消防士の活躍と葛藤を描いたドキュメント。
6件の事例で、それぞれひとりのキーマンの視点を織り交ぜた物語風となっている。
語り口が少々オーバーリアクションなのがハナにつくが、それでもよくまとめられていて読ませるストーリーになっている。
個人的にTVなどでリアルタイムで放映された映像が衝撃的だった最終第6章の平成11年玄倉川水難事故、『濁流に消えた十三人』が痛ましい。目の前で手を出せない消防士たちの断腸の思いが、つらい。

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なぜ、人のために命を賭けるのか: 消防士の決断 単行本 – 2004/6/1
中澤 昭
(著)
- 本の長さ355ページ
- 言語日本語
- 出版社近代消防社
- 発売日2004/6/1
- ISBN-104421007021
- ISBN-13978-4421007022
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
異色の消防士作家が発つ! 無名の消防戦士たちの、壮絶な生と死のドラマ…。「誰かが、やらなくてはならない。それならば俺がやろう」 生死を賭けた者の珠玉の言葉。
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年7月11日に日本でレビュー済み
第1章命を託したロープを読んで、このタイトルを思い付きました。
今でこそ、我が国が「水と安全はタダではないと」と意識し始めている。
しかしかつて経済優先で来た我が国の風潮にひたすら戦ってきた消防士たちの物語は感動すら覚えます。消防士達は目の前の炎だけでなく苦しい財政と経済優先のこの国の風潮とも戦っていた歴史を物語る一冊です。
企業で総務や人事に携わる人にも読んでもらいたい一冊です。
今でこそ、我が国が「水と安全はタダではないと」と意識し始めている。
しかしかつて経済優先で来た我が国の風潮にひたすら戦ってきた消防士たちの物語は感動すら覚えます。消防士達は目の前の炎だけでなく苦しい財政と経済優先のこの国の風潮とも戦っていた歴史を物語る一冊です。
企業で総務や人事に携わる人にも読んでもらいたい一冊です。
2011年3月24日に日本でレビュー済み
本書の著者は東京消防庁に1956年に入庁、東京都内の各消防署長を歴任。約40年間の消防生活を経験した人。
本書の第2章の「北陸トンネル火災」は、平成16年にNHKの「プロジェクトX」で放送されたとのこと。
本書の中で最も印象深かった言葉「消防活動は、即時即決。右か左かの2つに1つの決断しかない」である。
9・11テロを契機に、著者が古い災害ファイルを開いた事が本書を著した動機という。
第1章の「川崎市金井ビル火災・S41年」では、予算を通して、やっと入手できたナイロン・テープを使用した人命救助が書かれていた。
著者はこの章の中で「目に見える箱モノづくりに熱心な首長、票にならない消防行政には見向きもしない議員、「ウチに限って・・」と火事を他人事のように見ている住民」に対して批判している。後に川崎市に悲願の「消防特別救助隊」が発足し、東京消防庁にもS44年に「消防特別救助隊」、「国際消防救助隊」が結成されていく経緯が理解できた。
「北陸トンネル火災」「福島磐光ホテル火災」「広島呉市の山火事」「谷川トンネル火災」「神奈川玄倉川水難事故」
の各火災・災害現場の様子と救助の模様が、第2章以降、順次ドキュメンタリータッチで綴られている。
文章は、臨場感あふれる会話の部分が多く、少し読みにくいかもしれない。その点で★4にとどめた。書かれている内容自体は濃い。
各章の災害で、特徴的な問題点「雑居ビル」「レジャー産業の利益重視・安全軽視」「旧国鉄の体質」等が取り上げられていた。
消防士・救助隊は「人命を救って当たり前」で、犠牲者が出れば非難の的となり強く批判される。
消防士の中には、「惨事ストレス」で心を病む人が多くなっているという。
悲惨な災害現場で活動する消防士も、被災者と同様の強い精神的ショックを受けるが、職業的責任により忌避できない立場から一般の被災者とは異なる心理的影響を受けるそうだ。この問題を重要視した総務省消防庁では、消防士の心のケアにのりだしたという事も紹介されている。
先日の福島原発の注水作業に関わったハイパーレスキュー隊の方々の記者会見を見ていて、こちらにも強く胸にこみ上げるものがあった。
どれほどの緊張感と覚悟を強いられたことだろうか。また作業に関わった方々のご家族の心労は想像に絶するものがある。
ハイパーレスキュー隊の他にも、機動隊、自衛隊、各方面の救助隊、現場で作業を続けられている方々の、無事を祈ると同時に、日夜関係なく災害に立ち向かって尽力されている事に、心より深く感謝したいと強く思った。
本書の第2章の「北陸トンネル火災」は、平成16年にNHKの「プロジェクトX」で放送されたとのこと。
本書の中で最も印象深かった言葉「消防活動は、即時即決。右か左かの2つに1つの決断しかない」である。
9・11テロを契機に、著者が古い災害ファイルを開いた事が本書を著した動機という。
第1章の「川崎市金井ビル火災・S41年」では、予算を通して、やっと入手できたナイロン・テープを使用した人命救助が書かれていた。
著者はこの章の中で「目に見える箱モノづくりに熱心な首長、票にならない消防行政には見向きもしない議員、「ウチに限って・・」と火事を他人事のように見ている住民」に対して批判している。後に川崎市に悲願の「消防特別救助隊」が発足し、東京消防庁にもS44年に「消防特別救助隊」、「国際消防救助隊」が結成されていく経緯が理解できた。
「北陸トンネル火災」「福島磐光ホテル火災」「広島呉市の山火事」「谷川トンネル火災」「神奈川玄倉川水難事故」
の各火災・災害現場の様子と救助の模様が、第2章以降、順次ドキュメンタリータッチで綴られている。
文章は、臨場感あふれる会話の部分が多く、少し読みにくいかもしれない。その点で★4にとどめた。書かれている内容自体は濃い。
各章の災害で、特徴的な問題点「雑居ビル」「レジャー産業の利益重視・安全軽視」「旧国鉄の体質」等が取り上げられていた。
消防士・救助隊は「人命を救って当たり前」で、犠牲者が出れば非難の的となり強く批判される。
消防士の中には、「惨事ストレス」で心を病む人が多くなっているという。
悲惨な災害現場で活動する消防士も、被災者と同様の強い精神的ショックを受けるが、職業的責任により忌避できない立場から一般の被災者とは異なる心理的影響を受けるそうだ。この問題を重要視した総務省消防庁では、消防士の心のケアにのりだしたという事も紹介されている。
先日の福島原発の注水作業に関わったハイパーレスキュー隊の方々の記者会見を見ていて、こちらにも強く胸にこみ上げるものがあった。
どれほどの緊張感と覚悟を強いられたことだろうか。また作業に関わった方々のご家族の心労は想像に絶するものがある。
ハイパーレスキュー隊の他にも、機動隊、自衛隊、各方面の救助隊、現場で作業を続けられている方々の、無事を祈ると同時に、日夜関係なく災害に立ち向かって尽力されている事に、心より深く感謝したいと強く思った。