国債費、地方への埋め合わせ(地方交付税交付金)を合わせれば、ほぼ半分が国の歳出。医療年金介護福祉で四分の一。未来への投資である文教科学振興はたったの7%以下という状況。
たとえが面白い。年収約600万円のサラリーマンに例えれば、支出に850万円を使っており、毎年サラ金から250万円を借りている状態。で、借金の総額は5500万円になっている。もう到底返済できる状況ではない。
しかも、日本には、特別会計というものがあり、その解説もされているが、予算として枠組みだけは取られるもののその運用は官庁や族議員(議員のなかでも影響力のある人)まかせであり、金額は特別会計のほうが一般会計を大きくしのぐという。
その特別会計の借金をいれてさっきのサラリーマンに例えれば、借金が9000万円という。
日本経済は破綻するのか?とかよく言われるけど、とっくに破綻してるという実態がわかる。少々の倹約なんかでカバーできるものではないし、業務仕分けで数百億減らしたところで、焼け石に水だし、どんな敏腕な総理大臣に替えたところでもはや内閣がコントロールできる範囲を超えている。
いままで、ことなかれ主義でやってこられたけれど、これからもそれが通用するのか?日本の未来について本当に心配になってしまう本だ。
ちょっと注意しないといけないのは、著者は、権力者側に厳しいあまり、信用できないようなネタも気軽にとりこんでしまっているように見えるところ。CO2が温暖化の原因となっているのは、アル・ゴアをはじめとする権力者の陰謀だとか、こういう重要な発言はもうちょっと調べてから言うべきだと思う。
- 2010年9月9日に日本でレビュー済みAmazonで購入銀行にお金を預けておけば利子によって増えていく。
単純に考えても沢山預けている人には沢山の利子が入り、
少ししか預けてない人はあまり利子の恩恵を得ることができない。
この極めて単純な一点のみに限っても、格差を増長している。
これが国単位、為替や税金、そして金融技術を交え、さらに巨大化していく。
金融技術は煎じ詰めて考えれば利子(利回り)をいかに大きくして、一箇所に集約していくかの技術だといえる。
リーマンショック以降、実態経済と離れたバブルマネーなどとヘッジファンドが揶揄されるが、
結局、銀行を介した全てのマネーが実態経済と乖離しているのではないか?
資本主義社会そのもの、お金を中心といた現在の経済そのものの
構造的欠陥をこの本は暴いている。
この本に書いてあることを最近流行の陰謀論と笑うことは簡単だ。
しかし、この本が書かれた2008年以降の世の中を見ても、明確な反論ができない。
お金とは何か、労働とは何か。
真剣に考えるよい機会になった。
あまり考え過ぎると現在の仕事や生活が空しくなってしまうところはあるが・・・
しかし残念なのはこの本のタイトルと装丁。
自らトンデモ本ですよと自虐的。
でも実は今のこの世の中をこそがトンデモ世界なのかも知れない。
- 2012年8月23日に日本でレビュー済みAmazonで購入銀行や資本主義の実態について非常に分かりやすく
面白く書いてあります
金融=壮大な詐欺に気づく一歩にうってつけです
知らないで住宅ローンとか組んだ時点で”おありがとうござーい”
になってしまうので是非学生の内や新社会人のうちに
一読しておく事をお勧めします
まあ分かったところで我々小市民にはどうにもできないのですが
人生にある落とし穴の種類のひとつの大きさや深さを知っておく事は
何も知らないで歩くのと大きな違いがでる事も多々あると思います
- 2012年6月19日に日本でレビュー済みAmazonで購入前半は、日本の借金がいかに大きいかという話。
おもしろくなるのは中盤から。いまの政府は、公債(借用証書)を発行し、紙幣の発行権は日銀などの中央銀行が握っている。政府は利子を払って借金を返さなければならない・・・が、政府も実は通貨発行権を持っている(硬貨とか)。なら、1000兆円硬貨を発行すれば借金チャラである。このようなやり方のリスクについては他書をあたれ、ということなのでちょっとすっきりしない。
円借款は、要するに貸付であり、その資金は財政投融資から出ていて、初期においては発展途上国のダム建設に使われ、それを受注したのが日本企業で、建設したダムの電力で安くアルミを作らせる。発展途上国のためになっていない。アルミは電気を食うけれども、アルミ業界は寡占業界なので価格が低く抑えられるため、アルミを輸出しても儲からない。稼いだお金は円借款の返済にあてられる。ついでにアルミの製造過程ではフッ化水素という有毒ガスが発生し、これが環境破壊ももたらす。
IMFは出資額に応じて投票数が決まる。主要決定には85%の賛成が必要だが、アメリカの出資比率が18%近いので、アメリカが同意しない案件は可決されない。
WTOは、加盟国に対して、貿易に影響を与える法律等については随時報告させ、場合によっては是正させる。つまり、国内法に手を突っ込む権限がある。このWTOの最高意思決定機関は、アメリカ、カナダ、日本、EU。
元本を貸し出して、利子を取る・・・しかし、元本しか市場に供給されていないのに利子はどこから来るのか・・・これが弱肉強食を生む。利子を払うためには他者から利子分を奪うしかない。利子を払えなければ(競争に負ければ)、財産を没収されるゲーム。ドイツの調査では、価格の30%〜40%は「利子」に由来している。
利子を払うためには経済成長も必要だが、有限空間の地球で経済成長を続けるためには環境に負荷をかけ続けることになる。
地方で稼いだお金は銀行に預けられ、わずかな預金金利はつくものの、いったんは中央に集められる(富の集中)。そして、投資されるがそれは地方への投資とはなりにくい。なので、地方交付金等により地方に配分される。地方には金利を稼げるような魅力的事業がない。結局、公共投資のかたちで地方に無駄な投資をする。
このような問題に対して、利子の逆、つまり、保有していると時間に応じて減価していく通貨が提案されている(経済学者のシルビオ・ゲゼルなど)。時間とともに減価していくので貯めこまない。積極的に使う。これによりお金の流通が促進される。オーストリアの地方で実践されたことがあり、通貨流通速度は14倍になったとか。富める者がますます富む一因は金利収入であるが、いわば、富めば富むほど(貯めれば貯めるほど)支出が大きくなるというシステムはユニークだが・・・ロジックに穴はないのか?
量的緩和して企業にお金を流しても、企業は借金返済にあてるだけ。つまり、企業部門の借金を政府部門に付け替えただけになってしまう。これに対して地域振興券は末端に直接お金を注入するという意味ではおもしろかったが、地域振興券は1回しか使用できず流通性がなかったため通貨としての機能を発揮しなかった。
・・・のような話。著者は経済学の専門家ではない、とのことだが、とてもユニークでいろいろと考えさせられる本である。
- 2014年9月21日に日本でレビュー済みAmazonで購入この本の内容はとても勉強になりました。おすすめです。ネットで安部 芳裕 さんのビデオを見て、彼の本を読んでみようと思いました。