米の真の敵は独立を求めるナショナリズムであり、それが“ウイルス”となり感染する可能性がある国には、過酷な軍事独立政権を樹立させ、より広い範囲に“予防接種”を受けさせねばならない。
これは米ソ共有理念で、前者の例がヴェトナムやソ連にとってのアフガンであり、後者は韓国・インドネシアである。
といったブラックユーモアが随所に散りばめられている本書の原書発刊は06年初旬であり、同時期にジェイムズ=ぺトラスは、著者を「ユダヤ系親イスラエル・ロビーと政府内にいるシオニスト支持者に話が及んだとたんに、その分析的な徳性が完璧にお留守になってしまう」「親イスラエル・ロビーとその取り巻きグループやメディア支援者達の免罪を選択した」と酷評する論文を発表したが、著者はキチンと反論できておらず、同じくジョン=ミアシャイマーとステファン=ウォルトの米で出せず英で出版した論文に、シオニストたちからの攻撃が一斉に開始された際に、著者は両教授に対する非難に加わった。
確かに本書でも弱腰にも見えるイスラエル批判はあるが、米のロビー批判はない。
だが完璧な人はいないのだから、読者はその不足な点を前述の『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』で埋め合わせることで、更なる理解を深めよう。
またそうであっても「国際連合というものは存在しない。 世界に残された唯一本物の大国、すなわちアメリカ合衆国が、その国益にかなう場合と、他の国々の支持を得られる場合に、国際社会を導いていくだけだ」とのジョン=ボルトン国連大使の言葉通りの米の姿勢と、その犯罪性を著者が明らかにしている事は事実であり、反戦運動と反対派知識人が仲間割れをしているうちに、巻末の7提言を求める民主主義は後退しないかと危惧するのであった。
寡頭体制に支配され、“予防摂取”が未だ効いている日本で、そんな事を言うてる場合ではないのだけれど・・・

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破綻するアメリカ 壊れゆく世界 単行本 – 2008/12/15
経済も政治も破綻した失敗国家がアメリカだ。
人類の生存を脅かす問題は核戦争、環境破壊、そしてその両者を現実化してしまう恐れのある大国アメリカだ。経済破綻に明らかなように他国を「失敗国家」として断じ介入する自らが失敗国家なのだ。
人類の生存を脅かす問題は核戦争、環境破壊、そしてその両者を現実化してしまう恐れのある大国アメリカだ。経済破綻に明らかなように他国を「失敗国家」として断じ介入する自らが失敗国家なのだ。
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2008/12/15
- ISBN-104087734676
- ISBN-13978-4087734676
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商品の説明
著者について
1928年米国ペンシルヴェニア州生まれ。マサチューセッツ工科大学教授。言語学者として生成文法理論を打ち立てて一時代を築く一方、事実を詳細に分析し、米国の政策にきびしい批判の眼を向けてきた。『メディア・コントロール』『覇権か、生存か』『9・11 アメリカに批判する資格はない!』『グローバリズムは世界を破壊する』『お節介なアメリカ』など著書多数。
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2008/12/15)
- 発売日 : 2008/12/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 352ページ
- ISBN-10 : 4087734676
- ISBN-13 : 978-4087734676
- Amazon 売れ筋ランキング: - 385,141位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2009年6月29日に日本でレビュー済み
2017年12月17日に日本でレビュー済み
人類の生存維持のために解決すべき3つの問題がある。 それは核戦争、環境破壊、この2者を現実化させようとする米国政府である。 第4の問題はこの米国政府の政策と米国民の世論が相対立していることである。 破たん国家とは第1に自国民を暴力や破壊から守れない。 第2に自身が国内法や国際法の枠外にあると思い、意のままに侵略、暴力の行使を行うことである。 米国はこの破たん国家でありながら民主主義を標榜している。 これは民主主義の劣化であり、その実態を失っていると著者は指摘する。 この解決策として7個の提言をする。 それは国際刑事、司法裁判所の裁判権を受け入れること、安全保障理事会での拒否権の放棄である。 イスラエルの法学者は2000年前の領有権の正当性を主張するがそれなら米国のインデアンは300年前の米国の領有権を主張できる。 米国はインデアンの主張は認めないがイスラエルの主張は認めるというダブル・スタンダードの国である。 北朝鮮の核保有を攻撃するがイスラエルの核保有の国連での論議には拒否権を使用する。 第1次世界大戦はオスマントルコの解体とその中東領域の石油資源の簒奪のために英仏が仕組んだものである。 米国は後にこの簒奪戦に加わる。 中東や中央アジアのの石油支配が世界支配につながる。 その米国の前哨基地がイスラエルなのである。 イスラエルにとっても水と石油は国家の生命線である。 ヨルダン川の水資源の確保とイラクの石油資源の確保は至上命令といえる。 レバノンへのイスラエルの侵略を追い払ったのはヒズボラである。 ハマスやヒズボラはイスラエルの生存権を認めない。それはイスラエルがパレスチナの生存権を認めないと同様である。 イランが核保有したときイスラエルは消滅するかパレスチナとの連邦政府樹立を余儀なくされよう。 イスラエルが米国を自らの傀儡政権として利用する時代は間もなく終焉を迎えよう。