『高校生のための文章読本』(梅田卓夫・清水良典・服部左右一・松川由博編、ちくま学芸文庫)の一番重要な教えは、「自分にしか書けないことを、だれが読んでもわかるように書く」というシンプルなものです。
そのためには、多くの優れた文章に触れることに尽きるという考えのもと、古今東西の70の例文が収載されています。
いずれも味わい深い文章だが、例えば、写真家の土門拳の「走る仏像」は、こう綴られています。「仏像は静止している。伽藍は静止している。もちろん境内の風景は静止している。と、だれしも思うだろう。・・・鳳凰堂に別れを告げようとして振り返ってみたら、茜雲を背にたそがれている鳳凰堂は、静止しているどころか、目くるめく早さで走っているのに気がついた。しばし呆然としたわたしは、思わず『カメラ!』とどなった。・・・シャッターを切れる瞬間は、たった一度しかないのであった。それにしても、茜雲の平等院以後、わたしには、仏像も建築も風景も、疾風のような早さで走るものになってしまったのには閉口である」。
たった2ページの短文なのに、写真の本質、撮影の神髄が見事に語られているではありませんか。
これまで、さまざまな文章の達人の手になる文章読本を読んできたが、地方の高校の国語教師4人が力を合わせて作り上げた本書は、実践的という点で、それらに勝るとも劣らないものに仕上がっています。高校生はもちろん、大人にとっても、必読の一冊です。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
高校生のための文章読本 単行本 – 1986/3/1
梅田 卓夫
(編集)
付属資料:表現への扉(99P)
- ISBN-104480917047
- ISBN-13978-4480917041
- 出版社筑摩書房
- 発売日1986/3/1
- 言語日本語
- 本の長さ224ページ
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1986/3/1)
- 発売日 : 1986/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4480917047
- ISBN-13 : 978-4480917041
- Amazon 売れ筋ランキング: - 246,895位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 381位論文作法・文章技術
- - 7,714位教育学一般関連書籍
- - 13,675位語学・辞事典・年鑑 (本)
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー

5 星
君は、疾走する仏像を見たことがあるか
『高校生のための文章読本』(梅田卓夫・清水良典・服部左右一・松川由博編、ちくま学芸文庫)の一番重要な教えは、「自分にしか書けないことを、だれが読んでもわかるように書く」というシンプルなものです。そのためには、多くの優れた文章に触れることに尽きるという考えのもと、古今東西の70の例文が収載されています。いずれも味わい深い文章だが、例えば、写真家の土門拳の「走る仏像」は、こう綴られています。「仏像は静止している。伽藍は静止している。もちろん境内の風景は静止している。と、だれしも思うだろう。・・・鳳凰堂に別れを告げようとして振り返ってみたら、茜雲を背にたそがれている鳳凰堂は、静止しているどころか、目くるめく早さで走っているのに気がついた。しばし呆然としたわたしは、思わず『カメラ!』とどなった。・・・シャッターを切れる瞬間は、たった一度しかないのであった。それにしても、茜雲の平等院以後、わたしには、仏像も建築も風景も、疾風のような早さで走るものになってしまったのには閉口である」。たった2ページの短文なのに、写真の本質、撮影の神髄が見事に語られているではありませんか。これまで、さまざまな文章の達人の手になる文章読本を読んできたが、地方の高校の国語教師4人が力を合わせて作り上げた本書は、実践的という点で、それらに勝るとも劣らないものに仕上がっています。高校生はもちろん、大人にとっても、必読の一冊です。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年2月13日に日本でレビュー済み

『高校生のための文章読本』(梅田卓夫・清水良典・服部左右一・松川由博編、ちくま学芸文庫)の一番重要な教えは、「自分にしか書けないことを、だれが読んでもわかるように書く」というシンプルなものです。
そのためには、多くの優れた文章に触れることに尽きるという考えのもと、古今東西の70の例文が収載されています。
いずれも味わい深い文章だが、例えば、写真家の土門拳の「走る仏像」は、こう綴られています。「仏像は静止している。伽藍は静止している。もちろん境内の風景は静止している。と、だれしも思うだろう。・・・鳳凰堂に別れを告げようとして振り返ってみたら、茜雲を背にたそがれている鳳凰堂は、静止しているどころか、目くるめく早さで走っているのに気がついた。しばし呆然としたわたしは、思わず『カメラ!』とどなった。・・・シャッターを切れる瞬間は、たった一度しかないのであった。それにしても、茜雲の平等院以後、わたしには、仏像も建築も風景も、疾風のような早さで走るものになってしまったのには閉口である」。
たった2ページの短文なのに、写真の本質、撮影の神髄が見事に語られているではありませんか。
これまで、さまざまな文章の達人の手になる文章読本を読んできたが、地方の高校の国語教師4人が力を合わせて作り上げた本書は、実践的という点で、それらに勝るとも劣らないものに仕上がっています。高校生はもちろん、大人にとっても、必読の一冊です。
そのためには、多くの優れた文章に触れることに尽きるという考えのもと、古今東西の70の例文が収載されています。
いずれも味わい深い文章だが、例えば、写真家の土門拳の「走る仏像」は、こう綴られています。「仏像は静止している。伽藍は静止している。もちろん境内の風景は静止している。と、だれしも思うだろう。・・・鳳凰堂に別れを告げようとして振り返ってみたら、茜雲を背にたそがれている鳳凰堂は、静止しているどころか、目くるめく早さで走っているのに気がついた。しばし呆然としたわたしは、思わず『カメラ!』とどなった。・・・シャッターを切れる瞬間は、たった一度しかないのであった。それにしても、茜雲の平等院以後、わたしには、仏像も建築も風景も、疾風のような早さで走るものになってしまったのには閉口である」。
たった2ページの短文なのに、写真の本質、撮影の神髄が見事に語られているではありませんか。
これまで、さまざまな文章の達人の手になる文章読本を読んできたが、地方の高校の国語教師4人が力を合わせて作り上げた本書は、実践的という点で、それらに勝るとも劣らないものに仕上がっています。高校生はもちろん、大人にとっても、必読の一冊です。
このレビューの画像

2021年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今の高校生が、この本を読んで分かる人は、素晴らしいと思います。
2023年7月6日に日本でレビュー済み
夏目漱石から村上春樹、森茉莉、モーパッサンに至るまで。古今東西の小説、論説、エッセイを幅広く掲載した、宝石箱のような本です。
文庫本2頁程度に抑えられた各文章は、いずれも「やむにやまれぬ表現意欲にもとづいて書かれたことがうかがえる、個性的な文章」です。だからこそ読み手は、時に共感し、時に反発しながら、飽きることなく読み進めることができます。
そして、そうした共感や反発を発展させてくれるのが、各文章末尾に付された設問と、その解説です。「表現への扉」と題された解説は、もはや解説の名を借りた批評であり、「読む」ことの躍動を伝えています。
「手帖」と題されたコラムも、実に素晴らしい。本書で行った「読む」を、「書く」に繋げるためのエッセンスが、ぎゅっとまとまっています。
「高校生のため」、と銘打たれてはいますが、大学生以上にも、あるいは大学生以上にこそ、おすすめの一冊です。
文庫本2頁程度に抑えられた各文章は、いずれも「やむにやまれぬ表現意欲にもとづいて書かれたことがうかがえる、個性的な文章」です。だからこそ読み手は、時に共感し、時に反発しながら、飽きることなく読み進めることができます。
そして、そうした共感や反発を発展させてくれるのが、各文章末尾に付された設問と、その解説です。「表現への扉」と題された解説は、もはや解説の名を借りた批評であり、「読む」ことの躍動を伝えています。
「手帖」と題されたコラムも、実に素晴らしい。本書で行った「読む」を、「書く」に繋げるためのエッセンスが、ぎゅっとまとまっています。
「高校生のため」、と銘打たれてはいますが、大学生以上にも、あるいは大学生以上にこそ、おすすめの一冊です。
2015年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古今東西の名手による作品70編を選りすぐり短文読み切り形式で収録されています
紹介された各作品の抜粋部分に関する的を得た質問疑問とそれらに対する答え
各章のまとめ
自分のことは脇に置いといて-大人のズルイとこですが-
1作品づつ真面目に取り組むことで読解力及び文章力が飛躍的に高まること請け合いです
紹介された各作品の抜粋部分に関する的を得た質問疑問とそれらに対する答え
各章のまとめ
自分のことは脇に置いといて-大人のズルイとこですが-
1作品づつ真面目に取り組むことで読解力及び文章力が飛躍的に高まること請け合いです
2013年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良い文章を選び、きちんとその要旨のつかみ方を教えてくれる。なるほど!
2013年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
見方によると思いますが、一篇が色んな思いを感じさせます。ただ、その一篇を紹介した意図を感じるのが少し難しい様に思います。ただ、それでもお薦め本です。
2022年6月1日に日本でレビュー済み
文学に対して、文章に対してとても熱い情熱がなければこの本はできなかったのではないか。バラエティーに富む、よく考えて選ばれた作品の、一部分を掲載し、解説する。著者らは、おそらく膨大な数の作品に触れる真の読書家にして、教育者。情熱が読者(特に若い読者)に向けて柔らかくひなたぼっこのような温かさで降り注ぐ本書は、紹介されている作品の一部はすでに絶版になっているものもあるものの、非常に良い読書案内で、かつ文章指南書である。
2016年11月3日に日本でレビュー済み
著者が選んだ「名文」と思われる文章を羅列している。
この中から、高校生に自主的に学び取れというのははっきり言って難しいと思います。
もう少し丁寧に構成した方がよろしいかと思います。
この中から、高校生に自主的に学び取れというのははっきり言って難しいと思います。
もう少し丁寧に構成した方がよろしいかと思います。