「諸行無常、盛者必衰」の冒頭で有名な平家物語だが、仏教的無常観というよりも、むしろホメロスの「イーリアス」のような叙事詩として読む方がよい。琵琶法師の語りである点もホメロスに似ている。語りゆえに古文でもわかりやすいし、なによりも七五調のリズム感と美しい文体は原文でなければ味わえない。
例えば、教科書にも引用される宇治川の先陣争いの段。宇治川の朝霧が徐々に晴れる情景が絵に描いたように歌われ、騎馬武者たちのはやる気持ちが臨場感満点で伝わってくる。梶原景季と佐々木高綱の馬をめぐる遺恨がらみの先陣争い、大串重親の助け上げられての名乗りのユーモラスさなど、構成が実に巧みで面白い。
また、那須与一の段。沖には平家、陸には源氏を観客のように配し、息を呑む緊迫感で放たれた矢が扇を見事に射ると、矢は海に入り、扇は空へ揚って春風に揉まれて海に散る。平家方は船べりを叩いて感じ入り、源氏方は箙を叩いてどよめく。まるで屏風絵を見るような見事な描写である。
その他、都落ちの際に歌人藤原俊成に自己の歌集を託した忠度、一ノ谷で名だたる武将が討ち死にする際の各々の特色ある描写、敦盛を討った熊谷直実の悲痛さ、維盛の出家と入水、壇ノ浦の滅亡時の武将たちの勇壮あるいは懦弱な振る舞い、女性たちの悲喜こもごもなど、登場人物の性格と行動が見事に書き分けられており、見所満載で飽きさせない。
このソフィア文庫版がkindle で最も手軽に入手できる。注は簡潔だが読むには十分だろう。kindle だと難しい単語は長押しすれば国語辞典が表示されるので便利である。
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平家物語(下) (角川日本古典文庫 Y 11) 文庫 – 1959/9/10
佐藤 謙三
(著)
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この物語を一貫して流れる仏教的無常観は、琵琶法師の語る音楽性豊かな名文によって伝えられ、多くの人々の心を打ちつづけてきた。一方で源平の争いは、それまで朝廷の政のもとで生きてきた日本人が、全国的に繰り広げられた武士の合戦により、否が応でも国政の変化を肌で感じ、国民としての自覚を促される出来事であった。下巻では巻八から最終の平家灌頂の巻までを収載。付録として小秘事大秘事、索引を収めた。全2冊。
- ISBN-104044007020
- ISBN-13978-4044007027
- 出版社KADOKAWA
- 発売日1959/9/10
- 言語日本語
- 本の長さ352ページ
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (1959/9/10)
- 発売日 : 1959/9/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4044007020
- ISBN-13 : 978-4044007027
- Amazon 売れ筋ランキング: - 265,277位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2019年1月12日に日本でレビュー済み
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2015年2月2日に日本でレビュー済み
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平家物語lは大変おもしろい読物です。
琵琶法師によって語り継がれ、それが庶民にも伝わり人々に感動を与えた。
日本人に与えた影響は計り知れないものがあると思う。
昔の人の考え方、心情、興味のもち方など、現代にどう受継がれているか分る。
原文では分りづらいので、口語訳で読んだ方がよいでしょう。
琵琶法師によって語り継がれ、それが庶民にも伝わり人々に感動を与えた。
日本人に与えた影響は計り知れないものがあると思う。
昔の人の考え方、心情、興味のもち方など、現代にどう受継がれているか分る。
原文では分りづらいので、口語訳で読んだ方がよいでしょう。
2019年3月22日に日本でレビュー済み
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最近、もう少し口語訳が今時になっていて、良いものもありますが、私のとっては、これがスタンダードです。
2018年3月18日に日本でレビュー済み
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岩波版の方は、余計な解説が付いているから、全部そろえると3000円を超えてしまうが、
こちらなら、1500円くらいで手が届いてしまうから、
余計な解説を読みたくない人はこちらを買いましょう。
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2018年4月11日に日本でレビュー済み
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叙述の視点が頻繁に変わる点が現代的。清盛→義仲→義経→女院と主人公が変わる。漢文調の文章も、当時の大衆向けなのか比較的容易で、現代人にもなんとか理解可能。
2020年1月9日に日本でレビュー済み
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文字が非常に小さく読み辛い
2016年11月6日に日本でレビュー済み
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商品説明より美品でした。有難うございました。古典はなかなか読む機会がないものですが、手元においておくとすぐに開けて、拾い読みできる便利さがあります。
2014年9月16日に日本でレビュー済み
平家物語の舞台をよく訪れています。たとえば福原京のあった神戸、音戸の瀬戸、厳島神社、壇ノ浦の下関、安徳天皇を匿おうとした原田一族の那珂川町安徳、平家発展の基となった神崎荘、そして壇ノ浦後の敗走する平家と追撃する源氏の最後の戦いとなった筑後要川。最近では、熊本県天草地方にも、平家の落人伝説や源氏に追われて死骸で海が真っ赤になったなどの伝説があることを知りました。
そんな時に持って行く平家物語としては、文庫2冊に収まったこの角川ソフィア文庫が軽くて便利。持参用として活用しています。
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